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2021年08月15日

M-1956 H型サスペンダー「初期型」(M1956 Combat Field Pack Suspenders)

みなさん、こんにちは

コロナだオリンピックだと言ってる内にもう立秋を過ぎて、季節は秋へと向かっているのでしょうか。
ここ数日はまた線状降水帯が各地で河川氾濫・山崩れ・土砂崩れを引き起こし、犠牲者を発生させてしまいました。早めの避難が肝要です。

夏のコスプレと言えばヴェトナム装備かWW2PTO装備か、ETOでもHBT主体の出で立ちか。色々考えられますね。夏サバゲしたいですね。

さて終戦記念日の今回の投稿、ヴェトナム戦装備から。M1956装備の基本中の基本、その形状から「H型サスペンダー」と呼ばれるM-1956コンバット・フィールドパック・サスペンダー(Suspenders, Field Pack, Combat, M1956)を持ってきました。

↓まずM1956装備システム(M1956 Load-Carrying Equipment)のうち今回採り上げるサスペンダーの解説をするのに最低限必要になるモノだけ組み合わせました。今回採り上げるH型サスペンダー、「M1956ピストル・ベルト(コレクター向けに言えば「縦織後期型」)」「M1956弾薬ケース」M1956 コンバット・フィールドパックです。本来の実戦装備となると水筒やファーストエイド・パケット・パウチや他にも色々な装備品の荷重を担うことになります。


↓あらためてM1956 LCEをマニュアルから。この図で「2」が今回のM-1956 H型サスペンダーです。当ブログでまだ取り上げてなかったのは今回の「2」と、あと「8」ですね。「8」もそのうち取り上げます。


↓今回はH型サスペンダーだけを見ます。画像上方は着用時に臍の両側でピストル・ベルトに連結する「前側ストラップ」、続く幅広・肉厚のショルダー・パッド部、ショルダー・パッド部両端から下方へ伸びてM1956(のちにはM1961)コンバット・フィールド・パックなどの連結タブに繋がる「背面ストラップ」の3部分で構成されます。装着時に左右の鎖骨辺りに当たる部分には「X型サスペンダー」と同じように手榴弾のスプーンを引っ掛けたり、M1956ファーストエイド・パケット/コンパス・ケースのスライド・キーパー等を留めるためのループがあります。「H型」とは先輩モデルの「X型サスペンダー」に対比させての呼び方ですが、上が開いているので純粋なHの文字にはなってません。


↓もう薄く掠れていますが小さく「US」のプロパティ表示スタンプ。


↓裏表をひっくり返しました。ショルダー・パッド部は表側がコットンウェブですが、このように裏側に厚いパッドが縫い付けられています。


↓こちらに制式名称、契約番号、連邦備品番号(FSN(Federal Stock Number))のスタンプがあります。


↓制式名称:「SUSPENDERS, FIELD PACK, COMBAT, M1956」、契約番号:「QM (CTM) 10280-E-61」、FSN:「8465-577-4923」。契約年度が1961年予算年度であると分かります。2行目の右の方に「04」のスタンプがありますが、これは恐らく製造ロットの類だと思われます。


↓パッド部分には恐らく廃フェルトようのモノが詰まってると思います。切り裂いて見たことはありませんが。


↓ベルトやフィールド・パックその他ハトメ穴に通すフック。この画像を見て「アレ?」と思う方があるかも知れません。あとでまた触れます。


↓外側の青マルが臍の両側へ来るフック、内側の赤マルが背中のフィールドパックなどに繋げるフック。


↓このように青マルのフックはベルトを支えるため臍のすぐ脇で繋がり…


↓(冒頭の画像をもう一度) このように背中側では赤マルのようにフィールドパックの連結タブに繋がります。もちろんパック無しで直接ピストル・ベルトに連結しても「間違い」ではありません。


↓ストラップの長さは、前後どちらもこんなタイプのバックル(cam friction buckle)で調節します。パチンと留めるタイプのバックルです。「目」型のラダー型バックルではありません。


