QRコード
QRCODE
< 2024年04月 >
S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
オーナーへメッセージ

コレクション ブログランキングへ

2022年01月09日

M-1910 イントレンチング・ショベル・キャリア(M-1910 Intrenching Shovel Carrier)

明けましておめでとうございます。今年もおっさんの浅学・見聞・経験のみに基づく戯言にお付き合いくだされば幸いです。ご意見・間違いのご指摘は大歓迎です。どうぞお気軽にお願い申し上げます。

さてオミクロン大伝播開始直後での今年最初の投稿ですが、年末年始に準備する暇(いとま)がなく、一発目から若干手抜きに見えそうな投稿になります事、及び若干の遅刻投稿となったことをご勘弁ください。

過去記事のU.S. M-1910 イントレンチング・ショベル(M-1910 Intrenching Shovel)の中で一緒にお見せしたキャリア「M-1910 イントレンチング・ショベル・キャリア(M-1910 Intrenching Shovel Carrier)」とは別の個体を近時入手しましたので、それのみをお送りします。

↓U.S. M-1910 イントレンチング・ショベル・キャリア(M-1910 Intrenching Shovel Carrier)です。キャリアでもありカバーでもあります。「カバー」の方が通りがいいかもしれませんね。

このキャリアについてはのちに開発される「M-1943 イントレンチング・ショベル(M-1943 Intrenching shovel)のキャリアのような所謂「OD色」バージョンは、製造段階でのモノにはありません。兵士が個々にODペイントしたものはあります。M-1943 イントレンチング・ショベル用のキャリアについては別記事「M-1943 ショベル・キャリア(Carrier, Shovel, Intrenching, M-1943)」をご覧下さい。

↓参考までにQuartermaster Corps(需品部)の仕様書(図面)を引用します。細かい製造仕様が記載されています。


↓ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーやスタンプの位置が分かります。もちろん仕様書の通りです。


↓仕様書の通りの位置に製造者「Airtress Midland」社と製造年「1942」のスタンプがあります。Airtress Midland社は、他にも数多くの種類の布製装備品を製造していたメーカーの一つです。


↓この個体のダブル・フック・ワイヤ・ハンガーの素材は鋼鉄です。真鍮が貴重物資に指定された後は鋼鉄や亜鉛合金などが様々な金具の素材として代用されたのはご存知の通りです。


↓キャリアの固定用ストラップ(ビレット)とバックル。


↓バックルはこの個体では亜鉛合金製です。


↓裏側に凸モールドで製造者「(U.S.A.)CROWN」との表記。CROWN社と言えば、私は「ジッパーの製造者」というイメージしかありませんが、このようなモノも作っていたんですね。


↓ストラップ(ビレット)とバックルの方のストラップ(バックル・チェイプ)の縫製指標の黒い線が見えます。特に右側のバックルの方のストラップの方がより明確にハッキリと見えています。


↓内側です。若干貰い錆がありますね。


↓仕様書を見ると分かりますが、ショベルの匙型にズック生地を2枚裁って縫い合わせるのでなく、ズック生地をマクドナルドのM字型に切り出して、真ん中を山にして必要最低限の縫製で済むようにしてあります。もちろん作業効率を上げるためにです。WW1時代などでは「匙型ズック生地2枚合わせ縫製」のパターンもあります。


↓反対側ではこのように末端まで縫い合わされねばなりません。



はい、物凄く駆け足で見て参りました。
ショベルとセットでの出物も、キャリア単体での出物もどちらも年々減ってきている気がします。私がこの殆ど未使用かと思われる個体を入手しようと思ったのは既に持っていたモノの質がやや低い(上掲の過去記事をご覧いただければ分かります)からでした。
最近はショベルもキャリアもかなり高品質のレプリカが出ていますが、やはり「匂い」と言いますか、「実物の感じ」を再現しているレベルには到達していません。まだまだ峻別出来る自信はあります。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。ありがとうございました。
今年も隔週日曜日正午の新規投稿を自主目標に致します。


  

Posted by Sgt. Saunders at 12:33Comments(0)Intrenching tools

2021年04月25日

U.S. M-1910 イントレンチング・ショベル(M-1910 Intrenching Shovel)

みなさんこんにちは。
日中の最高気温が26℃を超える陽気が続いています。
緊急事態宣言を出すぞ、イベントは自粛してくれ、生活必需品以外の営業も自粛してくれ、夜屯して缶ビール缶チューハイを飲むな、街灯以外は消してくれ、部活動は止めてくれ、でも聖火リレーはやるぞ、オリンピック止める理由なんかある?といった感じです。医療態勢は当地大阪ではすでに崩壊しています。吉村知事は無策だといったところで仕方がなく、引き続き「マスク着用・手指消毒・3密を避ける」を守って罹患・蔓延防止に努めたいと思います。


