プロフィール
Sgt. Saunders
Sgt. Saunders
少ない軍資金でコツコツ集めてウン十余年。
基本はWWⅡUS陸軍歩兵科です。US​WWⅠ​モノ、朝鮮戦争モノ、ヴェトナム戦争モノ、WWⅡドイツ軍モノ、大日本帝国海・陸軍モノにもチョロチョロ手を出す癖アリ。
また軍用銃、特にWWⅠ以降のUS・ドイツのものに深い興味があります。
Have been interested in the equipments of U.S. infantryman, heavy emphasis on WW2. Also in those of The Third Reich and military small arms.
好きなTV映画(Favorite TV movies):COMBAT! 、OK捕虜収容所(Hogan's Heroes)、特攻・ギャリソンゴリラ(Garrison's Gorillas)、ラット・パトロール(The Rat Patrol)、M*A*S*H、頭上の敵機(爆撃命令)(12 O'clock High)、0011ナポレオン・ソロ(The Man from U.N.C.L.E.)バンド・オブ・ブラザース(The Band Of Brothers)など。
好きな映画(Favorite films):チャップリンの独裁者(The Dictator)、プライベート・ライアン(saving private ryan)、最近ではフューリー(Fury)など。
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2018年05月13日

M-1923 カートリッジ・ベルト(M-1923 Dismounted Cal..30 Cartridge Belt)

皆さんこんにちは。
ゴールデンウィークの後半4連休中は風邪を患いまして、連休が明けても3日間はまるでインフルのように全身が重ダルく頭痛も併発した状態でした。昨年末の重傷肉離れといい、今般の風邪連休といい、世間がお休みだーと言っている最中家の中で静かに過ごさねばならない事が続いております。厄払いが必要でしょうか。
当地大阪は昨日はよいお天気でしたが今朝方からは雨です。庭の花壇の手入れ・草抜きをサボる理由が出来てしまいました。

さて、今回お届けいたしますのは、私のコレクションの中心をなすWWⅡUS陸軍一般兵の基本中の基本装備たる「Belt, Cartridge, Cal..30, M-1923, Dismounted」、いわゆるM-1923カートリッジ・ベルトについて少しだけ触れたいと思います。そういえばまだ一度もご紹介したことが無いことに気付きました。今更ながら自分でも驚いております。

↓WWⅡ時のライフルで武装する歩兵一般が用いた弾薬ベルトである「Belt, Cartridge, Cal..30, M-1923, Dismounted」、直訳すれば「徒歩部隊用M-1923 30口径カートリッジ・ベルト」となりましょうが、一般的には「M-1923カートリッジ・ベルト」と呼ばれることが多いです。もっと単純に「ガーランド・ベルト」と呼ばれることもあります。片側に5つずつ、全部で10個のポケットがあります。


↓裏側です。左右の5ポケット部とそれらを連結するベルトの3ピース構造になっています。ポケット部の上辺にはサスペンダーやハヴァーサック等の連結クリップを通すハトメ穴(grommet)がポケットの間隔に合わせて設えられています。
連結ベルトの上辺の真ん中にも一つだけハトメ穴がありますが、これはM-1910ハヴァーサックの背面に1本だけあるベルト連結用ストラップのスナップ・フックに吊るすためのモノです。
WWⅡにおいてもWWⅠ時代のM-1910ハヴァーサックを使っているケースも多くありましたので、ちゃんと連結できるようにとWWⅡ時製造分のカートリッジ・ベルトにも設えられていました。背面側のベルト連結用ストラップを2本持つM-1923ハヴァーサックであればこのハトメを連結に使うことはありません。
下辺にも水筒やファースト・エイド・パウチなどをぶら下げるための少し大きめのハトメ穴がやはりポケットの間隔で設えられています。下辺のハトメ穴は、バックルに一番近い箇所にはありません。


↓毎度おなじみ、QM 3-1 Quartermaster Supply Catalog (May 1946)での掲載ページです。ストックナンバーは74-B-160。

このカタログの画像でも分かりますが、装着した時に右側になる方のバックルに一番近いポケット下部に「U.S.」のスタンプが押されています。海兵隊用のモノにはこのスタンプは無く、代わりに装着時に左側になる方のポケット部内側の、バックルに一番近い部分に「U.S.M.C.」とスタンプが押されます。

↓この個体では、上のカタログ画像のような「U.S.」スタンプがほとんど残っていません。というより最初から無かったかのようです。上で触れた、左側になる方のポケット部内側(この画像では右下のバックルのすぐ左にあるスペース)に「U.S.M.C.」スタンプがある訳でもありません。


↓装着した時に右側になる方の内側の、バックルに近いこの部分にメーカー名と製造年のスタンプがあるのが一般的です。スタンプが薄くなって見辛いですね。


↓スタンプが見やすいようにストロボを焚いて写しました。少しは見やすくなったでしょうか。先頭部分が鉄錆で少し覆われていますが、おそらくBURLINGTON MILLS Inc.〈改行〉1943 とのスタンプだと思われます。


↓左右のポケットをつなぐ連結ベルトとの連結の仕組みがお分かりいただけると思います。連結ベルトを着用者のウェスト周りに合わせて長さを調節して左右のポケットと繋ぎます。
長さを調節して余分なベルトはブラブラしないよう、左側のポケットでお分かりのようにポケット裏側のループに通して収めておきます。



↓画像の右のバックルに連結ベルトを通して全体の長さが適切になるように調節します。左側末端の隙間の空いたリングにも連結ベルトを通してカートリッジの重量を支えさせます。



↓フロント・バックルと先ほど見た長さ調節バックルと隙間空きリングは黒染めの亜鉛合金製です。


↓フロント・バックルは黒染めの亜鉛合金製ですが、ハトメ穴とLift-the-Dotは黒染めの真鍮製。


↓フラップを開けました。あれ? 何これ?


↓ナニコレ?とお思いの方おられますか?


↓ストラップはポケットの底から伸びてきています。


↓これは元々M1903スプリングフィールド小銃が米陸軍の制式小銃であった時代にこのM-1923カートリッジ・ベルトが開発されたものですから、その5発クリップを各ポケットに2つ収めるため、このストラップがあるのです。画像手前がスプリングフィールド用の5発クリップをこのストラップの前後に入れて収めている状態です。ポケットのLift-the-Dotの付いたフラップを開けただけの状態では、このストラップで押さえられていない奥側のクリップからまず初めに取り出すことが出来、ストラップで押さえられているクリップは、この状態では不意に飛び出す心配がありません。


↓ストラップのスナップを外すと手前側のクリップを取り出せます。一つ向こうのポケットにはガーランド用の8発クリップを収めています。


↓ガーランド用クリップはポケットに1つしか入りません。制式小銃がボルト手動式のスプリングフィールドからオートマチックのガーランドに替わって火力が向上したのに、カートリッジ・ベルトはそのままでしたから、携行弾数が100発(2x5x10ポケ)から80(8x10ポケ)発に減ったという皮肉なことになります。

スプリングフィールド小銃はガーランド小銃が制式化された後WWⅡ突入後も使用され続けられたため、このストラップは1943年頃に装備の色目がod #3(カーキ)からod #7(いわゆるOD色)に替わった後もしばらくは付けられ続けました。最初からストラップ無しで製造されたガーランド専用ともいうべきM-1923カートリッジ・ベルトもあります。

↓ガーランド用クリップを収める場合、ストラップは長さが足りずスナップに留めることは出来ません。ですから兵士の中には「こんなモン邪魔じゃ」と切り去ってしまう者もありました。


↓ストラップのスナップボタンのメス部品の内部の拡大。おなじみRAU FASTENER社の「RAU FASTN. CO. PROV.」刻印が見えます。「PROV.」というのはRAU社の所在地・ロードアイランド州のプロヴィデンスの意。


↓オス部品の裏側の拡大です。こちらにはスペースが多いのでフルに「RAU FASTENER CO. PROV. R.I.」と刻印されています。


↓別の会社製のオス部品です。UNITED CARR社の刻印です。因みにUNITED CARR社は「Dot」というブランドでLift-the-Dotを開発したLift-the-Dotの生みの親です。



以上縷々見て参りました。カートリッジ固定ストラップについては、実はまだもっと触れたい部分があるのですが(もっと長~いストラップが付いているカートリッジ・ベルトの話など)、またの機会に致します。

私のコレクション遍歴の発端・中心はWWⅡアメリカ陸軍の一般歩兵装備にあるのですが、言わばその中でも最も基本的な位置にあるであろうこのベルトの入手は、実はコレクション開始からは結構時間が経ってからでした。
と申しますのも、コレクションを始めた頃は、まだM1ガーランド銃はエアーガンであるとモデルガンであるとを問わず遊戯銃としてモデル化されておりませんで、ちょうどその頃M1カービンがマルシンからカート式エアガンとしてモデル化されまして、軍装コレクションとほぼ同時にサバゲにも興味が湧いていたものですから、まずはM1カービンの入手が先決だ!とM1カービンを入手したのがその最大の理由です。M1カービンのマガジンはM1カービン用のマガジン・パウチに収めるのが当たり前ですから、M1カービンで「武装」していた私にはM1923カートリッジ・ベルトは必要ではなかったのです。

