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2016年06月26日

M-1938 ディスパッチ・ケース(M-1938 Canvas Dispatch Case)

みなさんお早うございますorこんにちは。お久しぶりです。

梅雨どきなので雨が降り、降り続けるのは当然なのですが、降り方が酷いですね。梅雨は「シトシト」と降るものだと思うのですが、近年は「ドバーッ」「ザバーッ」「ゴォーッ」ですからね。土砂災害・浸水被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。

参議院議員選挙に向け各党が威勢を上げているようですが、国民はどう受け止めているのでしょうか?
与党(公明を除く自民党)は、改憲はひとまず隠しておいて「増税先送り餌」と安部政権政治の中での「良いデータ」だけを総動員して国民を釣り、多数議席を得た後に一気に改憲に持ち込もうと目論んでいるのがまる分かりですね。
野党は「与党による憲法改悪を是が非でも阻止しなければエライことになる!」という目的で緊急的に一致団結して与党に対抗するのは良いとしても、「改憲なんて今のワシ等にはどうでもエエ。それより目先のゼニや!シノギや!」というレベルの人には「憲法改悪阻止のためだけに緊急的に団結しているのだ」という趣旨が全く理解され得ないことが良く分かっていませんね。
すみません。いつもの癖で長々と。

さて今回取り上げますのは、米陸軍がWWIIから使用していた、「マップ・ケース」としての呼び名の方が日本ではメジャーかと思われる「M-1938 ディスパッチ・ケース(Case, Canvas, Dispatch, M-1938)」です。

「ディスパッチ(dispatch)」とは急派、急送、伝令等の意を表すもので、本来は伝令兵が各種の書類を運ぶために用いることを想定して作製されたモノだったのでしょうが、伝令に限らず広く書類や地図等を収納・保持するために用いられました。衛生兵がケースのフラップに丸白地の赤十字を描いて衛生資材入れとして使った例もあります。TV映画「コンバット!(COMBAT!)」の中でもドック(のちにはカーター)が肩から下げていましたよね。

↓縦25cm横22cm厚さ最大8cm程です。JIS規格A4用紙を入れることはできますがフラップが閉りません。上4cm程がはみ出ます。軍発行の3つ穴マニュアルが丁度入る大きさです。

コットン・ダック(ズック)製。フラップはLift-the-dot留め。スリングを連結して肩から下げて携行します。フラップの表下部に「U.S.」スタンプ。因みに海軍版(U.S.N.)・海兵隊版(U.S.M.C.)の場合はフラップの表面にはスタンプは無く、フラップの裏面に「U.S.N.」「U.S.M.C.」のスタンプが施されています。

↓フラップを開けました。フラップの肩口からの雨水・砂塵の侵入を防ぐため、「耳」が両側に付いています。小物入れポケットの上にペンホルダーを挟んで両側に定規等入れが設えられています。ポケットの両下端にLift-the-dotの牡ポストが設けられています。



↓フラップの裏側には特に何もありません。先ほど触れましたように、海軍版(U.S.N.)・海兵隊版(U.S.M.C.)の場合はフラップ裏面に「U.S.N.」「U.S.M.C.」のスタンプが施されています。 フラップ留め具のLift-the-dotの牝部品がある部分は補強のためにダック(ズック)生地が2枚合わせになってます。


↓ペンホルダー部を接写。これを入手した時画像の鉛筆が付いて来ました。ペンホルダーの下(内側)のポケットは両下端部が斜めに切り欠かれています。砂塵なんかをここから出せるようになってます。


↓この部分がポケットです。マチはとられていませんが少々厚みのあるものでも入ります。


↓本体部分はダック生地によって3つの部分に分けられています。


↓背面です。上端部のDリンクにスリングを連結して肩から下げて使用する作りです。ドイツ軍のマップケースのようなベルトループはありません。


↓製造者「DES MOINES GLOVE AND MFG. CO」と製造年「1942」のスタンプ。Dリンクにスリングのフックを連結します。海軍(USN)や海兵隊(USMC)用のモノの場合、本体とスリングの連結具の組み合わせが逆になっています。つまり、本体側にフックが付き、スリング側にDリンクが付いています。何故なんでしょうか?分かりません。スリングが無くてもフックをピストルベルト等のアイレット(ハトメ穴)に通してぶら下げることが出来る点で、海軍版・海兵隊版の方がイイと思います。


↓スリングにはショルダーパッドが仕込んであります。スライドさせて位置を調整することが可能です。本体にフルに書類を入れたら結構重くなりますから肩への荷重を少しでも広い範囲に分散させるためのパッドです。紙って結構重いですからね。


