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2019年03月24日

US M-1ヘルメット(US M-1 Steel Helmet)

みなさんこんにちは。
寒さがぶり返して、3日前の最高気温は21度だったのに今朝の最低気温が3度という当地大阪・某郊外都市より、投稿定刻(自主目標)から約1時間遅れてお送りいたします今回、「そう言えばまだだった」シリーズ?として今さらながらご紹介致しますのはWWII時以降長らく米軍兵士のアイコンとなっていたと言える「M-1ヘルメット」です。

WWII当時フランス国民が、上陸してきたアメリカ兵を見て「フットボール選手が被るようなまん丸いヘルメットを被り、野球選手が着るようなジャンパーを着て…」と名状したように、トサカやツノの無いそのまん丸い形状のM-1ヘルメットはヨーロッパ諸国においては当時珍しいモノであったのは確かでしょう。日本軍なんかは多少トンガリ気味ではあったものの飾り気の無い丸い鉄帽でしたが。
私がWWII時代のM-1ヘルメットをやっとのことで入手できたのは働き出して可処分所得が格段に上がってからです。それまではかの中田商店で売られていたどこの国のモノかよく分からない、高さが低くなってからのM-1ヘルメットのアウター・ヘルメットと、それに合わせることのできるプラスティック製の、これまた中田商店製?のライナー・ヘルメットを買って、なんちゃってGIとなってマルシンのM-1カービン(大昔のカート式エアガンです)を携えてサバゲを楽しんでいました。

↓「M-1ヘルメット」です。TV映画「コンバット!(COMBAT!)」ではケイジらが擬装網(カモフラージュ・ネット)を着けたりサンダース軍曹は擬装カバー(カモフラージュ・カバー)を着けたりと色々なアレンジが見られるアイテムです。もちろんヘルメット本体に直にペイントや標記を施したりすることもあったのは皆さん周知の通りです。1980年代前半にケブラー製のPASGTヘルメットに取って替えられるまで、若干のスペック変更を経ながらGIの頭を守り続けました。後ろに見えているのは、また後日…。



↓取り敢えずグルリを眺めます。「本体は高マンガン鋼製で磁性を持たず、縁(リム)は当初はステンレス鋼でのちにマンガン鋼になった…」などというカタログ・スペック的な講釈はここでは敢えて致しません。Wikipediaや他の方のHP等を参照して下さい。


↓ヘルメット本体のチン・ストラップは本来その名の通り顎の下で留めてヘルメットをしっかり頭部に被せて固定させるためのモノですが、このように後ろ側の縁に沿わせて固定させておくか、もしくは顎に廻して留めることなく重量にまかせてダランと垂らしておくようにするなどして、とにかく顎下で留めるなと戦中に指示が出されたのも、コレクターの方ならご存知の通りです。初心者の方のために僭越ながら念のため講釈めいたことを申しますと、「チン・ストラップをしっかり留めていると、付近で砲弾の炸裂があった場合等で衝撃波を受けた際、ヘルメットと頭部との間にその風圧を受け、その風圧がチン・ストラップを介して顎をアッパーカットするように作用する形となり、その結果顎のみならず頸椎の損傷や脳震盪をもたらす…...」という戦場からのレポートを受けて緊急的・暫定的に「チン・ストラップを留めずに垂らしておくかヘルメット後端等に留め置いておけ」との指示が出されるに至ったのでした。

のちに14ポンド(約6.35キログラム)の力が掛かると外れるように設計された『T-1リリース・チン・ストラップ』が開発されました。またの機会に触れるかと思います。

↓前にある革製のライナー・ヘルメットのチン・ストラップ。ライナー・ヘルメットのチン・ストラップはこのようにヘルメット本体(アウター・シェル)の庇に引っ掛けておくのが一般的です。