ではM1ガーランドやM1903スプリングフィールドの遊戯銃を手にしてからの入手かと言えばそうではなく、やはり基本中の基本たる本ベルトは渇望しておりまして、しかしながらカーキのM-1923はお値段が高かったので、まずはOD色の、ストラップ無しのガーランド専用M-1923を今は亡き沖縄アメリカ屋さんの通販で手に入れたのが最初でした。当時「良品」で2,000円という、今では破格の値段でした。その後しばらくしたのち、これもまた今は亡き渋谷のアルバンで1万ちょっと位で出ていたカーキ色版を手に入れました。今回の画像のモノがそれです。当時アルバンが「軍装資料」として刊行しておられたカタログ的な小冊子に掲載されていた写真の現物が送られてきたものですから少し驚きました。もし今でも当時のアルバンの米軍資料冊子をお持ちの方がおられましたら見比べて見て下さい。鉄錆の付いた形やウェブのホツレ具合が一致するものを見つけられると思います。

今日オリジナル(実物)の流通量はまだ比較的多いように思われます。価格は年々少しずつ上昇しているようですが、入手機会はまだ多いのではないかという印象を持ってます。
リエナクト用に多くの業者が本ベルトのリプロを製造販売していますが、中でも近年特にその品質が突出していると思いますのがAT THE FRONTさんのモノで、可能な限り当時のスペックを追求しておられます。その執着度合いは同社のHPでも公開されておられます。ウェザリングすればなかなかオリジナルと見分けるのは困難なレベルにまで達しておられます。長年オリジナルに接していれば見分けは付きますが、あまりオリジナルに接したことのない方には見分けは難しいかもしれません。


それでは今回はこの辺で失礼いたします。









  

2018年04月29日

ミッチェル・パターン・ヘルメット・カバー(Mitchell pattern camo helmet cover)

こんにちは。
さあ、金正恩さん、どうなるのでしょうか。期待していいのでしょうか。ヴィジュアル的にも劇的な南北首脳会談のニュースが駆け巡りましたが、この後どう展開するのでしょうか。
ビクトリーショー行きたかったなー。

さて、季節が暑い時期へ移りつつある中、米軍ファンがサバゲでの装いとして用いやすいのはやっぱりヴェトナム戦争モノかWWⅡ太平洋戦線モノになって来ますでしょうか。
それに合わせたわけではありませんが、今回の投稿ネタはヴェトナム戦争時に用いられた、いわゆるミッチェル・パターン・カモフラージュ・ヘルメット・カバー(Mitchell pattern camouflage helmet cover)です。定刻より2時間余り過ぎての投稿です。

↓これはミッチェル・パターン・カモフラージュ・ヘルメット・カバー(Mitchell pattern camo helmet cover(以下「ミッチェル・カモ・カバー」と略します)を被せたM1ヘルメットです。
https://www.ebay.com/itm/ORIGINAL-LATE-VIETNAM-ERA-M1-HELMET-W-LINER-CAMO-COVER/222935272943?hash=item33e7fa4def:g:jl8AAOSw64ha2lDP#viTabs_0
↑この画像はeBayでbbmilitariaさんが現在出品中のページからの引用です。→こちらがそのURLです。 I hope his/her items sold successfully. bbmilitariaさま、宣伝しましたのでどうぞ引用をお許し下さい。

ミッチェル・パターン(Mitchell pattern)とは何か?という方もおいでかと思いますが、ここでは詳しくは申しません。元々は朝鮮戦争中に開発され、1953年に海兵隊用のシェルター・ハーフ(いわゆるテントです)に用いられたカモフラージュ・パターンでしたが、その後官給の戦闘服には採用されず、今回採り上げるヘルメット・カバーや、若干の装備品にのみ採用されるに留まりました。ただし民間業者がこのパターンを活かしたシャツ、ジャケット等幅広く製造販売しておりまして、兵士が個人レベルでそれらを着用していたというケースがありますから注意が必要です。ヘルメット・カバーとしては1959年に採用されました。

↓米国のナショナル・アーカイブより「Da Nang, Vietnam - A young Marine private waits on the beach during the Marine landing. - August 3, 1965.」。カバーの詳解をするための適切な画像が無いかなーと探していましたらこの画像を見つけました。

ミッチェル・カモ・カバーを装着したM1ヘルメットを着用している海兵隊兵士です。陸軍では冒頭の画像のようにヘルメットの下端部に細いバンドを留めていたのが一般的でしたが、このバンドの海兵隊への支給が始まったのは陸軍よりも大幅に後れてからの事で、この画像のようにバンド無しで、もしくは手近なゴムチューブを加工してバンド替わりに使っていました。またヘルメットそのものについてですが、ライナー・ヘルメットがWWⅡ型であることを示す茶革チン・ストラップが見えます。1965年当時まだ旧式のWWⅡ型のライナー・ヘルメットが使用されていたことが分かります。カバー側面に落書きの一部が確認できます。背中にはヘルメット・カバーと同じミッチェル・パターンのシェルター・ハーフが担がれているのが分かります。











































↓では幾つか現物をご覧いただきます。まず一つ目です。カバーはグリーン系蔓草柄(vine leaf)のサマー面と、ブラウン系雲形柄のウィンター面の両面リバーシブル生地を用いた2枚ハギ仕様です。グリーン系の面を表にして装着している例の方が圧倒的によく見られます。水色丸で示しているのはfoliage slit(枝葉孔)で、擬装用の植物等を挿すためのものです。片側に8つずつ設えられています。


赤矢印で示した褪色・摩耗が激しく白っぽく見える部分は、ヘルメットにカバーを装着した時(被せて、下部のヒラヒラをヘルメット・シェルとライナー・ヘルメットの間に托し込んで装着した時)にヘルメットの縁が当たる部分なのですが、そのままではヘルメット本体のチン・ストラップ・ループがカバーの外に出ないので、これを通すために緑丸の所に兵士が各自で入れたスリットがあります。あとでご紹介する2つ目のモノでは、カバー下側の緑弧線で示した裁断上の切れ込みがチン・ストラップ・ループの部分まで深く達していて、そこからループを通せるので、わざわざ切れ込みを入れてやる必要はありません。

↓そのままひっくり返しました。当然ながらこちらにもヘルメット本体のチン・ストラップ・ループをカバーの外に出すためのスリットが入れられています(緑丸部分)。

グリーン系迷彩は薄緑地に濃緑、緑、黄緑と黄土色の葉形と茶色の小枝柄で構成されます。

↓何か文字があります。


↓逆さにすると「BYRNE. M」。M.バーンさんが名前を記したと思われます。


↓裏表を返してブラウン系の面です。迷彩のパターンは雲形で、タン色地に焦茶、朽葉、ベージュ、茶と黄土色の雲形柄で構成されます。


↓ブラウン系の面にスタンプが押されています。

曰く、
COVER HELMET
CAMOUFLAGE
CONTRACT No. 5656
FSN 8415-261-6833
契約番号から見た製造年は1964年とする資料がありますが、自身で直接は確認しておりません。


↓2つ目です。1つ目よりも消耗度が低く、カモフラージュ・パターンがしっかり確認できます。1つ目のモノの説明で触れましたが、裁断上の切れ込みがチン・ストラップ・ループの部分にまで深く達しており、そこからループを通せるので、わざわざ切れ込みを入れてやる必要はありません。ミッチェル・パターンは他のカモフラージュ・パターンが抽象的な模様の組み合わせとなっているのと異なり、「葉っぱ」という具体的な形がそのまま活かされたカモフラージュ・パターンであるという点で特徴的です。

白く線状に褪色・摩耗しているヘルメット縁ラインまで生地の切れ込みがありますね。

↓取り敢えず反対側です。特記事項無しです。擬装用のfoliage slit(枝葉孔)も同じように片側に8つずつあります。


↓ブラウン系の面です。雲形のパターンがよく分かります。


↓スタンプの拡大です。

曰く、
COVER, HELMET CAMOUFLAGE
CONTRACT NO. 8027
FSN 8415-261-6833
100% COTTON
DPSC DIR OF MFG
とあります。資料によれば契約番号8027は1964年から1965年にかけての製造のようです。FSN(Federal Stock Number)は8415-261-6833で、このカバーの管理上の固有の「制式番号」です。上の1つ目のモノのスタンプにはこれが含まれていませんでしたが、「記すまでもないやろ?」ということです。「100% COTTON」、はい、100%コットン製です。但しまたあとで触れますが、コットンといってもその生地の種類は幾つか異なるモノが用いられています。最後の行の先頭の「DPSC」とはフィラデルフィアの「Defense Personnel Support Center」の略で、1965年7月にDSA(The Defense Supply Agency)の衣料繊維・医薬品・需品供給の3つのサプライ・センターを統合して設立されました。DIR.OF MFG.と続きますので、「DPSC製造部局長」てなところでしょうか。 向こうの官庁等の名前を日本語で正確に、日本の外務省が公的にどう訳しているかまで調べるのは困難なので、あくまでも我流での訳ですので参考程度にして下さい。

