2014年12月28日
大日本帝国海軍短剣(Imperial Japanese Naval Officer's Dagger)
年の瀬押し迫る中おいで下さいましてありがとうございます。
今年最後のネタは本ブログ初の旧軍モノです。
私の蒐集対象のメインはWWⅡ米軍モノですので、久しぶりに完全に「寄り道」です。
↓今回のネタはこれです。

大日本帝国海軍短剣です。
この個体自体は決して高品質なものではありませんが、その意匠の細やかさ・美しさに惹かれます。この海軍士官短剣のルーツは1883年(明治16年)に制定された士官用短剣にあり、その後1914年(大正3年)から終戦まで、士官候補生も含んだ全海軍士官共通のモノとなりました。ただ、士官個人個人の好みにより品質・素材等の仕様は個体によりさまざまです。
↓駐爪釦(鯉口部の直ぐ下に見える、刀身不意抜け防止用のスプリング・ロック・リリース・ボタン)がある側から。

この短剣はある意味長剣(太刀)の代用・略式なので、こちら側が「佩裏(はきうら)」になります。
↓佩表の側。

↓鞘は黒色研出鮫皮巻き。

↓柄のアップ。兜金(ポンメル)、金線で巻かれた鮫皮、桜花の目貫・目釘、鉤護拳(クロスガード)、輪胴、吊輪のいずれもカッチリ作られています。

因みに下に敷いているのは下士官用第三種軍装上衣(木綿製)です。
↓兜金。桜花の意匠が綺麗です。

↓金線と鮫皮、桜花の目貫・目釘、縁、切羽、鉤護拳(クロスガード)の様子。

↓反対側。鮫皮はこちら側で合わされます。

↓桜花の目貫・目釘は螺子止め仕様です。


ピンボケで失礼します。

画像にはありませんが、螺子の雄雌とも当然柄から抜くことができます。茎(なかご)に銘があるか否か見ましたが、ありませんでした。
↓輪胴の拡大。真ん中にある円いモノが「駐爪釦(刀身不意抜け防止用のスプリング・ロック・リリース・ボタン)」、桜花の左にある小さい円いモノはその駐爪の支点固定鋲。

↓反対側。桜花、蕾、葉ともすべて凸レリーフになっており、明治期末頃まで見られたいわゆる毛彫りは葉脈などにしかありません。地のメッキがかなり剥げていますが、細かい石目模様がご覧になれますでしょうか。

↓上下の向きが逆さになってしまいましたが、2つ上の画像で見ました「駐爪(刀身不意抜け防止用のスプリング・ロック)」と、それが噛み合う切羽に施された鉤穴です。

噛みあい具合の精度(クリアランス)は、やはり日本品質水準です。カッチリ噛み合います。鈨(はばき)もしっかりした出来です。
↓画像では分かりにくいですが、刃紋は真っ直ぐの直刃です。

↓切先方向から。さきほど触れた「駐爪」の鉤穴が見えます。

↓鉤護拳(クロスガード)に施された製造者の刻印。今般また少し調べてみましたが分かりませんでした。

以上駆け足でしたが、敗戦近くに製造されたものは別にして(それでも、品質が劣ることになってもなるべく良いモノに仕上げようとする意気込みは感じられますが)、日本人のモノ作りに対する愛情・執着・こだわりを再確認することが出来ました。
このような「カッチリ・キッチリ」したモノ作り精神は、日本軍モノやドイツ軍モノを見るにつけ良く感じ取ることができますが、米軍モノにはあまり感じることがありません。ま、「おおらか」で良いのですけれど。
あと、本個体の刀身は模擬刀ではなく、画像にはあげていませんが、ちゃんと「登録証」があります。
それでは今回のネタはこの辺で。また、今回が今年最後の投稿となります。お付き合い下さりありがとうございました。
また来年もどうぞお付き合いください。ツッコミ・間違いのご指摘大歓迎です。よろしくお願い申し上げます。
今年最後のネタは本ブログ初の旧軍モノです。
私の蒐集対象のメインはWWⅡ米軍モノですので、久しぶりに完全に「寄り道」です。
↓今回のネタはこれです。