さて定刻を30分余り過ぎてお送りする今回の題材は、WW2米陸軍一般歩兵の基本的装備品の1つであるM-1910イントレンチング・ショベル(M-1910 Intrenching Shovel)、通称「Tボーン・ショベル」です。
高校生時代、TV映画「COMBAT!」の何十回目かの再放送で、サンダース軍曹が分隊を率いて行軍するシーンなどであんまり中身の詰まって無さそうなM-1928(M-1917かも)ハヴァーサックに重ねて担っているのを見まして、あんな恰好で室池園地の森の中をトンプソンを携えながらピクニックしたいなーと沸々と想いが募るものの、そこはいつものように可処分所得の乏しい田舎の高校生の身、オイソレと購うことは能わず。コンバット・マガジンのミリタリーショップの広告にもそんな頻繁に掲載されるわけでもなく、他の歩兵装備品との入手優先順位との兼ね合いもあり、長く購入機会を待たねばなりませんでした。

↓先ずはキャリアーを纏ったままでご覧下さい。WW1より前の1910年に制式採用されたのでM-1910です。WW1でも当然使用されましたが、WW1終結から20年余り経って再びWW2でも使われることとなりました。


↓裏返しました。ハンドルとグリップはヒッコリー材製、ブレードなどの金属部は鋼製です。本来はオリーブ・ドラブの塗装がなされるのですが、本個体はもう殆どの塗装は剥げてしまってます。入手時には既にこんな感じでした。木目に僅かにOD塗装の痕跡が認められます。


↓では細かく見て参ります。ブレードから伸びてハンドルに被さる部分(ブレード・ストラップ)に「U.S.」の刻印があり、更にハンドルにも「U.S.」の刻印があります。ハンドルとグリップがTの字型になっていることから「Tボーン・ショベル」の俗称で呼ばれています。


↓ブレード・ストラップの「U.S.」刻印は結構粗い印象を受けます。あとで見ます図面では、この「U.S.」の右側のスペースに製造者と製造年の刻印がされることになっているのですが、この個体にはそれはありません。


↓ブレード・ストラップがハンドルに上下から被さり、2カ所でリベット留めされています。


↓塗装の痕跡が見えます。元々のOD塗装の上からサンド色が上塗りされていたようです。「緑味の強いOD色は砂地の多いアフリカ戦線で目立つのでカモフラージュのためにサンド色を上塗りした...」は私の勝手な憶測です。


↓ハンドルの「U.S.」刻印。ODやサンド色塗装が文字の溝や木目に僅かに残っています。


↓グリップとグリップ・ストラップ。こちらも2か所でリベット留めされています。グリップ、ハンドルとも丸棒で直径は1インチです。


↓Tの字になっています。ハンドルとグリップとがグリップ・ストラップでしか結合されていないように見えますが、実はグリップ・ストラップで隠れて見えてないところで、グリップからハンドルへ釘2本が打ち込まれて固定されています、というのは実はごく最近知った事です。


↓キャリアーを外してブレードを見ます。入手時は塗装は殆ど剥げ落ち、若干の錆が浮いていました。


↓裏側です。表側もですが地肌はかなり凸凹してます。


↓もう一回表側をアップで。上2枚の画像でも分かりますが、ブレード・ストラップとブレード本体との継ぎ合わせの山型の熔接痕が分かります。


↓ブレードの縁の前半分程は鋭く切削研磨加工されてます。


↓需品部(Quartermaster Corps)の1942年4月8日付改訂4号「M-1910 Intrenching Shovel」の図面です。構造・素材・仕上げなどの情報が載ってます。ショベル本体の重さは約29.75オンス(843.4グラム)ともあります。


↓次にキャリアを見てみましょう。「U.S.」と大きくプロパティ表示があります。本体はODシェード#3のコットン・ダック製。制式名称は「Carrier, Shovel, Intrenching M-1910」。キャリア内にショベルのブレードを収め、ストラップをショベルのハンドルに廻してからバックルへ通して固定します。


↓ストラップとバックルはハヴァーサックなどでも良く見られるモノです。幅0.625インチのコットン・ウェビングとダブル・バー・バックル(目型バックル)の組み合わせです。本個体ではストラップ(正式には「billet(ビレット)」と言うんだそうです)はODシェード#7で先端のエンド・クリップは亜鉛合金製、バックルの付いている方のウェビング(正式には「chape(チェイプ)」と言うんだそうです)はOD#3でパーカライズド仕上げの鋼製ダブル・バー・バックルです。本M-1910の前のモデル「M-1905キャリアー」では革製のベルトと尾錠バックルの組み合わせでした。


↓キャリア裏面です。ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーを擁したハンガーが上部にあります。


↓ハンガーの下部に製造者と製造年のスタンプがなされるのですが、本個体では僅かに「何か書いてある」程度にうっすらとしか残っていません。「GEIB Inc.」?分かりません。


↓本個体のダブル・フック・ワイヤ・ハンガーは黒染めの鋼製です。若干ひしゃげてます。縁にステッチが見えますが、本来はステッチが表面に出るの事は無い筈ですが(袋物の裁縫では常識ですが、裏返しの状態で生地を縁で縫い合わせたあと、もう一度裏返して「完成」ですから)、本個体では補強のためでしょうか表側からも縫い合わせてあります。