↓最後3つ目です。消耗度は中程度で、カモフラージュ・パターンもよく確認できます。上の2つ目のモノと同様裁断上の切れ込みがチン・ストラップ・ループの部分にまで深く達しているように見えますが、実は浅い切れ込みの先端部分の生地がチン・ストラップの所まで切り取られてあります。カバーの縁取りのロックミシン・ステッチが途中で消えて、「生地切りっぱなし」になっているのがお分かりいただけますでしょうか。


↓反対側です。擬装用のfoliage slit(枝葉孔)が片側に8つずつあるのはミッチェル・カモ・カバー共通の仕様です。


↓ブラウン系の面です。ヘルメットから貰った錆が若干付着しています。


↓スタンプです。

曰く、
COVER HELMET CAMOUFLAGE
CONTRACT NO. 8116
8415-261-6833
契約番号8116は1965年初めの製造と資料にあります。あとはFSNが記されているのみです。

↓使用されている生地が、今まで見て来た1つ目2つ目のモノが目の細かいダックであるのと違い、サテン地となっています。


↓2つ目のモノの拡大です。コットン・ダックですね。


↓3つ目のサテンのモノ。↑2つ目のダックは比較的堅く、生地を縦横斜めに伸ばそうとしても伸びにくいですが、サテンはその織り方の特性上斜めには伸びます。


↓上がダック、下がサテン。ダックはややゴワ付く感じですがサテンは柔らかい感触です。スペック上の違いはどの資料を見ても無いように思われます。



エッジの切れ込み具合や使用素材の違い、製造時期、また今回は採り上げませんでしたが2枚ハギの合わせ部分の縫製の違い等については現在もいろんなフォーラムで議論されており、体系的な確定的検証が完了している訳ではありませんが、通説、多数説、少数説については皆さんで各自お調べになってみて下さい。嵌り込むともう複雑で頭がこんがらがりそうです。

また、ミッチェル・パターンの「Mitchell」とは何か?という件についても今回いろいろ調べましたが、これも確定判断するのに十分な資料には行き当たりませんでした。海外の研究者によれば「Mitchell」はアカネ科の開花植物の属である学名Mitchella(和名表記:ツルアリドオシ(蔓蟻通し)属)から来ているとされておられる方があります。Wikipediaで「ツルアリドオシ属」の項を見て下さい。その画像を見る限りでは、ヘルメット・カバーに用いられているほどの大きい葉っぱではなく、小さい可愛い葉っぱなので、個人的には「ウ~ン」の域を出ません。

更にそもそも「Mitchell Pattern」と括られて巷間通用していますが、この呼称も研究者によっては「言い間違いである」と仰る方もあり、「グリーン系面は『wine leaf(ワインの品種の元となる葡萄の葉)』もしくは『vine leaf(蔓系植物の葉)』である。」とし、ブラウン系面を指して「『Mitchell』若しくは『clouds pattern』は…」などと仰っておられることもあって、もうどうにも訳が分からなくなって来ました。


現在そこそこの程度であれば$10も出せば比較的簡単に入手できます。ただ近時中国製等の良く出来たレプリカ品が出てきており、実物にこだわる方は注意が必要です。スタンプも精巧に再現され、もはやFakeの域にあるモノもあります。

以上何ともまとまらないまま、今回はこの辺で失礼致します。







参考書籍・サイト等:Mark A Reynosa著「Post-World War II M-1 Helmets: An Illustrated Study」 Schiffer Publishing刊、U.S. Militaria Forum「Mitchell Cover Contract List」、WW2-ETO forum「'Mitchell' camo pattern M1 helmet Cover Contract List, 1959-1977」等々。  

Posted by Sgt. Saunders at 14:17Comments(0)米軍(U.S.)etc.Headgears

2018年04月15日

US VN戦バンダナ/ネッカチーフ(OG-109 Knitted cotton man's neckerchief)

皆さんこんにちは。

当地大阪ではお花見シーズンは例年より早く到来し、さっさと終わってしまいました。一般的な桜の開花シーズンからは例年と同様1週間ほど遅れて始まる造幣局の通り抜けも、今年は始まる時にはもうかなり咲きほころんでおりました。17日火曜日まで、平日は午前10時から午後9時まで、 土曜日・日曜日は午前9時から午後9時までやってます。

さて、今回ご覧いただきますのはヴェトナム戦争では名称本来のネッカチーフとしてよりもむしろバンダナとして使われた印象の方が強い「OG-109 コットン・ネッカチーフ(Neckerchief, Man's, Cotton, Knitted, OG-109)」です。

↓この画像はeBayからの引用です。制式名称は「ネッカチーフ」ですが、首に巻いてる写真よりもこの画像のようにバンダナとして利用されている例が多い気がします。


↓U.S. Navyのアーカイブから。1968年10月。Navy SEALsメンバーが頭に巻いています。SEALsとしては一般的なタイガーストライプに身を包み、ドラム・マガジンを装着したストーナー63を携えています。今回いろいろ画像を見てみましたが、陸軍や海兵隊よりもこのようなSEALs等の特殊部隊が頭に巻いて利用している例が多いようです。


↓現物です。折ってあるのを拡げました。真ん中に置いているのはポケット・ナイフです。大きさは36インチ×24インチ(約91cm×61cm)。


↓大きいので普段はこのように8つ折りにして保管しています。縁はしっかりロックされています。


↓スタンプです。

曰く、
NECKERCHIEF, MAN'S, CTN., KNITTED
OG-109 36" LONG, 24" WIDE
DSA-100-69-C-0918
8440-935-6374(←FSNです)
色はOG(Olive Green) shade #109で、ファティーグに用いられた107よりも緑味がやや強い(深い)印象です。1969年度契約分です。

↓生地の拡大です。ネッカチーフとして柔軟性が求められますので、ガーゼのハンカチ位の生地・手触りになってます。コットン100%なので吸水性は優れていますし、ガーゼ状なので干せば比較的乾きやすいです。


↓もう一つ参考画像です。生地の下に光が反射するようにポケット・ナイフと手鏡を置いて撮影しました。生地の薄さ・質感がお分かりいただけますでしょうか?薄手のTシャツよりも更に薄い感じです。



以上見て参りました。
近時オークションでも良く出品されていますが、値段はピンキリで、9ドル前後から、高いモノでは20ドル超えも見られます。
基本的に現存量は多くありそうに思われますので、「サープラスモノ」と言うことが出来、「一枚20ドルは如何なものか」と思います。
ヴェトナムモノの中にはもちろん希少品はありますが、今回採り上げましたようなサープラスの域を超えてないモノは、まだまだ探しようによっては比較的廉価で入手できる余地がありますので、ネットでこまめに調べるのがいいですね。

それでは今回はこの辺で失礼します。





  

Posted by Sgt. Saunders at 12:24Comments(0)米軍(U.S.)etc.

2018年04月01日

トンプソン短機関銃用Kerrスリング(Thompson Kerr Sling)

皆さんこんにちは。
平年よりも全国的にかなり早く桜が開花しているとの事で、当地大阪もこの週末には既に満開の時期を迎え、花弁が風にハラハラと吹かれ始めています。近所の桜並木にも多くの見物客がいらしています。

さて、トンプソン絡みモノのネタばっかりで辟易とされておられる方が多いでしょうか?
取り敢えず今回で一旦トンプソン絡みモノネタは終わりますので、どうぞご勘弁ください。今回はスリングです。

トンプソン用のスリングとしては、いわゆるKerrスリングとM1923ウェブ・スリングが代表格になろうかと思います。KerrスリングはM1914スリングとも呼ばれ、WWⅡに入ってからはM3という名称でトンプソン用に制式化された比較的薄手のウェブ製のスリングです。一方のM1923ウェブ・スリングもKerrスリングと同様、一般的に革がスリング素材として良く用いられていた時代に、Kerrスリングよりもブ厚いウェブ素材を用いて、元来はM1903スプリングフィールド小銃用に制式化され、後にトンプソン用のスリングとしても用いられたモノですが、あまり製造されなかったのか現存例は多くなく、どちらかと言えばレア・アイテムになるかと思います。今回はレアでないKerrスリングの方についての徒然です。

