2020年05月10日
U.S.将校用アイク・ジャケット(Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers')
5月に入り、このGWは例年に比べ自粛要請を受けて全国的に人の出足・移動が極端に減ったそうで、私めも不要不急の外出は控え、食料品の買い出し、切れた電球の購入もコソコソおこないました。
当初5月6日を期限としていた緊急事態宣言が5月末まで延長されましたが、もうしばらく耐え忍び、衛生面に留意して事態の鎮静化に努めるほかありません。
しかし何と言っても「働けない=収入が無い=生計費が払えない」、自分の労働力を売ることでしか生計を図ることができない一般人にとって生計費の援助が喫緊の課題であります。ひとり一律10万円の特別給付金だけでは到底足りませんし、「営業できない=売上が無い=固定費が払えない」一般企業についても早急な手厚い支援策が望まれます。
さて、そんな中で今回定刻を1時間半過ぎてお送りするのはU.S. 将校用アイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers')です。とは言え、色々注釈付きのモノなのですが。
でも今回このジャケットについて記事を書き始めた時に、まずは普通の、兵・下士官用の(Enlisted men's)アイク・ジャケットを先に記事にしてからの方が良いのかなと思いましたが、もう画像もアップしたし、後回しでもいいかなと判断しました。兵・下士官用のアイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, od)についてはまた後日記事にすることにします。因みにこのアイク・ジャケットはその採用年から「M1944フィールド・ジャケット」と呼ばれることもあります。兵・下士官用のアイク・ジャケットと今回の将校用アイク・ジャケットの差異は、表生地の質以外では「将校用」のラベルが付いているか否かと、ライニングが兵・下士官用がコットンなのに対して将校用はレーヨンであった事くらいです。以下追い追い触れます。
↓今回も写真というモノは本当に光の微妙な具合で色調が変わるものだと痛感しています。この画像ではジャケットが若干赤味がかっています。まるであずき色になっていますね。本当はもう少しODが強いです。以下の画像で一番現物に近い色味のモノが出てきたらその旨お知らせします。と言っても皆さんがご覧になってるモニタの具合によってもまた変化するでしょうし、どうしたものでしょうか。
色調OD33の18オンスのウール・サージ生地製です。シルエットは兵用のアイク・ジャケットとほぼ同じです。因みに「アイク・ジャケット」の「アイク(Ike)」とはアイゼンハワー将軍(のちに大統領)の愛称「アイク」に由来するというのはある程度は有名?な話です。ここでは詳しくは申しません。Wikipediaなどでご覧下さい。
↓フロントはサービス・コートと違いフライ・フロントとなっており、着用時にはボタンは表からは直接見えません。元々アイク・ジャケットは野戦服(フィールド・ジャケット)として開発されたものですから、ボタンがブッシュの枝などに引っ掛からないようにするため、この仕様になっています。M1943フィールド・ジャケットやトロピカル・コンバット・ユニフォーム(ジャングル・ファティーグ)等と同じコンセプトです。一番下だけボタンとボタンホールの付き方が逆になっています。ボタンが取れちゃってますが…。これは「パターン違い」による仕様の差で、一番下のボタンもそれ以外のボタンと同じように右身頃に付いているパターンもあります。この辺は兵・下士官用のアイク・ジャケットも同様です。
↓フライ・フロント。いわゆる隠しボタンです。このようになってます。
↓一番下の裾のウェスト・バンドの左側先端は円くタブ状になっていて…
↓タブ先端はスナップで留めるようになっています。先ほども触れましたが一番下のボタンだけボタンとボタンホールの付き方が逆になっています。このパターンとは別に、全部のボタンが右身頃に付いているパターンもあります。ボタンを付けないとカッコ悪いですね。
↓スナップ雄金具の裏面。かのScovill社製でした。
↓雌金具には何の表記もありません。
↓カフです。袖のボタンはフロントのボタンより一回り小さいです。
↓本切羽になっています。
↓一般的にアイク・ジャケットの袖にはボタンが2つ付いていて、袖口の絞り加減を「通常」と「細目」とに調節できるようになっているのですが、私がこの将校用アイク・ジャケットを入手した際には、左右ともボタンは1つしか無く、取り去った形跡が認められませんでした。もう一つのボタンは供用を始める前に綺麗に取り去られたのか、最初から付いていなかったのか不明です。おそらく前者だと思います。
↓胸にはプリーツのあるパッチ・ポケット。
↓フラップもフロントと同じくボタンが露出しないようにM1943フィールド・ジャケットと同じように隠しボタン(コンシールド)になっています。
↓そしてまたこの個体はフラップの両端にスナップ・ボタンが付け加えられていて、フラップのバタつきを封じ込めようという強い熱意を感じます。
↓この仕上がりですので、多分プロではなくアマチュアの仕事だと思います。
↓内側を見て行きます。裏地はレーヨンです。兵・下士官用のアイク・ジャケットの場合はコットン・サテンです。まず左から。水平に内ポケットが設えられています。
↓アーム・ホールの下には汗とり布があります。しかしまあ、裏地も写り具合が上の画像とこの画像で全然違いますね。上の画像では茶色?、この画像ではゴールド?。
↓ポケットの内部はコットン製の袋です。
↓右側です。こちらにも水平の内ポケットと汗とり布があります。この画像の色合いが裏地も表地も一番現物に近いと思います。裏地はレーヨンのサテンなので色ムラがあるように見えますが、一番自然に見えます。
↓はい、ひときわ目立つラベルです。陸軍のシンボル(合衆国国璽)と「REGURATION ARMY OFFICER’S JACKET(正規の陸軍将校用ジャケット)」との表記。
↓そしてポケット内側には…
↓きれいにタグが残っています。