↓はい、また出て来ました需品部の1942年7月28日付改訂3号「M-1910 Intrenching Shovel Carrier」の図面です。先ほど申しました「正式には『billet(ビレット)』と言うんだそうです」などの注釈は、これを見てのモノです。このような図面を見るまで全然知りませんでした。



如何でしたでしょうか。
冒頭で少し触れましたように、欲しいと思ってから入手までにはソコソコ時間は要しましたが、入手してからはもう20年以上経ちました。
不確かな記憶ですが、なるべくコストパフォーマンスの良いモノを追い求めていましたから入手価格は1万円チョットだったように思います。
現在市場での実物の出品はebayやヤフオク等でもあまり見かけません。その代わり良く出来たレプリカが色んなメーカーから出ていますし、実物に拘る方が少なくなってきたのでしょうかねぇ。もし実物の出品があれば1万円中頃から、程度によっては2万越えとかになるんでしょうか。
また、ショベル本体とキャリアーが別々に出ることが多いように思います。キャリアーについては実物の出品は今も結構多いです。程度によって価格はピンキリですが、「まあ良し」というモノでも最低5,000円位の値が付いているのを近時見ました。レプリカもかなり良く出来たモノから「何じゃこれ」というモノまで沢山ありますね。
また、ブリティッシュ・メイドのキャリアーもありますが、そこまで財政が許さないので私のコレクションに加わることは無いと思います。レアですし。

このTボーン・ショベル、WW2中空挺隊員がハンドルを切り詰めて短くコンパクトに改良したということも皆さんご承知だと思いますが、短くされたTボーン・ショベルをコレクションしようとまでは思いません。これももちろん懐事情がそれを許せないからなのですが。

「Tボーン・ショベルの全長が長く、ハヴァーサックに連結して座った時につっかえて不快だ」とのクレームなどを受け、より機能性・携帯利便性を高くしたM-1943イントレンチング・ショベル(M-1943 Intrenching shovel)(←クリックで過去記事が別ウィンドウで開きます)がWW2中1943年に登場し、Tボーン・ショベルは役割を終えます。

我が家ではTボーン・ショベル、M-1943イントレンチング・ショベルとも、「庭いじりの際に使える」という理由で、私の「非生産的」なコレクション群の中では優遇されています。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。
さようなら。

  

Posted by Sgt. Saunders at 12:33Comments(0)Intrenching tools

2018年09月23日

M-1943/M-1956ショベル・キャリア(Carrier, Intrenching Tool, M-1943/56)

M-1943/M-1956ショベル・キャリアの変遷(The changes on M-1943/M-1956 shovel carriers' features)

みなさんこんにちは。
自民党総裁選挙、おめでたい安倍総裁におめでとうと申し上げます。
近所の児童公園の真ん中に1本そびえていた大きなモミジバフウの木が、先日近畿地方を縦断した台風21号の猛烈な風を受けながらも必死に耐え抜いたように見えたのですが、風で幹が10度ほど傾き、その反対側の根の中・末端部分が地面を割って地表へせり上がって露出してしまいました。元通りに埋め戻されるのかどうか心配しておりましたが、根を埋め戻す労を厭うたのか、我が自治体の公園管理担当部署は幹を根元から80cm辺りの所で切断して撤去してしまいました。公園のシンボルにもなっていた大木が無くなってしまい、寂しさを禁じ得ません。


さて、定刻を一週間と1時間ほど過ぎて今回お送りするのはまたショベル絡みモノです...。もう飽きましたか?いやしかし最近のショベル本体の投稿に伴って手元にブツが集まっている今これをやらなければ、次にやろうと思う機会が訪れないのではと思いますので今やります。どうかお付き合いください。

↓まず「M-1943」のヴァリエーション違い4種を一挙にご覧いただきます。説明の便宜上①から④の番号を付けました。製造時期順になっています。なおお断りしておきますが、スタンプや縫製等に係るヴァリエーション違いはここで挙げるもの以下にも膨大に存在します。あくまでも私が現在コレクションしているモノのみについて触れていますことをご理解ください。

①から③は色目の違いはありますが表ヅラはほぼ同じです。スペックの上では、色合いは当初はODシェード#9、1943年後期頃からはODシェード#7が用いられ始め、製造時期によりそれぞれのシェードを持つ縁取りテープや本体生地の部材等が入り混じって作られたモノ(「トランジション」)が発生しました。これはショベル・キャリアに限らず、この時期の装備品全般に共通する事です。①は本体生地・縁取りテープともODシェード#9です(縁取りテープの色調が若干本体よりも濃いのでODシェード#7かと誤認しそうになりますが、これは染められたモノ固有の色褪せ具合でそのように見えているだけです。)。一方②から④も褪色具合に由来して個体により若干の濃淡は認められますが、OD#7です。その他の大きな差異としては①から③のフラップの留め具はLift-the-Dotであるのに対し、④のみスナップ・ボタンとなっていることくらいです。