大日本帝国海軍短剣です。
この個体自体は決して高品質なものではありませんが、その意匠の細やかさ・美しさに惹かれます。この海軍士官短剣のルーツは1883年(明治16年)に制定された士官用短剣にあり、その後1914年(大正3年)から終戦まで、士官候補生も含んだ全海軍士官共通のモノとなりました。ただ、士官個人個人の好みにより品質・素材等の仕様は個体によりさまざまです。
↓駐爪釦(鯉口部の直ぐ下に見える、刀身不意抜け防止用のスプリング・ロック・リリース・ボタン)がある側から。

この短剣はある意味長剣(太刀)の代用・略式なので、こちら側が「佩裏(はきうら)」になります。
↓佩表の側。

↓鞘は黒色研出鮫皮巻き。

↓柄のアップ。兜金(ポンメル)、金線で巻かれた鮫皮、桜花の目貫・目釘、鉤護拳(クロスガード)、輪胴、吊輪のいずれもカッチリ作られています。

因みに下に敷いているのは下士官用第三種軍装上衣(木綿製)です。
↓兜金。桜花の意匠が綺麗です。

↓金線と鮫皮、桜花の目貫・目釘、縁、切羽、鉤護拳(クロスガード)の様子。

↓反対側。鮫皮はこちら側で合わされます。

↓桜花の目貫・目釘は螺子止め仕様です。


ピンボケで失礼します。

画像にはありませんが、螺子の雄雌とも当然柄から抜くことができます。茎(なかご)に銘があるか否か見ましたが、ありませんでした。
↓輪胴の拡大。真ん中にある円いモノが「駐爪釦(刀身不意抜け防止用のスプリング・ロック・リリース・ボタン)」、桜花の左にある小さい円いモノはその駐爪の支点固定鋲。

↓反対側。桜花、蕾、葉ともすべて凸レリーフになっており、明治期末頃まで見られたいわゆる毛彫りは葉脈などにしかありません。地のメッキがかなり剥げていますが、細かい石目模様がご覧になれますでしょうか。

↓上下の向きが逆さになってしまいましたが、2つ上の画像で見ました「駐爪(刀身不意抜け防止用のスプリング・ロック)」と、それが噛み合う切羽に施された鉤穴です。

噛みあい具合の精度(クリアランス)は、やはり日本品質水準です。カッチリ噛み合います。鈨(はばき)もしっかりした出来です。
↓画像では分かりにくいですが、刃紋は真っ直ぐの直刃です。

