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2021年08月15日

M-1956 H型サスペンダー「初期型」(M1956 Combat Field Pack Suspenders)

みなさん、こんにちは

コロナだオリンピックだと言ってる内にもう立秋を過ぎて、季節は秋へと向かっているのでしょうか。
ここ数日はまた線状降水帯が各地で河川氾濫・山崩れ・土砂崩れを引き起こし、犠牲者を発生させてしまいました。早めの避難が肝要です。

夏のコスプレと言えばヴェトナム装備かWW2PTO装備か、ETOでもHBT主体の出で立ちか。色々考えられますね。夏サバゲしたいですね。

さて終戦記念日の今回の投稿、ヴェトナム戦装備から。M1956装備の基本中の基本、その形状から「H型サスペンダー」と呼ばれるM-1956コンバット・フィールドパック・サスペンダー(Suspenders, Field Pack, Combat, M1956)を持ってきました。

↓まずM1956装備システム(M1956 Load-Carrying Equipment)のうち今回採り上げるサスペンダーの解説をするのに最低限必要になるモノだけ組み合わせました。今回採り上げるH型サスペンダー、「M1956ピストル・ベルト(コレクター向けに言えば「縦織後期型」)」「M1956弾薬ケース」M1956 コンバット・フィールドパックです。本来の実戦装備となると水筒やファーストエイド・パケット・パウチや他にも色々な装備品の荷重を担うことになります。


↓あらためてM1956 LCEをマニュアルから。この図で「2」が今回のM-1956 H型サスペンダーです。当ブログでまだ取り上げてなかったのは今回の「2」と、あと「8」ですね。「8」もそのうち取り上げます。


↓今回はH型サスペンダーだけを見ます。画像上方は着用時に臍の両側でピストル・ベルトに連結する「前側ストラップ」、続く幅広・肉厚のショルダー・パッド部、ショルダー・パッド部両端から下方へ伸びてM1956(のちにはM1961)コンバット・フィールド・パックなどの連結タブに繋がる「背面ストラップ」の3部分で構成されます。装着時に左右の鎖骨辺りに当たる部分には「X型サスペンダー」と同じように手榴弾のスプーンを引っ掛けたり、M1956ファーストエイド・パケット/コンパス・ケースのスライド・キーパー等を留めるためのループがあります。「H型」とは先輩モデルの「X型サスペンダー」に対比させての呼び方ですが、上が開いているので純粋なHの文字にはなってません。


↓もう薄く掠れていますが小さく「US」のプロパティ表示スタンプ。


↓裏表をひっくり返しました。ショルダー・パッド部は表側がコットンウェブですが、このように裏側に厚いパッドが縫い付けられています。


↓こちらに制式名称、契約番号、連邦備品番号(FSN(Federal Stock Number))のスタンプがあります。


↓制式名称:「SUSPENDERS, FIELD PACK, COMBAT, M1956」、契約番号:「QM (CTM) 10280-E-61」、FSN:「8465-577-4923」。契約年度が1961年予算年度であると分かります。2行目の右の方に「04」のスタンプがありますが、これは恐らく製造ロットの類だと思われます。


↓パッド部分には恐らく廃フェルトようのモノが詰まってると思います。切り裂いて見たことはありませんが。


↓ベルトやフィールド・パックその他ハトメ穴に通すフック。この画像を見て「アレ?」と思う方があるかも知れません。あとでまた触れます。


↓外側の青マルが臍の両側へ来るフック、内側の赤マルが背中のフィールドパックなどに繋げるフック。


↓このように青マルのフックはベルトを支えるため臍のすぐ脇で繋がり…


↓(冒頭の画像をもう一度) このように背中側では赤マルのようにフィールドパックの連結タブに繋がります。もちろんパック無しで直接ピストル・ベルトに連結しても「間違い」ではありません。


↓ストラップの長さは、前後どちらもこんなタイプのバックル(cam friction buckle)で調節します。パチンと留めるタイプのバックルです。「目」型のラダー型バックルではありません。


↓ストラップの末端にフックが固定されており、バックルを使って長さを調節します。いわゆる通称「M1943」X型サスペンダー等は、ストラップの末端にフックがあるわけではなく、ストラップのどの位置にでもフックを置くことが出来る反面、長さを調節した結果余分なストラップがブラブラ遊ぶことがあり、パラトルーパーなどはブラブラとバタつかないようにテープで束ねて始末したりしまたが、本サスペンダーではそんな必要が無い作りになってます。


↓さっき少し触れましたが、バックルの基本構造は、例えばアムニッション・スモールアームズ・ケースのサスペンダー連結用ストラップやM1コットン・スリングなどのモノと同じです。


↓ショルダー・パッド部分の前端にある長方形の金属リンクは、このようにアムニッション・スモールアームズ・ケースのサスペンダー連結用ストラップのフックを掛けるためのモノです。こうすることにより、弾薬の詰まったケースの荷重のかなりの部分を直接的にサスペンダーに負わせることが出来、ピストル・ベルトに掛かる割合を削減出来ます。また、今回は登場しませんがM1956スリーピング・バッグ・キャリアー(上述のM1956 LCEの図の「8」)を背負う時に、キャリアーのストラップを背面からここに通してまた後ろへ折り返すための折り返しポイントとしての役割もあります。もちろん他にも個々の兵士が使いたいように使っていました。


↓上の方で「アレ?」と思われた方...云々は、これについてです。本記事のタイトルでもお分かり頂けるかと思いますが、一応コレクター間では区別して扱われていますので、私もその慣習に倣って以下の特徴を持つモノを「初期型」と表記しました。公式なスペック変更であるかどうかは実はまだ私突き止めておりません。前ストラップのベルト連結フック金具の構造の違いによる区別です。左が今回のモノ(「初期型」)、右が「後期型」とされているモノです。左の初期型は一本のワイヤーを曲げ曲げして要所を熔着して作られているのに対して右の後期型では金属板のプレス打ち抜きで作られています。


↓裏側から。


↓フックに付随した斜め上向きのリンクは、先程にも触れましたM1956スリーピング・バッグ・キャリヤーを背負う際にキャリヤーの下方ストラップをここに通して折り返して固定するのに使われます。


↓背面ストラップのフックも、左の初期型は前側ストラップと同様ワイヤー曲げ曲げフックですが、右の後期型になるとWW1以来のバネ板を伴ったスナップ・フックに取って替えられました。


↓横から。左の初期型は前側ストラップのモノと同様それなりに外れにくくなるように細かく曲げ曲げして作られていますが、それでも外れやすかったのでしょうか、右の後期型では偶然では滅多に外れないようなスナップ・フックが用いられました。色々調べましたが、1961年頃から後期型の製造が始まったそうです。


↓うっかり画像を消去してしまったので背景違いで再度撮影しました。金具への刻印です。前後のフックを擁している各ストラップ末端の金具に刻印があります。どちらも「錨」で、North & Judd Mfg. Co.製であることが分かります。


↓前側ストラップのフック。


↓背面ストラップのフック。



正式名称上、あるいはFSNやストックナンバー上の変更があるかどうか分からずのうちに、「初期」「後期」と呼ぶのは如何とは思いますが、一般的に金具の違いで区別して呼ばれているので、私も今回「初期型」としてご紹介しました。
初期型は後期型に比べればなるほど見る機会は余り多くないかなとも思いましたが、それ程レアでもないような...というのが私の印象です。
今回のモノを入手した際も、余り見ない初期型だという事で特に価格が後期型に比べて高かったというような覚えがありません。現在でもebayで$15程でBuy It Nowで出品されています。国内ですと結構高めの価格設定が見られます(5,000円以上とか)。アメリカでは日本ほどは初期か後期かでの価格差・こだわりは無いのでしょうか。

