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2020年03月08日

U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

みなさま、こんにちは。
少し前になりますが、今上天皇陛下誕生日の参賀が例のコロナウィルスの影響で中止になったり、東京マラソンでは一般参加者の参加を中止したりとウィルス対策のための「中止」「自粛」が全国的に広まり、何か閉塞感と言いますか暗ーい雰囲気に包まれています。
そして首相の小中高校などへの唐突な一斉休校「要請」。その「政治決断」に至った具体的根拠は示さず理解・協力を求めるのみで、2019年度予算から約2700億円の予備費を使っての経済対策を「10日のうちにとりまとめる」と述べたり、受けたくても受けられない人が多いウイルス検査については「必要な検査が確実にできるよう国が仲介する」としたり、「15分で検出できるキットを今月中に開発する」などと「ホンマかいな」と思われるような発言を繰り出しています。
その後には公務は無い土曜の夕方に急遽会見を設定した割には記者からの質問はあらかじめ台本の作られたモノだけに限られた、まさかの時間制限付きで、どう見ても国民の不安と向き合う覚悟があるようには映りません。
実際春休みを含む形で公立・私立の小中高がお休みとなり、終業式・卒業式が省略・簡略され、入試はどうするのかは各自治体や私学に丸投げ。「『要請』して、それを受けて実施するのはそちらの判断。だから責任はそちらにあるんだよ。」という論法でしょうけど、あまりに無節操・無責任です。
東京高検の黒川弘務検事長の定年延長について、検察官の定年は、検事総長以外は検察庁法で63歳と定められているにも拘らず、安倍政権は国家公務員法81条の2を強引に適用・解釈して「定年延長できる」と法解釈を「閣議決定」。法律を「閣議決定」で捻じ曲げたけれど、森雅子法相は過去の法解釈との相違を追及されてもシドロモドロで何度も答弁を「修正」。もう無茶苦茶です。
何か心が晴れるようなパッと良いニュースがありませんかね。横澤夏子さんに第一子が生まれたそうで、良かったですね。

さて定時を一週間過ぎての今回の投稿ネタは、「またトンプソン?もう飽きた!」と仰る勿れ。
トンプソンに付いているスリングにご注目ください。
↓以前の投稿「トンプソン短機関銃用Kerrスリング(Thompson Kerr Sling)」等の中で触れたことのある「M1923ウェブ・スリング(Sling, Web, M1923)」のレプリカです。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)
実物ではなく、何故レプリカでの入手に至ったかと言えば、実物の出物が今後期待しにくく且つ価格が高いであろうことと、このレプリカの製造者自身が「Limited Quantities(数量限定)」と謳い、今後再び製造販売されることが無いのではと思われたためです、今レプリカの形ででも入手しておく必要があると判断したからなのですが、まだ今もひっそりと売られています...。
実物はとてもレアな存在なようで、私自身国内・海外とも売りに出されているのを見たことは2度ほどしかありませんし、いくらで売りに出されていたかもよく覚えておりません。
今でこそこのM1923ウェブ・スリングは世界中の人々によってネットで俎上にあげられて広く認知されていますが、インターネットが普及し始める1996年頃以降でも、耳目を集めることはあまりなかったように思います。私自身こんなスリングがあった事を知ったのはほんの20年くらい前です。

↓トンプソンからKerrスリングを外す前にM1923ウェブ・スリングを沿わせてみました。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓向きが違って対照し辛いですがM1903小銃のマニュアルから。冒頭からトンプソンに付けてみてますが、トンプソンに限る訳でなく、本来このM1923ウェブ・スリングは、M1903ライフル用の革製のM1907スリングの「代替廉価版」として開発され、その名の通り1923年に採用されたモノでして、WWIIまでにはM1ガーランド小銃やBARにも使われています。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)
WW1が終わったのち米陸軍装備品に若干の改修が「M1923シリーズ」として行われました。その一つでもあるのがこのスリング。要するに高価な革でなく安くて軽いコットン・ウェブで作るようにしたモノでありましたが、次の画像で見ますように「長ーくも出来るし、短くも出来るし、『精密射撃ポジション』にも出来る」というKerrスリングが持っていたコンセプトも受け継ぐように開発されましたので、その構造・造りが少し複雑で、銃に取り付けるのに面倒でひと苦労もふた苦労もする気がします。