↓切先方向から。さきほど触れた「駐爪」の鉤穴が見えます。

↓鉤護拳(クロスガード)に施された製造者の刻印。今般また少し調べてみましたが分かりませんでした。

以上駆け足でしたが、敗戦近くに製造されたものは別にして(それでも、品質が劣ることになってもなるべく良いモノに仕上げようとする意気込みは感じられますが)、日本人のモノ作りに対する愛情・執着・こだわりを再確認することが出来ました。
このような「カッチリ・キッチリ」したモノ作り精神は、日本軍モノやドイツ軍モノを見るにつけ良く感じ取ることができますが、米軍モノにはあまり感じることがありません。ま、「おおらか」で良いのですけれど。
あと、本個体の刀身は模擬刀ではなく、画像にはあげていませんが、ちゃんと「登録証」があります。
それでは今回のネタはこの辺で。また、今回が今年最後の投稿となります。お付き合い下さりありがとうございました。
また来年もどうぞお付き合いください。ツッコミ・間違いのご指摘大歓迎です。よろしくお願い申し上げます。
2014年12月14日
みんなの検定「軍装マニア検定試験‐WWⅡ米陸軍・1級(Militaria Enthusiast Exam)」
こんにちは。
いよいよ師走も半ば。本日は衆議院選挙の投票日です。安部政権が国民の信任を受けるのか、野党が与党自民党・公明党の目付役となるほどの議席を得られるのか、日付が変わる頃には大勢が判明することになりましょうが、有権者一人ひとりの「権利」は、皆さんしっかり行使しましょう。先人が多大な犠牲を払って手に入れた参政権を無駄にしてはなりません。
さて今回は、以前本ブログで「軍装マニア検定試験‐WWⅡ米陸軍・3級(Militaria Enthusiast Exam)」、「同2級」をお送りしたのに続いて、「同1級」でお楽しみください。
これらは昔Yahoo!のサービスにあった「みんなの検定」で、私が面白半分で作成した「軍装マニア検定試験」のデータがまだ私のパソコンの中にありましたので、若干の改訂を行い、ここで再現してみたものです。
全10問で全て4者択一です。
各問題の後にすぐ解答を載せています。
それでは年賀状作成や大掃除などの迎春準備の合間やご休憩時の暇つぶしにお楽しみ下さい。私も歳末で何かとバタバタしていますので、はっきり申しまして今回は「過去データ引用・お気楽手抜き投稿」です。申し訳ございません・・・。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
検定名 軍装マニア検定試験・WWⅡ米陸軍・1級
検定概要 各国の軍装マニアとしての基本的知識・発展的知識の修得度を幅広く客観的に評価します。全10問です。
■第1問
サービス・コートのボタンや制帽の帽章などのデザインとして合衆国国璽が用いられていますが、その国璽の鷲が咥えているリボン(タイトル)には「E PLURIBUS UNUM」と記されています。さて、この「E PLURIBUS UNUM」の意味として最も適切なのは次のうちどれでしょうか?

(1)「ONE FOR MANY」:ひとりは万人のために
(2)「GOD WITH US」:我等神と共に
(3)「OUT OF MANY, ONE」:多から一つ
(4)「THE UNITED STATES」:合衆国
↓
↓
↓
↓
↓
↓
正解は・・・
↓
↓
↓
↓
↓
↓
正解 (3)
合衆国創建の心意気といったところでしょう。ラテン語で「イー・プルアリバス・ウーナム」と読みます。英語だと上記選択肢(3)の「"Out of many, one"」のほか「"One out of many"」とか「"One from many"」などと訳されています。制定された歴史的経緯に興味のある方は調べてみてください。ここでは割愛します。
■第2問
歩兵用小銃を使って榴弾を発射するのに使う「グレネード・ランチャー(正しくは「ローンチャー」ですが)」。さて、画像のグレネード・ランチャーの制式名称は次のうちどれでしょうか?

(1)M1
(2)M7
(3)M8
(4)M7A1
↓
↓
↓
↓
↓
↓
正解は・・・
↓
↓
↓
↓
↓
↓
正解 (2)
この「M7」を装着したままだとM1ライフルはセミオートでの射撃が出来なくなるため、その改良型として「M7A1」ができました。「M1」はM1903ライフル用の、「M8」はM1カービン用のグレネード・ランチャーです。
■第3問
いわゆる「アイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, OD)」は、本来意図されていた用途とは違って、サービス・コートよりも見栄えのする「おしゃれ着」として兵士達から好評を得ました。その全体的なデザインは英軍のバトル・ドレスによく似ています。それでは、下の画像のジャケットも「アイク・ジャケット」に似ていますが、この画像のジャケットの正体は一体何でしょうか?(画像が見にくいのでヒントです:両胸のポケットはパッチ・ポケットではなく表地内側に切り込んだセットイン・ポケット(フラップ付き)です。また、その下には斜めに切り込んだスラッシュ・ポケットがあります。)

