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2014年10月26日

US陸軍VN戦争時のマガジン・パウチ【3】(US Army Ammunition Pouch in VN War【3】)

みなさんこんにちは。
当地大阪は好天に恵まれ、「大阪マラソン2014」が開催されています。とても清々しい秋の日曜日です。
いつもながら定刻を少し過ぎての投稿となりました。

さて今回も前回・前々回に続き、ヴェトナム戦争時にUS陸軍によって使用された弾薬(マガジン)パウチについてです。
3回目になりますが、この画像をご覧ください。


左から、
「Pouch, Small Arms, Ammunition, Universal」①(前々回)、
「Case, Small Arms, Ammunition」②(前回)、
「Case, Small Arms, Ammunition, M16A1 Rifle」③です。
↓裏側です。

今回は右端の③ 「Case, Small Arms, Ammunition, M16A1 Rifle」について見てまいります。

↓まず拡大です。基本的な構造は上で見た画像の①(Pouch, Small Arms, Ammunition, Universal」)や②(Case, Small Arms, Ammunition)と殆ど同じです。寸法を変えて開発・制式化されました。

①②が汎用であったのに対して、この③は寸法がM16A1ライフルの20連マガジンに合わせて作られた、正真正銘M16A1ライフルの20連マガジン専用のマガジン・パウチです。

↓蓋の内側のスタンプ。「M16A1ライフル用」としっかり書かれています。

「Case, Small Arms, Ammunition, M16A1 Rifle
「8465-935-4871」はFSN(Federal Stock Number=連邦備品番号)です。
「DSA 100-68-C-1194」はDefense Supply Agency(=国防兵站局)の契約番号です。

↓裏側です。真ん中の「17」の数字のスタンプは製造者の製造に関わる単なるロット番号です。


↓底には水抜きのハトメ穴。また、①②にあった型崩れ防止や弾薬保護のための金属板やプラ板は、正面・側面・背面ともに仕込まれておらず、このようにパウチ全体をクシャクシャに変形させることができます。


↓20連マガジン4本が収納されます。ピチピチです。

↑①②と同じ、両側に手榴弾保持用のループと固定テープがあります。↓

背面には、やはり①②と同じくスライド・キーパーが。

↓背面上部から伸びる、サスペンダーとの連結ストラップ先端のクリップ。


これも前回①・前々回②の巻でも申しましたように、「このパウチには、この形のクリップのみが使われている」という訳ではありません。

↓そのストラップの長さ調節用のバックル。

バックルについてもメーカー違いなど色々あります。


米陸軍ではM14ライフルに代わり、1967年2月から順次それ以前に試験支給されていたXM16E1をM16A1ライフルとして供用していきましたが、今回見たM16A1ライフル用20連マガジン専用マガジン・パウチはそれと同時に制式採用されてはいません。

制式採用され前線の兵士に行き渡るのは早くとも1967年末期頃からであったため、兵士は新パウチを手にするまでは①や②のマガジン・パウチ(ケース)をそのまま継続的に利用するしかありませんでした。ところがM16A1ライフルの20連マガジンの丈は①②のマガジン・パウチ(ケース)の丈よりも短かったため、収納するとすっぽり沈み込んでしまって取り出し難く、兵士たちは止む無くファーストエイド・パケットや靴下などを底に詰めて底上げした上でマガジンを収納したそうです。

その後、濡れると重い(濡れていなくても比較的重い)コットン素材製のM1956装備は、濡れても軽く乾燥も速く耐久性でも優れている等の理由で「ナイロン素材」を用いて全面改修されたとも言える「M1967装備」の1968年からの導入により、今回採り上げましたパウチは製造・支給が開始されたのも束の間、同じM16A1ライフル用20連マガジン専用パウチであるナイロン製の「Case, Ammunition, M16 20-Round Magazine」の製造・支給が始まります。結果として今回のパウチの製造時期はその「束の間」という極めて短いものとなり、製造数は多くありません。さらに1969年に30連マガジンが導入されると新たに30連マガジン用のマガジン・パウチが製造され、20連用は程なく生産が中止されます。
つまり「20連マガジン用パウチは、コットン製・ナイロン製とも製造期間は短く、製造数は多くない」という事が言えます。

次回「US陸軍VN戦争時のマガジン・パウチ【4】」として、M1967装備たる「Case, Ammunition, M16 20-Round Magazine」(ナイロン製M16・20連マガジン用パウチ)をお送りして、「US陸軍VN戦争時のマガジン・パウチ」を一旦終わることとします。

