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2020年05月24日

U.S. M1A1 30口径弾薬箱(U.S. M1A1 Cal. .30 Ammunition Box)

皆さん、こんにちは。
当地大阪府下某郊外都市の本日最高気温が29.5℃!真夏日寸前です。
新型コロナウィルスによる感染症の拡大の勢いが全国的に鈍り、緊急事態宣言の出ている8都道府県でも感染者がゼロの日も見られ、収束に向かい始めたのかなと若干安堵し掛かっておりますが、いや、まだまだ油断する事なく、はしゃぐ事無く、もう暫くは「控え目」に振舞おうと思います。サバゲは三密に当たるのか?よく分かりません。と書いてたら、今テレビの速報で東京都のウィルス感染者が14人に!と入ってきました。また増えだすのでしょうか?

さて、いつものように自宅に籠って定刻を3時間過ぎて今回投稿いたします蒐集品ネタは、以前の記事「M1 30口径弾薬箱(U.S. M1 Cal. .30 Ammunition Box)」、「M19A1 弾薬箱(U.S. M19A1 Ammunition Box)」(←それぞれクリックで過去記事が別ウィンドウが開きます)等に続く「弾薬箱シリーズ」第ウン段、「M1A1 30口径弾薬箱(M1A1 Cal. .30 Ammunition Box)」です。米軍の弾薬箱の進化・改善?を少しだけご覧いただけると思います。過去記事中でも申しておりましたが、念願のM1A1弾薬箱を今般やっと入手できました。錆や傷は多いですが満足しております。


↓念願のM1A1弾薬箱です。先代のM1と後継のM19の特徴が混ざったような、まあ当然ですが、そんな感じの風体です。近時のシャープでスマートなM19A1とは違う、グニャグニャ・ゴチョゴチョした造りが何とも言えない魅力です。リブを多用しての強度アップ、品名をわざわざモールドで表示、兵士の利便性に寄り添った小細工は先代のM1と相通ずるところです。


↓上が今回採り上げるM1A1、下が先代であるM1。こうして並べるとリブの角ばり具合や底の造りが違っているのがよく分かります。他にも違いが多くありますので、順に見て行きます。

   
↓拡大。「CAL .30 M1A1 BOX」と「M1A1 .30口径 箱」との表示。「弾薬」の語がありませんね。左下の小さいハンドルはM1と同じ。その上に製造者ARTCRAFT社のロゴマーク。右側には武器科徽章であるフレイミング・ボムがあります。


↓参考にM1の画像も。こちらには製造者やフレイミング・ボムはありません。


↓反対側。右が先代のM1、左がM1A1です。右のM1にはどちらの面にも品名のモールドがありましたが、M1A1になると片面だけになりました。


↓蓋です。どちらも左端がヒンジ(蝶番)になっていて、右端部が上方へ開きます。画像で上のM1A1の蓋の左右両端部には、中に収めるカートリッジの向きを示す凸モールドが施されるようになりました。下の先代M1の場合は、蓋にはこの様な指示モールドは無く、代わりに箱の内側底面部に凸モールドで弾薬の方向が示されていました。ブローニングM1919A4機関銃とセットで運用される場合に機関銃の左側に弾薬箱が位置する関係で、当然カートリッジは射出方向へ向けて収まっていないといけませんから、このような表示で注意喚起がなされました。これは同時期の別の口径の弾薬箱「M2 50口径用弾薬箱(M2 Cal..50 Ammunition Box)」(←クリックで過去記事が別ウィンドウが開きます)でも見られる特徴です。持ち手はどちらも同じモノです。

また、箱を上へ積み重ねる際に横にズレないようにするための溝がM1にはありましたがM1A1では無くなりました。

↓蓋のクランプ(留め具)が付いている面の比較です。左がM1A1、右がM1です。クランプの構造と言うか原理と言うか、仕組みが異なります。後で触れます。左のM1A1の下の方にある装置は…、次の画像を。


↓指でこのように動かせます。右のM1のクランプの下の方にあるスリット(切れ込み)と同じ位置にスリットが生まれます。このスリットは弾薬箱をM1917A1等のトライポッド(三脚)に搭載する際に、三脚側に備えてあるブラケットの突起を引っ掛けさせるためのモノです。M1ではスリットが開けられているだけでしたが、左のM1A1では指で動かした「ロック」が追加され、振動や衝撃でも容易に横擦れして外れないように改良されました。