↓地図を挟んで保護するインサート。縁が金属で補強され、赤いグリッドが刷られている透明のプラスティック板2枚が、側面で薄いコットンダック生地で繋がれて天地が開いた封筒状になっています。片方のプラ板の短辺部から全体をグルッと覆える長さのコットンダック生地が延びています。プラ板の保護と反射防止のためのモノです。


↓縁はOD色で塗装されたアルミ製。赤いグリッドは2.54mm(1インチ)幅です。この個体、まだ中にプラ板保護の薄いパラフィン紙(硫酸紙かも)が入ったまんまの未使用品です。



↓2枚のプラ板は約15mmのマチ幅があります。



↓こんな風に薄いコットンダック布の一端がプラ板の一端と共に留められて、手前のプラ板と向こうのプラ板をぐるーっとくるんでしまえる長さになってます。


↓ぺちゃんこにするとこの薄さです。


↓こんな風に入れていたのでしょう。(背景の汚さにはどうぞ眼をお瞑り下さい・・・。)


↓背面にはご覧の通り、型崩れ防止のための薄板が入っています。


↓角の部分が擦れてダック生地に穴があいてます。


↓おまけ。この消しゴム付き鉛筆がケースと共に付いて来たのですが、この鉛筆は当時モノでしょうか?当時モノならばとても嬉しいのですが。


いかがでしたでしょうか?
本個体はODシェード#3、いわゆるカーキ色ですが、他の装備品の例と違わず、シェード#7のいわゆるOD色のモノも存在します。
現在オークション等では、「本体+スリング」だと70~80ドルも出せばそこそこのモノが入手できます。中のプラ板インサートは、やや入手難度は高くなります。プラス30ドルは下らないと思います。最近ではかなり質の良いレプリカも出ていますので、サバゲやリエンナクトではそちらを利用しましょうか。
私がこのディスパッチケースを入手したいと思ったきっかけは、大昔コンバットマガジンの巻末にあった、故川越のりとさんが描く兵士イラストにこのディスパッチケースを装備したWWII米陸軍将校のイラストがあって、「いいなぁ、コレ」と思った事でした。でも当時私はまだ高校生で、おいそれと入手出来るほどの財力はありませんでした。実際この個体を入手したのはずっと後のいまからまだホンの10年くらい前だったと思います。eBayで落札しました。

また、この後継モデルである「CASE, MAP AND PHOTOGRAPH(,OD-7)」は、基本的なフォルムはそのままで、縦横のサイズが若干大きくされ(縦33cm横28cm(縦13インチ横11インチ))ペンホルダー下のポケットを無くしてホルダーも少し変わり、フラップ留め具にはスナップボタンが採られました。本体背面の型崩れ防止板は廃されました。FSNは8460-368-4281です。

それでは、またお会いしましょう。さようなら~。



  

Posted by Sgt. Saunders at 08:00Comments(0)米軍(U.S.)Bags, Packs

2016年06月05日

ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

こんにちは。お久しぶりです。

梅雨前なのに気温が30度近くまでになったと思ったら、ここ数日は朝晩ちょっと涼しすぎる当地大阪から、原則大体隔週刊という自主目標を安易にかなぐり捨て、「原則があれば例外あり」と、半ば開き直って約1か月ぶりに投稿いたします。昨日大阪も梅雨入りしたんだそうです。

かなぐり捨てる、と言えば、かの総理大臣。必ず消費税増税をおこなって・・・プライマリーバランスを云々・・・とおっしゃっていたのに、「新しい判断」とやらで、要するに公約に違背して、事実をごまかし(ごまかすことが出来たと思っているところがまた彼の凄い所であります)公約不実行を高らかに謳い、開き直っています。


さて今回は久しぶりにドイツ軍モノ、銃器関連モノをお送りします。
今では考えられませんが、10年ほど前くらいは海外からダミーカート(端からダミーとして作られたモノだけでなく、撃発後の撃ち殻薬莢に弾頭を付けたモノも含めて)を購入・輸入するのは特に難しいコトではありませんでした。
米軍の30-06弾の撃ち殻ダミーを輸入した時に「弾薬類に当たるから輸入許可証を見せよ」と税関(外郵出張所)から言われたことがありましたが、「撃ち殻に弾頭を付けただけのモノであり、胴体には穿孔されており、もはや再生不可能ですから云々・・・」と説明したら通してくれました。薬莢への穿孔が無くても通してくれました。輸入割当についても何も仰いませんでした。もう15年以上も前のことです。
今回取り上げますカートもそんな頃に輸入したモノなのですが、今でしたら恐らく輸入不可能でしょう。大事にしたいと思います。

