QRコード
QRCODE
< 2024年04月 >
S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
オーナーへメッセージ

コレクション ブログランキングへ

2016年06月05日

ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

こんにちは。お久しぶりです。

梅雨前なのに気温が30度近くまでになったと思ったら、ここ数日は朝晩ちょっと涼しすぎる当地大阪から、原則大体隔週刊という自主目標を安易にかなぐり捨て、「原則があれば例外あり」と、半ば開き直って約1か月ぶりに投稿いたします。昨日大阪も梅雨入りしたんだそうです。

かなぐり捨てる、と言えば、かの総理大臣。必ず消費税増税をおこなって・・・プライマリーバランスを云々・・・とおっしゃっていたのに、「新しい判断」とやらで、要するに公約に違背して、事実をごまかし(ごまかすことが出来たと思っているところがまた彼の凄い所であります)公約不実行を高らかに謳い、開き直っています。


さて今回は久しぶりにドイツ軍モノ、銃器関連モノをお送りします。
今では考えられませんが、10年ほど前くらいは海外からダミーカート(端からダミーとして作られたモノだけでなく、撃発後の撃ち殻薬莢に弾頭を付けたモノも含めて)を購入・輸入するのは特に難しいコトではありませんでした。
米軍の30-06弾の撃ち殻ダミーを輸入した時に「弾薬類に当たるから輸入許可証を見せよ」と税関(外郵出張所)から言われたことがありましたが、「撃ち殻に弾頭を付けただけのモノであり、胴体には穿孔されており、もはや再生不可能ですから云々・・・」と説明したら通してくれました。薬莢への穿孔が無くても通してくれました。輸入割当についても何も仰いませんでした。もう15年以上も前のことです。
今回取り上げますカートもそんな頃に輸入したモノなのですが、今でしたら恐らく輸入不可能でしょう。大事にしたいと思います。

現在多くの国(と言うか多くのサブマシンガン、ハンドガン)で使用されている9mmパラべラム(9x19mm)の元祖である、ドイツで開発されWWⅠ以前から使用された「Pistolenpatronen 08(08式ピストル弾)」です。
P-08(ルガー拳銃)やP-38(ワルサー拳銃)、MP-38/40(いわゆる『シュマイザー』短機関銃)で使用されました。開発経緯など概説についてはWikipedia(←クリックすると別ウィンドウが開きます)でご覧ください。私なんかが今更したり顔で説明するには及びません。ここでは省略いたします。

↓1941年製のドイツ軍ピストル弾「Pistolenpatrone 08」の最小梱包です。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
↑16発が1つの紙箱に入っています。1箱でP-08拳銃・P-38拳銃のマガジン2個分の弾薬が賄えることになります。MP-38/40のマガジンなら2箱必要です。

ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
↑私の持っているこれら2箱は、箱の糊付けされた部分を封印するような形でラベルが貼られています。書籍やウェブ上では、ラベルが箱の側面に張られているモノの方が多いような気がします。時期によって違うのでしょうか?製造会社による違いなのでしょうか?まだ解明できていません・・・。

ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
↑仕方が無いのでラベルを部分的に切り取る形で見てみましょう。まずラベルの左半分です。

ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
↑右半分です。ラベルは切手や収入印紙のように目打ちされたモノが切り離されて貼付されているのが分かります。上述の、箱の側面に張られているタイプのラベルは縁がストレートにカットされているんですけどね。

↓やっぱり少し見にくいので立てて撮りました。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
↑曰く、

16 Pistolenpatr. 08 m.E.(t.)
dou. 133. L. 41
Nz. Stb. P. n/A. (0,8・0,8) rdf 1940 L. 6
Patrh.:dou. 101 L. 41 Gesch.:dou. 8 L. 41(t)
Znh.08:dou. 70. L. 41