↓ストラップの末端にフックが固定されており、バックルを使って長さを調節します。いわゆる通称「M1943」X型サスペンダー等は、ストラップの末端にフックがあるわけではなく、ストラップのどの位置にでもフックを置くことが出来る反面、長さを調節した結果余分なストラップがブラブラ遊ぶことがあり、パラトルーパーなどはブラブラとバタつかないようにテープで束ねて始末したりしまたが、本サスペンダーではそんな必要が無い作りになってます。


↓さっき少し触れましたが、バックルの基本構造は、例えばアムニッション・スモールアームズ・ケースのサスペンダー連結用ストラップやM1コットン・スリングなどのモノと同じです。


↓ショルダー・パッド部分の前端にある長方形の金属リンクは、このようにアムニッション・スモールアームズ・ケースのサスペンダー連結用ストラップのフックを掛けるためのモノです。こうすることにより、弾薬の詰まったケースの荷重のかなりの部分を直接的にサスペンダーに負わせることが出来、ピストル・ベルトに掛かる割合を削減出来ます。また、今回は登場しませんがM1956スリーピング・バッグ・キャリアー(上述のM1956 LCEの図の「8」)を背負う時に、キャリアーのストラップを背面からここに通してまた後ろへ折り返すための折り返しポイントとしての役割もあります。もちろん他にも個々の兵士が使いたいように使っていました。


↓上の方で「アレ?」と思われた方...云々は、これについてです。本記事のタイトルでもお分かり頂けるかと思いますが、一応コレクター間では区別して扱われていますので、私もその慣習に倣って以下の特徴を持つモノを「初期型」と表記しました。公式なスペック変更であるかどうかは実はまだ私突き止めておりません。前ストラップのベルト連結フック金具の構造の違いによる区別です。左が今回のモノ(「初期型」)、右が「後期型」とされているモノです。左の初期型は一本のワイヤーを曲げ曲げして要所を熔着して作られているのに対して右の後期型では金属板のプレス打ち抜きで作られています。


↓裏側から。


↓フックに付随した斜め上向きのリンクは、先程にも触れましたM1956スリーピング・バッグ・キャリヤーを背負う際にキャリヤーの下方ストラップをここに通して折り返して固定するのに使われます。


↓背面ストラップのフックも、左の初期型は前側ストラップと同様ワイヤー曲げ曲げフックですが、右の後期型になるとWW1以来のバネ板を伴ったスナップ・フックに取って替えられました。


↓横から。左の初期型は前側ストラップのモノと同様それなりに外れにくくなるように細かく曲げ曲げして作られていますが、それでも外れやすかったのでしょうか、右の後期型では偶然では滅多に外れないようなスナップ・フックが用いられました。色々調べましたが、1961年頃から後期型の製造が始まったそうです。


↓うっかり画像を消去してしまったので背景違いで再度撮影しました。金具への刻印です。前後のフックを擁している各ストラップ末端の金具に刻印があります。どちらも「錨」で、North & Judd Mfg. Co.製であることが分かります。


↓前側ストラップのフック。


↓背面ストラップのフック。



正式名称上、あるいはFSNやストックナンバー上の変更があるかどうか分からずのうちに、「初期」「後期」と呼ぶのは如何とは思いますが、一般的に金具の違いで区別して呼ばれているので、私も今回「初期型」としてご紹介しました。
初期型は後期型に比べればなるほど見る機会は余り多くないかなとも思いましたが、それ程レアでもないような...というのが私の印象です。
今回のモノを入手した際も、余り見ない初期型だという事で特に価格が後期型に比べて高かったというような覚えがありません。現在でもebayで$15程でBuy It Nowで出品されています。国内ですと結構高めの価格設定が見られます(5,000円以上とか)。アメリカでは日本ほどは初期か後期かでの価格差・こだわりは無いのでしょうか。