↓曰く、1行目から2行目に制式名称「Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers'」、3行目にサイズは38S。4行目の「Code No 1188」は製造者を示すコードで、ニューヨーク州ロチェスターのTimely Clothes Co.社製であることを表します。将校用の衣服の製造者はその多くが実名ではなくコードで表されました。5行目「Patt. Date 11/1/44」は縫製パターンの日附1944年11月1日を意味します。これとは別にパターン「1945年3月5日」があります。6行目「P. O. 20588」はPurchase Orders(通常の契約手続きよりも急を要する場合に用いられた「発注書」)の番号が20588であることを示します。WWII中、このPOはかなり多用されています。7行目はその日附1945年4月21日の意。
8行目はQuartermaster Corps Tentative Specification(陸軍補給部暫定仕様)、9行目Philadelphia Quartermaster Depot No.472(フィラデルフィア補給デポ番号472番)、10行目はその日附1944年10月28日、11行目から12行目はストックナンバーが55-J-386-80(末尾の80はサイズ38Sを示します)、最終行に本品についての責任部署であるPhiladelphia Quartermaster Depot(フィラデルフィア補給デポ)の表示。一つ上の画像で分かりますが、この下に「Inspecter(検査員)」の欄があり、何も記されていませんが、寧ろ何も記入が無いのが通常です。
↓ハンガーループがあります。
↓ショルダー・ループ(エポレット)です。
↓背面です。本来は兵・下士官用のアイク・ジャケットと同様に両腰部に裾絞り具合調節用のストラップとバックルが設えられているのですが、この個体では綺麗に取り去られています。上述しましたカフのボタンの例とは異なり、こちらには元々の縫製の痕が僅かに認められました。画像のウェスト・バンドの左右の端に若干色目が濃くなっている長方形があるのがお分かりいただけると思います。
以上本ブログではまだまだ採り上げる機会の少ない衣料モノの一つを見て頂きました。
入手したのはもうカレコレ15年くらい前で、まだその頃は知識もそれほどなく(今もですが)、両腰の裾調整ストラップとバックルが取り払われていることには気付かず、全体的に綺麗で虫食いも無かったのでebayかどこかで贖ったモノだと思います。今だったらこのように部品が取り払われているモノと分かっていればまず購入しないです。でももう入手してしまったので、綺麗なので持っておきます。
WWII当時(今でも?)将校はレギュレーションに大体沿っていれば自費で仕立てたモノを着用することが許されていたので、今回のモノのような官製のモノではなく、パットン将軍のようにサービス・コートに付いているようなキラキラのギルト・ボタンを露出させたモノを着用するなど出来ました。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。
当初5月6日を期限としていた緊急事態宣言が5月末まで延長されましたが、もうしばらく耐え忍び、衛生面に留意して事態の鎮静化に努めるほかありません。
しかし何と言っても「働けない=収入が無い=生計費が払えない」、自分の労働力を売ることでしか生計を図ることができない一般人にとって生計費の援助が喫緊の課題であります。ひとり一律10万円の特別給付金だけでは到底足りませんし、「営業できない=売上が無い=固定費が払えない」一般企業についても早急な手厚い支援策が望まれます。
さて、そんな中で今回定刻を1時間半過ぎてお送りするのはU.S. 将校用アイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers')です。とは言え、色々注釈付きのモノなのですが。
でも今回このジャケットについて記事を書き始めた時に、まずは普通の、兵・下士官用の(Enlisted men's)アイク・ジャケットを先に記事にしてからの方が良いのかなと思いましたが、もう画像もアップしたし、後回しでもいいかなと判断しました。兵・下士官用のアイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, od)についてはまた後日記事にすることにします。因みにこのアイク・ジャケットはその採用年から「M1944フィールド・ジャケット」と呼ばれることもあります。兵・下士官用のアイク・ジャケットと今回の将校用アイク・ジャケットの差異は、表生地の質以外では「将校用」のラベルが付いているか否かと、ライニングが兵・下士官用がコットンなのに対して将校用はレーヨンであった事くらいです。以下追い追い触れます。
↓今回も写真というモノは本当に光の微妙な具合で色調が変わるものだと痛感しています。この画像ではジャケットが若干赤味がかっています。まるであずき色になっていますね。本当はもう少しODが強いです。以下の画像で一番現物に近い色味のモノが出てきたらその旨お知らせします。と言っても皆さんがご覧になってるモニタの具合によってもまた変化するでしょうし、どうしたものでしょうか。
色調OD33の18オンスのウール・サージ生地製です。シルエットは兵用のアイク・ジャケットとほぼ同じです。因みに「アイク・ジャケット」の「アイク(Ike)」とはアイゼンハワー将軍(のちに大統領)の愛称「アイク」に由来するというのはある程度は有名?な話です。ここでは詳しくは申しません。Wikipediaなどでご覧下さい。
↓フロントはサービス・コートと違いフライ・フロントとなっており、着用時にはボタンは表からは直接見えません。元々アイク・ジャケットは野戦服(フィールド・ジャケット)として開発されたものですから、ボタンがブッシュの枝などに引っ掛からないようにするため、この仕様になっています。M1943フィールド・ジャケットやトロピカル・コンバット・ユニフォーム(ジャングル・ファティーグ)等と同じコンセプトです。一番下だけボタンとボタンホールの付き方が逆になっています。ボタンが取れちゃってますが…。これは「パターン違い」による仕様の差で、一番下のボタンもそれ以外のボタンと同じように右身頃に付いているパターンもあります。この辺は兵・下士官用のアイク・ジャケットも同様です。