↓裏面です。裏面は①が固定のダブル・フック・ワイヤ・ハンガーを持っているのに対し、②から④はダブル・フック・ワイヤ・ハンガーの位置を高中低の3パターンから選択できるようになっています。また①ではショベルを収納した時に匙部先端が当たる下端部にウェブ生地(OD#7)が当てられて補強されていますが、②~④ではこの部分と背面側の両サイドはダック生地を2枚重ね構造にして強度を持たせてあります。①はフラップとそれに続く背面側、表面側すべてがダック生地1枚構造になっています。②は背面側両サイドがダック生地2枚重ね構造で、フラップと表面側は1枚構造になっています。③④も背面側両サイドがダック生地2枚重ね構造で、フラップが1枚構造(留め具部分だけ2枚構造)、表面側が上部4cm程だけが2枚構造になっています。


↓それでは2つづつ時系列に沿って見ていきます。外見はどちらも同じですが、差異が一点。①②の両方とも表面内側にはショベルを収納した時にブレードの縁が当たる部分に茶革の補強(青矢印)があり、その末端が表面に折り返されて1cm~2cm程見えています。一方①には背面内側にも茶革の補強(赤矢印)がありまして、②にはありません。これは元来①の全体構造がダック生地1枚構造になっており、ブレード縁が当たる部分の強度が足りず、その補強のために表面内側・背面内側の両方に革が当てられたもので、②に背面内側に補強革が無いのは上でも述べましたように背面側両サイドがダック生地2枚重ね構造になっており、背面内側には補強は必要ないとの判断によるものだと思われます。スタンプから①は1943年製、②は1949年製である事が分かります。


↓背面側から。既に触れましたように①の背面には背面内側にも革の補強が施されていることが分かるステッチ(黒矢印)が見えます。冒頭の画像の②から④の表側にも同じステッチがあり、表内側に補強革があるのが分かります。②ではダブル・フック・ワイヤ・ハンガーを任意の位置(高さ)に移動させられるようになっており、兵士の体格や何処にぶら下げるかを考えて位置を変えることが出来ます。


↓②と③の対比です。②では表内側の補強革の末端が表面へ折り返されて1cm程見えていますが、③では表面へ折り返されることなく、表内側の補強革は赤矢印のステッチの部分までしかありません。水色矢印のところまで上部4cm程がダック生地2枚構造になっているので強度は十分だと判断されたのだと思います。
他の差異としてはフラップ上端のLift-the-Dotのある部分が③では補強のためウェブ生地2枚構造になっているのと、フラップの内側のショベル収納時にヒンジが当たる部分の補強が、②ではウェブ・テープが縦にチョンと短く貼り付けられていたのが、③では横に大きく長く貼り付けられており、ヒンジだけでなくブレードの後端全部分をカバーするようになってます。


↓裏面です。ヒンジ部の補強のためのウェブ・テープ貼り付けのステッチが異なるのは当然ですね。他の差異としては③ではダブル・フック・ワイヤ・ハンガーの上にウェブ・テープのループが設えられています。


↓拡大しました。このループに背嚢(M-1944(正しくは「Pack, Field, Combat」)やその後継の「Pack, Field, Combat, M-1945」)のストラップを通して用います。


↓スタンプの拡大です。

CARRIER, SHOVEL, INTRENCHING M-1943
5140-261-4993              FIA-381
CHAMPION CANVAS CO.         1957
とありまして、1行目は制式名称ですが、2行目はまずFSN(Federal Stock Number)です。最初の4ケタ(Federal Supply Classification Group)が5140となっており「Hand Tools, Non-Edged, Non-Powered(ハンド・ツール、刃は無し、動力無し)」に分類されています。あとで見る④ではここが8456となって「Individual Equipment(個人装備品)」の括りに改めて分類されます。続く7ケタ(Federal Item Identification Number (FIIN))は同じです。そのずっと後ろの「FIA-381」の意味が不明です。どなたかお知恵を授けて下さいませんでしょうか。今回いろいろ調べましたが分かりませんでした。3行目は製造者名と製造年です。

↓次は③と④です。違いはフラップの留め具がLift-the-Dotからスナップ・ボタンに変わったことのみです。


↓④の裏面です。③と同じくダブル・フック・ワイヤ・ハンガーの上にウェブ・テープのループが設えられています。


↓スタンプです。一部かすれていますが、

M-1945 CARRIER
INTRENCHING TOOL
8456-261-4993
DSA100-68-C-321
1、2行目は制式名称、3行目はFSN、4行目はDSA(Defense Supply Agency )ナンバーです。契約が1968年会計年度であることが分かります。

↓最後に「M-1956 INTRENCHING TOOL CARRIER」を1つ。M1956は1つしかコレクションしてません。ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーによる装備連結を主体とする「M-1910システム」から、新たにスライド・キーパーによる装備連結を導入した「M-1956システム(M-1956 Load-Carrying Equipment)」の構成要素の一つです。


↓フラップ裏面のショベルのヒンジが当たる部分の補強がこれまで見て来たものと違い、スナップ・ボタン周りの補強と併せて縦に長くウェブ・テープが貼り付けられています。それよりももっと大きく異なるのは見てお分かりの通り、銃剣を下げるためのアイレット・タブと固定ストラップが加えられたことです。ただでさえピストルベルトへ装着する装備品が多い中、ショベル・キャリアーをピストルベルトに装着したら銃剣はどこに吊ればいいのじゃとの声に応え、キャリアに銃剣を吊るという解決策を見出したのです。アイレット・タブの下側にはご丁寧に革で補強が施されています。

