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2021年09月05日

US レンザティック・コンパス(ヴェトナム戦時)(US Lensatic Compass(Viet-Nam era))

みなさん、こんにちは。

晩夏の筈なのに秋雨前線が早々と出現して長雨をもたらし、各地で土砂災害を惹き起こせば、将又思い出したかのように酷暑が続いたかと思いきや、またも前線が停滞してここ一週間ほど雨の続いておりました大阪から、菅首相の退陣宣言が出、更にいよいよ新型コロナウィルス感染の確率論的可能性が高まってまいりました中、先週の日曜日何とか投稿できるか?と頑張りましたが間に合わず、妙に数日送らせるより次の日曜日に投稿した方がいいかなと思い、本日定時より一週間遅れでお送りいたしますのは、米軍がヴェトナム戦時に使用しておりましたレンザティック・コンパス(Lensatic Compass)です。WW2時のレンザティック・コンパスについては過去記事→US WWⅡレンザティック・コンパス(US WWII Lensatic Compass)で採り上げていますので対比させながらご覧頂いても面白いかも。
今回はモノが小さいので久々にリビングルーム・スタジオでの撮影です。

↓先ずはサムネイル画像となりますのでケースと共に。ケースの方は一応過去記事(M1956ファーストエイド/コンパスケース(M1956 FirstAid Packet/Compass Case))で採り上げてます。今回の主役は右に写っておりますコンパスです。


↓上述の過去記事でも触れていますが、このケースはファーストエイド・パケットとコンパスの両方兼用のケースでした。のちにはコンパス専用ケースになりますが。


↓はい、やっと主役です。照準ワイヤーが張ってあるカバー(上蓋)の上に左から保持用ワイヤー・ループが被さります。この状態が使用前・収納時の姿です。光が反射していて見難いですが、左側から横U字型に伸びている保持用ループとアイ・ピースなどごく一部の部材がマット・ブラックで焼付塗装されている他は全体がODで塗装されています。素材はダイヤルやベゼルがプラスティツクである以外はアルミ合金です。レンズはガラスかプラスティックか、多分ガラスだと思います。


↓カバーの拡大です。沢山の刻印表示があります。このコンパスが「M-1950」と呼ばれることがありますが、この画像でも分かるように「M-1950」という表記はありません。また「U.S. COMPASS, MAGNETIC」とあり、「Lensatic」の文字はありません。コンパスがMagneicなのは当たり前なので(ジャイロコンパスは別ですよ)、なぜLensaticを落としてMagneticとしたのか?分かりません。Lensaticの方が、それ以前のコンパスで採用されていたPrismaticに替わる改良版であることを如実に語るのであり、分かり切ってるMagneticを入れてなぜLensaticを落とすのか。ネットを覗いてみましたが、「Lensatic compass」の方が「Magnetic compass」よりも多く引っ掛かってくる印象ですし、謎です。「FSN(Federal Stock Number)」は6605-846-7618。下側に「MFD.(製造者)」として「JAY BEE CORP. SUB.(subsidiary) OF STOCKER & YALE INC. WALTHAM, MASS.」と、マサチューセッツ州ウォルサムのStocker & Yale Inc.社の子会社Jay Bee Corporation社製と謳っております。DA23-195-AMC-00972(T) のDAナンバー、「12-1966」の契約年月表示が続きます。


↓裏側です。放射性物質(Radioactive Materials)マーク、「AEC LICENSE NO.34-1466-2」はARMY ENVIRONMENTAL CENTER(敢えて訳せば「陸軍環境センター」)のライセンス番号表示。「CONTAINS 75 MC RADIOACTIVE H3(放射性物質三重水素(トリチウム)を75μC(マイクロ・キュリー)含む。」、「DO NOT OPEN(開けるな)」、「DISPOSE OF PER T-O-00-110N-2(Technical Order 00-110N-2に従って廃棄すべし)」、「IF FOUND RETURN TO MILITARY AUTHORITY(拾ったら軍当局へ返還すべし)」との表記。因みに「μC(マイクロ・キュリー)という単位は1974年からはBq(ベクレル)という単位で表されます。1C=370億Bqなので1μC=37,000Bq、つまり75μC=275万5千Bqという事になります(合ってますよね?…)。軍モノとしては珍しく裏蓋を留めるのにプラス螺子が使われてます。塗装が剥げている様子が無いので未開封だと思います。