↓斜め後ろから。バネが仕込まれていて、下のレバーを下げると、スリットに嵌めた三脚のブラケットが抜けないよう挟み押さえつけていた上端のロック部分が連動して下がり、ブラケットとの嵌合を解放できます。


↓トーション・バネが仕込まれている、とてもシンプルな仕組みです。


↓M1A1のクランプの拡大です。何やらロゴマークらしきモノの刻印。さっきお話ししました「M2 50口径用弾薬箱(M2 Cal..50 Ammunition Box)」でも見られます「N.L.Co.」、即ち「National Lock Company」社製であることを示すマーキングです。


↓クランプの下のここにも同じ刻印がありました。


↓クランプの仕組みです。蓋を閉めようと下ろしてきて…


↓クランプの先端を本体から伸びているカギ部分に引っ掛けて…


↓引っ掛かったところをテコの原理の支点として、そのままクランプの下端を下方へ押し下げて…


↓パチンっと留めます。


↓蓋を開けましょう。焦って写真が傾いてますね。


↓蓋の裏側です。プレスされた一枚物の板で出来ているのはM1と同じです。気密性を保つため黒いゴム製のガスケットが蓋の内側を巡らされています。


↓中はがらんどうです。


↓蓋と本体との結合部分、ヒンジです。


↓一定の範囲の角度に開いた状態で…


↓蓋を向こうへ押し出すと…


↓外せます。


↓シンプルな作りです。


↓蓋クランプと、M1917A1トライポッド等各種三脚への搭載時に使うブラケットとの嵌合カギなどの比較です。どちらの弾薬箱にもある、画像で斜めに起こしているワイヤー・ハンドルは三脚への搭載や蓋の開閉時に本体を支えるのに用います。


↓この上向きのカギを三脚のブラケットに嵌めます。

右のM1も同様です。↓


↓先ほど既に触れましたが、弾薬箱をM1917A1等のトライポッドに搭載する際に、トライポッド側にあるブラケットの突起にへ引っ掛けさせるためのスリット部分です。ピントがボケてて済みません。


↓底の比較です。右のM1ではあたかも缶詰の底のように側面板を底板で巻き締めてあるのに対して、左のM1A1では底板に四方から側面板を8mmほど貼り合わせるようにして熔接してあります。また、蓋のところでも述べましたように、右のM1A1の底板には弾薬箱を積み重ねる際に横ズレが起こらないようにと蓋の溝と噛み合うように底にも溝が施されていましたが、左のM1A1では省かれました。


↓クランプが付いている方とは反対側の面、蓋のヒンジがある方の面です。左のM1A1ではヒンジの金具ぐらいしかありませんが、右のM1ではヒンジの金具のほか、製造者のロゴや武器科徽章のフレイミング・ボムがあります。


↓最後に左からM1、M1A1と、さらにその後継であり現用されているM19A1を並べてみました。M19A1の前にはM19の存在があるのですが、これもまた希少品で、私はまだ蒐集しておりません。持ち手の形状にはずっと変化がありません。


↓左からM1、M1A1、M19A1。左二つのM1とM1A1ではあった下部の三脚搭載用のブラケット結合に関する細工は右のM19A1では無くなりました。機関銃の三脚への搭載方式が変わったためです。クランプの基本的な作りは真ん中のM1A1と右のM19A1とは同じです。


↓クランプの無い側の比較です。ヒンジの形状の変化が分かります。右のM19A1では製造者名がありますが、「M19A1」との名称表示がなされることもあります。




以上、やや冗長気味でしたが如何でしたでしょうか。
コレクションの対象が特定の一時期、例えば「WW1の米軍の装備品」などと限定していれば、同じ米軍の装備品であってもWW2モノには関心を示さないかも知れませんが、私は装備品の変遷の方にも興味が湧くタチで、コレクションのし始めはWW2米陸軍一般歩兵でしたけれども、その前後のWW1や朝鮮戦争、ヴェトナム戦争期に亘って興味の範囲が拡がってしまい、コレクションとしては何とも纏まりがないモノとなっています。
でもまぁ、今回入手出来たM1A1は長年探し求めていたモノで、錆がやや目立つとは言え比較的綺麗なモノだと自分では大変満足しています。


