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2021年02月07日

U.S.アムニッション・キャリング・バッグ(後期型)(Bag,Carrying, Ammunition(TypeII))

みなさんこんにちは。
当地大阪某郊外都市は毎日最低最高気温の変化が激しいです。昨日は風も少なく最高気温が15℃を超え「春」を感じました。また、そろそろ花粉の飛散時期ですので、その対策も必要になって来ました。
新型コロナウィルスの感染者数の増加を踏まえての緊急事態宣言下、ややその増加率が若干低下したかのような様相を見せたりそうでなかったり、ワクチン接種がようやく現実的なものとなってくるなど情勢は日々変化しています。

そんな中で東北新社の幹部が総務省幹部を接待した席に同社に勤める菅首相の長男も同席していたとか、非常事態宣言下での与党国会議員の深夜の飲食店訪問問題で当初「一人で訪れた」との説明が実はウソで、「一人ではなく後輩議員も連れて3人で行ってた」のがバレた問題、新型コロナウィルスの感染防止策として政府の後押しで導入された接触確認アプリCOCOAの3割が4カ月間も機能してなかった問題、東京オリ・パラ大会組織委員会の森喜朗会長が女性に関して不当な発言を行って、それに対する批判を受けての記者会見では逆ギレしたりと、「お前ら何やってんねん!」と言いたくなることが続発しています。

さて、今回は前回の続きで「U.S.アムニッション・キャリング・バッグ(後期型)(Bag, Carrying, Ammunition(Type II))」をお送りします。隔週日曜日正午の投稿定刻通りにお届け出来ました。

↓前回も出ました画像。右が前回記事で詳解しました「初期型」、左が今回お送りする「後期型」です。


↓初期型・後期型の区別は、このキャリング・ストラップの各末端に設えられている金具の違いに由るものです、という事は前回でも申しました。右の初期型では両方ともスナップ・フックが付いているのに対し、左の後期型ではバッグ正面から見て左側のキャリング・ストラップにDリング、右のキャリング・ストラップにスナップ・フックが付いています。これもまた前回でも申しましたが、「『カーキ』が初期型、『OD』が後期型」という「色調(シェード)」のみを以て区別した訳ではありません。もっとも時系列的には『カーキ』の方が先なのですが。


↓後期型を正面から。


↓この図面も前回記事で掲げました。図面上でこのように仕様変更がなされる前後で区別しての「後期型」です。後期型の本図では本体左側の金具は青囲みの通りDリング、右側の金具は赤囲みの通りスナップ・フックです。初期型では金具は両側ともDリングです。残念ながら「初期型」の図面はまだ入手出来ていません。


↓キャリング・ストラップ同士を結合させて持ち手に出来るという点は初期型と同じです。


↓肩掛けにするために「ジェネラル・パーパス・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333-50)」を繋ぎます。先輩モデルである「M-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333)」は両端がDリングなので、バッグ本体の左側のキャリング・ストラップのDリングとは、Dリング同士になってしまうため繋ぐことが出来ません。


↓因みにこれが両端がDリングの「M-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333)」です(補給部(需品部)Quartermaster Supply Catalog 1943年8月版 Sec.1より引用)。キャプションにあるようにM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグやアムニッション・バッグ(赤下線)、ディスパッチ・キャンバス・ケース(いわゆるマップ・ケース)を担うのに使用されました。赤下線で言う所のアムニッション・バッグは必然的に「初期型」のバッグを指していることになります。後期型のバッグを担うにはバッグの左側キャリング・ストラップのDリングと繋ぐことのできるスナップ・フックが付いた上画像の「ジェネラル・パーパス・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333-50)」が必要です。


↓上のQuartermaster Catalog 1943年8月版 Sec.1に掲載されていたM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333)は、後のQuartermaster Suply Catalog 1946年5月版 QM3-1 でこのように掲載されています。扱いがExpendable(消耗品)になり、「限定採用―費消限り支給」となります。キャプション下線部にもありますように、「このストラップは次のページで掲載のジェネラル・パーパス・キャリング・ストラップに替えられました。」


↓はい、次のページです。「ジェネラル・パーパス・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333-50)」です。先輩モデルと同様にM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ、アムニッション・キャリング・バッグ、M-1938ディスパッチ・キャンバス・ケースを担うのに使用されました。こちらのキャプションでも赤下線部で先輩モデルたるM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップに替わるモノですと記されています。両端にスナップ・フックがありますので相手がDリングの場合は勿論、相手がスナップ・フックでも繋げます。


