QRコード
QRCODE
< 2013年12>
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
オーナーへメッセージ

コレクション ブログランキングへ

2013年12月29日

ドイツ軍M31水筒(とコップ)〈Feldflasche mit Trinkbecher〉

年の瀬押し迫る中、おいで下さいましてありがとうございます。

今回はドイツ陸軍兵士の一般的野戦装備品の一つである「水筒」を取り上げます。

昔話で恐縮ですが、「軍隊が使っていたモノを一般人が『買える』」、「そういう『市場』がある」のを知ったのは、高校生のころ。まだインターネットなど存在しない約25年以上も前のことです。
本屋で偶然見つけた「コンバット・マガジン」の中の軍装品店の広告でした。
軍の装備品なんかは、「博物館に鎮座しているもの」であるという感覚しかなかった私には、それらが「商品」として広く売買の対象となって流通していることに驚きを覚えました。

それまでは軍装品との関わり方としては、タミヤ模型の1/35スケールの「ミリタリーミニチュアシリーズ」を組み立て・塗装を楽しむことを通じてしか「体感・意識」できませんでしたが、一般人にも「買う」ことができると知って、軍装品の「実在」を認識するに至りました。
つまり、博物館での「『軍隊で使っていたモノ』というイメージ」でしかなかったものが、「身近に『実在』しているモノ」という認識に変わったのでした。

そんな経緯を経て初めて入手したドイツ軍モノがこの水筒です。
Feldflasche mit Trinkbecher(Field flask with drinking cup:コップ付き水筒)。一般的な分類としては、今回取り上げるモノは「31年型」と呼ばれる、大戦以前~中期頃に生産されたものです。外見からのタイプとしてはもう一つ、容量が多く小ぶりのコップのついたタイプのモノがありますが、
私は何となくこっちのタイプの方がいかにも「ドイツ兵」っぽく感じます。実際はもう一方のタイプも広く使用されたのですけれど・・・。
前置きはこれくらいにして、それでは本題です。

Feldflasche mit Trinkbecher。まず正面。

右脇から。

背面。底部に擬宝珠(ぎぼし)状の突起があるのが見えます。

左脇。

↓艶消しの黒色塗装が施されたアルミコップ。水筒本体の上部にコップを被せるようにして、これを革製のストラップでぐるっと結わえて本体に固定します。コップにはストラップを通すループが前側に一つリベット留めされており、本体を保護しているフェルト製のカバーの前後にも同じようにストラップを通すための革製のループが縫い付けられていて、さらに底部にはストラップを保持する擬宝珠(ぎぼし)状の突起が付いていて、これらのループと突起にストラップを通してからバックル留めして、コップと本体とをしっかり固定することができます。

↓正面斜め上から。


↓ストラップの背面側には、水筒を雑納のDリンクに吊るすためのクリップが取り付けられています。

↓クリップから下に伸びているストラップ。内側の1本はさきほど触れたように本体とコップとの固定のために擬宝珠留めを経由して前側のバックルへとつながっています。外側のもう一本は擬宝珠留めの先で終わっています。こちらの一本は、水筒を雑納に取り付けるためのものです。雑納の蓋に設えられたループにこのストラップを通して水筒の擬宝珠留めで固定します。上述の、雑納のDリンクに水筒をクリップで吊るすだけでは、それを支点にして水筒が上下左右にぶらぶら揺れたり弾んだりするので、ストラップを雑納の蓋のループに通して固定することにより、二点で水筒と雑納をしっかり密着させるのです。

↓クリップはDリンクへ、ストラップは雑納の蓋のループへ通して・・・

↓擬宝珠で固定します。


まだまだ画像もたくさんあり、もっと続けたいのですが、長くなりすぎるので一旦ここで筆を置きます。続きは次回。  

2013年12月24日

MP38/40 マガジンの解剖(The anatomy of the magazine for M.P.38 u.40)

MP38/40 マガジンの解剖(The anatomy of the magazine for M.P.38 u.40)

相変わらずお寒うございます。
片付けながらのコレクション弄(いじ)り、今回はドイツ軍サブマシンガン「MP38/40」用マガジンです。

ここで「MP38/40」についての講釈は不必要かと思いますが、軍装品のブログをやってみようかなと思う人間にとっては「そんなの常識だよ」というものでも、まだこの世界に足を踏み入れたばかりの方々にとっては新たな発見・知識の習得に資するかと考え、少しだけ・・・、と思いましたが、やっぱりWikipediaを見て頂くことにします。Wikipediaの中には時々「?」と思うものがありますが、MP38/40の項に関してはそれほど「?」と思うところが無かったので、そちらを参照して頂き、ここでは割愛することにします。Wikiでは記載されていない事だけ所々に散りばめます。