それでは今回はこの辺で失礼いたします。さようなら。




  

Posted by Sgt. Saunders at 15:19Comments(0)米軍(U.S.)Fire arms-Related

2020年05月10日

U.S.将校用アイク・ジャケット(Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers')

5月に入り、このGWは例年に比べ自粛要請を受けて全国的に人の出足・移動が極端に減ったそうで、私めも不要不急の外出は控え、食料品の買い出し、切れた電球の購入もコソコソおこないました。
当初5月6日を期限としていた緊急事態宣言が5月末まで延長されましたが、もうしばらく耐え忍び、衛生面に留意して事態の鎮静化に努めるほかありません。
しかし何と言っても「働けない=収入が無い=生計費が払えない」、自分の労働力を売ることでしか生計を図ることができない一般人にとって生計費の援助が喫緊の課題であります。ひとり一律10万円の特別給付金だけでは到底足りませんし、「営業できない=売上が無い=固定費が払えない」一般企業についても早急な手厚い支援策が望まれます。

さて、そんな中で今回定刻を1時間半過ぎてお送りするのはU.S. 将校用アイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers')です。とは言え、色々注釈付きのモノなのですが。
でも今回このジャケットについて記事を書き始めた時に、まずは普通の、兵・下士官用の(Enlisted men's)アイク・ジャケットを先に記事にしてからの方が良いのかなと思いましたが、もう画像もアップしたし、後回しでもいいかなと判断しました。兵・下士官用のアイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, od)についてはまた後日記事にすることにします。因みにこのアイク・ジャケットはその採用年から「M1944フィールド・ジャケット」と呼ばれることもあります。兵・下士官用のアイク・ジャケットと今回の将校用アイク・ジャケットの差異は、表生地の質以外では「将校用」のラベルが付いているか否かと、ライニングが兵・下士官用がコットンなのに対して将校用はレーヨンであった事くらいです。以下追い追い触れます。

↓今回も写真というモノは本当に光の微妙な具合で色調が変わるものだと痛感しています。この画像ではジャケットが若干赤味がかっています。まるであずき色になっていますね。本当はもう少しODが強いです。以下の画像で一番現物に近い色味のモノが出てきたらその旨お知らせします。と言っても皆さんがご覧になってるモニタの具合によってもまた変化するでしょうし、どうしたものでしょうか。

色調OD33の18オンスのウール・サージ生地製です。シルエットは兵用のアイク・ジャケットとほぼ同じです。因みに「アイク・ジャケット」の「アイク(Ike)」とはアイゼンハワー将軍(のちに大統領)の愛称「アイク」に由来するというのはある程度は有名?な話です。ここでは詳しくは申しません。Wikipediaなどでご覧下さい。

↓フロントはサービス・コートと違いフライ・フロントとなっており、着用時にはボタンは表からは直接見えません。元々アイク・ジャケットは野戦服(フィールド・ジャケット)として開発されたものですから、ボタンがブッシュの枝などに引っ掛からないようにするため、この仕様になっています。M1943フィールド・ジャケットやトロピカル・コンバット・ユニフォーム(ジャングル・ファティーグ)等と同じコンセプトです。一番下だけボタンとボタンホールの付き方が逆になっています。ボタンが取れちゃってますが…。これは「パターン違い」による仕様の差で、一番下のボタンもそれ以外のボタンと同じように右身頃に付いているパターンもあります。この辺は兵・下士官用のアイク・ジャケットも同様です。


↓フライ・フロント。いわゆる隠しボタンです。このようになってます。


↓一番下の裾のウェスト・バンドの左側先端は円くタブ状になっていて…


↓タブ先端はスナップで留めるようになっています。先ほども触れましたが一番下のボタンだけボタンとボタンホールの付き方が逆になっています。このパターンとは別に、全部のボタンが右身頃に付いているパターンもあります。ボタンを付けないとカッコ悪いですね。


↓スナップ雄金具の裏面。かのScovill社製でした。


↓雌金具には何の表記もありません。


↓カフです。袖のボタンはフロントのボタンより一回り小さいです。


↓本切羽になっています。


↓一般的にアイク・ジャケットの袖にはボタンが2つ付いていて、袖口の絞り加減を「通常」と「細目」とに調節できるようになっているのですが、私がこの将校用アイク・ジャケットを入手した際には、左右ともボタンは1つしか無く、取り去った形跡が認められませんでした。もう一つのボタンは供用を始める前に綺麗に取り去られたのか、最初から付いていなかったのか不明です。おそらく前者だと思います。