↓フライ・フロント。いわゆる隠しボタンです。このようになってます。
↓一番下の裾のウェスト・バンドの左側先端は円くタブ状になっていて…
↓タブ先端はスナップで留めるようになっています。先ほども触れましたが一番下のボタンだけボタンとボタンホールの付き方が逆になっています。このパターンとは別に、全部のボタンが右身頃に付いているパターンもあります。ボタンを付けないとカッコ悪いですね。
↓スナップ雄金具の裏面。かのScovill社製でした。
↓雌金具には何の表記もありません。
↓カフです。袖のボタンはフロントのボタンより一回り小さいです。
↓本切羽になっています。
↓一般的にアイク・ジャケットの袖にはボタンが2つ付いていて、袖口の絞り加減を「通常」と「細目」とに調節できるようになっているのですが、私がこの将校用アイク・ジャケットを入手した際には、左右ともボタンは1つしか無く、取り去った形跡が認められませんでした。もう一つのボタンは供用を始める前に綺麗に取り去られたのか、最初から付いていなかったのか不明です。おそらく前者だと思います。
↓胸にはプリーツのあるパッチ・ポケット。
↓フラップもフロントと同じくボタンが露出しないようにM1943フィールド・ジャケットと同じように隠しボタン(コンシールド)になっています。
↓そしてまたこの個体はフラップの両端にスナップ・ボタンが付け加えられていて、フラップのバタつきを封じ込めようという強い熱意を感じます。
↓この仕上がりですので、多分プロではなくアマチュアの仕事だと思います。
↓内側を見て行きます。裏地はレーヨンです。兵・下士官用のアイク・ジャケットの場合はコットン・サテンです。まず左から。水平に内ポケットが設えられています。
↓アーム・ホールの下には汗とり布があります。しかしまあ、裏地も写り具合が上の画像とこの画像で全然違いますね。上の画像では茶色?、この画像ではゴールド?。
↓ポケットの内部はコットン製の袋です。
↓右側です。こちらにも水平の内ポケットと汗とり布があります。この画像の色合いが裏地も表地も一番現物に近いと思います。裏地はレーヨンのサテンなので色ムラがあるように見えますが、一番自然に見えます。
↓はい、ひときわ目立つラベルです。陸軍のシンボル(合衆国国璽)と「REGURATION ARMY OFFICER’S JACKET(正規の陸軍将校用ジャケット)」との表記。
↓そしてポケット内側には…
↓きれいにタグが残っています。
↓曰く、1行目から2行目に制式名称「Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers'」、3行目にサイズは38S。4行目の「Code No 1188」は製造者を示すコードで、ニューヨーク州ロチェスターのTimely Clothes Co.社製であることを表します。将校用の衣服の製造者はその多くが実名ではなくコードで表されました。5行目「Patt. Date 11/1/44」は縫製パターンの日附1944年11月1日を意味します。これとは別にパターン「1945年3月5日」があります。6行目「P. O. 20588」はPurchase Orders(通常の契約手続きよりも急を要する場合に用いられた「発注書」)の番号が20588であることを示します。WWII中、このPOはかなり多用されています。7行目はその日附1945年4月21日の意。
8行目はQuartermaster Corps Tentative Specification(陸軍補給部暫定仕様)、9行目Philadelphia Quartermaster Depot No.472(フィラデルフィア補給デポ番号472番)、10行目はその日附1944年10月28日、11行目から12行目はストックナンバーが55-J-386-80(末尾の80はサイズ38Sを示します)、最終行に本品についての責任部署であるPhiladelphia Quartermaster Depot(フィラデルフィア補給デポ)の表示。一つ上の画像で分かりますが、この下に「Inspecter(検査員)」の欄があり、何も記されていませんが、寧ろ何も記入が無いのが通常です。
↓ハンガーループがあります。
↓ショルダー・ループ(エポレット)です。
↓背面です。本来は兵・下士官用のアイク・ジャケットと同様に両腰部に裾絞り具合調節用のストラップとバックルが設えられているのですが、この個体では綺麗に取り去られています。上述しましたカフのボタンの例とは異なり、こちらには元々の縫製の痕が僅かに認められました。画像のウェスト・バンドの左右の端に若干色目が濃くなっている長方形があるのがお分かりいただけると思います。
以上本ブログではまだまだ採り上げる機会の少ない衣料モノの一つを見て頂きました。
入手したのはもうカレコレ15年くらい前で、まだその頃は知識もそれほどなく(今もですが)、両腰の裾調整ストラップとバックルが取り払われていることには気付かず、全体的に綺麗で虫食いも無かったのでebayかどこかで贖ったモノだと思います。今だったらこのように部品が取り払われているモノと分かっていればまず購入しないです。でももう入手してしまったので、綺麗なので持っておきます。
WWII当時(今でも?)将校はレギュレーションに大体沿っていれば自費で仕立てたモノを着用することが許されていたので、今回のモノのような官製のモノではなく、パットン将軍のようにサービス・コートに付いているようなキラキラのギルト・ボタンを露出させたモノを着用するなど出来ました。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。
タグ :M1944フィールド・ジャケットアイク・ジャケット将校用アイク・ジャケットM1944 field jacketOD wool field jacketアイクジャケット制服field jacketofficers od wool field jacketM44フィールドジャケット
2017年07月02日
ジャングル・ファティーグ 2ndモデル(Tropical combat man's coat, 2nd pattern)
みなさまお久しぶりです。東京都議選、どうなるのでしょうか?
