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2019年02月17日

U.S. M19A1 弾薬箱(U.S. M19A1 Ammunition Box)

皆さんこんにちは。
平年より少し冷えている大阪から定刻より一週間と3時間ほど遅れての投稿となりました。

前回の投稿画像で次の投稿ネタを予測できた方は少なくないと思います。
はい、前回お送りした米軍の「M1弾薬箱」の改良型である「M1A1」の後継モデル「M19」に、更に改良を加えた「M19A1 弾薬箱(Box, Ammunition, M19A1)」です。
WWII終結直後の1946年にはM1A1に替わりM19が登場しましたが、耐久性やその他の性能を向上・改良して1953年後半に新たに登場したのがこの「M19A1」です。現在でもなお製造され現役で使用されているため、サープラス品としても沢山出回っています。

↓まず、斜め横顔から。M1やM1A1と異なる点として側面に補強リブなどの加工は無いノッペリした容貌であること、および蓋の縁から側面へ伸びている斜めのスカートの存在が挙げられます。


↓中身が何であるかは黄色のゴムスタンプかステンシルで表されています。数量、口径、姿態、弾種、製造者などの情報が示されます。表記の仕様は年代により現在まで数度に亘り変更されています。


↓この個体では1975年までの表記方法で情報が記されています。(1行目)そのまま「200発のカート」、(2行目)「〇の中に+」の、薩摩藩・島津氏の「丸に十の字」の家紋そっくりのマークは「NATO規格」に準拠した弾薬であることを示します。「7.62MM」の「NATO弾」が「M13」リンクで繋がっていて(『串に団子2つ』みたいなシンボルは『リンクで繋がっている』という意味です)、(3行目)「CARTONS」はボール紙包装(カートン)のことで弾薬箱の中で100発ごとに1箱で包装されているという意味です(Vノッチの照門が逆さになったようなシンボルは『カートンに入っている』ことを示します)。

(4行目)M62曳光弾1発とM80普通弾4発の交互組み合わせ(M62の前の横長四角は曳光弾を示すシンボル、M80の前の●は普通弾を示すシンボルです)。(5行目)FANCTIONAL LOT(機能的ロットとでも訳しましょうか、カートリッジ・リンク全体としてのロット)は「RA L 30-50(製造者はRemington Arms、『L』は『リンクされた』の意、ロット番号は30-50である)」との表示。 (6行目)M62曳光弾のロット番号はRA 10-23、(7行目)M80普通弾のロット番号はRA 1-50、その後ろ「70」は1970年梱包したとの意、「A131」はDODIC(Department of Defense Identification Code:国防省弾薬識別番号)で、「Cartridge, 7.62MM 4 BALL M80/1 TR M62(M80普通弾4発とM62曳光弾1発の交互組み合わせ)」であることを示します。

↓上面から蓋を見ます。取っ手(持ち手)の造りはWWIIのM1以来変わりません。側面と同じく黄色文字で「FOR M.G. M60 - M73」と、供用するべき銃器名が記されています。M60機関銃と、その車載用版であるM73機関銃への供用向きであるということです。また初期のM19A1の蓋には、蓋を閉じるためのクランプの付いている方の縁に、中に収める弾薬の向き(弾頭をどっち向けにして収めるか)を示すカート型の凸モールドが施されていましたが、いつ頃かは分かりませんが、この個体のように省かれていきました。恐らくリンク連結した弾薬だけにとどまらず、バンダリヤに入れたクリップ、「バラ」状態でのモノ、カートンに入れたモノ等々中に収める形態が多様になった頃から省かれていったのだと思います。M19ではカートの向きがペイントで表示されていました。


↓『串に団子2つ』のリンク連結シンボルと『カートン入り』シンボルがここにもあります。


↓蓋を留めるクランプが右側にあります。


↓円い穴の開いたレバーを起こすと


↓円い爪が鉤から解放されて


↓外してそのまま


↓上へ持ち上げて開きます。クランプの構造・原理がM1とは異なり、M1A1と同じです。


↓型押しされた薄い鋼板が蓋の裏面にスポット溶接されて、その周り・蓋の縁沿いに黒いゴムパッキンでシーリングされています。


↓内側です。底面には長方形の凸プレスが施されています。先代のM19には無かったものです。何の為かは後で。


↓留め金クランプを正面から。


↓四角いリングは運搬・荷役用の持ち手です。指で示しているのは本体の鋼板が熔接留めされている部分です。クランプのある面にこれがあるモノと、クランプとは反対側の面で熔接留めされているモノとがあります。色々調べましたが、メーカーにより違っているようです。