体格に応じてサイズ展開はRegular、Long、XL(Extra-Long)の3種がありました。本品はFSN末尾が「4923」なので「L」です。後期型のモノにはサイズ表記が「R」とか「L」とかしっかりスタンプされているのですが、初期型については本品のようにサイズ表記が無いモノがあるようで、FSNなどから判断するか、実測しないといけません。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。夏バテしていなければ、コロナに負けていなければ、また2週間後にお会いしましょう。
ご機嫌宜しゅう…。







  

Posted by Sgt. Saunders at 12:00Comments(0)米軍(U.S.)Suspenders

2021年08月01日

U.S.ステンレス・スティール・カップ(U.S. Stainless steel Cup)

みなさん、こんにちは。
温暖な気候(JOC曰く)が続いております。定刻を1時間過ぎてしまいました。済みません。

選手の頑張りを称える事と、感染拡大防止の為にオリンピックを中止すべきでは?という考えを表明する事は、何ら矛盾していません。巷間「中止を叫んでたメディアが手のひらを返して競技結果の報道をしている」との何ともチンプンカンプンな事を言う人がありますが、何を言ってるんでしょうかねぇ。同じ手のひらの上で言い得ることです。温暖な気候で頭がおかしくなったんでしょうか。
東京では1日の感染者数が4,000人を超えました。わが大阪の吉村知事は「『このまま行けば(大阪の)医療も間違いなく逼迫する』との認識を示している」んだそうで、まるで他人事のような物言いになっています。


さて今回はいつもより少しあっさりとお届けします。
WW2中に米軍が貴重なアルミ合金の節約のために水筒やカップ、ユテンシル類の新たな材料開発をおこなった結果、ステンレス鋼を材料として製造が始められましたが、今回その中から「カップ」を採り上げます。

↓ステンレス・スティール・カップ(Cup, stainless steel)(ストックナンバー:74-C-317-25)です。かなり程度の良いモノです。カップ本体は表面処理により薄く被膜が出来ていて、いわゆるツヤはありません。


↓「ステンレス・スティール・カップ」ですが、折り畳み式のハンドル(取っ手)は普通の炭素鋼に亜鉛メッキです。


↓ハンドルを展開したこの形ですと、カップの底面に加えハンドルの末端とで大きな三点支持となり、安定して平面に置くことが出来ます。


↓ハンドルに打たれたプロパティ表示、製造者名、製造年の刻印。製造者名はFoley Manufacturing Company、1945年製造。Foley社は食器関係のメーカーとして有名です。


↓カップの縁は玉縁仕上げ(bead)です。アルミ・カップの場合のロール仕上げとは異なります。


↓ハンドルを折り畳んだ状態。スライディング・ロックが下端に落ちています。ハンドルを使う際はこのスライディング・ロックの左右両側の円い爪をハンドル・ヒンジ上端左右両側の四角い爪の向こうに嵌めてハンドルを固定します。


↓折り畳んだ状態の反対側です。ハンドルに穿ってある細長い孔。水平の方の孔(画像では下部)は、カップの中身を温めようと火にかけた時に、ハンドルも熱く熱されて、ハンドルを直に持つと火傷してしまうのを避けるため、ここにフォークの先を通し入れて、フォークを持って火傷せずに火から下ろせるように穿かれた、という事らしいですが、実際やってみるとかなりブラブラしてちょっと危なっかしいです。ハンドルの先(画像では上部)の縦の孔は、ミート・カンやユテンシルと同じく、熱湯等にくぐらせて丸洗い洗浄する際にメス・キットのハンドルなどを通すためのものです。


↓最後に最近(もうやがて半年ほどは経ちますか)手に入れたQuartermasters Corps(需品部)の公式製図面です。と言っても、実は右下の記載の通り、正しくは1950年10月30日付のドローイングです。すぐ上に「1943年8月7日版付図面の9月18日付改訂1の更新」との記載があります。なお、その上のタイトルが「CUP, CANTEEN, CORROSION-RESISTING STEEL(カップ、キャンティーン、耐食鋼)」と、「ステンレス」という語ではなく「CORROSIN-RESISTING(耐食)」となっていることに注意です。


↓この1943年8月版Quartermasters Supply Catalogでも「ステンレス(stainless)」だったのが...


↓1946年5月版Quartermasters Supply Catalogでは「耐食(Corrosion-resistant)」という語に変わっています。ストックナンバーはどちらの版でも同じ「74-C-317-25」です。先ほどの図面上では、これまた微妙に異なる「Corrosion-resisting」と表記しており、意味は同じなのに語が変わっているのは何故なのでしょうか。



以上見て参りました。
ステンレス・スティール・カップは、WW2中製造分もWW2以降製造分も現在では出物は割と多いと思われますが、まとまった数が出るのは少ないでしょうか。ハンドルがワイヤー製になっていく1970年頃までは製造され続けた筈なので、流通量は多いと思うのですが。
カップ単品で売られるよりも、水筒本体とセット、或いはカバーもろともセットで売られることも多いようです。
本個体はもう10年程も前にアメリカのebayで他の商品と併せて購入したモノで、確かUS$10.00程度だったと思います。WW2中モノなら今でしたら国内で2,000円位は必要でしょうか。実例をあまり見ないので分かりません。ヴェトナム戦頃製造分ならもうちょっと手に入れやすいかも知れません。


それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお会いしましょう。ご機嫌宜しゅう。



  

Posted by Sgt. Saunders at 13:00Comments(0)米軍(U.S.)Canteens

2021年07月18日

U.S. MIA1 ガス・マスク その3(U.S. MIA1 Gas Mask #3)

みなさん、こんにちは。
いわゆる線状降水帯がまた日本各地に大雨をもたらし、道路・家屋の浸水や土砂崩れを引き起こしました。熱海の土石流は何やら100%の天災ではなく人災でもあるかのような側面も見えてきて、問題が複雑化しそうな雲行きです。
オリンピック開幕を5日後に控え、東京都の新型コロナウィルス感染者数は本日7時30分現在で1,410人となり、「第5波」が鮮明化してきました。また国外からの入国者管理施策にはいくつも穴が空いているのを露呈している事象が発生しています。「安心安全」はどう担保されるのでしょうか。

当地大阪は昨日17日に梅雨明けが発表されました。今朝も5時前から近くの公園のセミの鳴き声がミンミンワシャワシャ喧しいです。元より私暑いのは苦手ですが、ここ一週間以上雨降りの日が続いておりましたので昨日も今日も晴天が朝から広がるのを実に爽快に感じております。アホカリたのしそうだなぁー。

さて画像が多くなってしまった関係で続き物になっております「U.S. MIA1 ガス・マスク」ですが、今回が最終回になります。

↓記事のサムネ画像としてこちらを。MIVA1バッグの上に、マスク、吸気ホース、フィルター・キャニスター等をバッグ内部の収納位置に合わせて置きました。本当は吸気ホースを正中で畳まれた面体の中に挟まれるようにして収納します。もっと言うと面体が全く二つ折りになって山となる部分にカドが出来るのを防ぐ治具(スペーサー)を入れた状態で、その空間にホースを托し込むのが正解なのですが、私が入手した本個体には付いておりませんでした。いや、或いは支給前の未使用保管期間ではスペーサーが必要ですが、支給後はイザという装着時にイチイチスペーサーを外して…なんてやってられないので、スペーサーは適宜破棄されたのかも分かりません。


↓使用時以外、携帯中は蓋フラップを閉じます。


↓この画像は前回の最後の画像と同じで、マスク着用時にはバッグの蓋フラップを半開留めにして出来る空間から吸気ホースをこのように出します、と言うお話で終わりました。その続きでこのままバッグ内部を覗いて行きます。