と、ここまで書いてふと思い出しました。この「M-1ヘルメット」、私がWWIIUS装備品に興味を持ち始めた当初まだ実物を見たことの無い頃は、これが外側のヘルメット本体と内側のライナーとに分かれる、外側と内側の二重構造!なんてことは思いもよりませんで、ドイツ軍のヘルメットのように本体の内側にサスペンションが取り付けられているものだと思い込んでおりました。ひと口に「M-1ヘルメット」と言いましても、実はアウター・シェル(外帽:制式名称は「Helmet, Steel, M-1」(のちには「Helmet, Steel, M-1, with Flexible Loop」))にライナー・ヘルメット(中帽、或いは内帽:制式名称は「Liner, Fiber, Helmet, M-1 」(のちには「Liner, Helmet, M-1, New Type」))を嵌め込んで、セットになって初めて「M-1ヘルメット(制式名称:「Helmet, Steel, M-1, Complete」)」となることを知ったのは渋谷のアルバンから「米軍カタログ」を郵便で取り寄せてからでした。 昔は今のようにインターネットで調べるとすぐ分かる!という環境なんかは無く、ほとんど全て紙媒体の資料しか無くて、しかも微に入り細を穿つような資料は簡単に入手できませんでした…(シミジミ)。

↓内側、正しくはライナー・ヘルメットの内側です。画像右側が額側、左側がうなじ側です。今回お見せするモノは、カテゴリ―としては「Liner, Helmet, M-1, New Type」になるのですが、これもまたひと口に「Liner, Helmet, M-1, New Type」と言っても製造者や製造時期によって細かい差異がありまして、とてもここではすべてを網羅することはできません。詳しくは例によって他の研究者の方のHP等を参照して下さい。使用される金具や仕上げの差異により細かく分けて論じられています。

先ほど見たライナー・ヘルメットのチン・ストラップと、頭の周囲のサイズに合わせる茶革のヘッド・バンド(芯材はHBTコットン・テープ)、被る深さを頭頂部のコードで緩く締めるかキツく締めあげるかで張り具合を調節して使うサスペンション、うなじ部分のクッションとなるネック・バンドが設えられています。HBTコットン・テープの色調は全てOD#3です。のちの製造時期ではOD#7へと変わっていくのは一般的な装備品の例と同じです。ライナー・ヘルメット自体はいくつもの細長いキャンバス生地を球状に重ね合わせてフェノール樹脂を染み込ませてからプレス成型して作られます。因みにこの「New Type」の前のモデル「Liner, Fiber, Helmet, M-1 」は素材としてカードボード(ボール紙)を用い、表面を薄い布でカバーして圧縮成形して作られ、ネック・バンドなどの内装素材にはレーヨンが用いられていました。使用された金具などの差異で前期型後期型と分けて論じられることがあります。

↓本体がコットン生地から作られているのが納得できます。繊維が良く見えます。HBTテープをライナーに固定している逆Aの字型のリベット受け板はホワイトメタル製のモノ、鋼製のモノや、本件のようなブロンズ製のモノなど数種類あります。


↓ライナー・ヘルメット内側の頭頂部付近にある製造者のロゴマーク。十字型の中に縦と横で「CAPAC」との表記があり、ミシガン州のCapac Manufacturing Company製であることを示します。飛行機のプラスティック製シートやB-29の窓枠なんかも製造していたそうです。このタイプのライナーの製造者は10者に及びます。


↓上はうなじへの衝撃を緩和するネック・バンド。サイズは当初は5段階、最終的には3段階で用意されていました。上下2つ並んだスナップの列が両端にありますが、この間隔を5段階あるいは3段階で作ってサイズ展開を図りました。のちには更に最終進化形として、バックルを用いてサイズ調節できるモノが開発されます。下は各サイズが固定されて作られていたモノから、バックルを附属させて寸法を調節可能なモノへと改良された型式のサイズ可変式ヘッド・バンド、「Band, Head, Liner, Helmet, M-1, New Type」です。


↓ネックバンドのスナップの片側を外してみました。スタンプがあります。


↓見にくいので逆さまにします。上段に「W11-009 QM16874」とあります。シカゴ・クオーターマスター・デポが起案した契約書に基づいて陸軍省が陸軍需品科向けに契約番号16874で契約したという意味です。「W」はWar Department、「11-009」はChicago Quartermaster Depotを表すコード(1943年6月30日までなら「199」)、「QM16874」は「陸軍需品科向け契約・番号16874」を表します。下段の「S.M.C.」は製造者「Scholl Manufacturing Company」 の意。「LARGE」はいわずもがな「大」の意。