体格に応じてサイズ展開はRegular、Long、XL(Extra-Long)の3種がありました。本品はFSN末尾が「4923」なので「L」です。後期型のモノにはサイズ表記が「R」とか「L」とかしっかりスタンプされているのですが、初期型については本品のようにサイズ表記が無いモノがあるようで、FSNなどから判断するか、実測しないといけません。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。夏バテしていなければ、コロナに負けていなければ、また2週間後にお会いしましょう。
ご機嫌宜しゅう…。







  

Posted by Sgt. Saunders at 12:00Comments(0)Suspenders

2017年07月23日

US X型サスペンダー(2)(Suspenders, Pack, Field, Cargo-and-Combat(2))

何かよく分からないうちに梅雨明け宣言されていた大阪からお送りします。
各地で集中豪雨による土砂災害・浸水被害が出ているのをテレビ等で見ますが、自然現象によるものとは言え、あまりの凄さに言葉を失います。
被災者の方へお見舞い申し上げます。

前回記事の「US X型サスペンダー(Suspenders, Pack, Field, Cargo-and-Combat)」において、「朝鮮戦争前頃位から肩に当たる部分にクッションになるようなパッドが縫い付けられるようになりました」と記しましたが、今回実物をご覧いただきながら比較対照してみます。

↓まず全容です。左と右の色合いがかなり違ってます。一口に「od shade #7」と言っても、染められる側の生地により、或いは製造者間での色調の微妙な差、褪色・色落ち度合いによってこの様に映ります。


↓裏返しました。このように肩の部分にクッション・パッドが付けられるようになったのは上述のとおり大体朝鮮戦争勃発前頃だとされています。同一個体内でも部材により色落ち具合が異なっているのが良く分かります。


↓パッドは結構肉厚です。でも水濡れしたらなかなか乾かなさそうです。


↓装着したときに人体右側に来る方のハーネスには「U.S.」のスタンプ。「US」ではなく、省略の「.」があります。


↓一方反対側のハーネスには「U.S.」ではなく、なにやらウジャウジャしたスタンプがあります。


↓フェード・アウトしていて殆ど読み取れませんが、制式名称「SUSPENDERS, PACK, FIELD, CARGO-AND-COMBAT」とストック・ナンバー「74-S-392-300」、「MIL-P-3392 」と、あとは「製造者名」と「QM(Quartermaster)の契約番号と日附」、それにいづれかの需品部調達庁(Quartermaster Procurement Agency)がスタンプされていた筈です。最後の需品部調達庁名ですが、私はこれまで「NYQMPA(New York Quartermaster Procurement Agency)しか見たことがありません。


↓背中の交差部分のすぐ上の、パックの背面上端部を横方向に走るクロス・ストラップを通して連結させるための3段ループの縫製パターンは2種類あります。後述します。


↓前回記事で紹介しました肩クッション・パッドの付く前のモノ(左)とパッド付のモノ(右)を並べました。


↓先ほど申しました「パックの背面上端部を横方向に走るクロス・ストラップを通して連結させるための3段ループの縫製パターン」、お分かりいただけますか?左はループの部品が鉛直方向に沿ってハーネスとは角度をつけて縫われ、3段に分けている縫い目はループ部品と直角をなしています。一方、右はハーネスの方向と平行に中央で縫われており、3段に分けている縫い目がループ部品と角度をなしています。実はこの差異は肩パッドの有無の時期とは関係無く、どちらのモノにも見られます。


↓もう一つの差異は、肩パッドの無いモノと有るモノとでの構造的差異に起因するものです。お分かりいただけますか?