↓画像の上下を装着時の鉛直方向に合わせてます。実際に身体に装着しているイメージで見てください。蓋フラップを再び全開にして中を覗くとフィルター・キャニスターが縦に収まっています。


↓バッグの中でフィルター・キャニスターが踊らないように、上下でウェブ・ストラップによってその位置が固定されています。


↓上のストラップはLift-the-dot留めになっておりまして、外して…


↓フィルター・キャニスター缶の上部を手前へ引っ張ると…


↓ゴソッと取り出せます。収納する時は逆の手順。まず下のストラップの輪の向こうにフィルター・キャニスターの底部を挿し込んでからキャニスター上部を奥に押し込んでLift-the-dotストラップで留める、ということです。下の方にぶら下がっているモノについては、また後で触れます。


↓見難い画像が続いてすみませんでした。キャニスターを取り外したバッグの中を覗きます。キャニスター固定ストラップがハッキリご覧いただけます。ストラップはカーキ系の色ではなく、ファウンテン・ブルー(カラーコードで言えば『#C0CDDC』あたり)です。


↓上のLift-the-dotを外した状態。


↓バッグの開口部から内側がもっと見えるように剥き剥きしました。


↓先ほど見ました下のストラップにぶら下がっている輪っかには…


↓この様にANTI-DIM-STICK(曇り止めスティック)の缶を挿すようになっておりました。この缶についてはまた後で触れます。何回も済みません。


↓先ほどの繰り返しになりますが、敢えて。バッグ内部にキャニスターを入れて、先に底部を下のストラップの向こうへ挿しこみ、キャニスター上部を奥へ押し込んで


↓上のストラップでキャニスター上部を抱きかかえさせる様にしてLift-the-dotを留めます。本日の記事の4番目の画像と同じ状態になります。


↓バッグの着用者側の面と…


↓外側の面にあるこれらの縫製ステッチは、内部のキャニスター固定ストラップをバッグ本体に縫い付けるのにできたものでした。


↓MIXA1フィルター・キャニスターです。MIXIA1は、マスク本体が総ゴム製になったM2以降M3になっても組み合わされて使われ続けました。これより前の同じような形のフィルター・キャニスターは数種類ありますが(MVⅢやMⅢRなど)、内部の構造が改良された程度で、無毒化のための化学物質(銅含浸チャコールとソーダ石灰)の組成は同じです。


↓「US MIXA1」とのプロパティ表示と形式名表示。あらためて見ると缶が結構凹んでますね。


↓こちらには製造者名略称「EAE」と、ロット番号「217」。撮影前に埃を拭き取るべきでした。汚いですね。


↓吸気ホースにも何やらロット番号のスタンプがあります。「LOT NO.56」の表示。


↓キャニスター底部真ん中に円形の吸気孔があります。切り欠きから見えているベージュ色のモノはゴム製の吸気弁です。マスク装着者が息を吸うとキャニスター内が陰圧になり、この弁が内側へ吸い寄せられて隙間が生じて吸気出来ます。装着者が息を吐こうとするとこの弁は外側へ押し付けられ、この画像の状態となって外気の侵入は遮断される一方で、当記事その1で見ましたように口元の排気弁から呼気が排気されるのです。缶底の左側に「横菱の中に『C』」のメーカーロゴ?があります。こちらも今のところ何というメーカーのモノなのか判っておりません。


↓曇り止めスティックの入った小缶。黄色みの強いOD塗装で、ウジャウジャ沢山記載されています。「THIS CAN CONTAINS ANTI-DIM STICK FOR GAS MASKS.“この缶にはガスマスク用の曇り止めスティックが入っている。”」


↓「使用説明書 汚れ・水分を全て取り除き、レンズを隈無く清浄にせよ。 次に乾いてきれいなマスク内側のガラスの表面に曇り止めを少量こすり付け...」


↓、「...化合物が均一に広がるように布でガラスを擦る。化合物を全て拭い去らないように注意せよ。」


↓「曇り止めスティックを使うべき時-化合物をガスマスクのレンズに…」


↓「...毎週、或いはマスクを着用した後に塗布せよ。」


↓製造者名表示。GLOBE CRAYON CO.,INC.。ニューヨーク、ブルックリン。クレヨンの会社が作ってたんですね。


↓ここにとても小さな字で「A.C.CO. 19A.M?」とありますが、何のことやら。


↓底面。特記無しです。


↓蓋です。こちらも特記無しです。


↓蓋を取りました。ネジが切ってある訳でなく、茶筒のように気密性のまあまあ高い「カポッ」と被せるタイプです。


↓ガーゼがクルクル巻かれた状態で収まっています。


↓「化合物」を芯にしてガーゼがクルクル巻かれていました。


↓「化合物」は鉛箔?のようなもので包まれています。油分がガーゼに染み出しています。


↓この「化合物」をレンズにこすり付けてガーゼで展ばすのですね。


↓経年劣化で包み紙はボロボロです。余談ですが、のちのちこの曇り止めは「スティックと布」から「チューブ入りのペーストと布」へ、更に「曇り止め材をあらかじめ染み込ませた布」へと改良されます。



はい、3回に亘ってお送りして参りました。リエンナクトやサバゲでガスマスクを装着することはあまりないので、興味を持たれる方もあまりいらっしゃらないかとは思いますが、何かのお役に立てればと願っております。

市場での出物もそうそう無いようです。本個体はもうカレコレ10年以上前の入手で、価格はeBayで$120ちょっとだったように思います。
米軍が採用したガスマスクの種類は多く、全てコレクションしようとは思いません。多分。よっぽど程度の良いモノが出れば分かりませんが。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお会いしましょう。さようなら。




  

Posted by Sgt. Saunders at 12:08Comments(0)米軍(U.S.)Gas mask

2021年07月04日

U.S. MIA1 ガス・マスク その2(U.S. MIA1 Gas Mask #2)

みなさん、こんにちは。

森友学園問題に係る赤城ファイルの開示非開示・再調査問題、新型コロナウィルスワクチンの接種に絡む確保・配分の問題、オリンピック・パラリンピックの有観客・無観客の問題、中国政府による香港の蘋果日報(Apple Daily)の事実上の強制廃刊、昨日発生した熱海の地滑り・土石流災害などなど悩ましいことが多いなか、ようやく梅雨らしく雨降りの多くなってきた当地大阪から、前回の続き「U.S. MIA1 ガス・マスク その2(U.S. MIA1 Gas Mask #2)」をお送り致します。

前回は収納バッグの外観までしか行けませんでした。今回はその続きでバッグからマスクを取り出して見て参ります。

↓この画像から始めます。バッグ本体の今見えている面が装備者の左脇腹に密着するように設計されています。上に見えているショルダー・ストラップを右肩に掛け、左側で輪を作っているベルト・ストラップを装備者の腰の周りにグルッと巻いて装着します。肩から掛けたバッグを腰周りにベルトで密着させる形です。装備者はバッグ右辺のフラップを自分のお腹側・手前側へ開いて中のガスマスクを取り出す形態になっています。


↓はい、フラップを開きました。今さっきフラップが留まっていたのは青丸のトコでしたね。では赤丸のLift-the-dotのオス部品は何のため?後で触れます。


↓上の方にバッグの名称「MIVA1」、その下に製造者略「E.A.E.」とロット番号。すみません。E.A.E.が何という会社の略なのかまだ分かっていません。


↓手書きで保有者記名があります。初代保有者の姓の頭文字はCで認識番号の下4ケタは3704、2代目保有者の姓の頭文字はGで認識番号の下4ケタは8123です。この「姓頭文字・認識番号下4ケタ」の記名方法はAR(Army Regulation)850-5で定められた正式なもので、他の個人装備品でもよく見られます。