↓バックルが附属したサイズ可変式のヘッド・バンドの拡大。バックルに通っていた部分を全部引っ張り出してみました。スタンプがありますが、残念ながら掠れてしまって幾つか番号が見える程度で詳細が分かりません。


↓こちらはアウター・シェル(外帽)に設えられているチン・ストラップとその留め具(バックルとフック)です。ストラップの色調はOD#3。バックルは打ち抜きプレスの真鍮製。形状は同じでM-1ヘルメット制式化以前の皿型M1917(A1)ヘルメットで用いられた鋳造の真鍮製のバックルもM-1ヘルメット制式化当初には用いられました。フックも真鍮製です。時代が下るとストラップの色調はOD#7へ、留め具の素材は鋼へと変化していき、形状も変化します。


↓フックです。この個体は「返り」がとても小さいです。


↓アウター・シェルのループにチン・ストラップが縫い付けられている部分の拡大と、アウター・シェルとライナー・ヘルメットとの「ハマり具合」をご覧頂く画像です。アウター・シェルとライナー・ヘルメットとの「ハマり具合」はそれぞれが別個独立したモノとして複数の製造者により製造されたこともあり、ピシッとハマる組み合わせ、今一つぴったりハマらない組み合わせがあったりと若干の「相性」があります。


↓ライナー・ヘルメットを外しました。両耳に当たる辺りの箇所にチン・ストラップが縫い付けられているループがあるのが分かります。↑今上の画像でも見ましたが、内側外側に揺り動かせるようにヒンジで留められたループを持つアウター・シェルが制式名称「Helmet, Steel, M-1, with Flexible Loop(Stock No.:74-H-120)」です。まさにフレキシブル、ループが動かせます。これの改良前モデル「Body, Helmet, Steel, M-1(Stock No.:74-H-115)」では、ループと言うか『コ』の字型のワイヤーがその末端部分だけでヘルメット本体に直接熔接されていて揺り動かすことは出来ません。衝撃に弱く取れやすかったため、本体にヒンジを熔接し、そこにループが通る形にして、衝撃を受けてもそれを逃がしやすい構造へと改良されたのでした。単なる仕様変更ではなく、別アイテムとして開発製造されたという事です。あとでカタログ表示を見てみましょう。

この形状を見れば、洗面器、鍋、バケツ、ショベル等々前線の兵士によって色んな用に供されることになったのも無理は無いと素直に頷けます。

↓ここで少し資料を見てみましょう。まず1943年8月版のQuartermaster Supply Catalog Section 1から。当ブログではしばしば出て来ます。


↓ヘルメットのページ。M-1ヘルメット関連はこの部分(1/2ページほどです)。私がで囲ったキャプション「Helmet, Steel, M-1, Complete」は、四角で囲われているモノすべてを含んでのキャプションです(すぐ下の説明文でも言及されていますがで囲っている4つのアイテムで構成されているという事です)。Fig.1の「BODY, HELMET, STEEL, M-1(本体)」、Fig.2の「LINER, HELMET, M-1, NEW TYPE(ライナー・ヘルメット)」、「BAND, HEAD, LINER, HELMET, M-1, NEW TYPE(ヘッド・バンド)」、「BAND, NECK, LINER, HELMET, M-1(ネック・バンド)」の4つが組み合わさって「M-1ヘルメット」が一つ出来上がります。


で囲った「Fig.1」がヘルメット本体(「BODY」:アウター・シェル(外帽))で、で囲った「Fig.2」がライナー・ヘルメット(「LINER」:中帽または内帽)です。ストックナンバーがそれぞれ別個独立して与えられており、アイテムとしては一つひとつが単体で管理されている事が分かります。Fig.1ではライナー・ヘルメットのチン・ストラップもアウター・シェルのチン・ストラップもどちらも顎に回して留めています。これが本来の着用方法なのでしょうけど、実際は冒頭の画像にありますようにライナー・ヘルメットのチン・ストラップはアウター・シェルの庇部分に掛けていたのが通例でした。