前回の記事投稿以来、公私ともにバタバタしておりまして、新しい記事の投稿・更新をしたい気は山々でしたが全然できませんでした。
この度ちょっと時間が取れましたので本日頑張ってお送りしますのは、米軍がヴェトナム戦争時に使用していたトロピカル・コンバット・マンズ・コート(Tropical combat man's coat)、所謂ジャングル・ファティーグのコレクションから2ndモデルを採り上げます。
元々はスペシャル・フォース要員用にと開発がすすめられたこのジャングル・ファティーグですが、歩兵一般へ支給され、のち幾つかの改修を経ることによる特徴を基にコレクター諸氏あるいは研究家によって区別・分類されています。
↓まず全景です。ちょっと言い訳...。画像の左側が明るく白っぽいのは太陽光が画像の左側の方に強く差し込んできているからです。簡易ベッドルーム・スタジオでの撮影なのでお許しください。
ポケット・フラップのボタンはすべてフラップの内側についている「ボタン留め用フラップ」で留められ、フラップの表に露出していません。ガス・フラップがあり、ハンガー・ループがあり、ペン・ポケットが両胸のポケットに設えられています。所謂セカンド・モデルの特徴を有しています。
↓上述の、「改修を経ることによる特徴」と他の研究者の方々の研究成果を基に作成した「5モデル大別表」です。過去記事「ERDL迷彩・USMC・ジャングル・ファティーグ(ERDL Tropical Coat)」でも掲げていますが、コレクター諸氏の中には、もっと細かく分類される方もおられますけれども、最大公約数的な分類の仕方としては大体下記のようになるのではと思います。但しセカンド・モデルのうちエポレットは廃止したもののウェストの調整タブとガス・フラップは残されたタイプのモノも認められます。
↓両肩のエポレットはこのセカンド・モデルを最後に廃止されます。ハンガー・ループのすぐ下にあったはずのサイズ・FSN表示ラベルは残念ながら取れてしまっています。ガス・フラップが覗いて見えます。
↓両胸のポケットにペン・ポケットが設えられています。またポケットの下部にドレイン・ホール(水抜き穴)が穿ってあります。両ポケットの上にあったはずのネーム・テープは取り去られています。左(画像では右側)のポケットには何らかのパッチ(フラッシュ?)が貼ってあった形跡が見られます。どんなモノだったのか興味があります。
↓右胸ポケットの中です。3rdモデルまではペン・ポケットが右胸にもあります。
↓フロントのガス・フラップは上下2個のボタンで留めるようになってました。また、1stモデルでは身頃のボタンは一番上のボタンを含んで6つなのに対して、この2ndモデル以降は5つに減らされました。
↓袖先部分もタイプを判別する要素です。4thモデルまではこのようにスリーブ・ガセット(襠(まち)布)があります。
↓背面です。ヨーク(切り替え)はありません。両腰にウェスト周りの寸法を詰めるためのタブが設えられています。
↓右身頃の内側下部にもラベルがあります。ここにラベルが付いているのを見たのはこの個体が初めてでした。
↓拡大。こんなところに制式名称とDSAナンバーがあったんですね。
曰く「COAT, MAN'S, COTTON WIND RESISTANT POPLIN O.G. ARMY SHADE 107」「DSA 100-1398」。O.G.はオリーブ・グリーンの意です。シェード#107のO.G.が用いられているということです。
↓右身頃裏側、腰ポケットの裏側のラベルには「使用上の注意」が記されています。
↓拡大。こちらのラベルには「COAT, MAN'S, COMBAT, TROPICAL」と記されてあります。
訳は必要ですか?
1.熱帯地域でアウターとして着用すること。2.トラウザースの外に出して着用すること。3.内側のフラップがまっすぐ正しくボタン留めされているのを確かめて前面をボタン留めすること。4.横の調整タブでウェスト・サイズを合わせること。5.袖は捲り上げておけるよう調整できる袖口が設えてある。6.各ポケットの下部には水を排出できるようにドレーン・ホールが設えてある。7.コートは手洗いできる。石鹸は確実にすすぎ流すこと。8.LCE(Load Carrying Equipment;荷物運搬用装備)がポケットを塞がないようコートは通常より長めに作られている。 っていうところです。
如何でしたでしょうか?