↓中を見て参ります。マスクの面体と吸気ホースが覗いています。


↓緊急時に素早く面体を掴み出せるようにして収められています。


↓顔面に装着する面体に吸気ホースが連なって出て来ます。


↓吸気ホースは蛇腹になっており、ゴム製で表面はラクダのシャツのようなキャメル色のメリヤスで覆われています。その吸気ホースに何か被さっています。


↓容易に取り外せます。


↓アルミ合金製の薄い金属板を加工して作られた吸気ホース保護具です。やや明るいOD色で塗装されています。金具が擦れて塗装が剥げてます。


↓バッグ内に面体と吸気ホースを収納する際に、面体から下方に突き出している呼気バルブ保護のための黒色の鋼製のバンパーが吸気ホースを傷つけないよう、接触するであろう辺りにこれを被せて吸気ホースを守ります。


↓面体を見て行きます。面体もメリヤスで覆われたゴム製です。口元から顎下にかけてテープで溶着して面体の立体化が図られています。


↓吸気ホース側と排気弁側とに別れる部分(口吻部分)は鋳造パーツで、吸気ホースも排気弁もマスク本体も全てこのパーツとの結合はテープでグルグルと巻き押さえられて処理されています。


↓グレー色のゴムで出来た長い六角形の排気弁は、黒く塗装された鋼製のバンパーでガードされています。


↓排気弁の型式はMI です。薄いゴム板製の封筒の両側下部を斜めにカットしたような感じです。通常はゴム板がピッタリ重なっているのでここから外気が侵入することはなく、着用者が息を吐く時にその圧力でカット部分が押し拡げられて呼気が排出される仕組みです。この画像では手指で変形させてます。


↓鋼製の排気弁バンパーは普通の丸頭マイナスねじと…


↓普通の六角ナットで口吻パーツに取り付けられています


↓正中で折られた面体を正面から。実はもうかなりゴムの硬化が進んでいまして、顔面に当てがうほどに拡げようものなら「モソッ」「パキッ」と割れそうなのです。


↓眉間部分のプロパティ表示「U.S.」と、サイズ表記の「5」のスタンプ。


↓吸気ホースとは違って面体を覆うメリヤスはとても薄手です。


↓まん丸形の眼鏡レンズです。


↓MIとは異なりレンズが交換できるようになってます。


↓レンズのフレームとレンズを押さえる枠とはネジ留め式になっており、交換の際にはただ廻すだけです。気密性を保つためにはシッカリ締めねばなりません。


↓面体を顔面に固定するためのヘッド・バンドはMIIA1が取り付けられてあります。6本のハーネスが後頭部のパッドに集められるのは前モデルのMIIと同じですが、ハーネスをパッドに集めた上からさらに一枚布を重ねて縫製するように改良した点がMIIとの差です。


↓ハーネスの色はこの個体では青灰色ですが、ベージュ或いはもう殆ど白というバージョンもあります。ハーネス自体にゴムが織り込んであるので伸縮性を持っていますが、面体との結合部のバックルで長さを調節できますのでキメ細かいフィット感調整が可能です。


↓ゴムの硬化が進んでいる中、恐る恐る面体内側を覗き込みます。面体内側に後付けされたゴム製のパーツが、フィルターを通過し清浄化されて吸気ホースを通ってきた外気を左右のレンズ内側に吹き付けるように誘導して、レンズの曇りを軽減させます。


↓面体を顔面に装着しバッグから吸気ホースを十分な長さに引き出せたら、バッグのフラップの上の方のLift-the-dotのメス部品は、吸気ホースが何とか通るだけの開口部を作る位置にある方のオス部品に留めて、バッグ内に異物が入らないようにします。本記事の2番目の画像で赤丸のオス部品は何のため?の謎が解明されました:)。



はい、今回はここまでです。次回はフィルター・キャニスターとバッグ、その他に触れて「M1A1 ガス・マスク その3(最終回)」とする予定です。
梅雨空が続きますが、ポジティブに暮らして参りましょう。新型コロナ対策も十分に。それではまた2週間後にお会いしましょう。




  

Posted by Sgt. Saunders at 12:00Comments(0)米軍(U.S.)Gas mask

2021年06月20日

U.S. MIA1 ガス・マスク(U.S. MIA1 Gas Mask)

みなさん、こんにちは。
当地大阪が梅雨入りしたのが確か史上最速の5月16日。以来雨降りの日もありましたが、総じてカラ梅雨のような、晴れの多い日が続いている気がします。まだ梅雨明けしておらず、今朝も雲がやや多いものの空は明るくまずまずのお天気です。
コロナワクチン接種の機会は徐々に国民全体に拡がりつつある中、緊急事態宣言・まん防などの政策と感染者数の増減を注視しつつ、政府はオリンピック自体を中止する気は最早なく、観客を入れるか否かについてはハッキリと決めないまま開催へ突き進んでいます。もう博打の様相を呈してきました。

さて今回の投稿ネタを何にしようかなと考えましたが、前に撮り貯めた画像を見直しまして決めました。
ガス・マスクネタははもう7年程も前にU.S. MIA1 トレーニング・ガス・マスク(U.S. MIA1 Training Gas Mask)U.S. M1A1 トレーニング・ガス・マスク その2(U.S. M1A1 Training Gas Mask;#2)をやって以来まだ2回目です。

いわゆるガスマスクはその構成を大きく分類すると、マスク本体(面体)、吸気ホース、吸気缶(フィルター・キャニスター)からなり、一つにまとまって初めてガスマスクとして機能しますが、WW2直前からの米軍のガスマスクはその改良開発が構成要素ごとに行われ、且つペースも速かったため、構成要素同士の組み合わせ次第で実に多くのパターンが出来てしまいました。マスク本体は同じモノでも他の構成要素との組み合わせによって「別物」と言わざるを得ない状況があるのです。それ故便宜上今回の投稿タイトルを「MIA1ガスマスク」と致しました。
もっと細かく言えば排気弁、頭に掛けるハーネスにも数種類あり、時代によって純粋に「順列組み合わせ」にはならないにしても、その組み合わせの種類は相当数にのぼります。
しかしまぁガスマスクについてはマスク本体の形式のみを以って呼称しているのが一般的でありまして、イチイチ「面体はMIA1でホースは何々で排気弁が何々・・・のガスマスク」などとしている例は余りと言うか滅多にありませんので、それほど拘る必要はないかもしれません。追い追い触れるかも知れませんが、マスク一式を「マスク本体-吸気缶(フィルター)-収納バッグ」という3種の構成物件の組み合わせとして捉え、制式名称もそれに沿って、例えば「M3-10A1-6 ガス・マスク」と称しておりました。今回採り上げますガス・マスク一式も正しくは「 MIA1-IXA1-IVA1」となります。この辺りになるとかなりのコア・マニア向けの話になってきますし、私なんかが全パターンを蒐集するなど、到底出来ません。

当ブログでは、なるべくたくさんの情報をお届けしたいという気持ちから、一つのモノについて様々な視点・角度から「解剖」する傾向がありまして、今回はいつも以上に画像が多くなりましたので複数回に分けてお送りします。

今回の「MIA1ガス・マスク」について、画像もまだ出てないうちからで恐縮ですが、まず初めに講釈めいたことを。マスク本体の「MIA1」はサイズが5種類展開で、眼鏡レンズは取り外し可能となっております。サイズが4種類で眼鏡レンズが固定式であった前モデル「MI」を、1933年にサイズを1段階増やし、眼鏡レンズが交換出来るように改良して名称も新たに「MIA1」となりました。1937年10月には量産性からの見直しによりサイズ展開が1つだけ(「Universal」=One size fits all)に絞られて名称も「MIA2」となります。サイズが1種類となった以外に変更箇所はありません。

