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2014年07月21日

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)

こんにちは。
毎日曜日の正午の更新(新規投稿)を目標にしております当ブログ。ただいま月曜日の午後3時2分。当地大阪は現在晴れ、気温32度。暑いですが比較的湿気が少なく不快感もまだ少ない方です。1日と3時間遅れの投稿です…。

今回は装備品です。当初「『Model of ~』と『M~』の謎」というタイトルにしようかと考えましたが、論点がぼやけるのでまたあらためて取り上げることにします。

↓まずは、これをご覧ください。
Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
これは何でしょう?

↓参考にこの画像を。
Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
画像の上側はM1903ライフル(スプリングフィールド)用として採用されていたM1905銃剣用のM3鞘(WWⅡ時制式化)です。M1ライフル(ガーランド)が正式採用されてもそのままその銃剣・鞘として使われました(これについては以前の当ブログ拙稿「短くなるのは良いこと。」をご参照下さい)。
ではでは下のモノは何?

タイトルにある「Model of 1917銃剣とM1917鞘(樹脂浸潤成型版)(Model of 1917 Bayonet & M1917 Scabbard(resin-impregnated cotton duck body version))」です。

イギリス軍の口径.303の制式小銃たるP14ライフルを、米軍の.30口径弾に適合するよう改良して造られたM1917ライフル(エンフィールド:Enfield)用の銃剣として制式化されたモノです(もちろん銃剣はレプリカです。また、鞘についてはのちに触れますが、WWⅠ当時のモノではなくWWⅡヴァージョンです(Model of 1917ではなくM1917です))。
米軍はそれより前にM1903ライフル(スプリングフィールド)を制式化していましたが、WWⅠへの参戦に伴って小銃の必要量が増加し、その対応策として当時イギリス軍向けに生産していたP14ライフルに上記の小改良を加えM1917ライフルとして採用しました。つまりWWⅠ当時M1903ライフルとM1917ライフルの2種類のライフルが並行採用されていたのです。

で、M1903ライフル用にModel of 1905銃剣がありまして、この銃剣をM1917ライフルに取り付けられるように、口径の改良と同じく小銃側の着剣具に改良を行ったかと言えばそのようにはせず、イギリス軍が使用していたP14ライフル用の銃剣「P13銃剣」を大量に調達してそれに小さな改良を加えて「Model of 1917銃剣」として制式化したのでした。
つまり結局、ライフルも銃剣もイギリス軍のモノであった物をちょっとだけ改良して、従前の独自制式分と並行して制式化して使っていたということです。調達のしやすさでは手っ取り早いのでしょうが、自軍の中でライフルと銃剣が2種類ずつ存在するというのは合理的なのか非合理的なのか、よくわかりません。
そしてまた、このModel of 1917銃剣はM1897トレンチガン(ショットガン)にも着剣できました。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)

←上がM1903ライフルとModel of 1905銃剣。下がショットガンに着剣されたModel of 1917銃剣。(画像はWikipediaより引用)






↓銃剣はもちろん本物ではなく、ずっと昔オークションで手に入れたタナカ製のモデルガン「Winchester M1897 ショットガン」に付いてきたレプリカです。
Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↓銃剣だけでも別売りされてたのでしょうか、箱も立派でした。
Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
鞘は実物です。


さて、Model of 1917鞘の方ですが、WWⅠ当時は本体が革製でした。これがWWⅠ当時のモノです。(eBayより引用。)↓
Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
全体に黒く見えますが、鯉口と先端部は金属製で、本体は革製です。いわゆるフレッシュサイド・アウト(裏革仕様)のオリーブ・ドラブ塗装仕上げです。本体を構成する革は裏側中央で縫い合わされています。この辺はもっと時代を遡った「エンピール銃」用の銃剣の鞘と同じ造りです。
Model of 1905銃剣用の、セカンド・モデルたる、本体が木製でカーキ色キャンバス地でカバーされ先端が革で補強されたModel of 1910鞘が、その複雑な構造の割に破損しやすかったことから、WWⅡ中に新たにコットン・ダック地に樹脂を浸み込ませて成型された本体を持つ「M3鞘(「Model of ~」式ではなく「M3」となります)に取って代わられたのと同様に、上の画像のModel of 1917銃剣用のModel of 1917鞘も、革製たるゆえ湿度に弱く耐久性に難があることから、WWⅡ末期(1944年頃)に上記の樹脂浸潤成型の本体を持つモノに代えられました。ただ、こちらの方は新たな制式名は、「M1917鞘」と、「Model of ~」の表現ではなくなったものの西暦年4ケタを使用し続けています。
また、M3鞘とM1917鞘は、実は本体部分は同じモノです。刀身の長さがほんの少し(0.5インチ(約1.3センチ))長い分鯉口の金具を長くして銃剣が収まるように調整してあるだけです。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑上がM3鞘。下がM1917鞘。鞘本体は共通(同じモノ)で、刀身の長さ分だけ鯉口の長さを変えて作り分けていました。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑鯉口の拡大。左のM3には「Flaming Bomb」の刻印。右のM1917の鯉口には同じく「Flaming Bomb」と「M-1917」の刻印。また、表側裏側ともに鞘の内部で刀身を保持する板バネを固定するためのリベットが2つずつあります。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑見にくいので更に拡大。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑裏側。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑左のM3には銃剣が不意に抜けないようにするための鉤爪がありますが右のM1917にはありません。鞘の内側の板バネが刀身をガッチリ挟むため問題は無いのですが、むしろバネのテンションが強すぎてすぐに抜くのが難しいくらいです。