(1)兵・下士官用のアイク・ジャケットを兵士個人レベルで改造したもの
(2)兵・下士官用の階級章・徽章をつけた将校用の官給アイク・ジャケット
(3)兵・下士官用の階級章・徽章をつけたカナダ軍のバトル・ドレス
(4)陸軍航空隊兵・下士官用として制式化されたジャケット
↓
↓
↓
↓
↓
↓
正解は・・・
↓
↓
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↓
↓
正解 (4)
「JACKET, ENLISTED MEN’S, FLIGHT, TYPE B-14」です。その名の通りフライト・ジャケットです。左右のスラッシュ・ポケットは内側がコーデュロイで出来ていて、ハンド・ウォーマーとして使えます。普通のアイク・ジャケットよりもこの分だけ若干機能性は高いと思います。
■第4問
俗に「ウォーキー・トーキー」とか「ハンディ・トーキー」と呼ばれる、制式名称「Radio Sets SCR-536-*(*にはA、Bなどの形式符号が入ります)」の送受信周波数帯域は次のうちどれでしょうか?

(1)3.5MHz~6.0MHz
(2)500kHz~1000kHz
(3)55MHz~185MHz
(4)2.5GHz~5.5GHz
↓
↓
↓
↓
↓
↓
正解は・・・
↓
↓
↓
↓
↓
↓
正解 (1)
当時はMHz(メガヘルツ)ではなく、MC(メガサイクル)と言っておりました。この無線機を手にすると思わず「チェックメイト・キング・ツー、こちらホワイトロック、どうぞっ!」とやってしまうヒトはWWIIUSファンの中には未だ数多く見られます。私もです。(本当は「ホワイト・ルーク(white rook)」なのに「ホワイト・ロック(white rock(あるいはwhite lock?))」なのは田中信夫さんが悪いわけではありません。詳しくは「Wkipedia」の「コンバット!」の「豆知識」の2項目をご参照下さい。
■第5問
画像は軍曹のサービス・コートの左袖を写したものです。この軍曹の服務経歴として正しいのは次のうちどれでしょうか?画像が少し見にくいので補足しますと、肩の部分には青地に白四角2つが交叉したパッチ、袖先にはカーキ地にゴールドのストライプが5本、青地にグリーンの斜めのストライプが1本あります。

(1)勤続3年以上6年未満で、海外派遣1年3ヶ月
(2)勤続5年以上10年未満で、海外派遣1年8ヶ月
(3)勤続2年以上4年未満で、海外派遣1年3ヶ月
(4)勤続3年以上6年未満で、海外派遣2年6ヶ月
↓
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↓
正解は・・・
↓
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↓
↓
↓
↓
正解 (4)
ゴールドのストライプは海外派遣章で、6ヶ月で1本の着用、グリーンの斜めのストライプは勤続章で、3年で1本の着用ができます。これらから計算すると(4)が正解となります。ちなみに肩のパッチは2nd コア(Corps)・エリア・サービス・コマンドのもの。
■第6問
歩兵科、砲兵科、憲兵科など、色んな兵科がありまして、それぞれに兵科色が定められており、略帽のパイピングなどにそれを見ることができます。メジャーなものとして歩兵科(Infantry)は水色("Infantry Blue")、騎兵科(Cavalry)は黄色ですが、では需品科("Quartermaster Corps")の兵科色は何色でしょうか?

(1)緋色(scarlet)
(2)コバルトブルー/ゴールデンイエロー
(3)えび茶(maroon)/白
(4)淡黄褐色(buff)
↓
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正解は・・・
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正解(4)
AR 670-1で定められています。
緋色は野戦砲兵科(Field Artillery)、コバルトブルー/ゴールデンイエローは化学科(Chemical Corps)、えび茶(maroon)/白は医療科(Medical Corps)です。
■第7問
ずばり、この略授章(リボン・バー)は次のうちどれのものでしょうか?