↓さて、まずはMIVA1収納バッグ(MIVA1 Carrying Bag)に収まっているところから見て参ります。バッグ本体はODシェード#9よりもずっと黄色味の非常に強いWW1以来のカーキ色です。上に写っているショルダー・ストラップとバッグ本体の裏側に隠れていて少しだけ見えているウェスト・ベルトはODシェード#3です。

バッグにはUSのプロパティ表記と化学戦部(Chemical Warfare service)の兵科章、「1」のサイズ表記、「Army Service Gas Mask」とのザックリとした名称表記があります。何故ザックリなのかはひとえに「色んな形式のマスクが入るであろうことを予期して」のためです。しっかり書くと中に入ってるマスクの制式名称が変わる度に書き直さなくてはならなくなってしまいます。さらにその下にステンシルで「5」との表記がありますが、これはバッグ製造時ではなく後からステンシルをつかって付け足したモノで、何を意味するかについては色々推測されるところ、私はこの中に今入っているマスクの「本当のサイズ」である「5」を表しているのではないかと思っております。元々ある「1」を消して、その脇に・・・ではないのは何故か。うーん、となると所持者の部隊名等の「5」?分かりません・・・。

↓裏側です。裏側が左脇腹にくっ付くようショルダー・ストラップを右肩に掛け、ウエスト・ベルトを腰に廻して装着します。


↓ウェスト・ベルトは「ODフィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ」と同じウェブ素材です。


↓連結はピストル・ベルトのバックルとは違います。M1ヘルメットの初期のチン・ストラップを大きくしたような感じです。


↓ショルダー・ストラップもウェスト・ベルトと同じ素材です。肩掛けする時にバッグを持ち上げて頭をストラップの輪の中へ入れなくても済むよう、バッグを腰の位置にしたままストラップを背面から右肩へ廻し、身体左前面で脱着できるようにバックルが設えてあります。また、画像で上方にある「肩掛け部分」はストラップが少しでも肩のラインに沿うようにと曲線を描くように縫製されています。そしてその肩から胸側(画像では左)も、肩から背中側(画像では右)も、それぞれ独立して長さを調節できるように長さ調節用のバックルがあります。


↓肩フィット感を重視したこの曲線縫製。「廉価版」だったらこんな手間な仕事しませんね。「廉価版」ならウェスト・ベルトと同じように調節バックルは一つでストラップはストレートのままでしょう。持てる国、余裕のある国の為せるワザです。


↓こちらの脱着バックルもM1ヘルメットの初期のチン・ストラップの大型版のようなモノです。



すみません。今回はここで一旦終わります。次回またこの続きを投稿いたしますので是非ご覧下さい。
それでは失礼します。さようなら。





  

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2021年06月06日

U.S. 手旗信号キット(U.S. Signal Corps Army Flag Kit, Type CS-16)

みなさん、こんにちは。
新型コロナウィルスの新規感染者数が当地大阪では減少傾向に転じておりまして、ホンマかいなと思いつつ、このまま全国的に減少が続くよう祈りつつ、尾身さんが政府与党の政策に不利なことを言い出したのに動揺してかせずにかシレーっと意に介さないふりをしつつオリンピック開催に向けて猛進する菅政権の狂気に呆れつつ梅雨の中休みの下お送りする今回のネタは「U.S. 手旗信号キット(U.S. Signal Corps Army Flag Kit, Type CS-16)」です。

これまでも記事中やプロフ等でも申し上げておりますが、私の基本的な蒐集対象はWW2からヴェトナム戦までのアメリカ陸軍歩兵科の一般的歩兵装備品です。
しかし稀に、特に以前から欲しいとは思っていないモノなのに、その価額のお手頃感と物珍しさだけで衝動的に購ってしまったモノが少なからずあります。今回採り上げるモノもそのうちの一つで、おそらく皆様におかれましてもあんまり、否、殆ど関心をお持ちにならないかたが大多数であろうと思いますが敢えて今回採り上げました。

↓今回のネタ、「米陸軍 CS-16型 手旗信号キット(U.S. Signal Corps Army Flag Kit, Type CS-16)」です。正確に言えば「『U.S. Army Flag Kit, Type CS-16』と書かれてあるコットン・ウェブ・ケースと、その中に入っていた旗2本」です。お見せするものが果たして「CS-16手旗信号キット」の全部なのか?については自信がありません。物珍しさだけで購入したモノである事に加え、調べようにも資料を集めるのが困難で、結論を出し得ていません…。画像上の方にケースがあるんですが全部写ってませんね。すみません。


↓中には旗が入っていました。ケースはODシェード#9のウェブ・キャンバス製です。


↓ケースの表のスタンプ。Signal Corps(通信科)のシンボル(松明と交差する信号旗)と「U.S. Army Flag Kit, Type CS-16」の表記。しかしまぁ上の画像とODの色調がこれ程も変わるんですね。どちらかと言えばこの画像の方が実物に近いです、と申しましてもご覧になられているモニタによっても映り方が異なりますでしょうから、正しい色の再現は難しいですね。カラースケールが必要ですね。


↓背面には背負い用?の長さの調節が可能なスリングがあります。


↓中身を入れてもそれほど重たくはならなさそうですが、スリングのケース本体への縫い付け箇所は糸で縫い付けるだけでなく、リベットを2つを使って留めてあります。それほど補強が必要でしょうか?


↓長さ調節はサスペンダーなどで見られる梯子型(目型)のバックルでおこないます。スリングの下部のケース本体への縫い付け箇所も上と同様糸で縫い付けるだけでなく、2つのリベットで補強されています。


↓表側のフラップの開閉は、背面のスリングよりも幅の狭いストラップと梯子型(目型)バックルでおこないます。


↓ケースの上部と下部に3連のハトメ穴が設えられています。恐らくこれは、ここに紐を通してこのケースを何かに結わえ付けるときのためのモノだと思います。


↓開口部。この画像では分かり難いですが、縁はODシェード#3のコットン・テープでバインディング処理されてます。


↓次に旗を見て行きます。


↓取り出しました。2本セットで入っていました。でもケースにはまだ若干の余裕があり、しかも先ほども触れましたがスリングは強固にリベット留めされていることから、冒頭で申しましたようにこのCS-16キットには旗の他にも何かもうちょっと重さのあるモノが含まれているのではないかと思っております。


↓13cmの握りの部分も含めて旗竿の全長は約61cm。旗の大きさは素材がコットンなので多少の縮みがあると思いますが、現状では丈は約44cm、幅が約46cmで、ほぼ正方形です。


↓旗は対角線を境にした赤と白の三角デザインです。通信科の兵科章で見た「四角の中に四角」ではありません。恐らく当初は「四角の中に四角」で、いつからか三角デザインになったんだろうと思います。その辺の調査はしておりません。お許しください。


↓旗竿はヒッコリー材やメイプル材が使用されました。この2本は多分左がヒッコリー材で右がメイプル材ではないかと思います。仕上げ形状も若干違っています。


↓旗の紐を竿の溝に括り付けて、旗がすっぽ抜けないようになってます。



はい、以上でございます。

例えばTV映画「コンバット!」の中で兵士間での通信に用いられているモノと言えばリトルジョンがよく背負わされていたSCR-300や片手片肩で担げるSCR-536などの無線機やEE-8などの有線の野戦電話機が思い浮かびます。或いは映画プライベート・ライアンでは鐘楼の見張りが地上の兵士に手を使ったジェスチャーで何がどれ程接近して来ているかを伝えるシーンがありました。手旗信号を送受するシーンは映画などではあまり見かけませんね。