↓背面には特に何もありません。


↓側面も…


↓底面も、初期型と何ら変わるところはありません。


↓USのプロパティ表示。あとで見ますが、この個体は1951年製ですので省略記号の「.」無しの「US」表示が通常となった時期に突入した後のモノです。WW2中でもこの省略記号「.」無しの「US」表示は一部で見られましたが、殆どは「U.S.」でした。


↓上蓋を開けて内側を見ます。制式名称「Bag, Carrier, Ammunition」とストック・ナンバー「74-B-54-30」、製造者「TACOMA TENT & AWNING」、1951年製造、NYQMPA(New York Quartermaster Procurement Agency:ニューヨーク補給部(需品部)調達庁)」の表示。この個体はWW2後の1951年、すでに朝鮮戦争勃発後の製造ですが、「後期型」はWW2中の1944年には製造され始めています。私はまだWW2中製造分の「後期型」は入手出来ていません。また名称についてですが「carrying」ではなくて「carrier」となっている点に注意です。WW2後1945年前後から製造年と製造者名に加えてその装備品のストック・ナンバーやその名称も併せてスタンプ表記されるようになり始めるのですが、このような微妙な名称の表記違いや語の省略、簡素な言い換えはしばしば見られることです。


↓内部構造も初期型と全く同じです。右半分がポケット構造なのも同じです。


↓わざわざ区画を設けているのには、やはりそれなりの用途があるのでしょうが、私はまだ未解明です。


↓「初期型」の記事の時と同じように裏表をひっくり返しました。しっかりしたポケットです。


↓上蓋を留めるのに使うバックルは打ち抜き真鍮製。錨の刻印はNorth & Judd Mfg. Co.製であることを示します。


↓スナップ・フックも真鍮製。丸に錨のマーキング、これも上と同じNorth & Judd Mfg. Co.製でしょうか?丸が付いてるのでまた別の会社でしょうか?すみません。まだ未解明です。


↓はい、またまた出ました川越のりと先生による「コンバット・マガジン巻末イラスト・ポスター」シリーズの「ARMOURED INFANTRY」です。WW2ヨーロッパ戦線・1944年冬からのバルジの戦いで行軍中の小休止でしょうか。肩に掛けていたアムニッション・キャリング・バッグを傍らへ降ろして休息をとる兵士の図です。


↓ここに詳解されています。キャプションが「Ammunition Bag Cal..30(30口径弾薬バッグ)」となっていますが、表側・裏側の図と、スナップ・フック、肩掛けにするためのジェネラル・パーパス・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333-50)が描かれています。


↓だがしかし、この兵士のイラストには「あれ?」と思う点がありました。緑丸の部分、肩掛け用のストラップの金具がDリングであります。これは青囲みの、両端の金具がスナップ・フックであるジェネラル・パーパス・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333-50)とは異なる、その先輩モデルであるM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333)でありまして、となると、彼が傍らへ置いているアムニッション・キャリング・バッグは、どちら側の金具もスナップ・フックであるところの「初期型」バッグであらねばなりません。つまり、右下の赤囲いのモノは「後期型」でありながら、イラストの彼が使っているモノは「初期型」であるという点に「」あれ?」と思った次第です。イラストに接してからウン十年経って今気付きました。



2回に亘って「アムニッション・キャリング・バッグ」初期型・後期型についてお送りしました。

このアイテムも私の蒐集遍歴の中では比較的入手の遅かった部類に入ります。現在ではあんまり出物が無いようです。さっきebayやミリタリーショップのサイトを覗きましたが、レプリカは結構出ていましたが当時モノは少なかったです。大体US$40前後で入手出来そうです。前回も申しましたが、国内でも出物は少ない印象です。価格で言えば5,000円ほどあればソコソコ程度のいいモノが入手可能かなと思いますので、出物があれば即入手しておいた方が良いモノの一つだと思います。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。ありがとうございました。



  

Posted by Sgt. Saunders at 12:00Comments(0)Fire arms-RelatedBags, Packs

2021年01月24日

U.S.アムニッション・キャリング・バッグ(初期型)(Bag,Carrying, Ammunition(Type I))