(↑外側から白・赤・白・青・白・赤・白です。)
(1)SILVER STAR
(2)BRONZE STAR MEDAL
(3)DISTINGUISHED SERVICE MEDAL
(4)GOOD CONDUCT MEDAL
↓
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↓
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↓
正解は・・・
↓
↓
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正解 (2)
制定のきっかけになったのは、かのジョージ・C・マーシャル将軍がルーズヴェルト大統領に宛てた「(2年前に航空隊の士気高揚のために制定された)航空隊のエアー・メダルに相当するものが、苦境に耐える地上部隊、特に歩兵部隊の将兵には無い…(大意)」といった内容のメモでした。1944年2月制定。
←Wikipediaより画像引用。
■第8問
前線でちょっとマシな食事にありつけるときに使うこの「メス・キット(ほかにもいろいろ俗称はありますが)」。大戦後期にはステンレス製のものが出てきましたが、さて、そのステンレス製のものの制式名称は次のうちどれでしょうか?

(1)CAN, MEAT, STAINLESS
(2)CAN, MEAT, STAINLESS, M-1944
(3)CAN, MEAT, CORROSION RESISTANT STEEL
(4)CAN, MEAT, M-1942
↓
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正解は・・・
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正解 (3)
(4)はアルミニューム製です。(1)は意味は同じですが、制式名称ではありません。(2)もでっちあげデタラメ名称です。なお、(4)の「CAN, MEAT, M-1942」はQUARTERMASTER SUPPLY CATALOG 1943年8月版での表記であり、のちのQUARTERMASTER SUPPLY CATALOG 1946年5月版QM 3-1では「CAN, MEAT, ALUMINUM」へと改められています(Stock No. 74-C-62)。
■第9問
「長すぎる」と不満が出てきた刀身16インチのM1905銃剣を、試しに6インチ短くしてM1905E1として試供したところ好評であったため、あらためて刀身10インチのM1銃剣が制式採用されました(鞘も同時に「M7鞘」として制式化されました)。M1銃剣が制式採用されると同時に、手持ちのM1905銃剣は決して廃棄処分されるということは無く、M1銃剣と同じ刀身長になるように短く切り詰められて無駄なくリサイクル活用されました。となると、それを収める鞘の方も短くしてやる必要があり、M1905銃剣用のM3鞘も銃剣と同じように6インチ分短くされて使われました。では、ここでやっと問題です。短くされてできた「M3鞘改M7鞘」と、「生粋のM7鞘」とを見分ける方法として適切なのは次のうちどれでしょうか?
(1)「M3鞘改M7鞘」に元来打たれている「M3」の刻印の上から「M7」の刻印を無理やり打刻してあるのでわかる。
(2)銃剣と同じように、先の部分が切断されて丁寧に整形されているのを精査すれば比較的容易に分かる。
(3)鞘本体とマウスピース部との結合部分を見れば分かる。
(4)M7鞘の製造会社はM3鞘の製造会社とはまったく異なっているので、製造会社を見れば分かる。
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正解は・・・
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正解 (3)