↓本体の鋼板が熔接留めされる側とは反対の側です。こちらにはメーカーのエンボス表示があります。いつ頃からかは未だ突き止めていませんが、メーカー名とともに「M19A1」とのモデル名と製造年の表示がされ始め、現在に至っています。この個体のメーカーが「YSE」とのことですが、実はまだそのメーカーの正式名称を知りません。


↓蓋と本体との結合部分(ヒンジ)を左のM1と比較しました。左のM1は大きいクリップに蓋のピンを噛ませているだけの簡単な構造で、蓋を開いた状態で力技でグイッと外せます。右のM19A1は正に「蝶番」で、蓋を開いて右方向へ少しずつずらしてやれば取り外すことができます。


↓さっき少し触れました底面の窪み(内側では凸)。箱を積み重ねる際に取っ手の部分がココに収まるようにするためです。


↓底面と側面との接合。M1での巻き締め加工とは異なり、M1A1と同じように「貼り合わせ熔接」みたいな形になってます。


↓蓋に戻ります。蓋のヒンジ側から開閉クランプ方向へと斜めに伸びているスカートとダミーカート先端で指している1cm程のディンプル。私初めてこれを認識した際は「蓋を開けようとしてクランプを外した際でも、ある程度は蓋と本体との間に摩擦テンションを掛けておいて、クランプを外しておいただけの状態でも蓋が不意にパカパカ開かないようにするためのモノだ」と思っておりました。しかし今回投稿するにあたっていろいろな資料を見ておりましたら、その役目だけでなく、スカートと一体となった共同目的があるということを知りました。それは…


↓給弾準備完了状態となった際に、斜めスカートは箱内部への雨水や砂塵等の侵入を防ぎながら、蓋のディンプルは本体の縁に掛かって蓋を少しだけ開いた状態に保ち、蓋がカートに干渉することを無くすという目的です。なるほど。それでスカートが斜めだったのですね。知りませんでした。


↓見やすいようにカートを除きました。


↓左のM1と右のM19A1のクランプ側部分の比較。製造工程が簡略化されてるなと素直に感じます。


↓画像上がM19A1、下がM1。

M19A1は横11インチ(約28cm)高さ7.25インチ(約18.4cm)奥行3.81インチ(約9.7cm)。
M1は横10.75インチ(約27.3cm)高さ7.25インチ(約18.4cm)奥行3.75インチ(約9.5cm)と、ほぼ同じ大きさです。


今回のモノは1970年のロット表示があるヴェトナム戦中モノです。欲を言えば1969年以前の表示モノ、上でも触れました蓋に弾薬収納方向のモールドのある初期生産モノをも狙っていますが、なかなか良い出物がありません。
また、黄色文字の内容表記も初期にはM1ガーランド銃用の「8発en-blocクリップ」や、時を経てM80 Ballばっかりのリンク、「OVERHEAD FIRE」表示のモノなどなどバリエーションが豊富で、その種類だけコレクションの対象としても面白いと思います。
色調はWWIIに比べるとやや暗く茶色が強くなってます。最近のモノは逆に明るくグレーの強いOD?になっています。

WWIIでの50口径用の弾薬箱「M2」とその後継「M2A1」もコレクションしていきたいのですが、M2A1は今回のM19A1同様現在も現役でサープラス品としても市場に沢山出回っていて1個だけ入手していますが、M2は非常に出物が少なくまだ入手出来ていません。見つけ次第狙っていきたいと思います。(←入手できました!記事(←クリックで別ウィンドウで開きます。)にしてますのでご覧ください。)

弾薬箱は道具箱、収納ケースとして生活雑貨としての居場所があるので、綺麗なメーカー初出モノや廉価なサープラスモノの購入には一般家計から予算捻出させることも容易ですが、ヴィンテージモノの購入となると費目が私の「趣味・娯楽」になり、一般家計からの支出は無い訳で、なかなか費用工面が難しいところです。
ヴェトナム戦頃のモノは出物が少なくなってきていますが、価格の面ではまだ比較的入手しやすいです。オークションなどでは3,000円前後で程度の良いものが入手可能です。実は私も今回のM19A1は最近ヤフー・オークションで入手しました。90年代以降モノなら2,000円前後で入手可能です。送料を除けばアメリカ本土のミリタリーショップやサープラス業者などで、一箱800円!という価格で売られていることもあります。
ミリタリー・コレクションとしてではなく、機能面だけで弾薬箱を利用したい方であれば、日本でもハナから民生品として製造販売されているモノが新品で2,000円程で手に入ります。私はあくまでもミリタリー・コレクションとして見ていますので、傷があり、少々の錆もある弾薬箱の方が魅力的です。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。さようなら。




  

Posted by Sgt. Saunders at 15:33Comments(0)米軍(U.S.)Fire arms-Related