↓この画像、もう見飽きましたか。今回はスリングに注目して下さい。

トンプソンに装着するスリングと言えば、私はM1923ウェブ・スリングよりも、このいわゆるKerrスリングを思い浮かべます。バット・ストックに繋がっている方の短いスリング部と、その末端のリングに、フォア・グリップに繋がってる長い方のスリング部とが連結して構成されます。

↓今ではもう見慣れましたが、最初にこの装着図を見たときは「これ、どうなってんの?」と思いました。行って戻ってまた行って...グルグル巡ってるのは何のため?という感じです。バックル無しで自在に長さを調節できるということが分かるのに数秒かかりました…。


↓フロント・スイベルにはスリングが一度通ってからスナップがまたやって来て留まります。


↓スナップの拡大。先ほど触れました「バックル不要」の意味から名付けられた「NOBUCKL」の商標と1914年7月21日特許取得済みとの刻印。材質は黄銅で亜鉛メッキ処理されているのではないかと思います。


↓スナップの裏側です。薄い板バネの部分にだけ黒く塗装がされたかのように見えます。スリング自体の色目はWWⅡになってから製造されたM3の初期のマスタード色ではなく、もっと淡い「バフ」に近いです。M3は、後期には他の装備品と同じようにOD色へと変更されました。


↓長い方のスリングの末端リング部。先ほどと同様の商標と刻印。若干圧が甘い部分があります。


↓裏側です。特記事項無しです。


↓短い方のスリング末端のリング部です。今見た長い方のスリングの末端リング部と全く同じ作りです。刻印に甘いところがあるのも瓜二つです。同じロットで製造されたということだと思います。


↓裏側も同様です。特記事項無しです...。


↓バット・ストックのスイベルに留められている短い方のスリング末端のスナップ。これもフォア・グリップのスイベルに留められている長い方のスリング末端のスナップと同じです。


↓「NOBUCKL」の商標と1914年7月21日特許取得済みとの刻印も同じです...。


「このスリング、どのようにして銃に装着するの?」というスレッドが周期的に銃関係のフォーラムで出て来ますが、画像をよく見れば分かりそうなものなのですけれども、いざ取り付けるとなると、やっぱりちょっと手こずる事もあります。

↓以下の画像はウェブ(U.S. Militaria ForumのKerr Sing Instructions)から引用したものを加工したものです。まず、M1903スプリングフィールド小銃へのスリングの取り付け方の説明図です。
注目すべきは、上から2つ目の「Second Operation」の図の、バット・ストックのスイベルに連結されている短い方のスリングです(赤丸部分)。


↓短い方のスリング末端のスナップをただ単にスイベルに留めるのではなく、スイベルを通過させて折り返してループを作って、スリングのもう一方の端に戻り、長い方のスリングに連結しているリング基部の金具に噛ませてあります。


↓ところが一方、こちらはM1917エンフィールド小銃への取り付け方の説明図です。すぐ上で↑見ましたのと同じように、短い方のスリングがループ状になってバット・ストックのスイベルに連結されています。
しかし、良ーく見て下さい。ここに挙げられているスリングは、今まで見てきましたKerrスリングと異なるところがあります。それは長い方のスリングにフリーのリングがある点です(赤丸部分)。上↑では短い方のスリングのスナップは、もう一方の端のリング基部の金具に噛ませてありましたが、こちらでは長い方のスリングにあるフリーのリングにスナップを留めてループが形成されています。

さらに、緑丸の部分にありますように、「前後のスイベル間の長さが短いM1903スプリングフィールド小銃やKrag小銃(筆者注:M1892小銃)に使う場合は、短い方のスリング(the short extension piece)は図のように取り付けよ」と説明されています。つまりスナップをリングに留めずに通過させて折り返し、バット・ストックのスイベルに連結させることにより、スリング全体が長すぎてダブつかないようにしなさいということです。長い方のスリングをフロント・スイベルに取り付けるのと同じ形になります。

このように、Kerrスリングと言っても、フリーのリングがあるモノ無いモノの2種類があったことが分かります。フリーのリングがあるタイプのKerrスリングが、WWⅡに入って新たにM3スリングとして採用された形になります。M3スリングにある「このリングは何のため?」と思えるフリーのリングのルーツはここにありました。短い方のスリングを、このリングを使って更に寸法を詰めて使えるようになっているのです。

↓そのM3スリングのレプリカです。フリーのリングがありまして、


↓このようにバット・ストックのスイベルを通過させてきたスナップを、このフリー・リングに留めてループを作れます。


さらに細かく言えばKerrスリングの中にも長さの異なるバリエーションがいくつかあったようです。全貌は掴めていませんが色んな資料を見ますと、実際に長さ違いバージョンが数多く認められます。

近時「NOBUCKL」の刻印がしっかり入っている精巧なレプリカが見られます。スリングに限らず、一昔前までは一見してレプリカ(悪意があればフェイク)とわかるモノが多かったですが、最近は再現の難しかった金具の形状やその表面処理・塗装、縫製がとても見事に蘇っていて、一見ではなかなか判別できない程の出来栄えのモノが数多く出てきています。実物かレプリカの吟味には相当の注意が必要です。
長く蒐集を続けているとある程度直感で「ん?これは...怪しい」と分かる部分もありますが、「ん~~?これは~~…...、ん~?」と考え込んでしまう程の精巧なモノは、製造業者の努力の賜物であり、リエナクト・コスプレには最適なのですが、それらを「本物」として販売しアブク銭を手にする手段にしている者も存在しますので、我々「コレクター」は鑑識能力を磨き続けねばなりませんね。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。












  

Posted by Sgt. Saunders at 12:03Comments(0)米軍(U.S.)Fire arms-Related

2018年03月18日

トンプソン短機関銃用30連マガジン(Thompson SMG 30rds. Magazine)

みなさま、こんにちは。
日中の気温が20℃を超えて4月下旬並みの陽気になったかと思えば、雨の後また一気に最低気温が2℃になり、翌日は日中15℃まで気温が上がり、まさに三寒四温で春の訪れを迎え、桜の開花予想が3月21日とされる当地大阪から、定刻通り隔週日曜日の正午にお送りいたします。
もう連日の報道で皆さんもウンザリかもしれませんが、森友文書の「書き換え」、一体どこまで解明されるのでしょう。「適当な落としどころで」何となく有耶無耶にされてしまうのでしょうか。私は綺麗に事実が解明されることを信じたいです。どこまで責任が追及されるのか、日本がまだまともな法治国家であるのかどうか、見極めることのできる機会です。注視したいと思います。

さて今回お送りしますのは前々回から続いておりますトンプソン短機関銃絡みで「トンプソン短機関銃用30連マガジン(Thompson 30rds. Magazine)」です。
前回のトンプソン短機関銃(Thompson Submachine Gun, Caliber .45, M1928A1)でも申しましたが、わが日本国では軍用銃実銃は持てないので、せめてアクセサリーだけは実物をと言うことで、もうかなり前にアメリカのミリタリー・アンティーク・ショップから入手しました。

↑銃は前回同様MGC製のモデルガンです。

↓敬愛するTV映画「COMBAT!」中のサンダース軍曹に憧れてましたので、MGC製モデルガンに附属していた20連マガジンではなくこの長い30連マガジンが長年ウォント・リストにあり、かれこれ15、6年前くらいにやっと実物で入手出来たのでした。


↓全体的に擦れ・傷がそれほど多くなく、錆も無く、ブルーがほぼ良好に残っているので気に入っています。


↓クロスビー社製(The Crosby company)であることを示す「大きいCの中に小さいCO」の刻印と「U.S.-30 CARTRIDGE-CAL .45」の表記。このクロスビー社製のモノにはバージョン違いが4種あります。表記中にピリオドが全く無い最初期モノ、刻印最後部の「.45」の「.」(ピリオド)が「CAL」の直ぐ後についている2期モノ、「CAL」と「45」の丁度真ん中についている3期モノ、「-30」と「CARTRIDGE」との間が詰まっている最終期モノの4種です。

この個体は「CAL」の直後にピリオドがあり、「-30」と「CARTRIDGE」との間に広くスペースがありますので2期モノである事が分かります。
30連マガジンは他にオート-オードナンス社(Auto-Ordnance Corp.)、スパークス-ウィシントン社(Sparks-Withington Co.)、シーモア社(Seymour)が製造していました。因みにCrosby社ですが、現在もなおニューヨークで金属加工全般を扱う会社として事業継続されてます。

↓マガジン上端とフォロワーの拡大(前部)。リップ前面がホンの少し垂直面で削られているのがお分かりいただけますか?これはクロスビー社製の初期製造分はこの部分がちょっとだけ長過ぎて、M1トンプソンで用いた時に送弾不良の原因となる例があり、オーガスタ造兵廠(Augusta Arsenal)で研削・改良されて用いられました。


