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2016年09月19日

U.S. WWII M-1942ミート・カン(U.S. WWII M-1942 Meat Can)

みなさんこんにちは。
台風がゆっくり移動しているせいで、このところずっと当地大阪は雨が降ったり止んだり、気温は28度前後まで上がって湿度が高くムシムシしていまして、あんまり心地よくありません。しかしまぁ、リーンリーンと虫の声が聞こえてそれなりには秋を感じさせてくれます。

仕事、体調、その他もろもろの要因が重なって一カ月以上更新(新規投稿)が出来ませんでした。
ネタはいろいろあるのですが、「これ!」と決めてから写真撮影してテキストを書いて、間違いがないか確認して…と結構時間を要するので、なかなかまとまった時間が取れずにいました。
今般の連休をちょっと使って頑張って投稿します。


今回のネタは兵士達がホンの束の間の安息を得られる食事時に使用されたミート・カン(Meat Can(俗にメス・キットと呼ばれました))のひとつ、「M-1942ミート・カン(Can, Meat, M-1942)」です。
ミート・カンの原型はWWIよりもっと以前に「M-1874」の名前で出現しています。「M-1874」はこれからご覧いただく「M-1942」のひい爺さん的なモノで、基本的な作りはほぼ踏襲されています。
米軍の公式文書で確認できるモノとして「M-1910」のほか、「M-1918」、「M-1932」、「Can, Meat, Corrosion Resistant Steel」があり、今回は出てきませんが別の機会にあらためてご紹介したいと思います。

↓M-1942ミート・カン(Can, Meat, M-1942)です。

初めてごらんになる方はどんな構造なのかわかりにくいと思いますが、以下順に見ていただくとお分かりいただけます。

↓真上から。


↓横から。


↓バラしてみました。

パン部分とパーティションのついたトレイに分かれます。

↓トレイを下向きにしてパンの上に被せて、パンの柄で上から押さえて固定するという構造になっています。


↓トレイを重ねたところ。トレイのパーティション部分の谷間にパンの柄が収まる形になってます。上の画像とは向きが左右逆になってますね。すみません。


↓このようになります。収納時には柄の先とパンの縁とが留め金のように作用するので、不意に開くことはありません。


↓反対側。


↓柄には特にロック機構がありませんから、パンとして使うときには注意が必要です。


↓配給を受ける容器でもあり、かつ、自分でストーブを使って調理するための器具にもなります。


↓パンの深さは約35mmあり、一人分ならどんな調理もできます。


↓トレイです。15mm程の高さの仕切りがあるので、汁気のあるものとそうでないものとを分けておくことができ、便利です。


↓トレイのリングにパンの柄を通して…、


↓このようにセットすると…、


↓このように片手だけでどちらの器も安定して持つことができます。、


↓トレイのリングをパンの柄に通して…、


↓あとスプーンとフォークとナイフもそれぞれにある穴を同じくパンの柄に通して…、

このまま熱湯にくぐらせて洗浄できるようになっていました。

↓パンの柄の先端には、紐などを通して熱湯の中に柄も含めて全体を浸けられる様に穴が開けられています


↓パンの柄に施された製造者と製造年等の表示。

U.S.
M.A.Co
1945
1945年「Massillon Aluminum Company」製です。この柄の部分の亜鉛メッキはかなり剝がれています。

↓当ブログでたびたび出てきます「QUARTERMASTER SUPPLY CATALOG」からの抜粋です。
上が1943年8月版、下が1946年5月版です。これまで見てきましたCan, Meat, M-1942は上の1943年8月版にストック・ナンバー「74-C-62」として出ています(赤下線部分)。


ところが下の1946年5月版の画像の赤下線部分を見てください。同じストック・ナンバー「74-C-62」で、品名が「Can, Meat, Aluminum」になっています。「M-1942」が取れた代わりに「Aluminum」という語が入っています。この辺りに制式名称と実物についての混乱の元があると思います。

実はこの「M-1942」については、いろんな方の著作物・研究書を見ても、その材質についての記述が多岐にわたっており、私自身も未だ完全な確証を得てはおりません。「『M-1942』には初期のアルミ製のモノと後期のステンレス製のモノがある」とか、「『M-1942』はステンレス製である」とか諸説ありますが、どの説も完全に首肯せしめるだけの論拠を示しておらず、今後の研究が望まれます。
「ストック・ナンバーが同じなのであるからモノ(素材)は同一で、名称だけ変えたのではないか」、「素材に違いがあっても制式名称が同じであることは特段おかしくないのだ」、「QMカタログの写真が間違っているのだ」等々諸説の根拠の枚挙にはいとまがありません。

私は今のところ、この両カタログの記述と手にしたことのある現物等を総合的に勘案した結果、
「ストック・ナンバーは同じ『74-C-62』であるが、『M-1942』は亜鉛メッキ鋼板製で、『Can, Meat, Aluminum』は文字通りアルミ製である。」
「参戦後『M-1932』の在庫量が足りず、素材を当時貴重品目となっていたアルミではなく亜鉛メッキ鋼板で造り、あらたに『M-1942』、ストック・ナンバー『74-C-62』」として制式化・量産した。その後アルミの使用を許されることとなった同年秋に材料をアルミに変えたが、同じ制式名称のままで素材が違っていては混乱するので、制式名称にキチンと『Aluminum』と入れ、『M-1942』を外した。ストック・ナンバーは変える必要が特に無いのでそのままにした。『Can, Meat, Corrosion Resistant Steel(ストック・ナンバー:74-C-66)』(上の画像の緑下線のモノ)はその後アルミに代わってステンレスを素材として制式化され、そのまま70年代まで製造された。」
と見ています。

↓これはCan, Meat, Corrosion Resistant Steelです(但し名称は1960年代に「Pan, Meat」に変わっています)。


↑柄の部分の拡大です。
U.S.
S/L MFG. 1965
DSA-4-055006-TR530
管理識別コードがDSAコードに代わった後の1965年製のステンレス製ミート・カン(パン)です。S/L MFG.が何という製造者かまだ知りません。
この個体はコレクションというより実用にと購入したサープラスモノで、キャンプやちょっとしたハイキング、トレッキングにバーナーとともに持って行ってハムエッグやスクランブルエッグ、フレンチトーストを作ったり、ソーセージを炒めたりハムを焼いたりと、いろんなことができるので重宝しています。


いかがでしたか?実用できるコレクションは良いですね。現在ではWWIIヴィンテージモノだと程度の差こそあれ4,000円も出せばかなり程度のよいモノが手に入ります。サープラス品だと2,000円もあれば新品を手に入れるのも可能です。
兵士のほっと一息タイムを疑似体験できます。これから秋の行楽シーズンに入り、野山でコーヒー沸かして自分なりのレシピでちょっとした食事を作って食べる事が楽しくなってきますね。

それではまた次回お会いしましょう。




  

Posted by Sgt. Saunders at 17:36Comments(0)米軍(U.S.)Mess kits, Utensils