ただModel of 1917銃剣の方はWWⅡ中にM1917銃剣として製造されることは無かったようで、後で記しますように制式名が「Model of 1917」から「M1917」と代わって製造されるようになるのはヴェトナム戦争の頃のようです。Model of 1917銃剣とM1917銃剣との決定的差異としては、Model of 1917銃剣はグリップが縦に二本のグルーヴの入ったウォルナット製であり、M1917銃剣のグリップはチェッカー入りの黒色プラスティック製である点を挙げることができます。刀身自体の仕上げにも差異があり、前者は明るめのグレーであるのに対し後者はパーカライズ処理されているということです。その他の違いについてはまた別の機会に…。

WWⅠ休戦後、M1917ライフルは一部が二線装備として使用され続けたほかは殆どが余剰装備として処分されると(WWⅡ時まで保管していた分の中にはイギリスへ貸与されることとなったモノもあるとのこと)、WWⅡにおいてはModel of 1917銃剣は専らM1897ショットガンに着剣しての用途しかなく、WWⅡ中に新たに製造されることはありませんでした。しかし、太平洋戦線においてはショットガンが有用であったことから、その後の朝鮮戦争まで使用が続けられました。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑タナカのM1897ショットガンに着剣。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑銃口の直下の「偽銃身」に銃剣のマズル・ホールを通して、スイベル・リングの下部のラグに銃剣のアンダーカット・グルーヴを通して着剣します。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑アンダーカット・グルーヴの拡大。M1905系の銃剣と同じような形ですが、マズル・ホールの大きさなどの寸法が違うのでスプリングフィールドやガーランドには合いません。

Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)
↑タナカさんはここまでやってくれていました。「US」と「Flaming Bomb」と「1917」の刻印。しかし、このような刻印はこの銃剣の刻印としては不適切。でも「らしさ」を醸し出す面でおおいに貢献しています。


そしてヴェトナム戦争時には、再び新規製造が開始されます。WWⅡの太平洋戦線と同じくヴェトナムのトロピカル地帯におけるショットガンの有効性からショットガンが再び脚光を浴び、それに付随してModel of 1917銃剣とそれ用の鞘(WWⅡ時に既に名称が「M1917鞘」となっていてWWⅡ後期には18万本程が製造されました)の需要が再発生したためです。しかしながらその量はさほど多くありませんでした。と言うのもこの前時代的な旧式のM1917銃剣でなく、M1ライフル用のM5銃剣を取り付けられるM77Eスティーブンス・ショットガンや、M16ライフル用のM7銃剣を取り付けられるM870レミントン・ショットガンがM1897ショットガンに代わって使われるようになったからです。
M1917鞘のWWⅡ製造分とヴェトナム戦時製造分との差異は、WWⅡ製造分には鯉口の部分に「Flaming bomb」と「M-1917」の刻印があるのに対してヴェトナム戦争時製造分には「U.S.-M1917」と製造者略号文字(「B.M.CO.(Beckwith Mfg. Co.)」や「V.P.CO.(Victory Plastic Co.)」など)の刻印がある点です。

↓因みに今回のモノは鯉口の各刻印から「WWⅡ時Beckwith Mfg. Co.製」であることが判ります↓(「B /1 N」はBeckwith Mfg. Co.の品質管理用の記番号です。
Model of 1917銃剣とM1917鞘(M1917 Bayonet & Scabbard)



以上、駆け足でしたが、ここまででトップの画像の「Model of 1917銃剣」と「M1917鞘」の組み合わせは、WWⅡ後期(1944年以降)からヴェトナム戦争の頃までに見られる形であることが理解できると思います。

今回はこの辺で。
それでは、また…。










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