WWIIではドイツ軍が同じように銃剣をスコップに上手く纏めてましたね。それも参考にしたんでしょうね。

↓M8A1スキャバードを装着してみました。ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーをアイレット・タブに装着し、バタつき防止ストラップで…


↓このように留めて完了。


↓銃剣を収めました。


↓裏面です。ピストルベルトへは2つのスライドキーパーで装着します。そのほかの構造は今までのモノと大差ありません。


↓スタンプです。

CARRIER, INTRENCHING TOOL
M-1956
DSA-1-143-E-62
FSN-8465-542-5842
制式名称、DSA(Defense Supply Agency)ナンバー(1962年会計年度契約である事が分かります)とFSN。Federal Item Identification Number (FIIN)がM-1943とは別の番号が割り振られているのは制式名称が別ですから当然ですね。サイズの大きい「07」は単なるロット番号です。

↓キャリア内側です。ブレード縁対策の革補強は②と同じパターンです。背面側はダック生地1枚仕立てであるのに内側の革補強がありません。ヒンジの当たる部分の更に下に革の補強が入れられています。これは中に収納するモノが、ショベルブレードのみを有しているM-1943イントレンチング・ショベルから、ツルハシ(ピック)が追加されたM-1951イントレンチング・ツールへと変化し、厚みが増した分テンションがより掛かることとなった部分に補強を加えて対応したのだと推察します。それ以外に補強を加える理由が分かりません。


如何でしたでしょうか?
サバゲにはこのエントレンチング・ツール・キャリアにしっかりショベルを格納してベルトから提げて或いは背嚢と共に担いで参加する方はあまりいないと思いますが、リエナクト的要素を入れるのが好きな方はその重さに耐えうる筋力が必要ですね。
最後に挙げたM-1956キャリアですと程度に拘らなければ現在でも単体で3,000円位から入手できます。海外でもそう困難無く手に入ります。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。ありがとうございました。









  

Posted by Sgt. Saunders at 13:25Comments(0)Intrenching tools

2018年09月02日

M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

皆さんこんにちは。
台風21号が接近しつつあり、4日には雨風がとても強くなるとの予報が出ております当地大阪、今朝方は晴れて風もそれほど強くなく、時折ツクツクボウシの鳴き声が響き、至って平穏な晩夏を迎えております。定刻を3時間余り過ぎての投稿です。

さて今回採り上げますのは2回前にお送りしました記事「M-1943イントレンチング・ショベル(M-1943 Intrenching Shovel)」(←過去記事を別ウィンドウで開きます。今回の記事と並べてご覧頂くと相違点が良くお分かりいただけると思います。)の後継モデルとなります「M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)」です。土を掘るためのショベルに、固い地面を穿ち掘り起こすための「ピック・ブレード(ツルハシ)」を加えて、より一層塹壕を構築しやすく改良されました。また同時にこのM-1951イントレンチング・ツールは旧式のM-1910ピック・マトックの役割も引き継いで置換されることとなりました。

↓まずはキャリアーに収まっている図からご覧ください。


↓フラップを開けます。


↓上へ引き上げて、


↓はい、引き上げて…と、


↓抜き取りました。柄は木製でショベル・ブレード(匙部)は鋼製で、全体がOD色で塗装されているのはM-1943と同じです。OD色の色調はヘルメットの塗装等と同様WWII時のやや暗いODから、もっと明るいODへと変わりました。このM-1951は、畢竟「M-1943にピック・ブレードを追加したモノ」であると言えます。


↓M-1943と並べてみましょう。上は前回出たM-1943、下が今回登場のM-1951です。塗装の色調の違いがお分かりいただけると思います。また、M-1943はショベル・ブレードが角ばった五角形のホームベース型と言えるのに対し、M-1951は弾丸型と言いますか、角が丸められています。また、その趣旨が分からないのですが、M-1951のブレードの両隅には直径9mm程の孔が空けられました。何のためなのでしょうか?


↓ブレードの長さは全く同じです。上↑の画像では手前側のM-1951のブレードがM-1943よりも長く見えていますが、レンズの所為です。
M-1943では固定ナットが見えますが、M-1951では固定ナットがピック・ブレードに覆われて見えにくいですね。ピック・ブレードそのものが柄と色が同じなので溶け込んで見辛くくなっています。
ブレードとヒンジとはどちらも4つのリベットで結合されています。


↓柄を横から見ました。上で触れたピック・ブレードの位置関係がお分かりいただけます。M-1951の柄の末端には孔が穿ってあり、例えばフックに引っ掛けておける等、少し便利です。また、この画像では分かり辛いですが、柄の形状が、M-1943では太い部分・くびれている部分とも断面は円形なのに対して、M-1951ではくびれている部分は楕円形です。2つ上の画像ではどちらも同じ程度のくびれがありますが、本画像ではM-1951の横から見たくびれが小さいのがお分かりいただけますでしょうか?