無線音声通話・有線音声通話はまさにリアル言語による意思疎通手段、ジェスチャーも身体言語(ボディ・ランゲージ)による意思疎通手段です。一方非言語通信たるモールス信号や今回の手旗信号も、意思疎通手段としてWW2に限らず広く利用されています。
リアル言語による通信は発声できる条件下では誰でもできますが、モールス信号や手旗信号などの非言語通信は、まず予め送受信者がお互いに「何が何を意味するか」を覚えておかなければなりません。
モールス信号は「・」と「-」(「ト」と「ツー」)をどう組み合わせるかでどのアルファベット・カナを示すのか、手旗信号ならどのセマフォア信号がどのアルファベット・数字を示すか(日本でならばどんな原画の組み合わせがどのカナ・数字を示すのか)を覚えないと通信できません。覚えるのは大変です。
昔ボーイスカウト隊員の友人がおりまして、持ってた教本のようなものの中に手旗信号の原画が載っていて、興味があったので本を借りて覚えかけましたけど、忍耐力が尽き、程無くやめました。モールスも「イトー」「ロジョーホコー」「ハーモニカ」と覚えて行きましたが「ヲショーショーコー」までで力果て絶えました。
このキットを手にしたからと言ってもう一度セマフォアを覚えようかという気にはなりませんでした。興味はありますが頭が付いて来ません。

今日はあのDデイです。プライベート・ライアンを観てあらためて戦争犠牲者を鎮魂したいと思います。

それでは今回はこの辺でいつも以上にまとまりのない話のまま失礼いたします。宜しければまたお会い下さいますでしょうか。
ご機嫌宜しゅう。さようなら。


  

Posted by Sgt. Saunders at 12:00Comments(0)米軍(U.S.)Special Tools

2021年05月23日

U.S. M1クリーニング・ロッド・ケース (M1 Cleaning Rod Case)

みなさん、こんにちは。
史上最も早く梅雨入りしたという当地大阪北河内の寓居から、ワクチン接種を受けられるのはまだまだずっと先になるのを甘受しつつ、もうコロナウィルス収束を神に祈るしかない状況を虚無の心で受け止めております。

さて、その梅雨の合間の本日晴天の下お送りする今回のネタは「M1クリーニング・ロッド・ケース(M1 Cleaning Rod Case)」です。
歩兵の全てが一人ひとり支給されていたのかはよく分かりませんが、まあ一つぐらいコレクションしておいた方が良いわなと、比較的最近入手したモノです。

↓M1クリーニング・ロッド・ケース(M1 Cleaning Rod Case)です。前回お送りしたM1 30口径継手式クリーニング・ロッド(M1 Cal..30 Jointed Cleaning Rod)を収めてます。同じドローイング・ナンバーでありながらも作りや部材に細かい差異があるバリエーション違いが沢山あります。バックルもその一つで、本個体のような「日」の字型のモノと、「目」の字型のモノとがあります。とても全パターンを蒐めることは出来ません。

本個体は、ケース本体の生地とバックルを擁する短ストラップ(正式には『チェイプ(chape)』と言うんだそうです)がODシェード#3で、縁取りテ—プとフラップを留めるための固定ストラップ(これも正式には『ビレット(billet)」と言うそうです)がODシェード#7となっている、いわゆるトランジションです。この画像では少ししか写っていませんが、背面のダブル・フック・ワイヤ・ハンガーを擁しているハンガーもODシェード#7です。

↓バックルからビレットを外して(何かしっくり来ませんね)フラップを開けました。バラしたロッドを各個収納するように袋状のケース部分がステッチで分割されています。M1クリーニング・ロッドが3分割式になる前の4分割式である時には、このケースもステッチで4分割され、ケース全長も本個体の3分割バージョンよりも若干短くなっておりました。まだ私はその4分割式バージョンのケースもロッドも持ってません。


↓ケース上部にはボア・ブラシ等を収納するポケットが設えられています。このポケットですが、本個体のようにケース本体の生地裁断の段階でポケット用の部分も含められて形成されているモノと、初期にはポケットだけを別生地で作ってケース表面に縫い付けてある形のモノがあります。


↓ケース裏側です。ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーでベルトのアイレットに吊るして携行します。そして、兵器関係の装備品にありがちな、とてもデカデカとした制式名称「CASE, CLEANING ROD,M1」とドローイング・ナンバー「C6573」の表示。



M1 30口径継手式クリーニング・ロッドを収納してのご紹介となりましたが、M1ガーランド小銃用のM8ロッド等別のロッドを収納するのにも使われました。冒頭でも申しましたが、ロッドもケースもかなり頻繁にマイナー・チェンジが行われたために種類が数多くなりました。

国内・海外問わず結構市場に出ていますので、特に製造年やメーカー名の有無、色目にこだわりが無ければ入手は比較的容易です。国内だと3,000円前後、海外ではサープラス扱いで$10位からアンティーク扱いでの$30位で贖えます。「WW2米陸軍一般歩兵装備品コレクション」でのコレクション優先順位で言えばあまり高くは無いですが、あったら嬉しいレベルにはありますので、今後も適価で出品されてたらポチるかも知れません。

はい、今回はとてもコンパクトな記事となりました。モノがモノだけに切り口が少なかったです。バリエーション違いを沢山保有していたらそれなりに画も沢山晒すことも出来たでしょうけれども。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。
さようなら。


  

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2021年05月09日

U.S. M1 30口径継手式クリーニング・ロッド(M1 Cal..30 Jointed Cleaning Rod)

みなさん、こんにちは。

今日はコロナについてはアレコレ申し上げません。とにかく各人が「手指消毒・うがい手洗いの励行、密集しない」を実践して感染拡大防止に努めましょう。
当地大阪は雲が多めながらも良いお天気になりました。黄砂がやや気になるレベルですけれども。河川敷や広ーい公園でソロや家族単位でバーベキューでもしたいですね。風がやや強いので炭火じゃ焼けにくいかもしれません。

さて隔週日曜日の正午を投稿の定刻としております本ブログの今回のネタは銃器関連です。

実銃は所持不可能であるのは言うまでもありません。
実銃に合法化処理を施した無可動(不稼働)軍用銃は所持可能ですが、私が手にすることは財政的に困難ですので、銃器そのもののコレクション欲はモデルガン等のいわゆる模造銃をコレクションすることで満足させているのが現状です。
一方銃器そのものではなく、関連する「附属品」は合法所持できるモノも多く、価格面でも比較的入手が容易でありますので模造銃と併せて全体として銃器類コレクション欲を満たすのにひと役買っているところです。
この「附属品・関連品」のコレクションを私は「『実銃はダメなのでせめてアクセサリーくらいは…』コレクション」と呼んでおりますが、今回はその中からお送りします。

↓M1 30口径継手式クリーニング・ロッド(M1 Cal..30 Jointed Cleaning Rod)です。「30口径」とありますけれども、具体的にはブローニング・マシンガン用のクリーニング・ロッドです。3つに分かれており、使用時には繋いで長い一本にします。この「3本分割モデル」の先輩モデル「4本分割モデル」も存在しますが、ドローイング・ナンバーは変わりませんでした。


↓開封前の包装姿です。制式名称「(1-)Rod, Cleaning, Jointed Cal. 30, M1」、ドローイング・ナンバー「D6508237」、ストック・ナンバー「A6-6508237」、「調製対象:30口径マシンガン」、「製造者:ミネソタ州セントポールの『KOOLAIRE Inc.』」の表記。


↓表面はクラフト紙のようなもので、ロッドに塗布されたコスモリンが表面に浸出しないよう、引っ張ると伸びるビニルようのモノが裏打ちされています。


↓ハンドルに製造者略号の「KOL」のモールド。


↓裏側には何もありません。


↓ロッド先端部にはクリーニング・クロスを通すためのスリットがあります。


↓先端の先端にはネジが切られていて、と言われてもこの画像じゃよく分かりませんね


↓そのネジが切ってあるところにM2クリーニング・ブラシをねじ込んで…


↓この様にです。バレル内のお掃除が出来ます。


↓全部ジョイントさせました。スケールを並べると良かったですね。グリップ後端からクリーニング・ブラシの先端までの全長は約90cmです。画像下にあるのはこのロッドを収納・携帯するためのケース、「M1 クリーニング・ロッド・ケース」です。このケースも作りや仕様の細かい差異のあるいくつものバージョンがあります。