現在多くの国(と言うか多くのサブマシンガン、ハンドガン)で使用されている9mmパラべラム(9x19mm)の元祖である、ドイツで開発されWWⅠ以前から使用された「Pistolenpatronen 08(08式ピストル弾)」です。
P-08(ルガー拳銃)やP-38(ワルサー拳銃)、MP-38/40(いわゆる『シュマイザー』短機関銃)で使用されました。開発経緯など概説についてはWikipedia(←クリックすると別ウィンドウが開きます)でご覧ください。私なんかが今更したり顔で説明するには及びません。ここでは省略いたします。

↓1941年製のドイツ軍ピストル弾「Pistolenpatrone 08」の最小梱包です。

↑16発が1つの紙箱に入っています。1箱でP-08拳銃・P-38拳銃のマガジン2個分の弾薬が賄えることになります。MP-38/40のマガジンなら2箱必要です。


↑私の持っているこれら2箱は、箱の糊付けされた部分を封印するような形でラベルが貼られています。書籍やウェブ上では、ラベルが箱の側面に張られているモノの方が多いような気がします。時期によって違うのでしょうか?製造会社による違いなのでしょうか?まだ解明できていません・・・。


↑仕方が無いのでラベルを部分的に切り取る形で見てみましょう。まずラベルの左半分です。


↑右半分です。ラベルは切手や収入印紙のように目打ちされたモノが切り離されて貼付されているのが分かります。上述の、箱の側面に張られているタイプのラベルは縁がストレートにカットされているんですけどね。

↓やっぱり少し見にくいので立てて撮りました。


↑曰く、

16 Pistolenpatr. 08 m.E.(t.)
dou. 133. L. 41
Nz. Stb. P. n/A. (0,8・0,8) rdf 1940 L. 6
Patrh.:dou. 101 L. 41 Gesch.:dou. 8 L. 41(t)
Znh.08:dou. 70. L. 41

↑黒文字は印刷、赤文字スタンプによる表記です。

1行目の「16 Pistolenpatr. 08 m.E.(t.)」は弾薬の種類、タイトルです。
「16」は言わずもがな「16発入り」の意。「Pistolenpatr.」はPistolenpatronen(ピストル弾)の略です。「m.E」 は「mit Eisenkern(鉄芯弾頭)」の略。
最後の「(t.)」は、実は今のところ確証を得てないのですが、8mmモーゼル弾にもある「Tropen」の例に於けると同じで「tropen(熱帯用)」ではないかなと考えております(間違っていたら済みません)。チェコ製(ドイツ語で「tschechische」)である、という意味だそうです。(2021年4月10日加筆訂正。以下本文を若干改訂しています。)
即ち本個体の名称は「16発入り 08式ピストル弾・鉄芯弾頭・(チェコ製)」です。

2行目の「dou. 133. L. 41」は製造者とロット番号および製造年です。
「dou.」は製造者「Waffenwerke Brünn A.G., Werk Povaszka Bystrica」の製造者コードです。チェコのブルノ兵器工業の、チェコとの国境に近いスロバキアの都市Povaszka Bystrica(ポヴァスカー・ビストリツァ)の工場の製造者コードです。「133」はロット番号、「L.41」は1941年製の意です。

3行目の「Nz. Stb. P. n/A. (0,8・0,8) rdf 1940 L. 6」は装薬種類と製造者、ロット番号、製造年です。
「Nz. Stb. P. n/A.」は「Nitrozellulose Stäbchen Pulver neuer Art(ニトロセルロース桿状体火薬・新型)」の略です。「桿状」というのは「棒状」と同じ意味です。「(0,8・0,8)」は、この桿状体火薬の寸法「直径0.8mm・長さ0.8mm」を表わします。「rdf」は、製造者「Westfälisch-Anhaltische Sprengstoff A.G. (WASAG)」の、ザクセンにあるラインスドルフ工場の製造者コードです。その後ろ「1940 L.6」は、普通に読めば「ロット番号1940、1936年製造」なのですが、「ロット番号が6で製造が1940年の間違いでは?」と思ってしまいます。