↓再びM-1951を。この視点からは柄のくびれが大きいのが分かります。上の画像の角度からだとあまりくびれていないのがお分かりいただけると思います。
本個体はブレード先端に錆はありますが、それ程使い込まれてなかった様です。ブレードのOD塗装の剥げ具合が比較的少なく、柄の塗装もかなり残っています。

↓ショベル・ブレード裏側の拡大です。丸みを帯びた形状は、「イザとなれば白兵戦の武器になる」というのを忘れさせそうです。


↓ブレードの表側です。厚く頑丈なピック・ブレードがショベル・ブレードの反対側にセットされています。


↓ショベル・ブレード隅に施された刻印。

U.S.
H-W
1952
とあり、1952年H-W社製造であることが分かります。と言っておきながら、実はまだ「H-W」についてさっぱり分かっていません。
本個体はM-1951が世に出て間もない1952年製ですが、M-1951自体はその後ヴェトナム戦争後期の1969年に3つ折りの新型イントレンチング・ツールが採用されるまで同一スペックで製造・支給が続けられました。代表的な製造者としてはWWII時代から納入が続く「AMES」社が有名です。

↓ソケット・固定ナット・ワッシャー・ヒンジ部を横から見た図です。


↓まずは固定ナットを...、


↓普通のネジと同様回転して緩め…、


↓はい、緩めて…、


↓ピック・ブレードのみを起こして「片ツルハシ」として使うようにしてみましょうか。


↓この角度まで起こしてナットを…、


↓締めます。


↓はい、「片ツルハシ」になりました。


↓ナットを緩めてピック・ブレードを柄とに一直線になるようにしてナットを締めれば、これ何になったと言えますでしょうか?銛(モリ)?鎗(ヤリ)?ちょっと寸足らずですが銃剣術に使えるような...。


↓ショベル・ブレードも起こして、「ピック・マトック」になりました。


↓ショベル・ブレードのみ起こせば「鍬」になるのはM-1943と同様です。


↓ショベル・ブレードを伸ばして「ショベル・モード」です。


↓ヒンジ部分の拡大です。ショベル・ブレードのヒンジの外側にピック・ブレードのヒンジが被さる形になってます。


↓ピック・ブレードを拡大。先端には35度位で刃が付けられています。


↓反対側から。厚みは6~7mm程あり、朝鮮半島の高地凍土をも穿つのに十分そう?です。


↓M-1943イントレンチング・ショベル・キャリアに代わり、ヴェトナム戦争の勃発前に制式化されたいわゆるM1956装備(M1956 Individual Load-Carrying Equipment)の一構成要素としての、新しいキャリア「M-1956イントレンチング・ツール・キャリア」に収まった図です。


↓ピック・ブレードが付いていないM-1943イントレンチング・ショベルを収めるためのM-1943イントレンチング・ショベル・キャリアに、ピック・ブレードの付いたM-1951が収まるのか試しましたが、このように特に支障なく収まりました。若干パッツンパッツンな気もしないではないですが。



以上見て参りましたが、如何でしたでしょうか?

M-1943の後継・改良と併せ、旧式で重く嵩張る分解式のM-1910ピック・マトックとを統合して1951年に制式化され実際の支給・配備は1952年からとなった今回のM-1951ですが、実は既に1944年の終わり頃には需品部(QM)はM-1943にピックを追加するトライアルに着手しており、そうこうしているうちに大戦が終結してしまったのですが、その後研究が続けられてM-1951へと発展したのでした。

M-1943と同じく、あまり市場では人気がないのか出物は少ないですが、ある程度状態のいいモノが大体5,000円前後で入手可能です。ヴェトナム戦のモノは比較的見つけやすいです。今回の個体のように1950年代製のモノは見る機会が少なくなってきたと思います。



それでは今回はこの辺で失礼いたします。台風の襲来には十分気を付けましょう。さようなら。


  

Posted by Sgt. Saunders at 15:24Comments(0)Intrenching tools

2018年07月22日

M-1943 イントレンチング・ショベル(M-1943 Intrenching shovel)

皆さんこんにちは。

猛暑の続く当地大阪(の中でも最高気温が府下ナンバー1を誇る枚方(ひらかた)の近く)から今回お届けしますのは、WWⅡ米軍がそれまでのTボーンショベル(M-1910イントレンチング・ショベル)に替えて採用したM-1943イントレンチング・ショベル(Shovel, Intrenching, M-1943)です。隔週日曜日の正午を定刻として投稿完了を目指している当ブログ、今回は定刻より少し早く投稿できました。

まずはキャリアーに収まっている図です。このキャリアーについては過去記事(→M-1943 ショベル・キャリア(Carrier, Shovel, Intrenching, M-1943)を参照ください。