以上淡々と見て参りました。
実銃が汚れることは私の身にはありませんが、「クリーニングしているつもり」になって悦に入ることが出来ます。妄想して悦に入るのは楽しい事です。そう言えばM1919ブローニング機関銃まだやってませんね。

WW2中の銃器クリーニンググッズは、対応する銃の種類を問わずとても多くの改良が重ねられたため、その種類はとても多くなりました。今回のクリーニング・ロッドでもそうですが、同じドローイング・ナンバーでも「改訂」違いもあるなど、「全て」をコレクションするのは結構骨が折れそうです。
ただその分市場には多く流通していますので入手機会には困らないです。コレクターズ・アイテムにもなっているモノもありますが、サープラス品としてのモノも多いので価格的にも入手は容易です。eBayでもミリタリー・ショップのHPでも沢山の出品があります。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。



  

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2021年04月25日

U.S. M-1910 イントレンチング・ショベル(M-1910 Intrenching Shovel)

みなさんこんにちは。
日中の最高気温が26℃を超える陽気が続いています。
緊急事態宣言を出すぞ、イベントは自粛してくれ、生活必需品以外の営業も自粛してくれ、夜屯して缶ビール缶チューハイを飲むな、街灯以外は消してくれ、部活動は止めてくれ、でも聖火リレーはやるぞ、オリンピック止める理由なんかある?といった感じです。医療態勢は当地大阪ではすでに崩壊しています。吉村知事は無策だといったところで仕方がなく、引き続き「マスク着用・手指消毒・3密を避ける」を守って罹患・蔓延防止に努めたいと思います。


さて定刻を30分余り過ぎてお送りする今回の題材は、WW2米陸軍一般歩兵の基本的装備品の1つであるM-1910イントレンチング・ショベル(M-1910 Intrenching Shovel)、通称「Tボーン・ショベル」です。
高校生時代、TV映画「COMBAT!」の何十回目かの再放送で、サンダース軍曹が分隊を率いて行軍するシーンなどであんまり中身の詰まって無さそうなM-1928(M-1917かも)ハヴァーサックに重ねて担っているのを見まして、あんな恰好で室池園地の森の中をトンプソンを携えながらピクニックしたいなーと沸々と想いが募るものの、そこはいつものように可処分所得の乏しい田舎の高校生の身、オイソレと購うことは能わず。コンバット・マガジンのミリタリーショップの広告にもそんな頻繁に掲載されるわけでもなく、他の歩兵装備品との入手優先順位との兼ね合いもあり、長く購入機会を待たねばなりませんでした。

↓先ずはキャリアーを纏ったままでご覧下さい。WW1より前の1910年に制式採用されたのでM-1910です。WW1でも当然使用されましたが、WW1終結から20年余り経って再びWW2でも使われることとなりました。


↓裏返しました。ハンドルとグリップはヒッコリー材製、ブレードなどの金属部は鋼製です。本来はオリーブ・ドラブの塗装がなされるのですが、本個体はもう殆どの塗装は剥げてしまってます。入手時には既にこんな感じでした。木目に僅かにOD塗装の痕跡が認められます。


↓では細かく見て参ります。ブレードから伸びてハンドルに被さる部分(ブレード・ストラップ)に「U.S.」の刻印があり、更にハンドルにも「U.S.」の刻印があります。ハンドルとグリップがTの字型になっていることから「Tボーン・ショベル」の俗称で呼ばれています。


↓ブレード・ストラップの「U.S.」刻印は結構粗い印象を受けます。あとで見ます図面では、この「U.S.」の右側のスペースに製造者と製造年の刻印がされることになっているのですが、この個体にはそれはありません。


↓ブレード・ストラップがハンドルに上下から被さり、2カ所でリベット留めされています。


↓塗装の痕跡が見えます。元々のOD塗装の上からサンド色が上塗りされていたようです。「緑味の強いOD色は砂地の多いアフリカ戦線で目立つのでカモフラージュのためにサンド色を上塗りした...」は私の勝手な憶測です。


↓ハンドルの「U.S.」刻印。ODやサンド色塗装が文字の溝や木目に僅かに残っています。


↓グリップとグリップ・ストラップ。こちらも2か所でリベット留めされています。グリップ、ハンドルとも丸棒で直径は1インチです。


↓Tの字になっています。ハンドルとグリップとがグリップ・ストラップでしか結合されていないように見えますが、実はグリップ・ストラップで隠れて見えてないところで、グリップからハンドルへ釘2本が打ち込まれて固定されています、というのは実はごく最近知った事です。


↓キャリアーを外してブレードを見ます。入手時は塗装は殆ど剥げ落ち、若干の錆が浮いていました。


↓裏側です。表側もですが地肌はかなり凸凹してます。


↓もう一回表側をアップで。上2枚の画像でも分かりますが、ブレード・ストラップとブレード本体との継ぎ合わせの山型の熔接痕が分かります。


↓ブレードの縁の前半分程は鋭く切削研磨加工されてます。


↓需品部(Quartermaster Corps)の1942年4月8日付改訂4号「M-1910 Intrenching Shovel」の図面です。構造・素材・仕上げなどの情報が載ってます。ショベル本体の重さは約29.75オンス(843.4グラム)ともあります。


↓次にキャリアを見てみましょう。「U.S.」と大きくプロパティ表示があります。本体はODシェード#3のコットン・ダック製。制式名称は「Carrier, Shovel, Intrenching M-1910」。キャリア内にショベルのブレードを収め、ストラップをショベルのハンドルに廻してからバックルへ通して固定します。


↓ストラップとバックルはハヴァーサックなどでも良く見られるモノです。幅0.625インチのコットン・ウェビングとダブル・バー・バックル(目型バックル)の組み合わせです。本個体ではストラップ(正式には「billet(ビレット)」と言うんだそうです)はODシェード#7で先端のエンド・クリップは亜鉛合金製、バックルの付いている方のウェビング(正式には「chape(チェイプ)」と言うんだそうです)はOD#3でパーカライズド仕上げの鋼製ダブル・バー・バックルです。本M-1910の前のモデル「M-1905キャリアー」では革製のベルトと尾錠バックルの組み合わせでした。


↓キャリア裏面です。ダブル・フック・ワイヤ・ハンガーを擁したハンガーが上部にあります。


↓ハンガーの下部に製造者と製造年のスタンプがなされるのですが、本個体では僅かに「何か書いてある」程度にうっすらとしか残っていません。「GEIB Inc.」?分かりません。


↓本個体のダブル・フック・ワイヤ・ハンガーは黒染めの鋼製です。若干ひしゃげてます。縁にステッチが見えますが、本来はステッチが表面に出るの事は無い筈ですが(袋物の裁縫では常識ですが、裏返しの状態で生地を縁で縫い合わせたあと、もう一度裏返して「完成」ですから)、本個体では補強のためでしょうか表側からも縫い合わせてあります。


↓はい、また出て来ました需品部の1942年7月28日付改訂3号「M-1910 Intrenching Shovel Carrier」の図面です。先ほど申しました「正式には『billet(ビレット)』と言うんだそうです」などの注釈は、これを見てのモノです。このような図面を見るまで全然知りませんでした。