みなさんこんにちは。
バイデン新大統領の就任式典が無事終わりました。トランプさんはバイデン新大統領にまみえてエールを送ることなく、やや控え目に最後っ屁を放ってフロリダへ去っていきました。
新型コロナウィルスの猛威の中、世界はどうなっていくのでしょうか。我が国日本はどうなっていくのでしょうか。我々はどうしていくのでしょうか。

さて、雨の当地大阪郊外某市の寓居から定刻を40分過ぎての新年2回目の投稿でお送りする今回はWW2US陸軍歩兵の一般装備品である「アムニッション・キャリング・バッグ(Bag, Carrying, Ammunition)」についてのココロです。

↓タイトルにあります通り、「アムニッション・キャリング・バッグ(初期型)」です。過去記事で「やたらと『初期型』『後期型』だのという語を使って、いたずらに必要の無い分類をするべきではない・・・」云々と申しました事がありましたが、今回のネタでは初期・後期の語を使います。なぜ使うことになるかは一番最後にご説明致します。


↓キャリング・ストラップの末端部分です。このようにスナップ・フックが付いています。このスナップ・フック同士を結合させて短めの持ち手とすることも出来ますし、M-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ(通称ミュゼット・バッグ)用のM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333)を連結してバッグを肩掛けにすることも出来ますし、スナップ・フックをピストル・ベルト等のハトメ穴(アイレット)に掛けてぶら下げることも出来ます。


↓いま上で見ましたキャリング・ストラップはバッグ両側面にチョンチョンと縫い付けられて終わり…ではなく、このように両側面から底面までグルッと1本の帯としてバッグ全体を取り巻くような形で縫い合わされています。
本バッグはその名の通り重量のあるアムニッション(ammunition:弾薬)を運ぶためのモノですので、キャリング・ストラップの末端が単純にバッグ本体に縫い付けられるだけでは荷重負荷がその部分に集中することにより縫い目が破損し易く、また、バッグ本体の生地に重量が掛かることによる生地の縫い目の裂け、若しくは生地自体の破れの恐れがあるため、それを防ぐべくこのように底面にまでキャリング・ストラップが廻る構造になっています。水抜用のハトメ穴が1つあります。


↓背面です。今まで見て来ましたが、バッグ本体はODシェード#3でストラップや縁取りテープがODシェード#7の、いわゆるトランジション(transition:変遷期)・モデルです。布製装備品全般に亘る1943年半ばからのODシェード変更によって異なるシェードの部材同士が組み合わさった結果ですので、多くの装備品で広く見られ、特に珍しくもありません。もちろん全ての部材がODシェード#3である個体もあります。


↓指で指している部分、本来は下方に見えているDリングが同じように在ってしかるべきなのですが、本個体ではタブからリングだけ綺麗に取り去られています。このDリングの使い道ですが、一例としては、パラトルーパーが先ほど触れましたようにキャリング・ストラップを用いて本バッグを肩掛けにして、バッグを太腿側面位置に来るようにし、Dリングに布テープを通して太腿に結わえ付ける、というのが挙げられます。


↓はい、またまた出ました川越のりと先生による「コンバット・マガジン巻末イラスト・ポスター」シリーズの「RHINE CROSSING」で太腿への固定の具合がバッチリお解り頂けます。


↓これです。このポスターでも左の赤囲いの通り本バッグが詳解されています。但しキャプションに「Ammunition Bag, Cal..30」と表示されています。また、冒頭で申しましたように「初期」「後期」の話に関わってくる箇所があるのですが、また後で。


↓軍の図面です。赤丸で示しましたように側面には上・下にDリングが設えられています。本個体では左右両方とも上部だけリングが取り去られています。

この図を含め、補給品部・需品部(Quartermaster Corps)の当時の図面(drawings)の画像データを入手出来ました。今後ちょくちょく引用すると思います。

↓再び正面です。上蓋は「目」の字型バックルとウェブ・テープによって留められます。上蓋の縁取りがODシェード#7です。


↓「U.S.」のプロパティ表示。アポストロフィありの表示です。


↓蓋の裏側です。製造者と製造年のスタンプはこの場所にするよう定められています。


↓本個体は製造者が「HARIAN」社、製造年は1944年製です。


↓内部です。私、まだこのバッグの使用法をマスター出来てません。理由はこの構造です。入手するまではただの袋(バッグ)だと思ってましたが、ご覧の通り右側の方に「ポケット」が設えられています。先ほど見た軍の製図でも、上の方で単に「POCKET」と表記されているだけです。