↓側面から。カバー(上蓋)とベースに挟まれた黒い部分はベゼル・リングです。


↓反対側です。上下の目盛と数字は物差しになります。また後で触れます。


↓カバーを開きます。


↓この状態が「Compass to eye(cheek)」用法での通常の使用状態です。なお、カバーを開いてレンズ・リーフを開くと、それまで使用時外の故障を防ぐために方位磁針とダイヤルが上方へ持ち上げられて固定されていたのが解放され、自由に動き出します。


↓レンズのあるサイティング・スロット(照門)とカバーのサイティング・ワイヤー(照星)と対象物が照準線上に合わさった時、レンズを通してダイヤル上の目盛を正確に読みます。銃のサイティングと同じ要領です。もっと簡易な使用法として、カバーを180度フルに開いてサイティング・ワイヤーを使わずに胸のあたりで保持して使う「Centerhold」用法があります。最後にお見せします米海兵隊学校(Marine Corps Institute)1983年8月発行MCIO P1550.14D Essential Subjectsにはこちらの方法しか掲載されていません。


↓横から見るとこんな感じです。


↓ベゼルはこの小さいストッパー・スプリングがそのノッチに嵌ってて回すとクリックします。1クリックが3アジマス(3°)です。


↓ベゼルの裏側に矢印と点が、磁針にくっ付いて回転するスケールには北を指す▲とWとEとがそれぞれトリチウムを含む夜光塗料で表されています。ベゼル裏側が若干曇っています。分解して綺麗にしようかと思い始めてもうカレコレ十有余年…。


↓このようにカバーを全開にしますと25,000分の1のスケールが出来あがりまして、25000分の1の地図上に置けば距離を測ることが出来ます。目盛の左端が「0」で、1,000で1km、2,000で2km...という事になります。1970年頃以降の製造分からは50,000分の1に縮尺が変更されました。


↓カバーの裏面です。サイティング・ワイヤーの両端が留まってる箇所にも蛍光塗料が塗られていて、夜間などワイヤーが見難い際のサイティングを助けます。スリットの直ぐ上の「67-12-45-18」は製造ロットか何かの番号だと思います。


↓少し時代が下りますが米海兵隊学校(Marine Corps Institute)1983年8月発行MCIO P1550.14D Essential Subjectsから抜粋です。色んなマニュアルで同じような図が出てきますが、各パーツの表記には若干揺れがあります。



今回は以上です。
現在市場では時代物の実物コンパスの出物はあまり無いようです。私が入手したのはかなり昔、もう15、6年前くらいだったと思います。WW2時代のレンザティック・コンパスを入手していて、ヴェトナム戦装備を後から蒐集し始めましたので、じゃあコンパスもヴェトナム戦時のモノを手に入れないとなぁとの思いでした。WW2レンザティック・コンパスの記事でも書いてますが、我が家では節分の日に巻き寿司を丸かぶりする時、部屋の中で恵方はどの方向なのかを確認するのに役立っております。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお会いしましょう。さようなら。







  

Posted by Sgt. Saunders at 12:02Comments(0)Compass

2020年11月01日

M1956ファーストエイド/コンパス・ケース(M1956 FirstAid Packet/Compass Case)

みなさん、こんにちは。
11月に入りまして朝晩は寒さを覚える季節になりました。お昼間はお日様が出てらしたら20℃前後まで気温が上がって実に過ごしやすいです。ずっとこんなだと良いんですが長くは続きません。
当地大阪は「大阪市をつぶすことになり住民サービスの低下に繋がる」、「二重行政の無駄を省いて効率的な行政が行える」とかで、「都構想」の是非?が問われる住民投票が今日行われます。5年前の前回は僅差で否となりましたが、今回はどうなるのでしょうか。

さて今回お送りするネタモノは、タイトルでは字数制限があって納得のいくものを掲げられなかったのですが、「M1956 ファースト・エイド・パケット or コンパス・ケース(M1956 First Aid Packet or Compass Case)」です。とは言え実はこのモノの「制式名称」は時期によって変遷を遂げまくりなので、一応最大公約数的な表示に致しました。詳細についてはみなさま方におかれましてお調べください。ここではその全てを網羅するのはちょっと不可能です。

↓M1956 ファースト・エイド・パケット/コンパス・ケース(Case, First Aid Packet or Compass, M1956)です。左の相当草臥れている方がいわゆる「初期型」、右のデッド・ストック並みのモノが「後期型」と呼ばれています。「後期型」の方が圧倒的に製造・供用期間が長いので「初期型」は少数です。かと言って、それほど「レア」という印象は持ってません。結構まだ手に入れ易いと思います。名称の中に「or」と入っているのは、ファーストエイド・パケット・ケースでもあり、コンパス・ケースでもある、という事です。