↓パックをサスペンダーと連結する時、連結用サスペンション・ストラップをサスペンダーの肩のバックルに通して固定し、前側へ垂れて余る連結用サスペンション・ストラップを通しておいてバタつかないようにするための胸部分のループ(画像の「このループ」と注記)の取り付け位置が、肩パッド無しのモノと有りのモノとで異なっています。右の肩パッド有りのモノでは、そのパッドを縫い付けるための縫いしろスペースが必要で(白の丸印)、ループが背面側へずらされています。



いかがでしたでしょうか?
1948年頃にはもう肩パッド付きで製造されていたようで、肩パッド無しのモノの方が製造時期が圧倒的に短かったためか現在流通しているのも肩パッド付きのモノの方が多いですね。
この肩パッド付きのモノ、後継のM-1956 H型サスペンダーが世に出る頃にもまだ大量に在庫があったようで、「廃棄するのは勿体無い」と、前内側のストラップを取り払い、胸に四角い金属リンクを付けるなどしてM-1956 H型と同様に使えるように改修されたモノが多くみられます。またあらためて紹介したいと思います。

それでは今回はこの辺で失礼します。(今回の投稿が記念すべき(?)100回目になる、ということに気付いたのは今、9月18日です。)
  

Posted by Sgt. Saunders at 21:10Comments(0)Suspenders

2017年07月17日

US X型サスペンダー(Suspenders, Pack, Field, Cargo-and-Combat)

近所の公園からは朝の6時を待たずしてシャンシャンシャンシャンと蝉の声が大音量で聞こえてきます。
梅雨明け前の猛暑と熱帯夜に辟易とさせられる大阪から、久々に前回の投稿から1か月と間を置かずにお送りいたします。

今回は米陸軍がWWⅡ時に使用していたX型サスペンダーのうち、末期ギリギリに供用の始まったカーゴ・アンド・コンバット・フィールド・パック・サスペンダー(Suspenders, Pack, Field, Cargo-and-Combat (ストック・ナンバー:74-S-392-300))を採り上げます。

WWⅡ時に米陸軍が使用したいわゆるX型サスペンダーには大別して「M-1936(Suspenders, Belt, M-1936、ストック・ナンバー:74-S-389 )」とその改修版である処のいわゆる「M-1943」或いは「M-1944」と呼ばれているモノ、それに今回のカーゴ・アンド・コンバット・フィールド・パック・サスペンダーがあります。

今回採り上げますカーゴ・アンド・コンバット・フィールド・パック・サスペンダーの事を指して「M-1943」或いは「M-1944」と称しておられる方もありますが(Kenneth Lewis氏は「M-1944」と紹介("DOUGHBOY TO GI"、P.184))、元来「M-1943」や「M-1944」という制式名称は無く、コレクターが差異を区別して呼ぶために勝手に(便宜的に)造った俗称です。
上で述べました「(M-1936の)改修版である処のいわゆる『M-1943』或いは『M-1944』」とはどんなモノかと申しますと、M-1936の肩部分にクッションとなるパッドを縫い付けたモノや、M-1936の胸部分の金属パーツやリベットを廃し、同じく肩部分にクッション・パッドを縫い付けたようなモノ等の派生版モノに対してコレクターが独自に与えた名称です。今回の記事とは直接関係が無いのでこれ以上の言及は省きますが、いずれまた別の機会に採り上げたいと思います。

↓カーゴ&コンバット・フィールド・パック・サスペンダー(Suspenders, Pack, Field, Cargo-and-Combat)です。M-1936と同じく前側(画像では下側)の左右2本のストラップのうち内側のものは臍に近い位置でベルトに連結し、外側1本ずつは画像の状態よりもうちょっと伸ばして背嚢へ連結するようになってます。背嚢を背負わない場合は画像の状態の長さくらいにして両腰真横あたりでベルトに連結しました。

このサスペンダーがそれまでのM-1936及びその派生版と大きく異なるのは、重いカートリッジ・ベルトやピストル・ベルトを肩で支えるという単純な役目だけでなく、背嚢との連結をより高度な仕組みにした点にあります。
M-1936にもM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ(通称ミュゼット・バッグ)を背負うために左右の胸部分にDリンクが設えられていて、バッグの上端に設えられたストラップの先端のクリップを背中から肩を越して連結させる仕組みでしたが、そのM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグと、旧式のM-1928ハバーサックとを発展的に統合した後継の「コンバット・フィールド・パック(Pack, Field, Combat)」が、それを背負うための当サスペンダーと一体で開発されました。新しい背嚢(コンバット・フィールド・パック(Pack, Field, Combat))は、その直下にカーゴ・フィールド・パック(Pack, Field, Cargo)を連結してフル・パックを構成できるようになっており、それらを背負うための当サスペンダーなので、名称もそれに合わせて「Suspenders, Pack, Field, Cargo-and-Combat 」となった訳です。