↓一方、こちらは1946年5月版のQuartermaster Supply Catalog「QM 3-1」です。


↓こちらでもヘルメットの項は1/2ページほどです。上の1943年8月版のQuartermaster Supply Catalog Section 1で見たアウター・シェルは、こちらでは赤下線の通り「BODY」の語が抜けて、代わりに「Until Exhausted(費消限り)」との注記が付いてます。どちらのカタログでも同じストックナンバーですから名称が変わったという事が分かります。そしてすぐ下青下線の方では「Helmet, Steel, M-1, with Flexible Loop」とあり、赤下線の「Helmet, Steel, M-1」に「フレキシブル・ループ」が付いたモノとして新しいアウター・シェルが別途開発されたという事が分かります。ストックナンバーも別のモノがちゃんと割り振られています。以上から「フレキシブル・ループ」が付いていない「Helmet, Steel, M-1」はループが直接アウターに熔接留めされているアウター・シェルである事が分かります。カタログへの搭載以前に実際は1943年中頃から製造が始まっています。

また右上の着用画像を見ると、ライナー・ヘルメットのチン・ストラップはライナー・ヘルメット自体の庇に掛けた状態で、その上からアウター・シェルを被せています。実際にこんなことをするとストラップの固定バックルが嵩張ってアウター・シェルとしっかり嵌め合わせられないのでは?と思います。やってみたことありませんが。先ほど見た1943年8月版のカタログではどちらのチン・ストラップも顎に回していましたね。

↓現物に戻ります。アウター・シェルはリム部分の全周が薄い金属テープで巻き覆われて処理されますが、その金属テープをどこから巻き始めてどこで巻き終わるか、「始点終点」がどこになっているかで2種類に大別されています。この個体は前の庇に始点終点のあるいわゆる「front seam敢えて訳せば『正面縫い目』」で、のちにWWII末期ごろからは真後ろ「rear seam『後面縫い目』」になったと言われています。指で示している先にテープの切れ目があるのがお分かりいただけますか?また、すでに触れましたが金属テープの素材も当初はステンレス鋼で、のちにマンガン鋼になっていきました。


↓大体ほとんどのアウター・シェルの庇の内側のこの辺りにロット番号が打刻されています。


↓再びアウター・シェルの外観。この背の高いフォルムとコルク粒・おが屑のブツブツが好きです。のちにM-1ヘルメットは安定性向上等の為に形状変更を施されて若干高さが低くなったり庇が少し長くなったりするのですが、WWII時代が好きな私はこのシルエットがたまりません。そう言えば大昔1980年代くらいまでは、業界もコレクターも、今申し上げたM-1ヘルメットをマイナーチェンジしたとも言えるやや高さが低くなったモノを新しいタイプのライナー・ヘルメットとセットにして「M-2ヘルメット」とか「M-1956ヘルメット」などと呼んでいましたね。現在ではM-2は全く別モノ(M-1C空挺隊用ヘルメットの前身)として認識されていますが、昔は違いました。


↓左真横から。この個体は階級章や師団章・部隊章など何らのステンシルも加えられていません。チン・ストラップの色調は1944年11月ごろからはOD#3からOD#7へと替えられていきます。


↓本体の塗装はWWII終期でコルク粒・おが屑とのコンビでのダークODが終わり、その後は砂・シリカ粒とライト・グリーン(OD#8(OD319))とのコンビに替わります。この個体はブツブツはコルク・おが屑+ダークOD塗装の上からライト・グリーンを後塗りされたと思われます。ライト・グリーンの下にダークODが見えている部分が多数見受けられます。


↓ではライナー・ヘルメットを見ていきましょう。アウター・シェルと合わせずに、ライナー・ヘルメットだけを単体で被って使用する例は、例えば後方の兵士などに見られました。この個体にはOD塗装がなされていますが、色調についてはアウター・シェルの例と同じく、リペイントされている可能性もあり、もともとどんな色調であったかは精査しないとなかなか分かりません。


↓ライナー・ヘルメットのチン・ストラップ。茶革製で、縁の仕上げ、バックル金具、ヘルメットへの取付け金具に細かい差異があり、もちろん私がすべてのパターンのモノを蒐集することはできませんで、図解するのは無理です。この辺りについても詳しくは他の研究者の方のHPをご参照ください。この個体のバックルは黒塗り・「ロール仕上げクラスプ」で、ストラップは「型押し縁」です。クラスプに錨のメーカーロゴ刻印がありますのでNorth & Judd Manufacturing Company社製である事が分かります。


