QRコード
QRCODE
< 2024年04月 >
S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
オーナーへメッセージ

コレクション ブログランキングへ

2018年09月02日

M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

皆さんこんにちは。
台風21号が接近しつつあり、4日には雨風がとても強くなるとの予報が出ております当地大阪、今朝方は晴れて風もそれほど強くなく、時折ツクツクボウシの鳴き声が響き、至って平穏な晩夏を迎えております。定刻を3時間余り過ぎての投稿です。

さて今回採り上げますのは2回前にお送りしました記事「M-1943イントレンチング・ショベル(M-1943 Intrenching Shovel)」(←過去記事を別ウィンドウで開きます。今回の記事と並べてご覧頂くと相違点が良くお分かりいただけると思います。)の後継モデルとなります「M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)」です。土を掘るためのショベルに、固い地面を穿ち掘り起こすための「ピック・ブレード(ツルハシ)」を加えて、より一層塹壕を構築しやすく改良されました。また同時にこのM-1951イントレンチング・ツールは旧式のM-1910ピック・マトックの役割も引き継いで置換されることとなりました。

↓まずはキャリアーに収まっている図からご覧ください。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓フラップを開けます。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓上へ引き上げて、
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓はい、引き上げて…と、
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓抜き取りました。柄は木製でショベル・ブレード(匙部)は鋼製で、全体がOD色で塗装されているのはM-1943と同じです。OD色の色調はヘルメットの塗装等と同様WWII時のやや暗いODから、もっと明るいODへと変わりました。このM-1951は、畢竟「M-1943にピック・ブレードを追加したモノ」であると言えます。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓M-1943と並べてみましょう。上は前回出たM-1943、下が今回登場のM-1951です。塗装の色調の違いがお分かりいただけると思います。また、M-1943はショベル・ブレードが角ばった五角形のホームベース型と言えるのに対し、M-1951は弾丸型と言いますか、角が丸められています。また、その趣旨が分からないのですが、M-1951のブレードの両隅には直径9mm程の孔が空けられました。何のためなのでしょうか?
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ブレードの長さは全く同じです。上↑の画像では手前側のM-1951のブレードがM-1943よりも長く見えていますが、レンズの所為です。
M-1943では固定ナットが見えますが、M-1951では固定ナットがピック・ブレードに覆われて見えにくいですね。ピック・ブレードそのものが柄と色が同じなので溶け込んで見辛くくなっています。
ブレードとヒンジとはどちらも4つのリベットで結合されています。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓柄を横から見ました。上で触れたピック・ブレードの位置関係がお分かりいただけます。M-1951の柄の末端には孔が穿ってあり、例えばフックに引っ掛けておける等、少し便利です。また、この画像では分かり辛いですが、柄の形状が、M-1943では太い部分・くびれている部分とも断面は円形なのに対して、M-1951ではくびれている部分は楕円形です。2つ上の画像ではどちらも同じ程度のくびれがありますが、本画像ではM-1951の横から見たくびれが小さいのがお分かりいただけますでしょうか?
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓再びM-1951を。この視点からは柄のくびれが大きいのが分かります。上の画像の角度からだとあまりくびれていないのがお分かりいただけると思います。M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)
本個体はブレード先端に錆はありますが、それ程使い込まれてなかった様です。ブレードのOD塗装の剥げ具合が比較的少なく、柄の塗装もかなり残っています。

↓ショベル・ブレード裏側の拡大です。丸みを帯びた形状は、「イザとなれば白兵戦の武器になる」というのを忘れさせそうです。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ブレードの表側です。厚く頑丈なピック・ブレードがショベル・ブレードの反対側にセットされています。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ショベル・ブレード隅に施された刻印。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)
U.S.
H-W
1952
とあり、1952年H-W社製造であることが分かります。と言っておきながら、実はまだ「H-W」についてさっぱり分かっていません。
本個体はM-1951が世に出て間もない1952年製ですが、M-1951自体はその後ヴェトナム戦争後期の1969年に3つ折りの新型イントレンチング・ツールが採用されるまで同一スペックで製造・支給が続けられました。代表的な製造者としてはWWII時代から納入が続く「AMES」社が有名です。