↓マガジン後面です。マガジン・キャッチが嵌る穴が真ん丸ではなく円を少し上下に重ねたような形になっています。


↓フォロワーから後ろへ突き出ているタブは、実銃ではマガジンが空になった時にレシーバーのトリップを下から押し上げてトリガー・ピンを軸に回転させ、ディスコネクター・スプリングを圧縮し、シア・レバーの前方でディスコネクターをホールドして、ボルトをストップさせます。MGC製のトンプソンにはトリップなんかは再現されていませんので役に立ちません...。

このタブはフォロワーの一部分をただ単純に切って折り起こしているだけです。その折り起こしている根本に見えている直径1.5mm程の丸い孔、応力緩和孔なのですが、この孔はオート-オードナンス社製のマガジンには無いんだそうです。

↓フロアー・プレートです。この個体のように凹凸のディンプルがあるモノと無いモノとがあります。凹凸のディンプルが何のためにあるのか、今般いろいろ調べましたが分かりませんでした。単純に強度向上のためではないかと個人的には思います。



実銃のマガジンも、ダミー・カートと並び、もうこの10年程は個人輸入はまず無理ですね。もっとずっと昔は結構緩くて?何ともなかったのですが…。
マガジン・パウチ、ポケット類を入手すれば、やはり実物マガジンで埋めたいと思うのはコレクターの性?で、マガジンを入手すれば次はダミー・カートで満たしたいな...と、欲望が段階的に発展していってしまいます。
しかし最近は、と言いますか、齢を重ねるごとに物欲よりも知識欲の方がより一層増してきています。
ネットで他の方々のコレクションを見ているうちに、自分の手中に置いておく必要があるのか?他の方々が歴史的遺物として大事に保管保存するほうが、私が持ち続けるよりも良いのではないか?とも考えるようになってきました。
でもまあ「コレクター」でもあり、また、人さまの前に出るか自分の世界の中だけで悦に入るかの別はあるにせよ「コスプレイヤー」でもあるならば、モノとして持っていないと目的が達しえない訳で、ある程度自分のコレクション・リストに従って蒐めて行くことになろうと思いますが、あくまでも「ある程度」です。稀覯品を追い求めて必死になることはしんどいですし、私などはまず何より財力の問題で無理ですね。

それではこの辺で失礼いたします。次回またトンプソン絡みの記事になるのでしょうか?
うまくいけば2週間後にお会いしましょう。さようなら。








  

Posted by Sgt. Saunders at 11:59Comments(0)米軍(U.S.)Fire arms

2018年03月04日

トンプソン短機関銃(Thompson Submachine Gun, Caliber .45, M1928A1)

みなさんこんにちは。
弥生三月、早いですねー月日の経つのは。平昌オリンピックも無事終わりました。しばし国内外の諸問題からは目を逸らすことが出来ましたが、再びイヤでも現実の世界に目を向けなければなりません。北の核、シリア、エルサレム、TPP、加計、働き方、談合、基地、データ改竄などなど。うんざりしますが。

さて前回のトンプソン短機関銃用の20連マガジン・パウチ(Thompson 5-Cell 20rds. Magazine Pouch)に誘発されて今回お送りしますのは、
M1928A1トンプソン短機関銃(Thompson Submachine Gun, Caliber .45, M1928A1)の、大昔製造されたMGC製のモデルガンです。決して無可動(不稼働)実銃ではありません。実銃の記事を期待された方には大変申し訳ありません。謹んでお詫び申し上げます。
何しろ私儀一介のプロレタリア階級コレクターですから、無可動(不稼働)実銃をそうやすやすとは買えず、大昔製造されたモデルガンの紹介で我慢して下さい。

↓M1928A1トンプソン短機関銃(Thompson Submachine Gun, Caliber .45, M1928A1)、(通称トミー・ガン)のMGC製モデルガンです。せめてアクセサリーは実物を...と30連マガジンとNOBUCKLスリングを装着しました。マガジン・キャッチ、ファイア・コントロール・レバー、セイフティのある賑やかな左側面です。

本来MGCのトンプソンに附属しているマガジンは20連なのですが、サンダース軍曹に憧れていますので普段は実物30連マガジンを装着しています。附属していた20連マガジンが現在行方不明です。実銃の採用当初は、マガジンは20連のものと50連のドラム・マガジンの2種だけでした。30連マガジンは少しあとで開発されます。

↓トリガー周りの拡大です。トリガーの前方から上、後方に掛けて伸びているのはマガジン・キャッチ。トリガーの右上に位置しているのがフル・オート(FULL AUTO)射撃かセミ・オート(SINGLE)射撃かを切り替えるためのファイア・コントロール・レバーです。つまみ自体を向けた方が選択されますので、画像の状態ではフル・オートが選択されていることになります。その後方のセイフティも同様で撃発可(FIRE)状態になっています。

上部レシーバー側面の刻印が「MODEL OF 1921」となっています。これでは米海軍/海兵隊が第2次大戦の起こるはるか前に、発射サイクルを毎分800発から600発へ落とし、フォア・グリップを縦の握把型から水平型へ変え、銃口にカッツ・コンペンセイターを付けて「U.S. Navy, Model of 1928」として制式採用することになる前の「Model of 1921」の原型そのままの状態を再現したモデルガンになってしまってます。
実銃ではこの「1921」の末尾の「1」の上に「8」の刻印を被せて打ち、「Model of 1928」と表示しました(当初からの1928刻印も当然存在します)。同じ頃一方の米陸軍は、戦車やスカウト・カーなど騎兵科の機械化車両の増強期にあり、トンプソンはそれらの車両に搭載する兵器として適していると見、1932年3月に「non-essential limited procurement(不要不急限定調達物資)」として採用します。
しかし丁度同時にセミ・オートの新型ライフル(M1ガーランド)の開発が進められていたので、その支給開始を待つ方が良いと判断し、騎兵科としてはそれほど目立ったトンプソンの調達は行わなかったのでした。M1ガーランドが制式採用・支給開始となって間もなく、よりコンパクトでファイアー・パワーの大きいトンプソンの方が兵器として優れていると判り、1938年9月トンプソンを「Limited Procurement(限定調達物資)」から「Standard(正式採用物資)」へ変更し、名称も新たに「Submachine Gun, Caliber .45, Model of 1928A1」として制式化しました。しかしそれでもなおトンプソンは騎兵科用の予備的兵器としての格下扱いを受け、歩兵用兵器としての潜在的な価値はほとんど考えられていませんでした。生産数が増加し始めるのは第2次大戦が勃発してからです。

↓その後方にあるMGCオリジナル刻印(凸モールド)。実銃では「THOMPSON SUBMACHINE GUN(改行)CALIBRE .45 AUTOMATIC CARTRIDGE」となるところです。


↓マガジンの先端とフィーディング・ランプとのクリアランスが結構開いていて、大丈夫かなと思いますが、これが大丈夫なんですね。エキストラクターは外観だけを凸モールドで模したものになっています。マガジンの前と後ろにあるレシーバーの切り欠きは、ドラム・マガジンを銃の真横から水平にスライドさせて装着するためのガイドです。


↓カッツ・コンペンセイター(Cutts Compensater)の形状はまあまあよく再現されています。コンペンセイターとフロント・サイト(照星)を兼ねています。実銃ではパテントの表示やら「トンプソン」の商標やらの刻印がウジャウジャあります。しかしまぁ亜鉛合金への黒染が剥げまくってかわいそうです。


↓右側面です。雲形定規のようなピボット・プレートがある側で、右側面に比べるとやや静かな印象です。


↓ピボット・プレートは、これもまた凸モールドでうまく再現してあります。マガジンのすぐ後方にあるスプリング・ピンは実銃にはありません。MGCはマガジンのストッパーとしてここにピンを打ち込んでいます。画像ではその左下のマガジン・キャッチのピンにEリングが掛けられていますが実銃ではEリングなんかはありません。レシーバーに全く刻印がありませんが、実銃ではメーカー名やパテント表示がたくさんあります。


↓フォア・グリップです。スリング・スイベルが下面に設えられています。イギリス軍はここを縦型のピストル・グリップ型の握把のままで採用しましたが、米軍はこのように水平型のものに変更させて採用しました。


↓リア・サイト(照門)です。いわゆるライマン(LYMAN)・サイトで、倒すと近接照準の50ヤード、起こすと600ヤードまでの照準を合わせることが出来ます。これも良く再現されています。サブ・マシンガンにこのような高品質のサイトを載せるのはこの時代ならではの事です。


↓近接戦(50ヤード)での照準の見え方です。


↓起こした時の見え方。リア・サイトの向こうのアクチュエイター(ボルト・ハンドル)とその切れ込みを通してフロント・サイトが見えるようワザとサイティング・ラインを外して見ています。