それでは、また…。



  

2014年10月19日

US陸軍VN戦争時のマガジン・パウチ【2】(US Army Ammunition Pouch in VN War【2】)

先週、先々週は台風襲来で秋の行楽どころではありませんでしたが、この土日はとても良いお天気で嬉しいですね。サバゲ日和でもありましょうか。

さて今回も前回に続き、ヴェトナム戦争時にUS陸軍によって使用された弾薬(マガジン)パウチについてです。
1957年にそれまでの旧式なM1910装備システムに代わり採用されたM1956装備システム(M1956 Individual Load-Carrying Equipment)の構成要素の一つです。ベルトの左右両側に一つずつ装着します。

↓前回と同じ、この画像をご覧ください。

左から、
「Pouch, Small Arms, Ammunition, Universal」、
「Case, Small Arms, Ammunition」、
「Case, Small Arms, Ammunition, M16A1 Rifle」です。

前回でもふれましたが、左のモノと真ん中のモノとは、フタの留め具(タブ)にハトメがあるか無いかの外観で区別できますが、ハトメがあるのが『前期型』で、無いのが『後期型』という訳ではありません。外観は極めて酷似していますが、上記の制式名称から分かるように、この2つは全くの別モノです。同じモノの『前期型』と『後期型』ではありません。また更に、左のモノについてはハトメが廃されたタイプのモノもあり、もはや外観は真ん中のモノとほとんど変わらなくなっているモノもあります。

いわゆるM1956装備(ILCE:Individual Load Carrying Equipment)が1957年3月に採用され、同じ年にM14ライフルが制式採用され支給が開始されますが、その20連マガジンのほか、それ以前のM1ライフルの8連クリップやM2カービンの30連マガジンなども収納できるようにと設計されました。

最初に供されたのは左の 「Pouch, Small Arms, Ammunition, Universal」で、1962年に留め具タブのハトメを廃止した真ん中の 「Case, Small Arms, Ammunition」にとって代えられました。

↓裏面です。

裏側の外観は左二つはほぼ同じです(後で触れますが、一つ違うところがあります)。

今回は真ん中のモノ「Case, Small Arms, Ammunition」を見ていきます。

↓表側拡大。


↓裏側拡大。


↓フタの内側のスタンプ。

「CASE, SMALL ARMS, AMMUNITION<改行>
XXXXX,INC<改行>
DSA-100-1XX0<改行>
8465-647-0852

1行目は制式名称。
2行目は製造者名です(判然としません)。
3行目はDSA(Defense Supply Agency=国防兵站局)の契約番号。まだ契約年度下2桁が無いので1960年代前・中半の契約だと思われます。
4行目はFSN(Federal Stock Number=連邦備品番号)です。因みに始めの「8465」はIndividual Equipment(個人装備)を意味します。

↓内部を覗きます。

「Pouch, Small Arms, Ammunition, Universal」では、型崩れ防止・弾薬保護のための金属板がパウチ正面部分に仕込んでありましたが、この「CASE, SMALL ARMS, AMMUNITION」ではこの画像のように金属板ではなくプラ板がパウチ背面と側面に仕込まれ、正面部分の金属板は廃止されました。これによりM14のマガジンは横並びにすると3本入るようになりました。
内張りの薄い緑色の布を縫い付けた際のステッチがあるのが、上でふれた裏側の外観の「一つ違うところ」です)。

↓親指の右下、内張りの薄い布地の下にプラ板があることがお分かりいただけますか?


↓底面の水抜きハトメ穴や手榴弾固定用のループや固定テープは引き継がれています。


↓おもちゃ手榴弾を挿してみました。スプーン・レバーをループに挿し、手榴弾頭部をテープで巻き留めます。


↓裏側から見ました。


↓サスペンダー連結用ストラップのクリップ。



↓サスペンダー連結用ストラップの長さ調整用のバックル金具。




今回もまた駆け足で見てきましたがいかがでしたか?