4行目の「Patrh.:dou. 101 L. 41 Gesch.:dou. 8 L. 41(t)」は薬莢と弾丸の製造者、ロット番号、製造年についての表記です。
「Patrh.」は「Patronenhülse(薬莢)」の略、つづく「dou.」は2行目と同じで製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」の コードです。以下ロット番号が101、1941年製です。その次の「Gesch.」は「Geschoß(弾丸)」の略。「dou. 8 L. 41(t)」は、やはり上記と同じく製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」のコードと、ロット番号が8、1941年製です。最後の(t)は、1行目と同じく「チェコ製」の意。

5行目の「Znh.08:dou. 70. L. 41」は 雷管の製造者、ロット番号、製造年についての表記です。
「Znh.」は「Zündhütchen(雷管)」の略。「Zündhütchen 08」は即ち「08式雷管」の意です。「dou. 70. L. 41」は、やはり上記と同じく製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」のコードと、ロット番号が70、1941年製の意です。

↓封印を破ってフタを開けると…、(嘘です。既に開封されていました。撃発済みのカートが入っているのですからね。)


↓16発のカートが紙で仕切られて入っています。弾頭が上になっているのと下になっているのが交互になっていますが、これは前オーナーから譲り受けた時にこうなっていたのを再現しただけで、本来は全て弾頭が下を向いていたと思われます。なぜそう思うのかは後述。

↓カートを全部取り出すとこのような紙製の仕切りがあります。

↓仕切りを取り出しました(右下)。仕切りはクネクネとS字型に連続して曲げられたものの真ん中に一本真っ直ぐな帯を通した造りです。箱の底面に弾頭が擦れて出来た黒ずみがあるのが、先ほど本来は全て弾頭が下を向ける形でカートが収まっていたと思われる根拠です。


↓箱の底面2辺にはブリキ?製の小さな補強具があります。何て言う名称なんでしょうか?上梓直前に未撮影であることに気づき急遽スマホで撮りましたので、サイズ違いですみません。


↓これも撮影を忘れていて急遽スマホで。箱そのものへの刻印・エンボスは、この「41」のみ確認できます。「1941年製」の意です。私の持っている2箱のうち傷みの酷い方にだけにあり、今まで見て参りました傷みの少ない方にはありません。ラベルに隠れてしまっているのでしょうか。

ネットで調べると、年代のほか製造者のロゴの刻印がある例も多くあります。

↓カートを取り出す前の状態へ戻ります。薬莢底面の刻印と弾頭が見えます。

真ん中の雷管(プライマー)の凹みは撃発痕ですよ。発火済みの証です。もちろん薬莢の中には火薬はありません。撃ち殻薬莢に弾頭をもう一度取り付けたダミー・カートです。くれぐれも誤解なさらないで下さいね。

↓底面の刻印です。先ほど上で見ましたラベル表記の4行目の薬莢についての部分と同じ情報が込められています。

↑12時の位置の「dou.」は製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」の コード、3時の位置の*印は薬莢の材質が銅含有率72%の真鍮であることを表すマークです。6時の位置の「101」はロット番号が101であることを示しています。9時の位置の「41」は製造年が1941年であることを示しています。また雷管の周りが群青色で塗られていますが、これはモーゼル弾などと同じくこのカートが「鉄芯弾(m.E)」であることを示しています。

↓鉄芯弾です。


↓当時のオフィシャルな仕様書です。芯であるFlußstahl(軟鋼)の少し細い下半分がWeichblei(軟鉛)で覆われ、さらにそれをFlußstahl tombak pl.(トンバックでコーティングされた軟鋼)で覆っている構造です。底面は覆われていません。軟鉛が剥き出しです。


↓弾頭のみを接写。トンバック・コーティングされているという事なんですが、色目は黒いです。黒色加工された鉄芯弾もあったそうです。


↓最後に45口径ACP(右)と比較してみました。45口径すなわち11.43mmとの差は2.43mm。弾丸の大きさで2.43mmの違いはやっぱり大きいですね。

これだけを見て考えると、前線に出るときにP-38かM1911A1(ガバメント)のどっちを持って行く?と尋ねられたら、M1911A1を選びそうな気がします。45口径を見慣れているので、9mmはどうしても華奢に見え、頼りなさそうに感じます。実際はそうではないんでしょうけれども。


いかがでしたでしょうか?
実弾撃ち殻ダミー・カートは、近時製造された「端からダミー」とはやはり趣が違います。もう今後入手するのは難しいと思いますので大事に保存したいと思います。
「実銃はダメだから、せめてアクセサリーを・・・」コレクションの中からのネタでした。

それではまた次回お会いしましょう!