ネジを廻したりして調整が可能か?と思うほどパッと見は結構素晴らしいですが、サイト調整は全くできません(上下左右とも動きません)。

↓バット・ストック下面のスリング・スイベル。イギリス軍のモノはストック上面にスリング・スイベルが設けられました。


↓マガジンを取り去るにはマガジン・キャッチのこの力点部分をを親指で…


↓上へ押し上げると、太い大きなピボット・ピンを支点にしてマガジン・キャッチの作用点たる爪が後方へ引っ込み、マガジン後面の穴から外れてマガジンを引き抜くことが出来ます。


↓マガジンを抜いた状態で斜め前から見てみますと…


↓よくお分かりいただけると思います。


↓赤い矢印で示しておりますようにマガジンの背部の穴にキャッチの円い爪が噛みこんでマガジンを装着固定する仕組みです。


↓マガジン背面と銃のフレームとの結合は鳩尾継ぎのように噛み合います。


↓この鳩尾継ぎは、一般的な箱型マガジンと銃本体との結合にはあまり他に例を見ません。大抵の箱型マガジンは、銃本体のマガジン・ハウジングにただ突っ込むことにより装着・結合させますが、トンプソンの場合は箱型マガジンのほかに、ドラム・マガジンも銃の横から水平にスライドさせて装着させられるような構造設計が求められたため、箱型マガジン用のマガジン・ハウジングを設けられませんでしたので、このように少し特殊な結合構造・形状となりました。


マガジンとスリングについても触れたかったのですが、また後日改めての投稿といたします。

私がWWⅡ米陸軍装備に興味を持つキッカケはTV映画「コンバット!(COMBAT!)」なので、自ずとサンダース軍曹の持つM1928A1にも興味が湧き、当時MGCというトイガン・メーカー製の今回採り上げたモデルガンが欲しくてなりませんでした。が、所詮プロレタリア階級の身でありますから購入までにはそれ相当に時間を要しました。どこかのトイガン・ショップでの歳末かお盆?の大売り出しかで通常より安く売りだされているのを見て思い切って買ったのを思い出します。
モデルガンを発火させる(火薬をセットした専用カートリッジを撃発させて遊ぶ)のは品がない...未発火のまま鑑賞するのがワンランク上のマニアだよ...みたいな世界がモデルガン・マニアの間にあった時代でしたが(いまでもそう?)、やはり私はサンダース軍曹のように「デケデケデケデケデケデケッ...」とぶっ放したい衝動に駆られ、少しでも安くCPカートを手に入れて(常時定価の20%オフで販売していた、どこのお店だったかなー?やまもと?明和模型?ちょっと忘れました。)、MGキャップを一つづつセットして、手で一発づつマガジンに詰めて…...。やがて訪れるであろう興奮のピークを待ちきれず拍動が速くなるのを感じながら…。今でも想像しただけでワクワクします。
チェインバーとマズルは繋がっておらず、発火させてもマズル・ファイヤーは再現できませんが、発火炎を見たくて窓のカーテンを閉め切って部屋を真っ暗くして20連を一気に発火させたのを思い出します。エジェクション・ポートからのフラッシュは青白く見えました。床に座ってやったのですが、天井までカートが飛んで行き、危うく照明の蛍光灯が割れそうになってビビりました。私が入手したのは平玉火薬カートではなく、もうすでにCPカート仕様で回転は快調でしたね。


余談ですが、日本版Wikipediaでの「トンプソン・サブマシンガン」の「歴史」の項の中で、引用先として挙げられている“Thompson Submachine Gun: The Tommy Gun Goes to War”. American Rifleman. NRA ”の原典を見ると、何という事でしょう!私が今回の投稿で参考にさせていただいたBruce N. Canfield氏著「U.S. Infantry Weapons of World War II」におけるトンプソンについての詳解文の内容を、修飾語の意味が違わない程度に省略・換言したり、能動態を受動態にしているだけで、パクリと言われても文句が言えないような記述内容となっています。Wikipediaのトンプソンを読んでいて「あれ?前に読んだような気がするぞ?」と気がついたのですけれども、ひょっとしたらBruce N. Canfield氏はNRAの会員で、転載・引用をお許しになっていたりするのでしょうか。それならば全然いいんですけど。
もひとつ余談ですが日本版Wikipediaでの「トンプソン・サブマシンガン」のトップに「戦時中に生産されたトンプソン M1928A1」として掲載されている画像のモノは、どう見ても今回採り上げたMGC製のモデルガンの画像のように見えるのですが。こんな事でいいのでしょうか?

それでは今回はこの辺で。また次回お会いしましょう。






参考文献:Bruce N. Canfield氏著「U.S. INFANTRY WEAPONS OF THE WORLD WAR II」(Andrew Mowbray Inc.出版)

  

Posted by Sgt. Saunders at 08:59Comments(0)米軍(U.S.)Fire arms

2018年02月11日

トンプソン短機関銃用20連マガジン・パウチ(Thompson 5-Cell 20rds Mag. Pouch)

みなさま、こんにちは。
立春の前も後も全国的にもの凄い寒波に見舞われまして、インフルの猛威に戦(おのの)き、ノロウイルスの流行にも厳重に注意しないといけませんが、いかがお過ごしでしょうか。
私は昨年末に負った重度の肉離れによる自立歩行不能状態に陥って気が滅入っておりましたが、漸く回復の兆しが見えて来まして気力が復活して参りました。
平昌冬季オリンピックがいよいよ開幕しました。しばらくはお祭りムードになるのでしょうが、閉幕後の政治的な動向が気にかかるところです。

さて隔週日曜日の正午に新規投稿をするという自主目標から傷病を言い訳に1週間遅れてお送りする今回の投稿ネタは、米軍がWWⅡ時に使用したトンプソン短機関銃用の20連マガジン・パウチ(Thompson 5-Cell 20rds. Magazine Pouch)です。
その前に、まずこのイラスト↓をご覧下さい。これは、もう30年ほども前、現在も発行されている「月刊コンバット・マガジン」の巻末に折り込まれていた、今は亡き川越のりと先生による「兵隊さんイラスト(?)」です。通算3年間くらいはシリーズ物のように続いていたでしょうか。ほとんどが米軍でそれ以外はドイツ国防軍陸軍兵士が1回だけ登場したと思います。WWⅠから最も新しいところではグレナダ侵攻までのいろんな時代の「一人の兵隊さん」の軍装を図説してありました。本誌から切り離して大事に取って置いていたモノが先日押入れの中の整理中に出て来ましたので、早速ラミネート・パウチしてこれ以上傷まないようにしてみました。

軍装品・ミリタリーに興味を持ち始め、毎月欠かさずコンバット・マガジンを購読しておりましたが、これらのイラストや菊月俊之先生と川越先生との名コンビによる「ミリタリー入門」等はミリタリー初心者の私にとって非常に参考になりました。その後私がコンバット・マガジンから離れてから数年経った後、川越先生が早くして亡くなられたのを知ったときはとても寂しく悲しく思ったものです。
ちょっと話が横道に逸れましたが懐かしくてつい寄り道してしまいました。

で、「次の投稿ネタ、何にしようかなぁ?」と思案していた最中のイラスト発見でしたので、一点ずつ眺めていましたら、思いついたのがトンプソン・サブマシンガン用の20連マガジンパウチ(ケース?ポケット?英文での制式名称は分かりません)です。イラスト中では「5-pockets case for 20-round magazines」とされています。(私は本投稿の英文タイトルとして「5-cell(5室) 20 rounds magazine pouch」としました。)
↓これです。


↓別のイラストの方にも出ていました。


↓ちなみに本題から外れますが、銃の方の「Thompson」の読みが、上のイラストでは「トンプソン」、このイラストでは「トムソン」となっています。発音・聞こえ方の問題ですからどっちでもいいと思います。


↓はい、すみません。やっと現物です。全体がいわゆるカーキ色のコットンウェブ製です。個々のポケットに個々のフラップが設えられています。


↓5個のポケットにトンプソン短機関銃用の20連マガジンを一本ずつ収納できます。フラップの留め具はお馴染みのlift-the-dotです。どのフラップの内側にもマガジンからの薄い錆が付着してしまっているのが見られます。因みにこの個体は10年ほど前アメリカのミリタリーショップで20連マガジン5本込みで〇〇ドル!として売られていたモノを、「マガジンは税関で物言いが付くので、マガジン抜きで売って下さい」とお願いして購入したモノです。

lift-the-dotのオス(stud)はポケット部分に直接取り付けると開け閉めを繰り返すうちにウェブがオス部品に引っ張られて破れてしまうので、ポケット5つを横断して亘らせた土台ウェブ・テープの上に配されています。

↓裏側です。横幅一杯ではなく左右両側とも4cmほど幅を詰めて大型のベルトループが設えられています。ピストルベルトに通して使用します。「U.S.」スタンプが裏面に施されています。なぜ裏側なのか理由は分かりません。