↓両肩辺りの金属バックルとそのすぐ下のスロット(上中下3つあります)を使って、コンバット・フィールド・パックをサスペンダーに連結します。


↓背景が汚くてすみません。これは連結しようとしているコンバット・フィールド・パックの背面です。パック背面上部を横に走っているクロス・ストラップをサスペンダーのスロットに通し、パック背面左端のバックルを使ってしっかり締め付けて固定します。体格により3つのスロットのどれにクロス・ストラップを通すかを選べます。さらにパック背面上端左右に設えられている薄手のサスペンション・ストラップをサスペンダーの肩部分のバックルに通すことにより、パックがサスペンダーに吊り下がる(サスペンド)ように固定します。



↓このバックルにパックのサスペンション・ストラップをくぐらせて前へ通します。通したあと余分なストラップは…


↓サスペンダー左右にあるループの下に潜らせてブラつかせないようにします。このループは手榴弾を引っ掛けたりするのにも使われました。


↓パック内側にあるラベルのイラストです。こんな感じにサスペンダーとパックが連結されます。(但しこれはM-1945カーゴ・フィールド・パックのラベルです)


↓USスタンプと製造者「HOOSIER」および製造年「1944」。色はOD#7です。が、ずっと見てきました画像でお気づきだと思いますがウェブかダック(ズック)かHBT生地かによって染まり加減・褪色具合が異なってます。ですから一口に「OD#7」とか言っても実に色んな見え方がします。


↓前部ストラップに付いている連結クリップは普通のモノです。長さ調節用のバックルも「目」型のごく普通のモノで、亜鉛合金製の鋳造タイプです。大戦以前からは青銅や真鍮の鋳造タイプがありましたし、その後大戦勃発以降スチール製のプレス製造タイプが出て、続いて亜鉛合金製の鋳造タイプが出てきます。連結クリップも同様に素材については青銅製、真鍮製、スチール製、亜鉛合金製がありました(もちろんバネ部分は除きます)。


↓後部ストラップは前部と同じく連結クリップは普通のモノ。但しM-1936では長さ調節のためには、ストラップ上をスライドさせて任意の位置で留めることのできるセルフ・ロッキング・バックルがストラップ末端に設けられていたのに対し、当サスペンダーでは前部ストラップと同じ「目」型バックルが用いられています。間違いなく部品種類削減・製造工程省略のためでしょう。


↓裏返してみました。のちに朝鮮戦争が勃発する前頃あたりには肩に当たる部分にクッションになるようなパッドが縫い付けられるようになります。冒頭で出てきましたいわゆる「M-1943」や「M-1944」と呼ばれているサスペンダーと同様のモノです。


↓ここでオフィシャルなマニュアルを見てみます。当ブログでたびたび登場するQM3-1 Quartermaster Supply Catalog (May 1946)から当サスペンダーの項を抜き出してみました。少々ピンボケなのはお許しください。


↓同じカタログにM-1936サスペンダーも載っていますが、「BELTS AND SUSPENDERS」のページに掲載されているのに対し、当サスペンダーは「INDIVIDUAL EQUIPMENT」のページに載っています。
上述してきました通り、背嚢との一体装備として当サスペンダーが詳解されています。この解説文を読めば、サスペンダーについて巷間言われている処の「M-1943」、「M-1944」呼称が本当は「俗称」であることが分かると思います(コレクターが便宜的に呼称するのを否定する訳ではありませんが、あくまでも便宜的な呼称である事に注意する必要があると思います。)。


