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Posted by ミリタリーブログ at

2020年02月16日

自衛隊M25曳光弾(JGSDF .30-06(7.62mm x 63mm))

みなさん、こんにちは。

コロナウイルスに関して連日報道が続いていますが、インフルエンザでも年間に千人単位で亡くなられる方がいるという統計を見れば、このウィルスだけを特別視し過ぎではないかと思います。致死率はより高いと雖も必要以上の恐怖感が蔓延してパニック状態を惹き起こすような印象を持ちます。

春本番か?というような日中の最高気温が18度になったり、逆に日中の最低気温が1度となったり、まあ気温変動のとても激しい当地大阪から今回投稿いたしますのは、近時入手したモノの中から前々回の「自衛隊M80普通弾:減装薬の箱(Carton of JGSDF 7.62mm NATO)」と同族の自衛隊関連モノです。M25曳光弾の箱と、ダミー・カートも年代は違えど一応揃いで入手出来ました。

↓箱の表です。まず1行目の「A230J」ですが、「A230」はDODIC(「防衛省規格改正票 弾薬用語」では「弾薬識別番号」です。そもそもの由来はカートリッジの種類やカートン入りなのかクリップ付きなのかベルトリンク連結されているのかバラなのか等を示すアメリカ国防総省(DoD:Department of Defense)アイテムコード(Item Code)です)の丸写しで、「Cartridge, Caliber .30, Tracer, M1/M25 Single round」つまり「M1若しくはM25 .30口径曳光弾 バラ」の意味です。その後の「J」はJapanのJです。日本製のA230であるという意味です。
で、2行目「7.62mm(30), M25曳光弾:」は、「(口径が)7.62mm(.30口径)、M25曳光弾です」という意味です。上の「A230」を具体的に示しています。
ここで注意すべきは、このM25曳光弾は、同じ.30口径でも7.62 x 51mm NATO弾(.308ウィンチェスター弾)ではなく、その前世代である.30-06弾(7.62 × 63mm スプリングフィールド弾)の曳光弾であるという事です。つまりこの弾薬は、我が自衛隊の国産64式小銃用のモノではなく、米軍から供与を受けていたM1ガーランド小銃等に用いられていたモノなのです。ですから最新の「陸上自衛隊 小火器弾薬共通仕様書」の国連番号対照表には最早この「A230J」は搭載されていません。1975年には未だ.30-06弾を使っていたんですね。

米陸軍がM1903スプリングフィールド小銃用に開発してM1ガーランド小銃に至るまで用いていた.30-06弾(7.62 × 63mmスプリングフィールド弾)を短縮化させて、M1ガーランド小銃に代わって1950年代中期に新たに採用するM14ライフル用の弾薬として開発したモノが7.62 × 51mmNATO弾であるのはご承知の通りです。それに追随する形で我が自衛隊も米軍からの供与M1ガーランド小銃から64式7.62mm小銃へ代わるのに合わせてM14ライフルと同じNATO規格の弾薬を採用しました(厳密にいえば減装してますが。前々回の記事「自衛隊M80普通弾:減装薬の箱(Carton of JGSDF 7.62mm NATO)」をご参照ください)。
3行目以下は「20発入り」、製造ロット記号AOは「旭精機工業株式会社 本社工場」製の意で、ロット番号が1201、「75-06」は1975年6月製を示します。

↓裏です。上部の指欠きくらいしか特記事項無しです。


↓底面です。前々回の記事「自衛隊M80普通弾:減装薬の箱(Carton of JGSDF 7.62mm NATO)」と同様、なぜワザワザこんな切込み差込み式にしたのでしょうか。


↓上蓋を開けました。カートの底部、ヘッド・スタンプが見えます。中身のダミー・カートリッジが少なくとも自衛隊モノでありましたところは嬉しいポイントです。


↓拡大。箱の表書きとは製造年は合っておりませんが、自衛隊モノであることは確かです。次の画像では1976年製造のダミー・カートを掲げてますが、この画像の真ん中のカートには「W84」と、1984年製であるモノがあり、1984年に於いても未だ自衛隊で.30-06弾が使われていたのだと知り、少し驚きました。M1ガーランド小銃用に?儀仗銃用でしょうか?門外漢なので良く存じません。