↓ベルトループを横から見ます。ループと一言で言ってますが、このように大小2つのループがあります。


↓これでもっとよくお分かりいただけると思います。小さい方のループが本来のベルトループです。


↓ループの内側にメーカー・スタンプがあります。スタンプがある部分のウェブがこの画像では薄いOD色に見えますが、実際はこれほど緑色じみてはいません。ほかの部分より若干緑色の要素が強いかなと思う程度で、いわゆる「カーキ色」の範疇にあります。


↓近づいてフラッシュを焚いて撮影しました。


↓ループの反対側からも覗いてみました。「AMERICAN LEATHER PRODUCTS CORP.」、「1942」とあります。


↓フラップの留め具の拡大。「STAR✡PULL」はRAW FASTENER CO.のモノです。(←本当は✡ではなく六光星です。)


↓lift-the-dotのメス部品の裏側。刻印が薄くて(浅くて)且つ光線の当たり具合が悪くて読み取りにくくなっていますが、縁に沿って「RAW FASTENER CO.」「PROVIDENCE R.I.」と、RAW FASTENER社の名と所在地・ロードアイランド州プロヴィデンスと表示してあるのがお分かりいただけますか?(左側の縁に上から「PROVIDENCE R.I.」とあるのが何とか見えます。)


↓lift-the-dotのオスの設えられている「土台ウェブ・テープ」のクローズ・アップです。テープの左端の縦の黒い線、これは米軍の布製装備品全般に見られる「縫製指標」です。製造工場で部材をどの位置でどのように縫い合わせるか等を職工さんに分かりやすくするための目印として付けられるものです。出来上がった時には本来は見えなくていいものですが、このように若干見えることがあります。


↓土台ウェブ・テープの真ん中ほどの部分にもポケットへの縫付けの位置を示す黒線が認められます。


↓画像中央のポケット間の部分にも。

この「縫製指標」の有無は米軍の布製装備品のいわゆる「レプリカ(悪意があれば『フェイク』)」か否かを判断する上での一助になると思います。製造者名、製造年を適当にでっち上げ、あるいは当時本当に製造していたメーカー名のスタンプがレプリカ品に施されているのを近時よく見ますが、この「縫製指標」をも真似しているレプリカ品は、まだ私は見ていません。レプリカ品の縫製のために、こんな指標をわざわざコストと手間を掛けて付ける業者はまだ無いということでしょう。
今回のマガジン・パウチも、色んな業者が品質の高低を問わずレプリカ品として製造していますが、実際のWWⅡ時の製造者スタンプを真似ていても、こういう「縫製指標」を付けているのを見たことはありません。
(2017年4月21日以下赤字部分を加筆します。)見付けました!米国のレプリカ製造販売業者である「AT THE FRONT」のモノは、本物を製造するのと同じ要領でこれを使ってレプリカを作っています。久々に同社のHPを訪ね、M1923カートリッジ・ベルトの項を見ていて発見しました。同社のレプリカ品の品質は他のレプリカ品製造・販売業者のモノよりも再現度が高いのは従来から良く知られているところですが、こういうことにも手を抜かない事が高品質なレプリカ品を製造できている理由の一つになっているのでしょうね。

またレプリカ品でなく実物の話としてですが、WWⅡ中アメリカがソ連に対してLend-Lease法により多くの物資を貸与・供与していました。その中に今回の20連マガジン・パウチも当然含まれています。
ソ連向けの布製装備品には「U.S.」スタンプ表示はされずに貸与・供与されましたが、ここ10年ほどの間でしょうか「U.S.」スタンプの無いこれらソ連向けの実物貸与布製装備品に、そのままでは「レプリカ品」「まがい物」と思われて安く買われては困るとばかりに軍装品店やサープラス業者が自前で「U.S.」スタンプを押印して「米軍使用品」として市場に流通させているモノが非常に多く見られます。スタンプなど無くても十分その歴史的価値があるのに、そのままではコレクターにあまり見向きされず安くしか売れないからという理由でそうするのでしょうが、嘆かわしいことです。その場合の「U.S.」スタンプですが背面に施される場合のほか、表側の中央のポケットのフラップに横幅ギリギリの幅で押されているモノ等があり、実物スタンプとニセスタンプの判別には注意を要します。

最後にもう一度川越のりと先生で思い出したモノ。「ビビビのドイツ兵」は今どうしてるんだろう。「ノスタルジックゾーン」も少し年代間ギャップはありましたけど面白かったなぁ。「サンダース軍曹着せ替え人形セット」もコピーして作って遊びましたよ。お分かりになる方はどれほどいらっしゃいますでしょうかw。

それではまた次回お会いしましょう。さようなら。



  

2018年01月21日

大日本帝国陸軍第二種下士卒軍帽(明治19年制)(Army Service Hat of the Meiji Era)

みなさんこんにちは。
年末にふくらはぎに重度の肉離れをやってしまい、今もまだ二足歩行が全くできず、ちょっとトイレに行くにも補助杖がないと動けません。
「凹む」とはこういう時の気分の事を言うんだなと痛感しています。

さてお年賀を除いて新年最初のネタ投稿となる今回は、年末に投稿するのを予定していたモノを採り上げます。
寄り道コレクションからの「明治19年制大日本帝国陸軍第二種下士卒軍帽」です。
明治19年ですから西暦にすると1886年。ノルマントン号事件で領事裁判権への反発が起こった頃です。
明治期の軍装・服制は大なり小なり変更が激しく、同じモノでも細部に細かい変更がなされる例が多く、すべてを類型的に整理するのはとても苦労します。私も全然掴みきれておりません。

↓まず全景。つばが広く鉢巻きより上の帽体がやや大きいので、いわゆる「後期型」と言われるモノです。

鉢巻の黄色は一般師団(鎮台)の歩兵・砲兵・工兵・騎兵であることを示します。明治の頃は兵科色に限らず服制に関するあらゆるモノが朝令暮改と言えるほどコロコロ変わっていました。実際この軍帽の持ち主がどの兵科であったか、これだけでは特定できません。つばは黒染めの革製。保存状態は良くなく、つばにはヒビが入り、鉢巻等に虫食いが見られます。


↓内装です。内側の状態は、これが約120~130年前に製造されたモノである事に鑑みると、比較的良好だと言えると思います。汗止め革はしっかりしています。内張は桜色で桜花型のステッチが付けてあります。これらの特徴から本個体は官製ではなく、私製品だと言えます。


↓内張にはスリットが設けられております。時代が下れば、例えば家族の写真でも入れるところですが、明治のこの頃は写真自体が誰でも写せていた頃ではないので、何らかの書面(紙)や帽垂れ等の布製品かを入れていたのではないかと思います。


↓スリットの中は、帽体のウール地ではなく、白い綿布が見えます。内側から、桜色の内張、白綿布、ウール帽体の3層構造になっているのが分かります。


↓汗止め革をめくってみました。縫製は丁寧になされている方だと思います。


↓額が触れる方の汗止め革です。この部分は劣化が激しい部分になるのですが、本個体では損傷はほとんど見られません。



いかがでしたでしょうか。
全くの寄り道コレクションですので、知識はほとんど有しておりません。範囲が広すぎて今さら勉強する気もありません。守備範囲の米軍ですら道遠しですので。

それではまた、近いうちにお会いしましょう。さようなら。


  

2018年01月01日

御年賀(New Year's Greetings)

明けましておめでとうございます。

みなさま方にはおめでたいところだと思いますが、私儀、年末最終の勤務日の12月29日の夕方、何ということでしょう!左足のふくらはぎにかなり重い肉離れを起こすハプニングが起きてしまい、現在二足歩行ができません。まことに悲しいことでございます。
大晦日に2017年最後の投稿をしようと思っておりましたが、その意気は完全に消沈いたしました。

とは言え、みなさまには新年のご挨拶は申し上げませんといけないと思い、ここにご祝賀を申し上げる次第でございます。
本年もどうぞよろしく・ご指導・ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。
取り敢えず次回投稿予定にしていたネタの画像をおかせていただきます。




  
Posted by Sgt. Saunders at 20:20Comments(0)無題

2017年12月17日

M-1938 キャンバス・レギンス(Leggings, Canvas, M-1938, Dismounted, od)

みなさん、こんにちは。
当地大阪府下某市での午前10時現在の気温は4.6度。西南西の風、風速は3.1m/s。快晴です。M1941フィールド・ジャケットだけでは寒いです。走り回ったら別ですが。
前回の投稿からほぼ2カ月も空けてしまいました。隔週日曜日の正午に投稿という自主目標はどこへやら。体調や仕事の関係もありましたが、ネタについての調べ物に結構手こずりまして、やっと本日どうにか投稿します。