MP38/40(Maschinenpistole 38/40)、原語に忠実に訳せば「38/40式機関拳銃」となります。

さて、MP38/40についてはマルシン製の金属モデルガンを持ってますので、不可動実銃(「無可動」ではありません。こだわってますよー)を買おうかとは考えてません。もちろん資力の問題が大きいためですが。マルシン製の金属モデルガンもいろいろ酷評されますが私自身はまぁそこそこの出来だと思っています。

で、それではせめてアクセサリーなどは実物を、といういつもの流れで今から20年以上前に入手したのがこのマガジンです。↓


↑こうして見ると結構凹みや錆が目立ちますね。側面に補強リブのあるごく一般的なタイプです。

↓マガジン下部にある「M.P.38 u. 40」の刻印。「u.」はドイツ語の「und(英語の「and」)」の略です。「MP38および40用」という意味です。


↓マガジン背面。銃本体に装着した時にマガジンハウジングに隠れるか隠れないかの部分です。製造者のヴァッフェン・アムト(WaffenAmt:陸軍兵器局)・コードと製造年の下2けた等。


さらに拡大↓

「WaA815」と「98E」は共にオーストリア、グラーツのシュタイヤー‐ダイムラー‐プフ株式会社・グラーツ工場製であることを示します。「41」は1941年製であることを示します。


↑マガジン背面下部の穴と「32」の数字の刻印。この穴からカートリッジが見えたら32発入っているよ、というインジケーターのためのモノです。

↓いよいよ解剖。マガジン底部の板バネストッパーを・・・


↓上へ押し上げ・・・


↓拡大。



↓前方へずらしますと・・・


↓マガジン・スプリングが・・・


飛び出してきます・・・

↓バラしました。


↓フォロワー


↓フォロワー前側。WaAは・・・


「280」です。チューリンゲンのErma社(エルフルト機械工業ベルトホルト=ガイペル有限会社)製です。

↓マガジン底部のプレート裏面。「WaAB37」すなわちフランクシェ鉄工業株式会社(Frank'sche Eisenwerke A.G.)製です。



打ち損じだからか、上下に2つ刻印があります。下のモノは右端が薄いです。

マガジンを構成する部品がいろんなところで造られ、組み立てられたのが判ります。

もう一本の方は、また気が向いたらやります。
ではまた。  

2013年12月21日

ファーストエイドパケット

お寒うございます。年の瀬のホッと一息つける貴重な時間においで頂きありがとうございます。
新年を迎えるにあたり、定例の大掃除に向けて少しずつ身辺の整理をしていこうかなと思いましたが、やはりモノに見入ってしまって捗りません。で、ついついこちらに来てしまいました。

さて、前回の記事「ファーストエイドパケット・パウチ(Pouch, First aid Packet)」に続き、今回はパケットそのものについて少しご紹介します。

前回記事「ファーストエイドパケット・パウチ(Pouch, First aid Packet)」の中で紹介しました「缶入りファーストエイドパケット」ですが、どのような構造になっているかがコレ↓で良く分かります。 1943年4月7日版「FM 21-11 First Aid for Soldiers」の中にある写真です。↓

ぐるりの金属テープを取り外すとモナカ構造の缶が上下に分かれ、中には紙で包まれた滅菌済みガーゼ包帯と、細菌感染予防のための粉末サルファ剤の入った小さな包みが入っています。

↑真ん中辺が凹んでいるのにはご勘弁下さい。「FIRST AID PACKET, U.S. GOV'T CARLISLE MODEL」がこのパケットの制式名称です。
CARLISLE MODEL(カーライル式(型))という名称は、これが1920年代にペンシルベニア州カーライル駐屯地の米陸軍衛生科装備研究所で開発されたことに由来します。
「テープを引っ張って開ける」
「赤色の印は包帯の背面を示す」
「反対側を傷に当てる」
との使用法が缶に凸モールドで記されています。

↓他のパケットとの集合写真。左上は今見てきた「缶入り版」。時計回りに、「ボール紙箱入り版(セロファンで包装されてます)」、カーライル式(型)とは別モノである「カモフラ救急包帯」、「黒色フォイル包装版」です。

↑缶入り版以外については、またの機会にもう少し詳しくご紹介します。今回はとても短いですが、それではまた・・・。  

Posted by Sgt. Saunders at 22:40Comments(0)米軍(U.S.)First Aid

2013年12月14日

ファーストエイドパケット・パウチ(Pouch, First aid Packet)