↓胸にはプリーツのあるパッチ・ポケット。


↓フラップもフロントと同じくボタンが露出しないようにM1943フィールド・ジャケットと同じように隠しボタン(コンシールド)になっています。


↓そしてまたこの個体はフラップの両端にスナップ・ボタンが付け加えられていて、フラップのバタつきを封じ込めようという強い熱意を感じます。


↓この仕上がりですので、多分プロではなくアマチュアの仕事だと思います。


↓内側を見て行きます。裏地はレーヨンです。兵・下士官用のアイク・ジャケットの場合はコットン・サテンです。まず左から。水平に内ポケットが設えられています。


↓アーム・ホールの下には汗とり布があります。しかしまあ、裏地も写り具合が上の画像とこの画像で全然違いますね。上の画像では茶色?、この画像ではゴールド?。


↓ポケットの内部はコットン製の袋です。


↓右側です。こちらにも水平の内ポケットと汗とり布があります。この画像の色合いが裏地も表地も一番現物に近いと思います。裏地はレーヨンのサテンなので色ムラがあるように見えますが、一番自然に見えます。


↓はい、ひときわ目立つラベルです。陸軍のシンボル(合衆国国璽)と「REGURATION ARMY OFFICER’S JACKET(正規の陸軍将校用ジャケット)」との表記。


↓そしてポケット内側には…


↓きれいにタグが残っています。


↓曰く、1行目から2行目に制式名称「Jacket, Field, Wool, Serge, O.D. Officers'」、3行目にサイズは38S。4行目の「Code No 1188」は製造者を示すコードで、ニューヨーク州ロチェスターのTimely Clothes Co.社製であることを表します。将校用の衣服の製造者はその多くが実名ではなくコードで表されました。5行目「Patt. Date 11/1/44」は縫製パターンの日附1944年11月1日を意味します。これとは別にパターン「1945年3月5日」があります。6行目「P. O. 20588」はPurchase Orders(通常の契約手続きよりも急を要する場合に用いられた「発注書」)の番号が20588であることを示します。WWII中、このPOはかなり多用されています。7行目はその日附1945年4月21日の意。

8行目はQuartermaster Corps Tentative Specification(陸軍補給部暫定仕様)、9行目Philadelphia Quartermaster Depot No.472(フィラデルフィア補給デポ番号472番)、10行目はその日附1944年10月28日、11行目から12行目はストックナンバーが55-J-386-80(末尾の80はサイズ38Sを示します)、最終行に本品についての責任部署であるPhiladelphia Quartermaster Depot(フィラデルフィア補給デポ)の表示。一つ上の画像で分かりますが、この下に「Inspecter(検査員)」の欄があり、何も記されていませんが、寧ろ何も記入が無いのが通常です。

↓ハンガーループがあります。


↓ショルダー・ループ(エポレット)です。


↓背面です。本来は兵・下士官用のアイク・ジャケットと同様に両腰部に裾絞り具合調節用のストラップとバックルが設えられているのですが、この個体では綺麗に取り去られています。上述しましたカフのボタンの例とは異なり、こちらには元々の縫製の痕が僅かに認められました。画像のウェスト・バンドの左右の端に若干色目が濃くなっている長方形があるのがお分かりいただけると思います。



以上本ブログではまだまだ採り上げる機会の少ない衣料モノの一つを見て頂きました。
入手したのはもうカレコレ15年くらい前で、まだその頃は知識もそれほどなく(今もですが)、両腰の裾調整ストラップとバックルが取り払われていることには気付かず、全体的に綺麗で虫食いも無かったのでebayかどこかで贖ったモノだと思います。今だったらこのように部品が取り払われているモノと分かっていればまず購入しないです。でももう入手してしまったので、綺麗なので持っておきます。
WWII当時(今でも?)将校はレギュレーションに大体沿っていれば自費で仕立てたモノを着用することが許されていたので、今回のモノのような官製のモノではなく、パットン将軍のようにサービス・コートに付いているようなキラキラのギルト・ボタンを露出させたモノを着用するなど出来ました。


それでは今回はこの辺で失礼いたします。