↓本体の生地よりも薄目の6.5オンス・コットン・ドリルで出来ています。


↓表裏をひっくり返しました。バッグ内部の「仕切り」ではなく、底も有する完全に独立した区画になっています。水抜きハトメ穴も設えられています。袋の中の袋という体です。バッグ容積の約半分はあろうかという大きさです。


↓上から見ました。


↓元へ戻しました。ポケットを側へ寄せますと弾薬箱がすっぽり入ります。弾薬箱ごと入ることからも分かりますが、バッグの厚みは5インチ±0.25インチで、30-06弾が楽々収まります。ポケットはどのように利用するのでしょうか?30-06弾に限らず手榴弾やら何やらかんやら運ばれるのに使われたのでしょうが、「正式」な利用法はどんな風だったんでしょう。


↓上蓋のバックルに目を遣ります。鋳造真鍮製、打ち抜きプレス真鍮製、打ち抜きプレス鋼製、鋳造亜鉛合金製などありますが、本個体は打ち抜きプレス鋼製です。錨のマーキングはNorth & Judd Mfg. Co.製の印です。


↓キャリング・ストラップのスナップ・フックは真鍮製で無銘です。


↓冒頭での『初期型』『後期型』のお話にかかる画像です。右は今まで見て来た個体、左は全体がODシェード#7のモノです。シェードの違いで『初期型』と『後期型』を区別するのではありません。まあ、勿論シェードに関しても大雑把に言えば「初期の『カーキ』、後期のいわゆる『OD』」という言い方もできますが、シェードの違いではなく、構造上(スペック上)の明確な差異(変更の前後)で区別しました。


↓その構造上の差異がコレです。キャリング・ストラップの末端の金具が、右の初期型はどちら側もスナップ・フックが付いてますが、左の後期型は向かって右側はスナップ・フック、左側はDリングが付いています。


↓再び図面を見ます。左の青囲みにはDリングが、右の赤囲みにはスナップ・フックが描かれています。実は今まで見て来ましたこの製図は後期型のモノで、右下の日付を見ますと1949年11月22日となっております。開発当初(1941年)の製図は未入手ですが、当初はキャリング・ストラップの両端ともスナップ・フックが付けられ、その後1944年にこの製図と同じように仕様変更がなされました。この仕様変更は、両端がDリングの付いていたM-1936 od フィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333)がジェネラル・パーパス・キャリング・ストラップ(Stock No.74-S-333-50)に置き換えられるのと同様、この頃に行われた装備品のマイナー・チェンジの一環です。

川越のりと先生のポスターの中の本バッグのイラストは後期型になっています。画像が小さくて申し訳ないのですが、別画面で画像として開いて拡大して見てください。


以上です。いかがでしたでしょうか。
このバッグも「カーキ」か「OD」かで、若干の価格の高低はありますが、国内では5,000円もあれば程度の良いモノが入手出来そうです。ネットをちょっと覗いてみましたが、出物はあんまり無いようなものの、価格はまだ比較的落ち着いている印象です。私はebayで数年前にUS$35前後で落札出来た記憶があります。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。次回は後期型について見て行きたいと思っています。





  

Posted by Sgt. Saunders at 12:42Comments(0)Fire arms-RelatedBags, Packs

2019年04月28日

US パラシューティスツ・ライフル・ホルスター(2ndモデル)(US Griswold Bag)

みなさんこんにちは。
官製ゴールデンウィーク10連休に突入しました。暦通り10日間本当に休める人の割合は3割?だとの調査結果があるようで、私も完全にこの10日間ボケーっとしていられるかといえばそうでなく、呼び出される可能性を孕んだ状態での「休日」をどのようにして過ごせばいいのか、悩みどころです。2、3日前に最高気温が27℃にまで行ったかと思ったら昨日は17℃と、寒暖が激しく上下する当地大阪から、またしても定刻から1週間と2時間弱遅れてお送りいたします。