お久しぶりです。このひと月あまり、公私ともかなり忙しくて、テーマは用意していましたが更新できませんでした。
今回はWWⅡ米軍の「ファーストエイドパケット・パウチ(Pouch, First aid Packet)」についてです。

まずこちら↓ 前回の記事でも出しました1943年8月発行の「Quartermaster Supply Catalog 」のSection 1 - Enlisted Men's Clothing and Equipment -から、当該「Pouch, First aid Packet」の部分を抜粋。

曰く「イラストのPouch, First aid PacketはM-1942である。これより前のM-1910やM-1924も使われてはいるが、旧型の少しばかり寸法の短いパケットを収めるようにデザインされたものである……」。つまり、M-1910とM-1924はM-1942よりも小さいということが判ります。

↓まずは上記イラストでも紹介されているM-1942のカーキ色(正しくは「ODシェードNo.3」)バージョン。


↓続いてOD色(正しくは「ODシェードNo.7」)バージョン。


↓2つまとめて、


↓裏側。

色目は違えども、同じメーカー(Dubuque Awning & Tent Co. )で同じ1945年製です。

↓左がM-1942、右がM-1924。幅はほぼ同じですが、丈(深さ)が½インチほど違います。上のカタログの説明文にある通り、中に収めるパケットの大きさ変更に対応したものです。

↑左のM-1942にパケットを収納した図がこれ↓


↓ただ単にコロンと入っているだけです。


↓OD塗装の缶入りファーストエイドパケット。中にはガーゼ付きの包帯と細菌感染予防のための粉末サルファ剤の包みが入っています。



↑裏面には「結晶サルファニラミド剤入り」との表示。


↑缶は上下合わせのモナカ型。合わせ目を缶と同じ材質の金属(銅)テープでぐるっと一回りしてシーリングされています。使用時はこのテープを取り除いて缶を開き中身を取り出します。因みに缶の素材については銅→真鍮→鉄→プラスティックと変わり、遂には缶でなくなり、蝋塗りの紙箱&鉛箔にとって代わられます。このパケットについては、また項を改めて詳しく紹介するつもりです。


↑左がM-1910。フラップの留め具は2つのスナップ。右がM-1924で留め具はおなじみの「Lift-the-dot」。サイズは同じ。

↓裏面。

M-1910については製造時期により幾つかのバリエーションがありますが、また別の機会に紹介します。WWⅠ時以前に制定されたものですが、WWⅡ時においてもかなりの数が使用されていたようです。と言いますのは、WWI時の余剰分が再利用された事に加え、WWⅡの最中に何とM-1910が再生産された事にも由来します。またの機会にその辺についてお伝えしたいと思います。

↓左は「ブリティッシュメイドM-1942」。右はオリジナルUS製M-1942。前に取り上げたM-1928ハバーザックのブリティッシュメイドと同様、生地素材や留め具の形状などに違いはあるものの、基本的構造は同じです。当たり前と言えば当たり前ですが・・・。


留め具以外の縫製はほぼ同じ作りです。

↓フラップを開けたところ。1944年製です。生地はUSのモノよりもやや粗めのウェブです。



↑↓フラップ留め具の拡大。


↓スナップボタン表側。艶消しの黒色塗装が施されています。


実は私がWWⅡUS歩兵装備品で一番最初に手に入れた実物が、ブリティッシュメイドのM-1942ファーストエイドパケット・パウチなのです。
TV映画「COMBAT!」のサンダース軍曹の姿を見て、そして可処分資産(小遣い銭)の範囲で何か買えないかとコンバットマガジンの通販広告を隈なく調べた結果、沖縄アメリカ屋さんの広告にブリティッシュメイドのファーストエイドパケットパウチ(新品)を見つけて購入したのでした(当時の価格:確か1,000円だったと記憶しています)。
「良品」のUSオリジナルのM-1942ファーストエイドパケット・パウチも800円で販売されていましたが、まだその頃は「何でも新品の方がイイ」と考えていたからです(その後この分野のコレクションをしていくことになるとは未だ思っていませんでした)。
まだコレクションとしてではなく、サバゲの装備品として使うことが出来、且つWWⅡ装備で価格のお安いもの、という基準で買ったのでした。
沖縄アメリカ屋さん。懐かしい響きです。1984年頃のお話です。


  

Posted by Sgt. Saunders at 19:22Comments(0)米軍(U.S.)First Aid