↑左が生粋のM7鞘、右がM3鞘改M7鞘。実はこれについては拙稿「短くなるのは良いこと。」(2013年09月08日の記事)で採り上げています。よろしかったらご覧下さい。
■10問中10問
代表的歩兵用小銃であるM1ガーランド小銃のストック(銃床)には、検品済みであることを示すカルトゥーシュ(cartouch)が打たれています。上段には製造者であるSpringfield Armoryの略「SA」か、Winchester Repeating Arms社の略「WRA」があり、下段には各製造者の検品責任者のイニシャルがあります。では次のうち実際には存在しない組み合わせのカルトゥーシュはどれでしょうか?
(1)SAとRS
(2)SAとEMcF
(3)WRAとGHD
(4)WRAとWB
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正解は・・・
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正解 (1)
RSはWinchester Repeating ArmsのRobert Sears大佐のイニシャルでありますから、SAとの組み合わせはあり得ません。ちなみにWRA・RSのカルトゥーシュは1940年7月から1941年6月までに製造されたものに打刻されました。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
以上です。いかがでしたか?
それでは今回はこの辺で失礼します。次回は12月28日 本年最後の投稿予定です。
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いよいよ師走も半ば。本日は衆議院選挙の投票日です。安部政権が国民の信任を受けるのか、野党が与党自民党・公明党の目付役となるほどの議席を得られるのか、日付が変わる頃には大勢が判明することになりましょうが、有権者一人ひとりの「権利」は、皆さんしっかり行使しましょう。先人が多大な犠牲を払って手に入れた参政権を無駄にしてはなりません。
さて今回は、以前本ブログで「軍装マニア検定試験‐WWⅡ米陸軍・3級(Militaria Enthusiast Exam)」、「同2級」をお送りしたのに続いて、「同1級」でお楽しみください。
これらは昔Yahoo!のサービスにあった「みんなの検定」で、私が面白半分で作成した「軍装マニア検定試験」のデータがまだ私のパソコンの中にありましたので、若干の改訂を行い、ここで再現してみたものです。
全10問で全て4者択一です。
各問題の後にすぐ解答を載せています。
それでは年賀状作成や大掃除などの迎春準備の合間やご休憩時の暇つぶしにお楽しみ下さい。私も歳末で何かとバタバタしていますので、はっきり申しまして今回は「過去データ引用・お気楽手抜き投稿」です。申し訳ございません・・・。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
検定名 軍装マニア検定試験・WWⅡ米陸軍・1級
検定概要 各国の軍装マニアとしての基本的知識・発展的知識の修得度を幅広く客観的に評価します。全10問です。
■第1問
サービス・コートのボタンや制帽の帽章などのデザインとして合衆国国璽が用いられていますが、その国璽の鷲が咥えているリボン(タイトル)には「E PLURIBUS UNUM」と記されています。さて、この「E PLURIBUS UNUM」の意味として最も適切なのは次のうちどれでしょうか?

(1)「ONE FOR MANY」:ひとりは万人のために
(2)「GOD WITH US」:我等神と共に
(3)「OUT OF MANY, ONE」:多から一つ
(4)「THE UNITED STATES」:合衆国
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正解は・・・
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正解 (3)
合衆国創建の心意気といったところでしょう。ラテン語で「イー・プルアリバス・ウーナム」と読みます。英語だと上記選択肢(3)の「"Out of many, one"」のほか「"One out of many"」とか「"One from many"」などと訳されています。制定された歴史的経緯に興味のある方は調べてみてください。ここでは割愛します。
■第2問
歩兵用小銃を使って榴弾を発射するのに使う「グレネード・ランチャー(正しくは「ローンチャー」ですが)」。さて、画像のグレネード・ランチャーの制式名称は次のうちどれでしょうか?

(1)M1
(2)M7
(3)M8
(4)M7A1
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正解は・・・
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正解 (2)
この「M7」を装着したままだとM1ライフルはセミオートでの射撃が出来なくなるため、その改良型として「M7A1」ができました。「M1」はM1903ライフル用の、「M8」はM1カービン用のグレネード・ランチャーです。
■第3問
いわゆる「アイク・ジャケット(制式名称:Jacket, Field, Wool, OD)」は、本来意図されていた用途とは違って、サービス・コートよりも見栄えのする「おしゃれ着」として兵士達から好評を得ました。その全体的なデザインは英軍のバトル・ドレスによく似ています。それでは、下の画像のジャケットも「アイク・ジャケット」に似ていますが、この画像のジャケットの正体は一体何でしょうか?(画像が見にくいのでヒントです:両胸のポケットはパッチ・ポケットではなく表地内側に切り込んだセットイン・ポケット(フラップ付き)です。また、その下には斜めに切り込んだスラッシュ・ポケットがあります。)