↓裏側のリベット。お馴染み「DOT」の刻印はUNITED CARR社です。


↓ライナー・ヘルメットを正面から。ここは眺めるだけにします。


↓右側面です。


↓後面です。


↓左側面です。リベットは内装を固定するためのモノです。


↓縁が傷んで繊維がほつれています。


↓ライナー・ヘルメットの塗装法についてもいろいろな方法が試され、採用されました。色調も然りです。




以上縷々見て参りました。
今回ご覧いただいた個体には、階級章や師団章・部隊章など何らのステンシルも加えられていません。それらがあれば一般的にお値段にプレミア分が加算されるのは皆さんご承知の通りです。
私がこの世界(入り口はWWIIUS歩兵装備品)に首を突っ込んだ頃はM-1ヘルメットは大体18,000円もあれば程度の良いものが入手出来ました。「戦艦〇〇の格納庫から未支給・未使用のM-1ヘルメットが発見さる!」と、海軍ペイントのM-1ヘルメットが40,000円で販売されたこともありましたねぇ。内装はODだったような気がします。
今日ではM-1ヘルメット、特にWWII時代のモノは、もうすっかりレア・アイテムの域にあります。価格の高騰に驚きます。

実物から傷んだ内装や部材を丁寧に取り外し、精巧にリメイクされた部材や、僅かに現存する実物デッド・ストック部材等を使い、塗装などもしっかり当時のスペックに則って「レストア」を行う業者さんが近時たくさん出現されました。
リエンナクターには実に良い環境が出来上がっていますが、適度にウェザリングを施せば最早「実物」と見まがう程のモノとなり、「偽物」になってしまわないか常に心配です。見分けられる眼を養わないとカモにされてしまいます。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。ご機嫌よう。さようなら。



  

Posted by Sgt. Saunders at 13:20Comments(2)米軍(U.S.)Headgears

2019年03月10日

ドイツ軍M44フェルトブルーゼ・複製品(WWII German Feldbluse 44)

皆さんこんにちは。
この時期の挨拶の常套句たる「三寒四温」がまさに今当てはまる当地大阪から、花粉症発症の恐怖に戦きながらまた定刻を一週間遅れてお送りします。

今回お送りするのは寄り道コレクションになる予定だったドイツ軍のM44フェルトブルーゼ(Feldbluse 44(M44 Field Jacket))のリプロダクションです。
アメリカにある各国実物軍装品・衣料品の販売とレプリカ品の製造販売をおこなっているHessen Antique社のHPを見ておりましたら、襟章は兎も角国家鷲章を隠せばタウンユースで使えるのでは?と思い衝動買いしました。

で、このM44、買ったは良かったのですが、腰の絞り具合が思ってた以上で、胸囲はぴったりなのにウェスト周りが私にはちょっときキツく、着用は不可能であったため已む無くヤフオク!で現在出品中(←ヤフオク!商品ページを参照してください)です。送料を負担して返品・交換を考えましたが、サイズのもう少し大きい別のを買って、この合わない方はヤフオク!で売ったら送料が片道分不要になるなーと思っての出品です。
でも果たしてそもそも買ってくれる人がいるのか?という事はこの際考えないでおきましょう。きっといいご縁でどなたかに落としていただけると思います。サイズが合う方で個人輸入しようかなと考えられていた方は送料が無料になる位の金額からスタートしています。オークションの予定終了時刻は4月1日午後8時21分です。ご興味のある方はどうぞご覧下さい。


↓これがその私のウェストにはちょっとキツかったM44フェルトブルーゼ(Feldbluse 44)です。

英軍のバトルブラウス(バトルドレス)に影響を受けたのか、単に服地の節約・製造工程の簡略化の見地からなのか、このM44はそれまでのドイツ軍のフェルトブルーゼM43までの伝統的な4ポケスタイルから脱却し、腰から下部分を大胆にカットして創られました…なんて事はドイツ軍ファンなら今さら聞かされるまでも無いでしょうから講釈はここまでにします。大幅に簡略化された裏地、ベルトフック(ザイテン・ハーケン)用の簡略型サスペンダーなどM44の特徴が良く再現されています。