↓フラップを開けて、


↓上へ引き上げて、


↓はい、引き上げて…、


↓取り出しました。柄は木製でブレード(匙部)は鋼製。全体がいわゆるOD色で塗装されています。



↓裏返してみました。柄の端っこやブレードの先端部分など、使用により塗装が剥げてきています。


↓ブレードのアップ。強度を持たせるため段が付いている中心部分は、より厚くなってます。


↓もう一度裏返し。柄とブレード部をつなぐ先細りのソケットと、固定ナット、ワッシャー、ヒンジ、ブレード。


↓ブレードの隅に刻印があります。「US」、「WOOD」、「1944」とあり、1944年WOOD社製であることが分かります。WOOD社のほか、AMES社(AMES BALDWIN WYOMING COMPANY)とA.F. & H. 社(AMERICAN FORK & HOE COMPANY)も製造していました。因みにA.F.&H.社は後にAMES社に吸収されています。


↓刻印が表側に少し浮き出ていますね。


↓まず、このアルミ合金製の固定ナットを緩めて、


↓これ位です。


↓横から見るとこんな感じです。


↓ブレードを直角に起こして…、


↓横から見るとこんな感じです。


↓ナットを締めて固定しますと…、


↓「鍬(くわ)」になりました。


↓さらに、同じ要領でナットを緩めてブレードを柄と直線になるようにして...、


↓固定すれば...、


↓はい、ショベルになりました。


↓ヒンジ部分の拡大です。


↓鍬にして別の角度から撮影。ブレードの表側からでも見えますが、ヒンジとブレードはこのように合計4つのリベットで固定されています。粗悪なレプリカ品はこの辺りでリベットを3つにケチったり、あるいはヒンジの形状やリベットそのものの大きさが小さかったりして十分な強度が期待できないモノとなっている例が多いです。


↓ブレードの厚みはこんな感じです。少し刃が付いています。


↓ソケットと柄を結合しているリベットは両サイドから2本打たれています。


以上いかがでしたか?
単なる使用説明書になってしまっていますね。
この「折り畳みショベル」は過去記事のキャリアーでも記しましたが、この先代にあたるM-1910イントレンチング・ショベル(通称Tボーン・ショベル)に替わって、ブレードを折りたたみ式にすることによって収納時の全体の長さを短くしたモノであり、ハッキリ言ってドイツ軍の折りたたみショベル「Klappspaten(クラップシュパーテン:折り畳み式スコップ)」のフルコピーです。ドイツ軍も1938年にその先代の「Kleines Schanzzeug(クライネス・シャンツォイク:小型塹壕構築具)」から折りたたみ式のKlappspatenを採用することになったのですが、その目的はどちらも省スペース化と多機能化でありました。

なお、このM-1943イントレンチング・ショベルは、後に「ツルハシ」パーツをも付加させた「M-1951イントレンチング・ツール」(←クリックで後日記事が別ウィンドウで開きます)へと発展を遂げていくことになります。

現在日本では状態のいいモノで5,000円くらいから入手可能でしょうか。アメリカでもそれほど高価ではありませんが、重く嵩張るので送料が割高になり、他に沢山まとめ買いをしないとお得感は感じにくいです。WWⅡ後期~ヴェトナム戦初期頃の米軍ファンの方は、国内で見つけたら入手しておいた方が良いと思います。あまり市場に多く出回ってはいないような印象がありますので。後継のM-1951も、あまり出物を見ないですが、同額ほどでいい状態のモノが国内で入手可能です。

このショベルですが、我が家では実用品としての「価値」があるので、他の軍装品とは違って存在自体は肯定的に見られています。
即ち花壇の手入れや庭木の植え替え時に重宝するからです。あと実用できるユテンシル類や普段着使いとして着るパッチや階級章の付いていないコート類等も何とか存在を認められていますし、時と場合と運によれば、その購入予算を廻してもらえることもあります。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。熱中症には気を付けましょう。さようなら。










  

Posted by Sgt. Saunders at 10:01Comments(0)Intrenching tools

2017年10月22日

M-1943 ショベル・キャリア(Carrier, Shovel, Intrenching, M-1943)

みなさん、こんばんは。
台風21号が猛烈な勢力でやって来ています。当地大阪でも各所で避難勧告が出ております。
折しも衆議院議員選挙・最高裁判所裁判官国民審査が本日執行されていますが、有権者の方投票は済まされましたか?天候が厳しいですが、是非投票所に足を運んで、国民の一人として意思表示を行いましょう。と言っても、もうこの時間ですが。

さて、今回定刻を大幅に過ぎての投稿ネタは、コレクションの中ではどちらかと言えば地味な部類?にありますWWⅡ米陸軍(海兵隊も)が使用したM-1943イントレンチング・ショベル・キャリア(Carrier, Shovel, Intrenching, M-1943)です。

↓バージョン違いの2種を並べました。例によってWWⅡUSモノで必ず出てくる「カーキ・ODバージョン違い」のようですが、実はちょっと違います。表側だけ見ればバージョン違いかな?というところですが…。

左のキャリアにはショベル本体を挿しています。このM-1943イントレンチング・ショベルは、その先代M-1910イントレンチング・ショベル(通称Tボーン・ショベル)に替わり、匙部を折りたたみ式にすることにより収納時の全体の長さを短くしたモノで、これはドイツ軍の折りたたみショベル「Klappspaten(クラップシュパーテン:折り畳み式スコップ)」のフルコピーと言っても過言ではありません。ドイツ軍も1938年にその先代の「Kleines Schanzzeug(クライネス・シャンツォイク:小型塹壕構築具)」から折りたたみ式のKlappspatenに替えていったのですが、その目的はどちらも省スペース化と多機能化であったと思われます。