往々にして「これは〇〇の初期型である」、「これは☓☓の後期モデルである」…などといった表現が良く見受けられますが、その「型」や「モデル」が、軍制式のものではなく単に製造ロットによる差等をその根拠にしている事が多くあります。確かに製造ロットなどによる差に基づいて区別して扱うこと自体は大切な点だと思いますが、あくまでもそういう特徴を有しているだけであり、決して軍制式の「型区分」とは異なる次元の話である点に注意した呼称を心掛けたいものです。


それでは今回はこの辺で。最初の画像の右端のモノについては次回にて…。
では、また…。


  

2014年10月13日

US陸軍VN戦争時のマガジン・パウチ【1】(US Army Ammunition Pouch in VN War【1】)

先週に続いて台風19号がやって来ました。日本列島を縦断するようです。十分備えましょう。
台風襲来が理由ではありませんが、「毎週日曜正午の投稿」を目指している当ブログ、今回一日半遅れの投稿となってしまいました。お許しください。

さて今回は、ヴェトナム戦争時にUS陸軍によって使用された弾薬(マガジン)パウチについて少しお付き合いください。
1956年にそれまでの旧式なM1910装備システムに代わり採用されたM1956装備システム(M1956 Load-Carrying Equipment)のうちの一つです。ベルトの左右両側に一つずつ装着します。

↓まずはこの画像をご覧ください。

左から、
「Pouch, Small Arms, Ammunition, Universal」、
「Case, Small Arms, Ammunition」、
「Case, Small Arms, Ammunition, M16A1 Rifle」です。
いずれのモデルともコットン製で、蓋の金属製の四角の輪っかを、本体から水平方向に固定されている金属製の四角い輪っかに被せ、そこにウェブ製のタブを閂(かんぬき)のように通して蓋を閉じます。左のモノにだけこのタブにハトメが打たれてますが、これはこのタブがクニャクニャになって閂として輪っかに通しにくくならないようにするためです。真ん中と右のモノには同じ目的のために、ハトメの代わりに薄いプラスティックの板がタブの芯材として縫い込まれています。このハトメは後には廃止され、上の画像の真ん中のモノと外観がほとんど変わらなくなります。
また、パウチ(ケース)の両側には手榴弾のレバーを挿して不意に抜け落ちないように固定するためのループとテープが設えてあります。


↓裏面です。

裏側にはベルトに装着するためのスライド・キーパーが2つ。サスペンダーの胸部分に設えてある金属製ループに引っ掛けて荷重バランスをとり且つパウチ(ケース)が弾薬の重みで前傾するのを防ぐのに使う、クリップ付きのストラップが1本あります。
これらを「M16(A1)ライフル用マガジン・パウチ(ポーチ)の最初期型・初期型・中期型である」といった、ちょっと乱暴な説明を目にすることがありますが、厳しい言い方をすれば、正確さに欠けていると言わざるを得ません。右端のモノ以外はM16(A1)ライフル専用のモノではないからです。


以下、左のものから順に見ていきます。
↓「Pouch, Small Arms, Ammunition, Universal」です。

「汎用小火器弾薬パウチ」の名の通り、特定の銃を想定した弾薬パウチではなく、「どんな銃用の弾薬でも入るように」という考えを基に開発されたモノですので、M1ライフル、M1カービン、BAR、M14ライフルやM16ライフルのほか、使用者の持つ銃によって入れられたものはさまざまです。

↓裏面。

ベルトに装着するためのスライド・キーパーが2つあります。

↓蓋の内側に制式名称などのスタンプがあります。

ところどころ掠れて見えなくなっていますが、
「POUCH, SMALL ARMS, AMMUNITION, UNIVERSAL <改行>
FSN 8465-647-0852 <改行>
DA 36-243-QM (CTM) 47**-E-60 <改行>
SEPT 1956」
と読めます。(CTM)以下はロットによって個体差があります。
FSN(Federal Stock Number)とは1953年から1974年まで用いられた11桁のコードです。政府所管の物品一つひとつに付与される管理番号で「連邦備品番号」の意味です。
「DA 36-243-QM (CTM) 47**-E-60」の部分はDepartment of The Army(陸軍省)との契約コードです。ここは供給契約ごとのものなので当然色んなものとなります。

↓内側。底には水抜きのハトメ穴があります。

このパウチが採用され、1957年からM14ライフルが採用・支給開始されますが、それまでのM1ライフル用の8連クリップなら6個、M14ライフル用のマガジンならば人体に平行に2本並べて入る大きさです。

↓このモデルにのみ、正面部に形状保持・弾薬保護用の金属板が入っています。側面・後面には入っていません。画像では内張りの下に板があるのが分かりやすいようにしています。

M14ライフルに代わりM16ライフルが制式採用されますが、この形状保持・弾薬保護金属板がある為パウチの前後が長くなるように変形させる事ができず、M16用の20連マガジンはギチギチに3個入れるのがやっとです(人体に平行にならば2個しか無理)。