↓オークションの商品説明でも触れていますが、室内の蛍光灯下と戸外での太陽光の下とではやはり色調が随分違って見えます。一般的にFeldgrau44(フィールドグレー44)と言われるモノを再現しています。


↓国家鷲章(Hoheitsabzeichen「ホーハイツアプツァイヒェン」)はBeVoタイプの縫付けを省力化できるようにと逆三角形型となったモノ。


↓胸ポケットのフラップを開けました。フラップはスクエア型で裏地にはコットンが当てられています。ポケットの指でめくっている上辺部分にもコットンの裏地が当てられています。


↓第一ボタンもしっかりあって開襟状態から詰襟状態にできますが、M44には他のM36やM40などのようなホックはありません。襟を立てて立襟にするための小ボタンが襟裏にあります。


↓左襟の裏に立襟にするためのタブと、普段それを襟裏に収めておくための小ボタン。因みにこの画像は太陽光の下での撮影です。


↓このように立襟に出来ます。


↓第一ボタンを留めた状態。これはこれでスマートです。


↓各兵科共通兵用襟章。因みにこの画像は太陽光の下での撮影です。


↓歩兵科を示す白パイピングの肩章。因みにこの画像も太陽光の下での撮影です。


↓実物を良く再現しています。この画像も太陽光の下での撮影です。


↓肩章を外して裏返しました。この画像も太陽光の下での撮影です。上の画像と少し角度が違うだけでこんなに色合いが違ってくるのですね。それとも若干雲で翳ってたのか…。


↓袖口です。単なる筒袖ではなく…


↓部分的に裏地の付いた本切羽になっていて2つずつのボタンとボタンホールにより袖口を絞ることができます。この辺りの構造は、実物の世界では同じM44でも差があり、切羽の無い筒袖になっているモノも実在します。


↓襟裏です。これ以前のフェルトブルーゼで見られるような裏地はありません。見にくいですが基部は水平に9条の縫目、襟本体上部はジグザグの縫目があります。


↓フロントのボタン。表はぺブルパターンのフェルトグラウ塗装、ホローバックの一般的なモノが再現されています。


↓アップ。特に刻印等が施されていません。でも今に始まったわけではありませんが、レプリカのボタンには実物と同じ刻印を施してあるのが多数あり、最早「複製品」ではなく「偽物」になってしまっていまして、コレクター諸氏を悩ませているのは周知の事実です。


↓ザイテンハーケンが通る孔。腰の左右に1つずつ設えられています。


↓裏返してみました。グレー色のコットン裏地の張り具合が分かります。左右の胸に1つずつ内ポケットがあります。腰から下を切り詰める前までのフェルトブルーゼにはあった包帯専用ポケットはM44では廃されました。


↓内ポケットは1つのボタンで留める作りです。


↓ザイテン・ハーケン用の簡略型サスペンダーもしっかり再現されています。この辺も実物の世界では同じM44でも有るモノと無いモノがあります。しっかりとした縫製で、サバゲなどでフックに装備品を提げたベルトを掛けても十分の強度があります。


↓背面です。


↓最後に一番上のボタンホールに留められているメーカーの商品タグです。「表地は85%ウール、15%レーヨン、裏地は100%コットン。洗濯は不可、『普通の操作により、業者によるドライクリーニングができる。*溶剤はテトラクロロエチレンまたは、石油系溶剤を使用する』、漂白剤禁止、『アイロン底面の温度110℃を限界としてかけることができる。*スチームアイロンは危険』」等の表示があります。

Hessen Antique社が中国で製造させているのですね。中国製であるにもかかわらず縫製がとてもキッチリしているなと思います。ドイツ軍のジャケットの複製品はこれが初めて持つ(しげしげとよく観察する)モノなのですが、中国製でもこんな高品質のモノが出来るのかと、ちょっと驚きでした。


ドイツ軍モノは寄り道コレクションですので今後もそれほど食指が伸びることはそうそう無いと思いますが、高品質のレプリカならばサバゲなどで使えるので購入するかもしれません。最近はWW2USモノでも高品質のレプリカが出ておりますが、コレクションする身としては、それらが決して「偽物」にならないよう願って止みません。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。さようなら。




  

Posted by Sgt. Saunders at 12:05Comments(0)ドイツ軍(Germany)衣料品-Uniformen