余談ですが、WW2中のM1942ファーストエイド・パケット・パウチが当初は正に「ファースト・エイド・パケット入れ」だったのが、1950年代以降「ファースト・エイド・パケット or コンパス・パウチ」と名称が変わり、コンパス・ケースの役割も持たせられましたが、さらに後には「ファースト・エイド・パケット」の文言が名称から外され、「コンパス・ケース」となりました。
今回お送りするモノも、供用開始当初は本稿のタイトルにもあるように「ファースト・エイド・パケット or コンパス・ケース」という名称でしたが、途中で「ファースト・エイド・パケット」の文言が制式名称から外され、最終的には「コンパス・ケース」となっていきました。あとでまた触れます。

↓初期・後期の差異は、フラップに施されているコットン・テープの縁取りが、「初期型」はフラップのみであるのに対して「後期型」では本体両側にも延び、また、ポケットの上縁にも施されるようになった点、それと…


↓「初期型」の底部には何もありませんが…


↓「後期型」の底部には水抜きのドレイン・ホールがあります。


↓裏面にはどちらのタイプにもスライド・キーパーが一つ設えられています。


↓白い紙片をピストル・ベルトに見立ててスライド・キーパーの仕組みを示しています。ピストル・ベルトのほか通すことのできるモノ全てに着脱できます。スライド・キーパーは、このファースト・エイド・パケット or コンパス・ケースも含めた「M1956装備システム(M1956 Load-Carrying Equipment)」から導入された装備品の連結具で、それまでのM1910装備システムで用いられたダブル・フック・ワイヤー・ハンガーとハトメ穴との組み合わせに比べると脱着面での機能性が格段に向上しました。ハトメ穴を必要としないので例えばピストルベルトのハトメ穴の位置に関係無く、任意の位置に取り付ける事ができます。


↓では個別に見て行きます。左の「初期型」。長期に亘り中に入っていたであろうファーストエイド・パケットの形に沿って布地が擦過損傷しています。


↓フラップの裏側には制式名称や契約内容などのスタンプがありますが、もはや判読不能です。


↓フラップ留め具のスナップ・ボタンのオス側の裏面。彼の著名な「RAU FASTENER CO.」の刻印。あとで見ます「後期型」のモノと同じように、円周左下の一見何も刻印が無い部分にはひょっとしたら「PROV RI(PROVIDENCE, RHODE ISLAND」の略)」とあったけど磨耗で見えなくなったのかも知れません。


↓メス側の裏側。判読が困難ですがこちらにはスペースが少ないのに「RAU F CO PROV RI 」と、社名の一部である「FASTENER」を「F」と略してまで、所在地である「ロードアイランド州のプロヴィデンス(PROVIDENCE, RHODE ISLAND」の略「PROV RI」を入れてます。


↓次に右側の「後期型」のフラップの裏側です。スタンプでは名称が「LENSTATIC COMPASS MAGNETIC」となっています(スペルミス?何ででしょう?調べた限りこんな単語無いです...。まさか粗悪なレプリカ?)。「ファーストエイド・パケット」の語は入っていません。冒頭部分で触れましたが、これはこの個体が既に「ファーストエイド・パケット入れ」としての役割から外された時期以降の製造分だからです。「後期型」が出現してしばらくすると、「コンパス専用ケース」となりました、と言いますか、正しくはこのケースはレンザティック・コンパス本体とワンセットで一つのモノだという事です。コンパス本体の制式名称が「MAGNETIC, LENSATIC COMPASS( DA23-195-AMC-00972(T)、Federal Stock Number:6605-846-7618)」であり、その旨がこのようにケースの方にスタンプされています。もちろんコンパス本体にも同様の記載(刻印)がなされています。最早ケースとして独立したモノではなくなったと言って差し支えないでしょう。


↓さきほど草臥れた初期型で見たのと同じフラップ留め具のオス部品の裏面の刻印。「RAU FASTENER CO. PROV. R.I.」と明確に刻まれています。



以上見て参りました。今でも製造時期を気にしなければ比較的容易に廉価で入手できると思います。国内でも1,500円?程度も出せばいいモノが手に入るでしょう。M1956LCEに忠実にマガジン・ケースの脇に取り付けるも良し、H型サスペンダーの肩のループに逆さに取り付けるも良し。ベトナム戦装備には欠かせないアイテムです。


それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。





  

Posted by Sgt. Saunders at 12:00Comments(0)First AidCompass

2016年04月10日

US WWⅡレンザティック・コンパス(US WWII Lensatic Compass)