↓拡大しました。コットン・ダック製、フラップはlift-the-dot留め。他の布製装備品と同じく、43年後期頃を境にカーキ(ODシェード#3)からOD(ODシェード#7)に色調が変わります。


↓裏側です。さっき「『カーキ・ODバージョン違い』のようですが、実はちょっと違います。」と申しましたのはこれです。ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーの設え方が違います。左は先代のM-1910イントレンチング・ショベル・キャリアーのようにその位置が固定されていますが、右のモノは3つの位置のうち任意の位置を選んでハンガーを取り付けられるようになっています。このようにハンガーの取り付けられ方・仕組みが異なるモノ同士ですから、単に「色のバージョン違い」とは言えないのです。現在遅れ馳せながらハンガー固定バージョンでODのモノを捜しております。なお、右の位置可変バージョンでカーキ色のモノも、私はまだ見たことがありません。この位置可変バージョンが出る頃には布装備品の色調は殆どODに替わってしまっている頃なので品薄だからだと思うのですが。、もしあれば、ハンガー固定バージョンでODのモノ同様、かなりレアなモノであると思います。

ショベルを収納した際にブレードの先端が当たる部分(キャリア下部)には、左のカーキ色バージョンではOD色のコットン・ウェブが張られ、右のODのモノにはコットン・ダック生地が2重に当てられて補強が図られています。

↓では順にじっくり見て行きます。まず左のモノ。この個体は前述のようにカーキ・バージョンなのですが、内側の茶革の部材が張られてある部分から革の染料が表に滲み出てきて、画像のキャリアの左右両側がやや焦げ茶色染みているのがお分かりいただけると思います。


↓所有者(正しくは占有者、ないしは借用者)の名前と認識番号と思われる数列「BAJIC 36988697」の記述。


↓フラップを開いたところ。左に製造者・製造年のスタンプ「J.A. SHOE」、「1943」。右にさっき見たのと同じ借用者の名前と認識番号「BAJIC」、「36988697」の記述。


↓畳んだショベルを収納したところ。ブレードの縁が触れる部分には茶革を当てて、ヒンジ部分が触れる部分にはコットン・ウェブ・テープを当てて補強しています。


↓内側をもう少し覗き込んでみました。ブレード縁が触れる部分は下の方まで茶革の補強が張られています。


↓ストロボ焚いてさらに一枚。


↓ショベルの柄が通って出てくる部分です。重さのかかる部分にはリベット打ちが施されていて強度が上げられています。


↓さて、もう一方のOD・ハンガー位置可変バージョン。色のほかは今見て来たカーキ・バージョンと外観は同じです。フラップも同じくまだlift-the-dot留めです。


↓フラップを開けたところ。ブレード縁対策の茶革の補強とヒンジ対策の補強もカーキ・バージョンと同じです。


↓ほんの少し違うところはブレード縁対策の下まで伸びる茶革補強が、背面側には無いこと。手前側にはずっと下まで張られてます。


↓フラップの内側に制式名称「CARRIER, SHOVEL, INTRENCH, M1943」、ストック・ナンバー「STOCK NO.74-C-1」(上)、製造者、製造年「AVERY 9」。ただ、ストック・ナンバーは本来「74-C-165」なのに最後の2ケタがキチンとスタンプされてません。プリントミスでしょうか?また製造年は「9」しかありませんが、これは特にAVERY社の場合によく見られる省略で、「1949年」の意です。


↓裏側です。ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーの位置を変えれるようにアイレット(鳩目穴)が三列設えられています。ベルトに下げるも良し、フィールド・パックやハバーサック、リュックサックに下げるも良し。好きな位置にハンガーを取り付けられます。


↓ハンガーの取り外し・取り付けはこんな風にチョチョイの...


↓チョチョイの...クククッ...


↓チョ、チョイの...あ、裏表間違えた...、


↓チョーーーイッと。はぁはぁ(*´Д`)。


↓これ位余裕があるので、比較的、比較的やりやすいです。


↓さっきも記しましたが、ブレード先端が当たる部分はコットン・ダック生地を重ねてあります。あと、この部分にある6つのリベットが菊割カシメリベットになっています。




いかがでしたでしょうか?ショベル本体については、また項を改めてご紹介したいと思います。
このM-1943イントレンチング・ショベル・キャリア、WWⅡ以降マイナー、メジャーな変更を経て1960年代過ぎまで細かく形を変えて進化していきます。また改めてご紹介すると思います。

それでは、また次回お会いしましょう。




本稿では「Entrench」ではなく「Intrench」と表記していますが、米軍が制式名称で「Intrench」を使用しているためであり、通常「entrench」の方が一般的に使われています。意味は全く同じですが念のため注釈としておきます。  

Posted by Sgt. Saunders at 19:43Comments(0)Intrenching tools