↓曰く
コンバット・フィールド・パックはサスペンダーを伴って背嚢を形成するのに使用出来、あるいは、フル・パックを形成するためにクイック・リリース・ストラップを用いてカーゴ・フィールド・パックを装着することも出来る。コンバット・パックには塹壕堀りショベルや銃剣を保持するためのタブとストラップが設えられている。ホースシュー・ロールを保持するためのストラップが設えられている。カーゴ・フィールド・パックは単体で休暇鞄として使える。サスペンダーは単体でカートリッジ・ベルトを吊り上げるのに使える 。
カーゴ・フィールド・パックとコンバット・フィールド・パックは、非常に酷似しているM-1945カーゴ・フィールド・パックとM-1945コンバット・フィールド・パックにとって替えられた。しかしながら、カーゴ・パックとコンバット・パックとを結合させるためのクイック・リリース・バックルのあった部分には、M-1945カーゴ・フィールド・パックとM-1945コンバット・フィールド・パックではダブル・バー・バックルが使われているため、それらは互換出来ない。

(筆者注:下2つの画像でも分かりますが、「M-1944カーゴ・フィールド・パック」や「M-1944コンバット・フィールド・パック」というモノはありません。ただ「M-1945カーゴ・フィールド・パック」と「M-1945コンバット・フィールド・パック」と対比する上で「M-1944」と俗称で呼ばれている事が、このキャプションからもお分かりいただけると思います。)

↓上の記述にありますように、(極めて短時間のうちに)カーゴ・フィールド・パックは世に出てから間もなくM-1945カーゴ・フィールド・パックにとって替えられ、限定採用扱い(Limited Standard)にされてしまっています。


↓コンバット・フィールド・パックも同様にM-1945コンバット・フィールド・パックにとって替えられてしまいます。同じく限定採用扱いにされています。1年余りの極めて短命に終わったカーゴ・パックとコンバット・パックです。その代わり後継のM-1945は後のM-1956コンバット・フィールド・パックの採用まで使用されますが、容量不足である点、パック単体では背負えない点であまり兵士からの評判は芳しくなかったようです。

これら「M-1945」の付かないカーゴ・フィールド・パックとコンバット・フィールド・パックのことを「M-1944」と呼称するコレクターやショップがあるのは前述のとおりですが、上の詳解にもあったように、クイック・リリース・バーが付いていればいわゆる「M-1944」、ダブル・バー・バックルが付いていれば「M-1945」であると判別することができます。
今回の記事の主役はサスペンダーなのに背嚢の方に話が逸れてしまいました。済みません。


↓ここでレア(?)なモノを。上で見て来ましたモノとは前(下)4本のストラップの縫製が異なってます。メイン・ストラップの上からあと付けされる、本来臍の方を向いているはずのストラップが外側に向かって付いています。

製造ミスなのでしょうか、バージョン違いの極レア物なのか?


実は…
通常のサスペンダーをこのように交差部分で…

くぐらせて…

もう一方の方もくぐらせると…

まともに交差したように見えて…

↓このようになるのです。もう一度同じようにすると元にに戻りますよ。持ってらっしゃる方はお試しを。



いかがでしたか?
本記事の個体は状態から見て恐らく未使用のデッド・ストックだと思われます。私がWWⅡUS陸軍装備に興味を持ちだした1985年前後の頃、沖縄のアメリカ屋さんで肩パッドの付いていない大戦時製造モノの中古良品が2,500円でした。現在では肩パッド無しの大戦時製造モノの出品は滅多に見ることはありませんね。朝鮮戦争前頃以降製造の肩パッド付バージョンならば程度の良いものが結構出回っていますが、値段は下は2,000円位から上は6,000円位と、かなりバラつきがあります。金具に緑青が吹き出まくっていてもです。肩パッド無しのモノの出品があれば程度にもよりますが押さえておこうかなと思います。

それでは今回はこの辺で失礼します。ありがとうございました。



  

Posted by Sgt. Saunders at 10:18Comments(0)Suspenders