何年か前にヴェトナム戦争時軍装を蒐集し始めた当初このジャングル・ファティーグを贖いました。パッチやネーム・テープは既に外されていましたが、その頃既に1st、2nd、3rdモデルは高騰し始めていたので、割と低廉な価格で売りに出されていたこの個体を即購入しようと決めた思い出があります。程度もソコソコでしたしサイズも合致していましたので。サイズ・ラベルは無くなっていますが、大体ミディアム・レギュラー位で、着用も可能でしたので、それも購入を決めた要因の一つでした。
また、画像はありませんが、左肩に師団パッチの貼り付け跡が残ってまして、それが縦長のホーム・ベース型なので、介入当初から数多くの作戦に当たった、あの"Big Red One"、即ち第1歩兵師団かなー?と思いを巡らせていたものです。
それでは今回はこの辺で失礼します。次回記事投稿はいつになりますやら...。
前回の記事投稿以来、公私ともにバタバタしておりまして、新しい記事の投稿・更新をしたい気は山々でしたが全然できませんでした。
この度ちょっと時間が取れましたので本日頑張ってお送りしますのは、米軍がヴェトナム戦争時に使用していたトロピカル・コンバット・マンズ・コート(Tropical combat man's coat)、所謂ジャングル・ファティーグのコレクションから2ndモデルを採り上げます。
元々はスペシャル・フォース要員用にと開発がすすめられたこのジャングル・ファティーグですが、歩兵一般へ支給され、のち幾つかの改修を経ることによる特徴を基にコレクター諸氏あるいは研究家によって区別・分類されています。
↓まず全景です。ちょっと言い訳...。画像の左側が明るく白っぽいのは太陽光が画像の左側の方に強く差し込んできているからです。簡易ベッドルーム・スタジオでの撮影なのでお許しください。
ポケット・フラップのボタンはすべてフラップの内側についている「ボタン留め用フラップ」で留められ、フラップの表に露出していません。ガス・フラップがあり、ハンガー・ループがあり、ペン・ポケットが両胸のポケットに設えられています。所謂セカンド・モデルの特徴を有しています。
↓上述の、「改修を経ることによる特徴」と他の研究者の方々の研究成果を基に作成した「5モデル大別表」です。過去記事「ERDL迷彩・USMC・ジャングル・ファティーグ(ERDL Tropical Coat)」でも掲げていますが、コレクター諸氏の中には、もっと細かく分類される方もおられますけれども、最大公約数的な分類の仕方としては大体下記のようになるのではと思います。但しセカンド・モデルのうちエポレットは廃止したもののウェストの調整タブとガス・フラップは残されたタイプのモノも認められます。
↓両肩のエポレットはこのセカンド・モデルを最後に廃止されます。ハンガー・ループのすぐ下にあったはずのサイズ・FSN表示ラベルは残念ながら取れてしまっています。ガス・フラップが覗いて見えます。
↓両胸のポケットにペン・ポケットが設えられています。またポケットの下部にドレイン・ホール(水抜き穴)が穿ってあります。両ポケットの上にあったはずのネーム・テープは取り去られています。左(画像では右側)のポケットには何らかのパッチ(フラッシュ?)が貼ってあった形跡が見られます。どんなモノだったのか興味があります。
↓右胸ポケットの中です。3rdモデルまではペン・ポケットが右胸にもあります。
↓フロントのガス・フラップは上下2個のボタンで留めるようになってました。また、1stモデルでは身頃のボタンは一番上のボタンを含んで6つなのに対して、この2ndモデル以降は5つに減らされました。
↓袖先部分もタイプを判別する要素です。4thモデルまではこのようにスリーブ・ガセット(襠(まち)布)があります。
↓背面です。ヨーク(切り替え)はありません。両腰にウェスト周りの寸法を詰めるためのタブが設えられています。
↓右身頃の内側下部にもラベルがあります。ここにラベルが付いているのを見たのはこの個体が初めてでした。
↓拡大。こんなところに制式名称とDSAナンバーがあったんですね。
曰く「COAT, MAN'S, COTTON WIND RESISTANT POPLIN O.G. ARMY SHADE 107」「DSA 100-1398」。O.G.はオリーブ・グリーンの意です。シェード#107のO.G.が用いられているということです。
↓右身頃裏側、腰ポケットの裏側のラベルには「使用上の注意」が記されています。
↓拡大。こちらのラベルには「COAT, MAN'S, COMBAT, TROPICAL」と記されてあります。
訳は必要ですか?
1.熱帯地域でアウターとして着用すること。2.トラウザースの外に出して着用すること。3.内側のフラップがまっすぐ正しくボタン留めされているのを確かめて前面をボタン留めすること。4.横の調整タブでウェスト・サイズを合わせること。5.袖は捲り上げておけるよう調整できる袖口が設えてある。6.各ポケットの下部には水を排出できるようにドレーン・ホールが設えてある。7.コートは手洗いできる。石鹸は確実にすすぎ流すこと。8.LCE(Load Carrying Equipment;荷物運搬用装備)がポケットを塞がないようコートは通常より長めに作られている。 っていうところです。
如何でしたでしょうか?