↓側面・後面には形状保持・弾薬保護金属板はありませんので、このようにグニャっとできます。


↓底面の水抜きハトメ穴と側面の手榴弾のレバー挿しと固定テープ。

M1956装備の当初のマニュアルでは、右側に装着したパウチの、バックルに近い側のこの部分にM1956ファーストエイド・パケット・ケースを装着するように規定されていました。

↓サスペンダー胸部の金属リンクへ連結するクリップ。


クリップの造りはこのほかにも数種類ありました。このタイプのモノにはこの形のクリップしか付いていないという訳ではありません。


今回はここまで。真ん中と右のパウチ(ケース)については次回で続けます。
それでは、また…。


  

Posted by Sgt. Saunders at 22:24Comments(0)米軍(U.S.)Fire arms-Related

2014年10月05日

.45口径ACPダミー・カートリッジ(M1921 Caliber .45 Dummy Cartridge)

こんにちは。
非常に強い台風18号が当地にも近づいて来ました。防げる災害は何としても防ぎましょう。皆さんは準備万端でしょうか?

さて今回は前回に続き、約70年の長きに亘り米陸軍の制式拳銃であったM1911(A1)45口径自動拳銃(通称ガバメント)の『伴侶つながり』で、ガバメントを始め45口径ACP(Automatic Colt Pistol)弾を用いる銃器の作動チェック等に用いられた、軍制式のダミー・カートリッジ「M1921 Caliber .45 Dummy Cartridges」です。
ご存じの通り45口径ACP弾 はガバメントの他にもトンプソン・サブマシンガンやグリースガン(M3サブマシンガン)、M1917コルト・リボルバーや同じくM1917S&Wリボルバー、海兵隊のレイジング・サブマシンガンでも使われていますので、このダミーも同様にそれらの銃の作動チェックに利用されました。

↓左に置いてあるのが「M1921 Caliber .45 Dummy Cartridges」です。「Gun Pro.」や「Gun mag.」のような写真には程遠いものです・・・。

因みに銃は東京マルイのガスガンで、マガジンは大昔に入手して以来一度も発火の用に供していないMGCのGM-2用のマガジンです。

↓ボール紙製の箱に50発入っています。制式名称は「50 CARTRIDGES, DUMMY, CALIBER .45, M1921」。

Evansville Ordnance Plant製。ロット番号は「-S-25312」。同じモノでロットが「-S-25315」のモノを持ってましたが、オークションで落札してもらいました。今はこの一箱しか持ってません。

↓箱の作りはシンプルです。


↓ベリベリとフタの糊付けを剥がすと中身が見えます。この個体は実は既に開封済みで、普段はフタ部分のベロを箱の内側に入れてますので糊付けされていた部分にはカートリッジの胴体に触れることによる縦の黒ずみがあります。


↓フタ全開。この光景には、いつもなんとなくワクワクさせられます。

縦5列×横10列に並んでいて、横は3-4-3列に仕切られています。

↓これにもワクワクします。


↓取り出しました。ダミーであることが分かりやすいように薬莢本体には穴が穿(うが)ってあります。

弾頭はフルメタル・ジャケット仕様で、薬莢は錫メッキの真鍮製です。画像左側に見える底面のプライマー・ポケット部分は空っぽです。
刻印「EC 4」は、箱の表書きのロット表示と同じ「EVANSVILLE ORDNANCE PLANT」製の意と、1944年製であることを示しています。
このEVANSVILLE ORDNANCE PLANTはインディアナ州エバンスビルにあった、彼の自動車メーカー・クライスラーのプラントです。
1942年から1944年までの間に製造された45口径ACP弾のうち、およそ96%(32億6千万発以上)がここで製造されたそうです(Wikipediaより)。

日本では一般人には拳銃の所持は認められていません。また、実弾もしかりです。せめてアクセサリーだけは実物を…という欲求を満たせるのは、このようなダミー・カートだけです。しかしながら、近時ダミーですら入手は極めて困難になって来ました。
トイガンメーカーなどからは真鍮削り出しのダミーや、新品薬莢に新品弾丸を組み合わせてのダミーが販売されていますが、やはり「当時のモノ」には代えがたい魅力があります。

それでは今回はこのへんで。では、また…。





  

Posted by Sgt. Saunders at 12:06Comments(0)米軍(U.S.)Fire arms-Related