↓これはその、未だ密かに販売されておられるネットからの引用画像です。上から「Parade, Short Carry, Long carry, Shooting」ポジションに出来ると説明されています。Kerrスリングでも同じように4つのポジションで使える!との売り文句がありましたが、それと同じです。
しかし、バックルに通っているストラップが一部外されて「バックルが半分遊んでいる」状態になっていて(画像下2つの「Long carry」、「Sniping and Shooting Position」で、銃口側(左)のバックルにストラップが通っていない部分がある)、個人的には「何か恰好悪い」と思います。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓アメリカのナショナル・アーカイブからの画像です。1944年4月15日イタリアのアンツィオ・ビーチから3キロほどのCeretto Alto急襲作戦終息間際で撮られたそうで、第1スペシャル・サービス・フォースの軍曹がトンプソンにこのM1923ウェブ・スリングを付けているのが分かります。他のウェブ・スリングには無い特徴的なバックルで識別できます。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓では、細部を見て行きます。革製のM1907スリングでも長・短2本のストラップと2つのフックがどのように組み合わさっているのかを理解するのに骨が折れましたが、このM1923ウェブ・スリングでも長・短2本のストラップが2つのバックルでどのように組み合わさって、どう働いているのか、一瞥しただけでは分かりませんでした…。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓私が分かり難かったのはこのバックル群です。見るからにややこしそうな感じです。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓裏返してみました。「こっちから来て戻ってバックルを通ってまた戻って長さはどうやって…?」と、脇に「出来上がり図」が無ければ組んでいく自信がありません。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓はい、解剖してみました。本記事の上の方で掲げましたマニュアルでの用語を用いれば、大型バックルが末端に縫い付けられた長ストラップと自在キーパー、金属ループが末端に縫い付けられた短ストラップ、および小型バックルで構成されます。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓拡大です。左上の自在キーパーは後のM1スリングでも見られるモノで良く見慣れています。右上の金属ループも特に気にはなりません。左下の「大型バックル」は本当に大きく、と言うかハシゴの数が多くて他に見覚えがありません。このスリングにおいてのみしか私は見たことがありません。右下の「小型バックル」は例えばM1928ハバーサックやM1936サスペンダーで見慣れています。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)
縫い糸の周りが黄色じみて写っているのは、私が染料で染めている作業の最中だからです。元々は真っ白な糸で余りにもレプリカ然として違和感があったので染めようとしています。上手くいくかどうか。

↓このキーパーはM16ライフル用のスリングなどでも使われましたし、何より簡便で使い易いですね。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓これが問題の大型バックルです。外枠を除いて中のハシゴが4つありますが、右から2番目のモノは位置が低く、またストラップが巻かれることはありません。補強用のモノだと考えてます。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓このリングは、特記無しです...。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓その裏側にレプリカでありながら、「S.M. Co.」「1942」と本当に存在・製造したメーカー名が製造年とともにプリントされています。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓しかし、このように「レプリカです!」とハッキリ分かるよう、また「当時モノの実物である」と誤認しないよう、別のスタンプが押されています。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)

↓見にくいですが、円の中にAFCのロゴマークとAmerican Fabrics Company 云々の標記があります。弄っているうちに掠れてしまいました。
U.S. M1923ウェブ・スリング(U.S. M1923 Web Sling)
このAmerican Fabrics Companyは、WWII当時別の装備品、例えばBag, Carrying, Ammunitionなどは製造しておりましたが、M1923ウェブ・スリングは製造していませんでした。そのAmerican Fabrics Companyの工場設備を現在所有している有名ドラム製造メーカー RCI Starlight Drumsが、ドラムとは全く関係の無いM1923ウェブ・スリングのレプリカを製造・販売しているという訳です。
スタンプされている「S.M. Co.」社はWWII当時このM1923ウェブ・スリングを製造しておりましたメーカーで、つまり、「ドラム製造会社RCI Starlight Drumsが、American Fabrics Companyの工場設備を使って、WWII当時M1923ウェブ・スリングを製造していたS.M.Co.社のスタンプを施してレプリカを製造・販売している」という事です。
American Fabrics Companyの歴史のページ←別ウィンドウが開きます。但しこの会社が直接このレプリカを販売している訳ではありませんのでご注意を。
販売しているのはRCI Starlight Drumsです。←別ウィンドウが開きます。

今回の投稿に当たっていろいろ調べましたが、WW1とWWIIとの間ではまだKerrスリングや革のM1907スリングの在庫が沢山あったのでM1923ウェブ・スリングの製造はあまりなく、WWIIが始まってから製造されはじめ、しかもその中には、レンド・リースとしてソビエトやイギリスなどに多く渡った可能性もあり、そのために現存数が少ないのではと考察している方がありました。しかもWWII末期か終了後には前述のもっと簡素なM1ウェブ・スリングも出て来ましたし、M1923ウェブ・スリングの製造時期は短く、それ故製造数はもともとそれほど多くなかったのではないかと推察いたします。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお目に掛りたく思います。ご機嫌よう。さようなら。








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