何年か前にヴェトナム戦争時軍装を蒐集し始めた当初このジャングル・ファティーグを贖いました。パッチやネーム・テープは既に外されていましたが、その頃既に1st、2nd、3rdモデルは高騰し始めていたので、割と低廉な価格で売りに出されていたこの個体を即購入しようと決めた思い出があります。程度もソコソコでしたしサイズも合致していましたので。サイズ・ラベルは無くなっていますが、大体ミディアム・レギュラー位で、着用も可能でしたので、それも購入を決めた要因の一つでした。
また、画像はありませんが、左肩に師団パッチの貼り付け跡が残ってまして、それが縦長のホーム・ベース型なので、介入当初から数多くの作戦に当たった、あの"Big Red One"、即ち第1歩兵師団かなー?と思いを巡らせていたものです。
それでは今回はこの辺で失礼します。次回記事投稿はいつになりますやら...。
タグ :ジャングル・ファティーグポプリンコート・マンズ・コットン・ポプリンtropical coatO.G.107Vietnam Wartropical combat mans coatfatigue
2015年11月22日
ERDL迷彩・USMC・ジャングル・ファティーグ(ERDL Tropical Coat)
晩秋か初冬か、暖かかったり急に冷え込んだり、当地大阪は衣服の調整が難しいです。
みなさまお久しぶりです。しばらく体調を崩しておりまして、前回の投稿から4週間振りの投稿になりました。
「大体隔週刊」を目指しております本ブログ、今回のネタはやっと2回目になる「被服ネタ」です。
被服ネタが少ない理由は、以前にも記しましたが一般的な戦闘服についてはもうさんざん他の方々が細かい所まで詳解なさっておられていて、もはや私が今さらしたり顔で講釈する必要は無い...と思っているからです。
また一般的でないレアな衣服は、その価格が高価なため所有できず、紹介しようにもできないという根本的理由に因るところもあります。
ただ最近、巷間「それは違う、それは違うでぇ~!」と言いたくなるような「間違った情報」がかなり蔓延しており、これは正さなければ...と思うこともしばしばあります。そんなときにはメジャーなモノについてもネタとして取り上げようと思っています。
今回採り上げるネタ、ERDL迷彩パターンのUSMC用ジャングル・ファティーグです。
↓ERDL迷彩パターンのUSMC用のジャングル・ファティーグ、正式な名称は「COAT, MAN’S, CAMOUFLAGE COTTON W/R POPLIN RIP-STOP CLASS 2」です。『W/R』は『Wind Resistant(耐風)』の略です。
ERDL迷彩の、いわゆる「グリーン優性パターン(グリーン・リーフ)」の生地がメインに使われています。ERDL迷彩って何?とおっしゃる方はこちら→Wikipediaをご参照ください。
↓背面です。後のウッドランド迷彩とはちょっと違う「明るさ」が好きです。
いわゆるジャングル・ファティーグは、諸々の特徴の有無によって私は大きく5パターンに分類・区別しています。コレクター諸氏の中には、もっと細かく、或いは4つに区分される方もおられます。私なりには大体下記のようになるのではないかと考えます(もちろん端境期に製造されたモノの中には、例えばヨークがあるのにエポレットやウェスト調整タブがあるモノ等、この分類から外れてしまうモノも、製造数は少ないものの存在します)。
このうちERDL迷彩生地で製造されるのは第3期からで、第1、2期の特徴を持つERDL迷彩のファティーグがあるとしたらそれは全くのニセモノか稀代の超超レアモノです。
また今回取り上げたモノには、あとで詳しくご覧頂きますが、左胸ポケットに「USMC」とEGAエンブレムのスタンプがあり、これが「海兵隊用」であることを示しています。先進的なものは先ず陸軍が採用・・・という「通例」に反して、実はこのERDL迷彩ファティーグについては海兵隊の方が陸軍より先に採用していたのだそうで、私がそれを知った時は意外に思ったものです。
↓袖先(カフ)の拡大。タブとボタンが2つ。初期のジャングル・ファティーグのようなガセット(マチ布)はありません。上の表を参照すると、このファティーグは第5期の最終型であることが分かります。私の個人的な感触としては69年くらいからこの第5期のソーイング・パターンになったと思っています。また、ほとんどデッド・ストックの68年モノが手許にありますが、これはガセットを有しており、しかしペン・ポケットは左胸だけですので第4期型ということになります。また機会があればお披露目します。
↓もっとも細く留めるとこの細さになります。
↓サイズとFSN(Federal Stock Number)のタグ。ハンガー・ループはありません。
↓拡大しました。SMALL-SHORTです。胸囲が33~37インチ(84~94cm)、身長が67インチ(170cm)以下の人用です。
FSNは8415-945-7652。末尾の2桁はサイズによって変わります。
↓名称、契約、表示・取扱注意表示ラベルは右身頃の下部ポケットの裏側にあります。
↓拡大。
↓更に拡大。