さて今回採り上げますのは米軍地上部隊兵士のWWⅡ初期~後期までのコスプレには必須アイテムであるM-1938 od 徒歩部隊用キャンバス・レギンス(Leggings, Canvas, M-1938, Dismounted, od)です。
トラウザースの裾と、くるぶしまでのコンバット・ブーツ腰上部とを覆うレギンスは、巻き脚絆(ゲートル)と並んで種々の軍で採用されていましたが、米陸軍の場合大戦末期にはいわゆる2バックル・ブーツ(←過去記事に飛びます)が現れ、儀仗兵やMP等を除いて、レギンスはやがて過去の遺物となって行きます。

↓右はM-1938 od 徒歩部隊用キャンバス・レギンスです。左のモノもそうですが、ふくらはぎ・脛部分にグルッと巻き付けてレースをフックに引っ掛けて留め、ストラップを内くるぶしからヒールの前を通して外くるぶしへと廻してバックルで固定して使用します。

では左のモノは何?となりますね。左のモノも色目以外はM-1938 od 徒歩部隊用キャンバス・レギンスの特徴を備えており、外見は同じように見えます。レースの通るハト目穴(アイレット)の数やフックのが違いますが、同じ物品でも製造者や製造時期によりこのようにハト目穴やフックの数が異なるモノもあり、QMカタログ上では「別物」とはなっていません。コレクター間ではハト目穴やフックの少ないものを「エコノミータイプ」等と呼んで区別することがあります。ただ、上の画像の左のモノは「Leggings, Canvas, M-1938, Dismounted, od」の「ハト目穴やフックの数が異なるバージョン」であるとは断言できません。なぜなら、そのようにスタンプされていないからです。下の方で詳解します。

↓アイレットの数の違いと、それによるレースの通し方の違い。


↓右の方のM-1938 od 徒歩部隊用キャンバス・レギンスの内側のスタンプ。「LEGGINGS DISMOUNTED M-1938」と略式の表記。サイズが「3R」。製造者はWERMAN LEGGING CORP(ORATION)で、1942年9月28日付でジェファーソン・クオーターマスター・デポ(Jefferson Quartermaster Depot)との契約。「W431 Q.M. 10219 0.I. 2170」はジェファーソン・クオーターマスター・デポが起案した契約書に基づき陸軍省が需品部向けに、ナンバー10219 O.I. 2170で契約したものであることを意味します。「W」はWar Department(陸軍省)、「431」はジェファーソン・クオーターマスター・デポを表すコードです。ストック・ナンバーは72-L-61895。


↓毎度おなじみQMカタログ(Quartermaster Supply Catalog)を見てみます。まず1943年8月版です。

ピンク色で囲っている部分が、この個体が「M-1938 od 徒歩部隊用キャンバス・レギンス(Leggings, Canvas, M-1938, Dismounted, od」であると断定できる根拠です。スタンプで名称の一部が省略表記されていても、ストック・ナンバーからその個体が何であるか識別することができます。
キャプションに曰く「このレギンスは全ての兵・下士官により使用される。No.6ズック製で丈は12と3/4インチ(約32.4cm)。フックとハト目穴で紐締めされ、ウェブ・ストラップでサービス・シューズに取り付けられる。オリーブ・グリーン色で、R1からR4の4サイズで供される。」
緑色で囲っているモノは名称に「Protective」という語が付いただけです。因みにこの「Protective(防護処理済)」というのは化学戦部(Chemical Corps)により衣類一般にガス攻撃防御のためのガス検知剤が塗布・浸潤加工されたモノであることを意味し、元の物品とはまた別のストック・ナンバーを割り当ててしっかり区別されています。

↓こちらは1946年5月版です。赤線で囲っているモノは、上の画像のピンク色で囲っている「Leggings, Canvas, M-1938, Dismounted, od」の「od」の部分が「od No.7」に変わり、且つストック・ナンバーも変わっています。で、キャプションは同じ(「This legging is」が「These leggings are」になっている点は除く)。つまり、単に「od」と表現されていたものがしっかりと「od シェード#7」へとされ、新たに「別物」として誕生したということです。odと一口に言っても「カーキ」、「タン」、「オーカー」、「オリーブドラブ」等々様々な色調になっているのはWW2米軍ファンならご存知の通りですが、ピストルベルトやカートリッジ・ベルト、M-1938 od キャンバス・フィールド・バッグ(ミュゼット・バッグ)等、他の米軍装備品と同様、「od シェード#3(いわゆるカーキ色)」から「od シェード#7(緑色の強いOD色)」へ明確に変更されたということが分かります。ピストルベルトやカートリッジ・ベルト、M-1938 od キャンバス・フィールド・バッグ等は、このような名称やストック・ナンバーの変更は特に無いままシェード#7に替わって行きました。
また。この1946年5月版にも引き続き緑色のモノが載っています。水色のモノと合わせて紫色下線で示しているように(上の画像でも)「防護処理がなされていること以外はM-1938 od 徒歩部隊用キャンバス・レギンスと同じで、乗船港においてのみ支給される」と説明されています。

画像に出せませんが(単にまだ掲載されているカタログを入手していないからなのですが)上記のモノが出る前のレギンスとして「Leggings, Canvas, Dismounted, M-1938(ストック・ナンバー:72-L-60591-72-L-60598)」と「Leggings, Canvas, Mounted, M-1938(ストック・ナンバー:72-L-618??-72-L-618??)」が存在します。また、これまた姿形が全く同じの「Leggings, Canvas, Women's (ストック・ナンバー:72-L-62305-72-L-62315)」がありますので要注意です(Army Service Forces Catalog - QM 3-2 (WAC's and Nurse's Clothing & Equipment)に掲載)。

↓左の、もう一方のレギンスの内側のスタンプです。サイズは「3」となっており、 陸軍の場合の「R」が欠落していること、「Leggings,Canvas, Dismounted, M-1938」等の名称スタンプが無いことから、海軍/海兵隊用であると思われます。思われます、というのは確実な根拠が無いからです。偏に知識不足であることに他なりません...。製造者はDIANA LEGGING CORP(ORATION).。Purchase Order No. M8(?)-510 (改行)DATED-June 25 1942(?)とあります。Purchase Orderというのは陸軍では通常の契約手続きを取っている時間的余裕がない場合にしばしば取られた調達法ですが、海軍/海兵隊でもそうだったのでしょうか。



↑ストラップを留めるバックル。上でさっき見た左の海軍/海兵隊モノはハト目・フックも含め金具は全て真鍮製、↓下の陸軍のモノは銅もしくは鋼製です。



ストラップがバックルで留まっている状態。↑上がさっき見た左の海軍/海兵隊モノ。↓下が陸軍モノ。


↓縫製のパターンも同じです。

但し、フックの付いている側(画像では右側)の上端のハト目穴が、上の海軍/海兵隊用のモノには一つだけ、下の陸軍のモノには2つ設えられています。これも上のモノが陸軍用のモノではなく海軍/海兵隊用のモノであると思われるとした根拠の一つです。



前述のとおり、同じM-1938でも大戦後期になるとフックやハト目穴の数が減っているモノが出てきますが、決して上掲のようなカタログ上では、特にそれについての言及はありません。コレクターが「エコノミータイプ」などと区別して呼ぶのはこのためです。
また、「od No.7」も途中から丈が詰められて製造されるようになりました。もちろん物資節約のためです。

陸軍のレギンスにはスタンプされている情報量が比較的多く、そのモノが何であるかを識別するのが容易です。またスタンプのほかに生地の縫い目にサイズ表記(例えば「3R」とか)のある1cm角ほどのタグが縫い込まれているモノもあります。これは使用によりスタンプが薄くなってサイズが判読できないようになってもサイズはタグで確認できるようにして、回収・補修に回ったモノが再び支給される時にサイズが分からずに困るということを回避するためです。海軍/海兵隊のモノはスタンプの量が少なくて簡素で且つ時期によって表記内容が様々なので、まだ全容が掴みきれていません。

私が最初に入手した米軍のレギンスは海兵隊用のモノでした。フィラデルフィア・デポのタグが付いたサイズ3のデッドストックで、コレクションを始めたばかりの時期で海兵隊用とは知らずにです。今からもう30年ほど前のことで当時2,500円位だったような記憶があります。購入先はサムズミリタリ屋さんでした。

現在、中古・良品のモノなら4,000円もあれば十分入手可能です。出物は少ないようですがデッド・ストックでも6,000円ほども出せば比較的容易に入手できるようです。
最近はとても高品質なレプリカが出ており、リエンナクトではそれを使用される方が多くいらっしゃいます。レプリカのままならいいのですが、適度なウェザリングが施されて「実物」になってしまっているモノがオークション等でも非常に多く見られます。気を付けたいものです。

それではまた、お会いしましょう。





  

Posted by Sgt. Saunders at 12:19Comments(0)米軍(U.S.)Boots, Shoes, Footwear