(1)兵・下士官用のアイク・ジャケットを兵士個人レベルで改造したもの
(2)兵・下士官用の階級章・徽章をつけた将校用の官給アイク・ジャケット
(3)兵・下士官用の階級章・徽章をつけたカナダ軍のバトル・ドレス
(4)陸軍航空隊兵・下士官用として制式化されたジャケット
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正解 (4)
「JACKET, ENLISTED MEN’S, FLIGHT, TYPE B-14」です。その名の通りフライト・ジャケットです。左右のスラッシュ・ポケットは内側がコーデュロイで出来ていて、ハンド・ウォーマーとして使えます。普通のアイク・ジャケットよりもこの分だけ若干機能性は高いと思います。
■第4問
俗に「ウォーキー・トーキー」とか「ハンディ・トーキー」と呼ばれる、制式名称「Radio Sets SCR-536-*(*にはA、Bなどの形式符号が入ります)」の送受信周波数帯域は次のうちどれでしょうか?

(1)3.5MHz~6.0MHz
(2)500kHz~1000kHz
(3)55MHz~185MHz
(4)2.5GHz~5.5GHz
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正解 (1)
当時はMHz(メガヘルツ)ではなく、MC(メガサイクル)と言っておりました。この無線機を手にすると思わず「チェックメイト・キング・ツー、こちらホワイトロック、どうぞっ!」とやってしまうヒトはWWIIUSファンの中には未だ数多く見られます。私もです。(本当は「ホワイト・ルーク(white rook)」なのに「ホワイト・ロック(white rock(あるいはwhite lock?))」なのは田中信夫さんが悪いわけではありません。詳しくは「Wkipedia」の「コンバット!」の「豆知識」の2項目をご参照下さい。
■第5問
画像は軍曹のサービス・コートの左袖を写したものです。この軍曹の服務経歴として正しいのは次のうちどれでしょうか?画像が少し見にくいので補足しますと、肩の部分には青地に白四角2つが交叉したパッチ、袖先にはカーキ地にゴールドのストライプが5本、青地にグリーンの斜めのストライプが1本あります。

(1)勤続3年以上6年未満で、海外派遣1年3ヶ月
(2)勤続5年以上10年未満で、海外派遣1年8ヶ月
(3)勤続2年以上4年未満で、海外派遣1年3ヶ月
(4)勤続3年以上6年未満で、海外派遣2年6ヶ月
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正解 (4)
ゴールドのストライプは海外派遣章で、6ヶ月で1本の着用、グリーンの斜めのストライプは勤続章で、3年で1本の着用ができます。これらから計算すると(4)が正解となります。ちなみに肩のパッチは2nd コア(Corps)・エリア・サービス・コマンドのもの。
■第6問
歩兵科、砲兵科、憲兵科など、色んな兵科がありまして、それぞれに兵科色が定められており、略帽のパイピングなどにそれを見ることができます。メジャーなものとして歩兵科(Infantry)は水色("Infantry Blue")、騎兵科(Cavalry)は黄色ですが、では需品科("Quartermaster Corps")の兵科色は何色でしょうか?

(1)緋色(scarlet)
(2)コバルトブルー/ゴールデンイエロー
(3)えび茶(maroon)/白
(4)淡黄褐色(buff)
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正解は・・・
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正解(4)
AR 670-1で定められています。
緋色は野戦砲兵科(Field Artillery)、コバルトブルー/ゴールデンイエローは化学科(Chemical Corps)、えび茶(maroon)/白は医療科(Medical Corps)です。
■第7問
ずばり、この略授章(リボン・バー)は次のうちどれのものでしょうか?