制式名称の一番末尾の「CLASS 2」は、ERDL迷彩のモノの事を指します。ここが「CLASS 1」で「CAMOUFLAGE」の語が無ければ通常の「OG-107」、すなわちいわゆる普通のグリーン一色のジャングル・ファティーグになります。DSAは100-69-C-2662。69年契約です。
↓冒頭で「ERDLの、いわゆる『グリーン優性パターン(グリーン・リーフ)』の生地がメインに使われています。」と記しましたが、この画像をご覧頂くと「メインに」の意味がお解り頂けると思います。
身頃に使用されている生地は「グリーン優性パターン(グリーン・リーフ)」ですが、両胸ポケット部分の生地は「ブラウン優性パターン(ブラウン・リーフ)」です。
「グリーン優性」はグリーン、ブラウン、ブラックとライム・グリーンの組み合わせ、「ブラウン優性」は同じくグリーン、ブラウン、ブラックとライム・グリーンの代わりにタンが入ります。
どちらにも共通して「ブラウン」が入っているのですが、タンと相まってより一層「茶色っぽく」見えるので「ブラウン優性(ブラウン・リーフ)」と呼ばれます。
植生学上の特徴から「グリーン優性パターン」は低地ERDL(Lowland ERDL)、「ブラウン優性パターン」は高地ERDL(Highland ERDL)とも呼ばれています。
↓これで良く分かると思います。右ポケットです。
↓左ポケット。
↓左胸ポケット・フラップのEGAスタンプとポケット本体のUSMCスタンプ。
かなり褪色が進んでうっすらとしか見えませんね。フラップにはスタンプせず、ポケット本体にEGAとUSMCの両方がスタンプされているケースもあります。またEGAのスタンプも、シルエットがベタでスタンプされているモノと、画像のように鷲の羽根や地球儀上の大陸が細かく描かれているモノの2種があります。
↓因みに...。海兵隊の公式エンブレム、EGA(Eagle, Globe and Anchor)です。
Globe(地球儀)とAnchor(錨)は世界中を股にかける兵役と海の伝統を意味します。Eagle(鷲)はアメリカ合衆国そのものです。鷲がくわえているリボンにはラテン語で「Semper Fidelis」、英訳すると「always faithful」、即ち「常に忠実な」という海兵隊のモットーが記されています。
↓左胸ポケットにだけペンが挿せるようになっています。
↓ただ単にペンが挿せるように縫い目が空けてあるだけでなく、ポケット内にペンのための独立したポケットがあります。
↓内側から見ると、ポケットの中のペン・ポケットが分かります。
また、迷彩生地の表面の色プリントは裏側へはそれほど滲み出ていません。
↓画像は右胸ポケットですが、どのポケットにも水抜き用のドレーン・ホールが設えられています。
↓これは右の下部ポケットのドレーン・ホールです。
↓前合わせは4つのボタン留め。
↓縫い合わせは全てシングル・ステッチです。
以上縷々観て参りましたが如何でしたでしょうか?
一時ヴェトナム戦時装備品に取り憑かれた時にERDLファティーグの程度の良いのを片っ端から集めたことがありましたが、私に合うサイズのモノが少なく苦労しました。背が165cmしかないのでSmallでないとRegularでは丈が長すぎて間延びして見えるからです。着丈は少し短めにするのがちょっとでも恰好よく見せるためのコツですね。
それでは、また次回......。
みなさまお久しぶりです。しばらく体調を崩しておりまして、前回の投稿から4週間振りの投稿になりました。
「大体隔週刊」を目指しております本ブログ、今回のネタはやっと2回目になる「被服ネタ」です。
被服ネタが少ない理由は、以前にも記しましたが一般的な戦闘服についてはもうさんざん他の方々が細かい所まで詳解なさっておられていて、もはや私が今さらしたり顔で講釈する必要は無い...と思っているからです。
また一般的でないレアな衣服は、その価格が高価なため所有できず、紹介しようにもできないという根本的理由に因るところもあります。
ただ最近、巷間「それは違う、それは違うでぇ~!」と言いたくなるような「間違った情報」がかなり蔓延しており、これは正さなければ...と思うこともしばしばあります。そんなときにはメジャーなモノについてもネタとして取り上げようと思っています。
今回採り上げるネタ、ERDL迷彩パターンのUSMC用ジャングル・ファティーグです。
↓ERDL迷彩パターンのUSMC用のジャングル・ファティーグ、正式な名称は「COAT, MAN’S, CAMOUFLAGE COTTON W/R POPLIN RIP-STOP CLASS 2」です。『W/R』は『Wind Resistant(耐風)』の略です。
ERDL迷彩の、いわゆる「グリーン優性パターン(グリーン・リーフ)」の生地がメインに使われています。ERDL迷彩って何?とおっしゃる方はこちら→Wikipediaをご参照ください。
↓背面です。後のウッドランド迷彩とはちょっと違う「明るさ」が好きです。
いわゆるジャングル・ファティーグは、諸々の特徴の有無によって私は大きく5パターンに分類・区別しています。コレクター諸氏の中には、もっと細かく、或いは4つに区分される方もおられます。私なりには大体下記のようになるのではないかと考えます(もちろん端境期に製造されたモノの中には、例えばヨークがあるのにエポレットやウェスト調整タブがあるモノ等、この分類から外れてしまうモノも、製造数は少ないものの存在します)。