↓一発取り出しました。「J-AO」は「日本・旭精機工業株式会社 本社工場製」の意。「W76」のWは武器科(weaponry)のW、76は1976年製を意味します。


↓底には凸型の中敷きがありました。箱の中でカートが整列するようにだと思います。


↓その中敷きです。これも前々回の「自衛隊M80普通弾:減装薬の箱(Carton of JGSDF 7.62mm NATO)」と同じです。


↓底は本稿3番目の画像でも触れましたが差込み式です。


↓左が前々回の記事「自衛隊M80普通弾:減装薬の箱(Carton of JGSDF 7.62mm NATO)」でご紹介しましたM80の箱とダミー・カートリッジ、右は今回のM25曳光弾の箱とダミー・カートリッジ。薬莢長が12mm短くなりました。本当は右のM25曳光弾の弾頭の先半分ほどは曳光弾であることを示すオレンジ色に着色されていなければなりません。1950年代中期頃までのM1曳光弾では、曳光弾であることを示す色は赤色でした。


↓さらに拡大。


↓左が今回ご紹介のA230J、右が前々々回の記事「M1906 30口径弾ダミー・カートリッジ(US M1906 Cal..30 Dummy Cartridges)」のM1906 30口径ダミー・カートリッジの箱です。どちらも同じ.30-06弾ですので、箱の丈のサイズが同じです。



以上、投稿定刻時刻を意識して駆け足気味に見て参りました。

軍用の薬莢が構成要素となっているダミー・カートと聞くとついつい食指を動かされます。入手できる機会がドンドン減っているので、これからも多分そうでしょうね。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。さようなら。



  

2020年02月02日

TL-29 ポケット・ナイフ(Knife, Type TL-29)

みなさん、こんにちは。
中国発?の新型コロナウィルスによる肺炎への注意も必要ですが、「桜を見る会」についての質疑応答における安倍首相の頓珍漢答弁が埋もれてしまわないよう注意しましょう。

さて、新年が明けてもう1カ月過ぎました。早いですねぇ。一年の8.3%が終わってしまいました。時間は大切にしないといけませんねぇ。
そんな思いを新たにしながらも、定刻を1週間過ぎてお送りする今回のネタは通信隊向けに採用されたTL-29ポケット・ナイフ(Knife, Type TL-29)です。

私、WWIIUS陸軍歩兵科一般歩兵装備品をコレクションのメインにしておりますので、このTL-29ポケット・ナイフはコレクション必須というわけではないのですが、”Tool, Linesman”という「専門職」、「スペシャリスト」の道具!というところの、ある種のカッコよさへの憧れもあり、いつか手に入れられる機会があれば欲しいなとは思っておりました。
ただ、私が入手した個体は紐などを通しておけるシャックルを失っています...。TL-29のモデルとなった民間用モデル(後で出て来ますがSCHRADE CUTLERY COMPANYのモデルNo.2042SDなど)には初めからシャックルの無いモノもありますが。
WW I 時代からあるSignal Corps(通信隊)用のポケットナイフに姿がよく似ていて混同しやすいですが、こちらの方がサイズが少し大きいです。 

↓TL-29です。ボルスターはスチール製、ライナーはブラス。ローズウッド(紫檀)製のハンドルに「TL-29」と刻印されています。本来は刻まれた部分は金色に着色されますが、使用・経年によりすっかり消えています。また、刻印ではなく、1942年8月までは「TL-29」と刻まれた小さいシールド型の金属製銘板が埋め込まれていました。その後WWII末期には既に合成樹脂製のハンドルのモノが出現していたそうですが、実は私、まだ未確認です。


↓TL-29の仕様書の青写真です。各部の寸法などが詳細に書かれているほか、左下に1919年5月1日付の「ISSUE A」から1942年8月5日付の「ISSUE D」まで、歴代の仕様変更が記されています。


↓現用のポケット・ナイフを並べてみました。ほぼ同じ大きさです。現用のポケット・ナイフにはキリや缶切りや栓抜き機能も備えられていて、野山でキャンプする時などこれがあればとても便利です。TL-29はナイフとマイナスドライバーと電気コードの被膜剥きだけなので、キャンプするのにはややもの足りません。要求される仕様が違うので当然ですが。