こんにちは。
当地大阪は一昨日の雨でかなり桜の花びらが散り、緑の葉っぱが萌え始めました。
造幣局の桜の通り抜けは8日に始まり14日までやってますし、桜のピークは過ぎつつありますが、まだかなりピンクの花びらが残っているものも多く、あと数日はお花見を楽しめそうです。

さて今回は装備品といっても、一般の歩兵全てが持っているモノではないためか、あんまり見向きされてない感のある「コンパス」です。
方角・位置を確認するための道具であり、歩兵・砲兵その他兵科により求められる精度には多少の差こそあれ、戦場では必須のアイテムです。
もちろん全ての兵が各自で持っていた訳ではありません。例えば歩兵科なら分隊長クラスが一つ持っていれば十分ではなかったかと思います。

WWⅡ時に使用された数多くのコンパスの中で、今回取り上げますのは主として歩兵・空挺隊員などが装備していたレンザティック・コンパスです。ご存知の方は多いと思います。
コンパス自体はさほど高額ではありませんが、それを収納・携行するためのコンパス・ケースは、初期と後期とでは価格が違うものの、どちらもレア物の範疇に入りますので価格は高く、私はまだ持ってません…。コンパスについてはWWⅡ時製造ではないけれども同形のモノが比較的お安く売られていた事があり、衝動買いしてしまいました。

↓レンザティック・コンパス(Lensatic Compass)とFM(フィールド・マニュアル) 21-25です。

レンザティック・コンパスは、それ以前の重く嵩張るM1938プリズマティック・コンパスに代わって採用されました。

↓主役のコンパスです。私が所有しているモノは、上述の通りWWⅡ時製造ではなく蓋の刻印「3-51」にありますように1951年3月製造なのですが、WWⅡ時製造のモノと刻印が異なるだけで姿形は同一です。

WWⅡ時生産モノでは画像の「U.S.」のところには「CORPS OF ENGINEERS(工兵隊)」或いは「U.S. ARMY」となってるものが多いです。コンパスの調達調製責任は工兵隊にありました。下側にはニューヨーク州リトルアイランドシティのSUPERIOR MAGNETO CORP.による製造であるとの記述があります。このメーカーは他にも空挺隊員が良く使用していた「LIQUID FILLED WRIST COMPASS」なんかも作っていました。
超初期のモノの中には全く何にも刻印が無いモノも存在します。

↓展開してみました。カバー、本体、レンズ、保持リングが組み合わさっている構造がお解り頂けると思います。


↓FM 21-25のレンザティック・コンパスの各部名称を詳解しているページと並べました。

よく見るとマニュアルの詳解図のコンパスのダイヤルは黒ですが私のコンパスはダイヤルが白です。夜間でもダイヤルの方位角が見やすいように、WWⅡの後期ごろに黒から白へと変わりました。また、ダイヤルに新たにミル・スケールが加えられました。

↓凹みや割れなど損傷は殆どありません。


↓今も正確に北を指してくれます。


↓コンパスの詳しい使い方はFM 21-25を手に入れるまでよく知りませんでした。


↑FM21-25はこのコンパスの説明書と言う訳ではありません。表紙にはタイトルが「ELEMENTARY MAP AND AERIAL PHOTOGRAPH READING」即ち「基礎の地図および航空写真の見方」とあり、コンパスの使い方以前に「地図とは何?」「何故地図の見方を習うのか?」「地図には何がある?」等々、地図そのものがどんなモノか?から学んで行くような構成になっていて、その中でコンパスの使い方が詳解されます。しっかり読むとコンパスの使い方が良く分かりました。

↓作りは簡素です。裏面には特に表記はありません。


↓フロント・サイト(ヘア・ライン)もしっかり残っています。



ざっと見て参りましたが、いかがでしたか?

ちょっと古い話ですが、映画「SAVING PRIVATE RYAN」でミラー大尉が震える手でコンパスを使ってるシーンがありましたね。私がこのコンパスを入手した時もやっぱり真似して、ひとり悦に入ってました。

地図とコンパスを使って、決められたポイントを順番通り如何に短い時間で回れるかを競うオリエンテーリング競技でコンパスを使った事のある人ならお解り頂けると思いますが、このコンパス程の機能は必要としませんよね。100均で売ってる透明アクリル樹脂で出来たもので十分です。

今の時代にこのコンパスを何のために使うか?どんな時に使うのか?どうすればこのコンパスが「役に立ったなぁ」と言ってもらえるか?
今のところ我が家では節分の恵方巻を食べる時に恵方を確認する際に重宝され、辛うじてその存在価値を認めてもらっています。


それではまた次回お会いしましょう。


  

Posted by Sgt. Saunders at 09:39Comments(0)Compass