↑黒文字は印刷、赤文字スタンプによる表記です。

1行目の「16 Pistolenpatr. 08 m.E.(t.)」は弾薬の種類、タイトルです。
「16」は言わずもがな「16発入り」の意。「Pistolenpatr.」はPistolenpatronen(ピストル弾)の略です。「m.E」 は「mit Eisenkern(鉄芯弾頭)」の略。
最後の「(t.)」は、実は今のところ確証を得てないのですが、8mmモーゼル弾にもある「Tropen」の例に於けると同じで「tropen(熱帯用)」ではないかなと考えております(間違っていたら済みません)。チェコ製(ドイツ語で「tschechische」)である、という意味だそうです。(2021年4月10日加筆訂正。以下本文を若干改訂しています。)
即ち本個体の名称は「16発入り 08式ピストル弾・鉄芯弾頭・(チェコ製)」です。

2行目の「dou. 133. L. 41」は製造者とロット番号および製造年です。
「dou.」は製造者「Waffenwerke Brünn A.G., Werk Povaszka Bystrica」の製造者コードです。チェコのブルノ兵器工業の、チェコとの国境に近いスロバキアの都市Povaszka Bystrica(ポヴァスカー・ビストリツァ)の工場の製造者コードです。「133」はロット番号、「L.41」は1941年製の意です。

3行目の「Nz. Stb. P. n/A. (0,8・0,8) rdf 1940 L. 6」は装薬種類と製造者、ロット番号、製造年です。
「Nz. Stb. P. n/A.」は「Nitrozellulose Stäbchen Pulver neuer Art(ニトロセルロース桿状体火薬・新型)」の略です。「桿状」というのは「棒状」と同じ意味です。「(0,8・0,8)」は、この桿状体火薬の寸法「直径0.8mm・長さ0.8mm」を表わします。「rdf」は、製造者「Westfälisch-Anhaltische Sprengstoff A.G. (WASAG)」の、ザクセンにあるラインスドルフ工場の製造者コードです。その後ろ「1940 L.6」は、普通に読めば「ロット番号1940、1936年製造」なのですが、「ロット番号が6で製造が1940年の間違いでは?」と思ってしまいます。

4行目の「Patrh.:dou. 101 L. 41 Gesch.:dou. 8 L. 41(t)」は薬莢と弾丸の製造者、ロット番号、製造年についての表記です。
「Patrh.」は「Patronenhülse(薬莢)」の略、つづく「dou.」は2行目と同じで製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」の コードです。以下ロット番号が101、1941年製です。その次の「Gesch.」は「Geschoß(弾丸)」の略。「dou. 8 L. 41(t)」は、やはり上記と同じく製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」のコードと、ロット番号が8、1941年製です。最後の(t)は、1行目と同じく「チェコ製」の意。

5行目の「Znh.08:dou. 70. L. 41」は 雷管の製造者、ロット番号、製造年についての表記です。
「Znh.」は「Zündhütchen(雷管)」の略。「Zündhütchen 08」は即ち「08式雷管」の意です。「dou. 70. L. 41」は、やはり上記と同じく製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」のコードと、ロット番号が70、1941年製の意です。

↓封印を破ってフタを開けると…、(嘘です。既に開封されていました。撃発済みのカートが入っているのですからね。)
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓16発のカートが紙で仕切られて入っています。弾頭が上になっているのと下になっているのが交互になっていますが、これは前オーナーから譲り受けた時にこうなっていたのを再現しただけで、本来は全て弾頭が下を向いていたと思われます。なぜそう思うのかは後述。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓カートを全部取り出すとこのような紙製の仕切りがあります。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓仕切りを取り出しました(右下)。仕切りはクネクネとS字型に連続して曲げられたものの真ん中に一本真っ直ぐな帯を通した造りです。箱の底面に弾頭が擦れて出来た黒ずみがあるのが、先ほど本来は全て弾頭が下を向ける形でカートが収まっていたと思われる根拠です。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓箱の底面2辺にはブリキ?製の小さな補強具があります。何て言う名称なんでしょうか?上梓直前に未撮影であることに気づき急遽スマホで撮りましたので、サイズ違いですみません。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓これも撮影を忘れていて急遽スマホで。箱そのものへの刻印・エンボスは、この「41」のみ確認できます。「1941年製」の意です。私の持っている2箱のうち傷みの酷い方にだけにあり、今まで見て参りました傷みの少ない方にはありません。ラベルに隠れてしまっているのでしょうか。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
ネットで調べると、年代のほか製造者のロゴの刻印がある例も多くあります。