(↑外側から白・赤・白・青・白・赤・白です。)
(1)SILVER STAR
(2)BRONZE STAR MEDAL
(3)DISTINGUISHED SERVICE MEDAL
(4)GOOD CONDUCT MEDAL
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正解 (2)
制定のきっかけになったのは、かのジョージ・C・マーシャル将軍がルーズヴェルト大統領に宛てた「(2年前に航空隊の士気高揚のために制定された)航空隊のエアー・メダルに相当するものが、苦境に耐える地上部隊、特に歩兵部隊の将兵には無い…(大意)」といった内容のメモでした。1944年2月制定。

■第8問
前線でちょっとマシな食事にありつけるときに使うこの「メス・キット(ほかにもいろいろ俗称はありますが)」。大戦後期にはステンレス製のものが出てきましたが、さて、そのステンレス製のものの制式名称は次のうちどれでしょうか?

(1)CAN, MEAT, STAINLESS
(2)CAN, MEAT, STAINLESS, M-1944
(3)CAN, MEAT, CORROSION RESISTANT STEEL
(4)CAN, MEAT, M-1942
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(4)はアルミニューム製です。(1)は意味は同じですが、制式名称ではありません。(2)もでっちあげデタラメ名称です。なお、(4)の「CAN, MEAT, M-1942」はQUARTERMASTER SUPPLY CATALOG 1943年8月版での表記であり、のちのQUARTERMASTER SUPPLY CATALOG 1946年5月版QM 3-1では「CAN, MEAT, ALUMINUM」へと改められています(Stock No. 74-C-62)。
■第9問
「長すぎる」と不満が出てきた刀身16インチのM1905銃剣を、試しに6インチ短くしてM1905E1として試供したところ好評であったため、あらためて刀身10インチのM1銃剣が制式採用されました(鞘も同時に「M7鞘」として制式化されました)。M1銃剣が制式採用されると同時に、手持ちのM1905銃剣は決して廃棄処分されるということは無く、M1銃剣と同じ刀身長になるように短く切り詰められて無駄なくリサイクル活用されました。となると、それを収める鞘の方も短くしてやる必要があり、M1905銃剣用のM3鞘も銃剣と同じように6インチ分短くされて使われました。では、ここでやっと問題です。短くされてできた「M3鞘改M7鞘」と、「生粋のM7鞘」とを見分ける方法として適切なのは次のうちどれでしょうか?
(1)「M3鞘改M7鞘」に元来打たれている「M3」の刻印の上から「M7」の刻印を無理やり打刻してあるのでわかる。
(2)銃剣と同じように、先の部分が切断されて丁寧に整形されているのを精査すれば比較的容易に分かる。
(3)鞘本体とマウスピース部との結合部分を見れば分かる。
(4)M7鞘の製造会社はM3鞘の製造会社とはまったく異なっているので、製造会社を見れば分かる。
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正解は・・・
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正解 (3)

↑左が生粋のM7鞘、右がM3鞘改M7鞘。実はこれについては拙稿「短くなるのは良いこと。」(2013年09月08日の記事)で採り上げています。よろしかったらご覧下さい。
■10問中10問
代表的歩兵用小銃であるM1ガーランド小銃のストック(銃床)には、検品済みであることを示すカルトゥーシュ(cartouch)が打たれています。上段には製造者であるSpringfield Armoryの略「SA」か、Winchester Repeating Arms社の略「WRA」があり、下段には各製造者の検品責任者のイニシャルがあります。では次のうち実際には存在しない組み合わせのカルトゥーシュはどれでしょうか?
(1)SAとRS
(2)SAとEMcF
(3)WRAとGHD
(4)WRAとWB
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正解は・・・
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正解 (1)
RSはWinchester Repeating ArmsのRobert Sears大佐のイニシャルでありますから、SAとの組み合わせはあり得ません。ちなみにWRA・RSのカルトゥーシュは1940年7月から1941年6月までに製造されたものに打刻されました。
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以上です。いかがでしたか?
それでは今回はこの辺で失礼します。次回は12月28日 本年最後の投稿予定です。
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