↓ソケット・固定ナット・ワッシャー・ヒンジ部を横から見た図です。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓まずは固定ナットを...、
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓普通のネジと同様回転して緩め…、
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓はい、緩めて…、
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ピック・ブレードのみを起こして「片ツルハシ」として使うようにしてみましょうか。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓この角度まで起こしてナットを…、
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓締めます。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓はい、「片ツルハシ」になりました。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ナットを緩めてピック・ブレードを柄とに一直線になるようにしてナットを締めれば、これ何になったと言えますでしょうか?銛(モリ)?鎗(ヤリ)?ちょっと寸足らずですが銃剣術に使えるような...。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ショベル・ブレードも起こして、「ピック・マトック」になりました。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ショベル・ブレードのみ起こせば「鍬」になるのはM-1943と同様です。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ショベル・ブレードを伸ばして「ショベル・モード」です。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ヒンジ部分の拡大です。ショベル・ブレードのヒンジの外側にピック・ブレードのヒンジが被さる形になってます。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ピック・ブレードを拡大。先端には35度位で刃が付けられています。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓反対側から。厚みは6~7mm程あり、朝鮮半島の高地凍土をも穿つのに十分そう?です。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓M-1943イントレンチング・ショベル・キャリアに代わり、ヴェトナム戦争の勃発前に制式化されたいわゆるM1956装備(M1956 Individual Load-Carrying Equipment)の一構成要素としての、新しいキャリア「M-1956イントレンチング・ツール・キャリア」に収まった図です。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)

↓ピック・ブレードが付いていないM-1943イントレンチング・ショベルを収めるためのM-1943イントレンチング・ショベル・キャリアに、ピック・ブレードの付いたM-1951が収まるのか試しましたが、このように特に支障なく収まりました。若干パッツンパッツンな気もしないではないですが。
M-1951イントレンチング・ツール(M-1951 Intrenching Tool)


以上見て参りましたが、如何でしたでしょうか?

M-1943の後継・改良と併せ、旧式で重く嵩張る分解式のM-1910ピック・マトックとを統合して1951年に制式化され実際の支給・配備は1952年からとなった今回のM-1951ですが、実は既に1944年の終わり頃には需品部(QM)はM-1943にピックを追加するトライアルに着手しており、そうこうしているうちに大戦が終結してしまったのですが、その後研究が続けられてM-1951へと発展したのでした。

M-1943と同じく、あまり市場では人気がないのか出物は少ないですが、ある程度状態のいいモノが大体5,000円前後で入手可能です。ヴェトナム戦のモノは比較的見つけやすいです。今回の個体のように1950年代製のモノは見る機会が少なくなってきたと思います。



それでは今回はこの辺で失礼いたします。台風の襲来には十分気を付けましょう。さようなら。






同じカテゴリー(米軍(U.S.))の記事画像
M-1910 イントレンチング・ショベル・キャリア(M-1910 Intrenching Shovel Carrier)
US M-1937 ウェブ・ウェスト・ベルト(M-1937 Enlisted men Web Waist Belt )
US M6バイオネット(続き)(U.S. M6 Bayonet-Knife(Cont.))
US M6バイオネット(U.S. M6 Bayonet-Knife)
US 通信兵TE-33 キット(CS-34 パウチ, TL-13-A プライヤー, TL-29 ナイフ)
US GI ポケット・ナイフ その2(US General Purpose Pocket Knife Vol.2)
U.S. M1936ピストル・ベルト②(M1936 Pistol or Revolver Belt Vol.2)
US GI ポケット・ナイフ(US General Purpose Pocket Knife)
US  レンザティック・コンパス(ヴェトナム戦時)(US Lensatic Compass(Viet-Nam era))
M-1956 H型サスペンダー「初期型」(M1956 Combat Field Pack Suspenders)
U.S.ステンレス・スティール・カップ(U.S. Stainless steel Cup)
U.S. MIA1 ガス・マスク その3(U.S. MIA1 Gas Mask #3)
U.S. MIA1 ガス・マスク その2(U.S. MIA1 Gas Mask  #2)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。