↓カートを取り出す前の状態へ戻ります。薬莢底面の刻印と弾頭が見えます。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
真ん中の雷管(プライマー)の凹みは撃発痕ですよ。発火済みの証です。もちろん薬莢の中には火薬はありません。撃ち殻薬莢に弾頭をもう一度取り付けたダミー・カートです。くれぐれも誤解なさらないで下さいね。

↓底面の刻印です。先ほど上で見ましたラベル表記の4行目の薬莢についての部分と同じ情報が込められています。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
↑12時の位置の「dou.」は製造者「Waffenwerke Brünn A.G.,Werk Povaszka Bystrica」の コード、3時の位置の*印は薬莢の材質が銅含有率72%の真鍮であることを表すマークです。6時の位置の「101」はロット番号が101であることを示しています。9時の位置の「41」は製造年が1941年であることを示しています。また雷管の周りが群青色で塗られていますが、これはモーゼル弾などと同じくこのカートが「鉄芯弾(m.E)」であることを示しています。

↓鉄芯弾です。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓当時のオフィシャルな仕様書です。芯であるFlußstahl(軟鋼)の少し細い下半分がWeichblei(軟鉛)で覆われ、さらにそれをFlußstahl tombak pl.(トンバックでコーティングされた軟鋼)で覆っている構造です。底面は覆われていません。軟鉛が剥き出しです。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓弾頭のみを接写。トンバック・コーティングされているという事なんですが、色目は黒いです。黒色加工された鉄芯弾もあったそうです。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)

↓最後に45口径ACP(右)と比較してみました。45口径すなわち11.43mmとの差は2.43mm。弾丸の大きさで2.43mmの違いはやっぱり大きいですね。
ドイツ軍08式ピストル弾 (Pistolenpatrone 08)
これだけを見て考えると、前線に出るときにP-38かM1911A1(ガバメント)のどっちを持って行く?と尋ねられたら、M1911A1を選びそうな気がします。45口径を見慣れているので、9mmはどうしても華奢に見え、頼りなさそうに感じます。実際はそうではないんでしょうけれども。


いかがでしたでしょうか?
実弾撃ち殻ダミー・カートは、近時製造された「端からダミー」とはやはり趣が違います。もう今後入手するのは難しいと思いますので大事に保存したいと思います。
「実銃はダメだから、せめてアクセサリーを・・・」コレクションの中からのネタでした。

それではまた次回お会いしましょう!








同じカテゴリー(ドイツ軍(Germany))の記事画像
8mmモーゼル弾(5):7.92x57 IS(Patronen schweres Spitzgeschoß)(#5)
原点「コンバット・マガジン」(
ドイツ軍モノの真贋判定手段としての製造者コード・Waffenamt
ドイツ軍M44フェルトブルーゼ・複製品(WWII German Feldbluse 44)
ドイツ軍機関銃用弾薬ベルトリンク・その2(Munitiongurt für Maschinengewehr:Nr.2)
ドイツ軍7.92mm小銃弾300発カートン(WWⅡGerman 300 cartridges carton)
8mmモーゼル弾(4):7.92x57 IS(Patronen schweres Spitzgeschoß)(4)
ドイツの煙草「Regie」(German Tobacco,
Meldekartentasche, M35(WWⅡドイツ軍M35マップケース)
みんなの検定「軍装マニア検定試験‐WWⅡドイツ陸軍・3級(Militaria Enthusiast Exam)
ドイツ軍M30ガスマスク(3)(Gasmaske 30 und Tragbüchse(3))
ドイツ軍M30ガスマスク(2)(Gasmaske 30 und Tragbüchse(2))
ドイツ軍M30ガスマスク(1)(Gasmaske 30 und Tragbüchse(1))
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。