このうちERDL迷彩生地で製造されるのは第3期からで、第1、2期の特徴を持つERDL迷彩のファティーグがあるとしたらそれは全くのニセモノか稀代の超超レアモノです。
また今回取り上げたモノには、あとで詳しくご覧頂きますが、左胸ポケットに「USMC」とEGAエンブレムのスタンプがあり、これが「海兵隊用」であることを示しています。先進的なものは先ず陸軍が採用・・・という「通例」に反して、実はこのERDL迷彩ファティーグについては海兵隊の方が陸軍より先に採用していたのだそうで、私がそれを知った時は意外に思ったものです。
↓袖先(カフ)の拡大。タブとボタンが2つ。初期のジャングル・ファティーグのようなガセット(マチ布)はありません。上の表を参照すると、このファティーグは第5期の最終型であることが分かります。私の個人的な感触としては69年くらいからこの第5期のソーイング・パターンになったと思っています。また、ほとんどデッド・ストックの68年モノが手許にありますが、これはガセットを有しており、しかしペン・ポケットは左胸だけですので第4期型ということになります。また機会があればお披露目します。
↓もっとも細く留めるとこの細さになります。
↓サイズとFSN(Federal Stock Number)のタグ。ハンガー・ループはありません。
↓拡大しました。SMALL-SHORTです。胸囲が33~37インチ(84~94cm)、身長が67インチ(170cm)以下の人用です。
FSNは8415-945-7652。末尾の2桁はサイズによって変わります。
↓名称、契約、表示・取扱注意表示ラベルは右身頃の下部ポケットの裏側にあります。
↓拡大。
↓更に拡大。
制式名称の一番末尾の「CLASS 2」は、ERDL迷彩のモノの事を指します。ここが「CLASS 1」で「CAMOUFLAGE」の語が無ければ通常の「OG-107」、すなわちいわゆる普通のグリーン一色のジャングル・ファティーグになります。DSAは100-69-C-2662。69年契約です。
↓冒頭で「ERDLの、いわゆる『グリーン優性パターン(グリーン・リーフ)』の生地がメインに使われています。」と記しましたが、この画像をご覧頂くと「メインに」の意味がお解り頂けると思います。
身頃に使用されている生地は「グリーン優性パターン(グリーン・リーフ)」ですが、両胸ポケット部分の生地は「ブラウン優性パターン(ブラウン・リーフ)」です。
「グリーン優性」はグリーン、ブラウン、ブラックとライム・グリーンの組み合わせ、「ブラウン優性」は同じくグリーン、ブラウン、ブラックとライム・グリーンの代わりにタンが入ります。
どちらにも共通して「ブラウン」が入っているのですが、タンと相まってより一層「茶色っぽく」見えるので「ブラウン優性(ブラウン・リーフ)」と呼ばれます。
植生学上の特徴から「グリーン優性パターン」は低地ERDL(Lowland ERDL)、「ブラウン優性パターン」は高地ERDL(Highland ERDL)とも呼ばれています。
↓これで良く分かると思います。右ポケットです。
↓左ポケット。
↓左胸ポケット・フラップのEGAスタンプとポケット本体のUSMCスタンプ。
かなり褪色が進んでうっすらとしか見えませんね。フラップにはスタンプせず、ポケット本体にEGAとUSMCの両方がスタンプされているケースもあります。またEGAのスタンプも、シルエットがベタでスタンプされているモノと、画像のように鷲の羽根や地球儀上の大陸が細かく描かれているモノの2種があります。
↓因みに...。海兵隊の公式エンブレム、EGA(Eagle, Globe and Anchor)です。
Globe(地球儀)とAnchor(錨)は世界中を股にかける兵役と海の伝統を意味します。Eagle(鷲)はアメリカ合衆国そのものです。鷲がくわえているリボンにはラテン語で「Semper Fidelis」、英訳すると「always faithful」、即ち「常に忠実な」という海兵隊のモットーが記されています。
↓左胸ポケットにだけペンが挿せるようになっています。
↓ただ単にペンが挿せるように縫い目が空けてあるだけでなく、ポケット内にペンのための独立したポケットがあります。
↓内側から見ると、ポケットの中のペン・ポケットが分かります。
また、迷彩生地の表面の色プリントは裏側へはそれほど滲み出ていません。
↓画像は右胸ポケットですが、どのポケットにも水抜き用のドレーン・ホールが設えられています。
↓これは右の下部ポケットのドレーン・ホールです。
↓前合わせは4つのボタン留め。
↓縫い合わせは全てシングル・ステッチです。
以上縷々観て参りましたが如何でしたでしょうか?
一時ヴェトナム戦時装備品に取り憑かれた時にERDLファティーグの程度の良いのを片っ端から集めたことがありましたが、私に合うサイズのモノが少なく苦労しました。背が165cmしかないのでSmallでないとRegularでは丈が長すぎて間延びして見えるからです。着丈は少し短めにするのがちょっとでも恰好よく見せるためのコツですね。
それでは、また次回......。