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2018年06月17日

M-1910ファーストエイド・パケット・パウチ(POUCH, FIRST AID PACKET, M-1910)

みなさんこんにちは。
当地大阪も1週間以上前に梅雨入りし、雨が降ったり晴れたりの繰り返しが続いています。今日は雲の少ない晴天です。
米朝首脳会談が兎にも角にも予定通り行われ、成功だ失敗だと議論されていますが、「歴史的出来事」になったことだけは間違いなく、この後どうなるのかは当事者2人のみならず世界各国がどのように動くかによるのであり、我が国日本も隣国であるという立場からだけでなく各国との関係も見極めながら主体的・能動的に振舞うことが必要です。

さて定刻を1週間と1時間ほど過ぎてお送りする今回の投稿ネタは、大昔大きな括りのネタの中でちょろっとご紹介したことのあるM-1910ファーストエイド・パケット・パウチです。
大きな括りで、と申しましたのはコレ→過去記事「ファーストエイドパケット・パウチ(Pouch, First aid Packet)」です。今回はその中の一つについて詳細に見て行きます。

↓M-1910 ファーストエイド・パケット・パウチです(ストック・ナンバー:74-P-255)。WWⅠ以前にその前身たるM-1907を改良して開発されました。「M-1910」と、物凄く古めかしいかび臭いブツだと思うなかれ、WWⅠ後にもかなりの数のストックがあったため、WWⅡ時にも多用されました。


↓上から「M-1910」、「M-1924」、「M-1942」です。「M-1910」の横幅を少し長くしてフラップを三角にして留め具をスナップ・ボタンからLift-the-Dotに替えて「M-1924」が出来、次いで深さ(丈)を増した「M-1942」へと続きました。

M-1924がM-1910の改善版として新たに開発されたものの、WWI後もM-1910の在庫が多く残っていたため、M-1924の実質的な製造開始はWWⅡ勃発後にパウチの需要が拡大し始める1940年からでした。次いで1942年、パウチに収めるファーストエイド・パケットが缶入りのものから厚紙製の箱入りのものへと移行するのに伴い、容量を大きくしたM-1942が開発・製造されます。但し、1942年にのみJQMD(Jeffersonville Quartermaster Depot)によりM-1910が再び製造されています。何故M-1924あるいはM-1942でなく、既にLimited Standard(限定採用)となっている旧型のM-1910をこの期に製造したのか?色んな資料で調べましたが分かりません。「J.Q.M.D. 1942」のスタンプのあるM-1910というモノが存在するのには、このような背景があります。

↓裏面です。ダブル・フックでピストルベルトやカートリッジ・ベルトのグロメット(ハトメ穴)にぶら下げて装着するのは共通しています。


↓本題のM-1910に戻ります。フラップを開けました。上に置いているのは缶入りのWWⅡバージョンのファーストエイド・パケットです。WWⅠ時は未だ開封用のリングの付いているパケットしか存在しません。


↓製造者「THE M-H CO.」はTHE MILLER-HEXTER Co.の短縮形です。1918年9月製造です。画像右下にも何かスタンプ?


↓良く分かりません。上下ひっくり返すと「P.O.」?「F.C.」?


↓ファーストエイド・パケット缶がすっぽり入ります。


↓中身が入っているとこの様になります。2つのスナップ・ボタン留めです。


↓フラップのメス・スナップ表側を拡大。何の変哲もないボタンです。材質は真鍮です。


↓メス・スナップの裏側です。「CARR'S PAT. '13」とあり、「UNITED CARR社が1913年に取ったパテントだよ。」と表示しています。


↓オス・スナップです。こちらも特に変わった点はありません。

このスナップ・ボタンですが、上記パテントの「新型」スナップが世に出る前は、メス・スナップの表側は同じただのドーム型に見えても、裏側は囲い爪で、オス側が凸ポッチとなっているモノもありました。

↓背面のダブル・フックとパウチ本体へのハンガー部。このクローズアップ画像で触れておきますが、ハンガー部の部材はコットン・ウェブ、パウチ本体は目の細かい織りで、手触りはフワフワでコシはクタクタです。



以上です。WWⅡ時でも1942年以降撮影された写真に写っているM-1910は、WWⅠ以来の在庫分か1942年にJ.Q.M.D.で再製造された分かのどちらかということになります。

私がこれを入手したのは、アフリカ戦線での写真に写っていた米軍兵士がこれを装着しているのを見て「ああ、WWⅠだけでなくWWⅡ時にも使用していた例があるのだ」と分かってからでした。まぁ、WWⅡモノの蒐集がメインでありますけれども、やはりWWⅠモノもWWⅡで使われたケースがあるとあっては集めたくなってくるもので、同じような例は他にも沢山あります。
現在WWⅠ近辺の製造分であれば程度にも依りますがUS$35~50位で入手可能です。1942 JQMDスタンプのモノは希少性からUS$60以上で取引されている例もあります。




それでは今回はこの辺で失礼いたします。



  

Posted by Sgt. Saunders at 13:20Comments(0)米軍(U.S.)First Aid