↓反対側。特記無し...です。


↓刃を引っ張り出す側です。手前(画像では下側)がスクリュー・ドライバー&ワイヤー被膜剥き・ブレード(以下「スクリュー・ドライバー・ブレード」とします)、向こう側(上側)がナイフ・ブレードです。


↓「底面」です。ブレードのスチールと、ライナーとサイド・プレートの銀色・金色のツートーンが綺麗です。製造者や製造時期により各部材の材質が異なることがあり、すべてスチール製というモノもあります。


↓ナイフ・ブレードを出しました。写りが悪くギラついていて見にくいですが、ブレード基部にはメーカー名などの刻印(tang stampと言います)があります。あとで見ます。


↓スクリュー・ドライバー・ブレードも半分起こしました。こちらのブレード基部にも刻印があります。


↓向きが逆になってすみません。両方フルに開きました。上側のスクリュー・ドライバー・ブレードを開いた時、真ん中に見えている真鍮製のロック・ライナーが、もともとブレードの方向にテンションが掛けられているバネになっておりますので、その先端がブレードの根元に嵌まり込み、ブレードを開いた状態でロックします。不意にブレードを閉じる方向に力が加わっても閉じません。閉じる時はロック・ライナー先端を指で手前側に押し戻してロックを解除した上でブレードを戻します。ナイフ・ブレードには刀身を開いた状態にしておく通常のロックが、スクリュー・ドライバー・ブレードと同様にありますが、閉じるために解除しないといけないロックはありません。


↓左の開いているのははナイフ・ブレード。右が閉じた状態のスクリュー・ドライバー・ブレード。真ん中の真鍮製のロック・ライナーは真っ直ぐです。


↓右のスクリュー・ドライバー・ブレードを開くと、右方向へ弾性力のテンションが掛かっている真ん中のロック・ライナーが右へ動いてスクリュー・ドライバー・ブレードの根本の切り欠きにハマっているのが分かります。この状態ではブレードを閉じようとしてもロック・ライナー先端が突っ掛かって邪魔して閉じれません。


↓閉じるにはこの様にロック・ライナー先端を左方向へ押し戻してロックを解除してブレードを閉じます。


↓スクリュー・ドライバー・ブレードのタン・スタンプ。「SCHRADE CUT. CO. WALDEN N.Y.」はニューヨーク州ウォルデンのSCHRADE CUTLERY COMPANYの意。1904年創業でポケット・ナイフ、ペン・ナイフの分野での老舗です。もちろんTL-29は他にもUlster、PAL、Utica、Camillus等名だたる刃物メーカーによって製造されました。


↓ナイフ・ブレードのタン・スタンプ。スクリュー・ドライバー・ブレードのタン・スタンプと全く同じです。


↓スクリュー・ドライバー・ブレードを全開にしました。


↓スクリュー・ドライバー・ブレードにも刃が付いています。


↓ナイフ・ブレードです。少し磨いてあげましょうかね。




eBayや海外のショップでは程度の差により価格はピンキリで、高いモノは何でだか分かりませんがUS$300超えもあればUS$15というのもあり、なかなか品定めが難しいです。WWII後のヴェトナム戦頃以降のモノであれば比較的廉価で出ています。
プラスチック製のハンドルが付いた「レプリカ」は国内で2,000円程も出せば十分質のいいモノが購入できます。
ただ機能面ではナイフとマイナスドライバーと電気コードの被膜剥きだけなので、実用性を考えればわざわざレプリカを買おうとは思わないです。上の画像でTL-29との比較として出ていました全金属製の4ブレードのポケット・ナイフの方が断然実用性が高いからです。

あとWWIIUSモノで同じようなポケット・ナイフと言えばパラトルーパー用のスイッチ・ナイフ「M-2 Parachutist Pocket Knife」を思い浮かべますが、こちらはその希少性からそりゃもう高価でとても財政が許しません。まあパラトルーパー装備のコンプリート計画はとうの昔に断念しましたので食指が動くことは無かろうかと思います。

今回画像の大きさを大きくしてみました。いかがでしょうか。スマホ版だと変わらないようです。変え方が分かりません…。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお会いしましょう。さようなら。





  

Posted by Sgt. Saunders at 11:57Comments(0)米軍(U.S.)Individual Tools