如何でしたでしょうか。
冒頭で少し触れましたように、欲しいと思ってから入手までにはソコソコ時間は要しましたが、入手してからはもう20年以上経ちました。
不確かな記憶ですが、なるべくコストパフォーマンスの良いモノを追い求めていましたから入手価格は1万円チョットだったように思います。
現在市場での実物の出品はebayやヤフオク等でもあまり見かけません。その代わり良く出来たレプリカが色んなメーカーから出ていますし、実物に拘る方が少なくなってきたのでしょうかねぇ。もし実物の出品があれば1万円中頃から、程度によっては2万越えとかになるんでしょうか。
また、ショベル本体とキャリアーが別々に出ることが多いように思います。キャリアーについては実物の出品は今も結構多いです。程度によって価格はピンキリですが、「まあ良し」というモノでも最低5,000円位の値が付いているのを近時見ました。レプリカもかなり良く出来たモノから「何じゃこれ」というモノまで沢山ありますね。
また、ブリティッシュ・メイドのキャリアーもありますが、そこまで財政が許さないので私のコレクションに加わることは無いと思います。レアですし。

このTボーン・ショベル、WW2中空挺隊員がハンドルを切り詰めて短くコンパクトに改良したということも皆さんご承知だと思いますが、短くされたTボーン・ショベルをコレクションしようとまでは思いません。これももちろん懐事情がそれを許せないからなのですが。

「Tボーン・ショベルの全長が長く、ハヴァーサックに連結して座った時につっかえて不快だ」とのクレームなどを受け、より機能性・携帯利便性を高くしたM-1943イントレンチング・ショベル(M-1943 Intrenching shovel)(←クリックで過去記事が別ウィンドウで開きます)がWW2中1943年に登場し、Tボーン・ショベルは役割を終えます。

我が家ではTボーン・ショベル、M-1943イントレンチング・ショベルとも、「庭いじりの際に使える」という理由で、私の「非生産的」なコレクション群の中では優遇されています。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。
さようなら。

  

Posted by Sgt. Saunders at 12:33Comments(0)米軍(U.S.)Intrenching tools

2021年04月11日

8mmモーゼル弾(5):7.92x57 IS(Patronen schweres Spitzgeschoß)(#5)

みなさんこんにちは。
さあ第4波が来たようです。当地大阪が東京を抜いて一日あたりの感染者数がトップになりました。こんな状況なのに非常事態宣言よりも格下の「まん防」を実施?何が何やら分かりません。兎に角自己防衛を徹底するしかありません。

さて桜もピークを過ぎ若葉の萌え出づる候今回お送りするのは「実銃は持てないから、せめてアクセサリーぐらいは…」コレクションの中のダミー・カートリッジ・コレクションの中からドイツ軍の主力歩兵小銃K98k用弾薬「7.92x57 IS(Patronen schweres Spitzgeschoß)」を採り上げます。このシリーズ、もう5回目ですが、以前のモノとはまた別のロット(個体)ですのでどうかお許しください。

↓過去記事で私が所持しているのはここに写っている13箱が全部です。以前の記事で12箱と申しておりましたが、整理していましたら何処からか1箱出て来ました。近時新たな入手は殆ど不可能なので大事にしようと思います。汚い背景にはどうぞお目をお瞑り下さい…。


↓その中から本日はこの個体をご覧いただきます。最小梱包単位であるこの小さなボール紙製の箱に15発収められています。


↓ラベルの拡大です。記されている内容は下記の通りです。一部がドイツ文字(Fraktur:フラクトゥール)で記されています。現在では装飾につかわれる以外あまり一般的ではありませんが、ドイツ軍モノに触れる機会の多い方は普通のローマ字との変換がパパッとできるようになっていきます。

(1行目)Patronen s. S.
(2行目)P 131. 4. L 39
(3行目)Nz. Gew. Bl. P. (2. 2. 0,45) : Wlsr. 1938/36
(4行目)Patrh : S* P131 4. L. 39 - Gesch. : P 131 2. L 39
(5行目)Zdh. : 88 DWM. 939. L. 38

(1行目)は弾種です。「Patronen schweres Spitzgeschoß」の省略表記で、「重量尖頭弾」の意です。「Patronen」は「弾薬」、schweresは「重たい」、spitzは「尖った」、geschoßは「弾丸」です。
(2行目)は製造者コードとロットナンバーおよび製造年を示します。「P 131」は「Deutsche Waffen- und Munitionsfabrik AG(『ドイツ兵器弾薬製造株式会社』といったとこです)の製造者コード、ロット番号は4、1939年製造です。
(3行目)は装薬種類です。「Nz.Gew.Bl.P.」は「Nitrozellulose Gewehr Blättchen Pulver(ニトロセルロース弾薬用小葉体火薬)」の略。「2・2・0,45」は、火薬粒子が2mm x 2mm x 0.45mmであることを示します(ドイツでは小数点は「.」ではなく「,」で表します)。
後ろの「Wlsr.」は「Walsrode」の略でヴァルスローデ工場製の意、「1938/36」は「1938年にロットナンバー36番で製造された」という意味です。
(4行目)「Patrh : S* P131 4. L.39」は「Patronenhülse(薬莢)」についての表記。「S*」は薬莢が72%の銅を含む真鍮製であることの意で、「P131」は先ほどと同様「Deutsche Waffen- und Munitionsfabrik AGの製造者コード、ロット番号4で1939年製造、「Gesch.: P 131 2. L.39」は「Geschoß(弾丸)」についての表記。「P131」はやはり同じく「Deutsche Waffen- und Munitionsfabrik AG」の製造者コード、ロット番号2で1939年製造」となります。
(5行目)「Zdh」は「Zündhütchen(雷管)」の略。「88」は「1888年式雷管」の意。 「DWM.」は再三出てきてます「P131」が意味する製造者「Deutsche Waffen- und Munitionsfabrik AG」の略記です。「939.」はロット番号、「 L. 38」は1938年製の意味です。でも何故「P131」とコードで秘匿する一方で、このように「DWM」と容易に何処の施設か分かるような記載をするんでしょうか?謎です。

↓箱を開きましょう。箱の下の方に5カ所ボール紙の表面が擦過の痕で白く見えています。箱を重ねた時に中に収まっているカートの腹部分に負荷が掛かるためです。


↓指掛けがあります。


↓まだ中身は見えません。


↓上下2行で何やら型押しされていますが、上の方は何と書かれてあるか分かりません。「JO??」。下は「1938」だと思います。


↓もう一つ蓋があり…


↓この様に開きますと…


↓まだ左右にベロがあります。


↓やっと中身が見えました。


↓はい、15発のカートが薬莢のテーパーに配慮して5発ずつ3段上下の向きを変えて収められています。


↓ヘッドスタンプを接写しました。ヘッドスタンプは先ほど見ました箱のラベルの4行目の薬莢(Patronenhülse)についての情報と同じです。「P131」は「Deutsche Waffen- und Munitionsfabrik AGの製造者コード。右回りに「S*」は薬莢が72%の銅を含む真鍮製であることの意、「4」は「ロット番号4、「39」は1939年製造の意味です。箱のラベルと中のカートが一致していると嬉しいものです。雷管周りの緑色の輪は通常弾であることを意味します。


↓特にキャプションは無い画像です。



大戦中・後期の、例えば鉄製薬莢のカートとか徹甲弾とか曳光弾とかの通常弾とは違うモノも蒐めたいなと思っても近時は税関で止められてしまいます。
また昔はebay(アメリカの)で今回お見せしたWW2時の撃ち殻ダミーカートは出品も全くフリーで買うのもまったくフリーでしたが、もう5、6年も前になりますか、銃器関係の出品が禁じられるようになってからは出品出来ません。「箱だけ」とかギリギリ「装弾クリップ」なんかはOKのようですが。私にとっての「良い供給元」が無くなってしまいました。
私のコレクションは殆どがebay経由でしたので、日本の取り締まり当局が厳しくなってきたのと相俟ってダミーカートの新たな入手がとても困難な状況です。もう国内での売買でしか入手できなくなりました。


それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。さようなら。