パラトルーパーが自身で使う銃器を剥き出しのまま携帯・降下すると思わぬ怪我の元になるとして、安全に携えられるようにと開発されたのがこの「パラシューティスツ・ライフル・ホルスター(Parachutist's Rife Assenbly Holster)です。海外では一般に「Griswold Bag」と呼ばれています。Griswoldとはこのホルスターの開発者名だとのこと。

↓実はこのブツ、タイトルにもありますようにいわゆる「セカンド・モデル」です。では「ファースト・モデル」はどんなんやねん?というお声に対しては後の方で触れます。
M1ライフル(ガーランド)を2つの大分割状態にして収納します。画像では間違ってトリガー・グループまでの3分割をしてしまいました。因みにこのM1ライフルは大昔ハドソン産業から販売されたダミーカートモデルのモデルガンです。


↓厚手のコットン・ダック地で出来ており、ダウンジャケットのように詰め物をしてクッション性が高められています。あとで出て来ますが「hair felt」を詰めてあるのだそうです。何の「hair」か、まだ知りません。色味はOD#3、いわゆるカーキです。のちにはOD#7へと移って行くのは他のWWII米軍装備品の例と同じです。左端に見えるスナップ・ボタンの付いているタブのみOD#7です。

フラップの下、左上からなだらかに右下へ伸びる斜めのステッチは、内部で上下に区画を隔てる中フラップの縫い付けステッチです。

↓裏返しました。こちらにはT-5パラシュート・ハーネスに連結するためのスナップ(カラビナ)が設えられています。入手時にパラシュート・ハーネスVリングも付いて来ました。また、左上に数字列のスタンプがあります。


↓「8300-442650」とありますが、これはUS Army Air Forces所管のClass 13カタログにおけるストックナンバーです。「8300」はこのカタログ掲載の物品全般のコード番号、後ろの「442650」はシリアル番号です。先ほど上で触れました「ファースト・モデル」の場合はストックナンバーは「8300-442600」です。この部分に、例えば「43G23402」等との番号のスタンプがある場合は、それはストックナンバー表示ではなく、ストックナンバーとは別に定められた「パーツナンバー」によってそれが何であるかを示してあるものです。パーツナンバーとはテクニカル・オーダー(Technical Order)ナンバーOO-35A-6で定められた番号で、シリアル番号と完全に紐付けされています。パーツナンバーとストックナンバーのどちらが表示されるのかについては、メーカーによる違いなのか時期的なものなのか、よく分かりません。おそらく時期的なもの(パーツナンバーをやめてストックナンバーを記すことにしてねーというお達しが出た)だと思います。

とあるミリタリーショップのHPで(何処とは敢えて申しませんが結構有名なショップです)、ストックナンバーの後ろ部分のシリアル番号「442650」の「44」が「1944年製であることを示す」と、誤った説明をしています。

↓スナップの拡大です。パラシュート・ハーネスと同じ素材のテープで頑丈に縫い付けられています。


↓何やらスタンプが施されていますが、今一つ判然としません。


↓スナップの弩アップ。白っぽく表面処理がなされていてパッと見はホワイトメタル?な感じですが、2500ポンド(約1134kg)の荷重に耐えられる強度を持ってます。


↓バネはまだしっかり弾力を保っています。


↓パラシュート・ハーネスにすぐに連結できるよう、クリップが常に上向きになるように本体に糸で結わえ付けられています。


↓私の悪い?癖。超弩アップで見ていきます。〇にJの刻印。何の意味か分かりません…。


↓「US」?の凸モールド。判然としません。


↓今見た各部品についてもClass 13カタログに独立して掲載されています。



↓表側に帰ります。蓋フラップの端のバタつきを防ぐスナップ・ボタン・タブがあります。開けていきましょう。


↓外しました。


↓フラップのオス・スナップ裏側。やや浅めですが「SCOVILL MFG. CO.」と、製造者スコーヴィル社を示す刻印があります。


↓フラップの下、ジッパー・ファスナーを右へ開けます。取っ手の紐テープがOD#7ですね。


↓ジッパー・ファスナーは、これまた有名な「TALON」社の製造によるモノ。真鍮製でしょうか、少なくともアルミ合金製には見えません。アルミ合金製のジッパー・ファスナーを使用しているモノもありました。


↓フラップを開きました。横長の大きい封筒の糊付け部分がジッパー・ファスナーになっている、という感じです。左端に小さい封紙(スナップ・ボタン・タブ)を貼ってる、みたいな。


↓ここからは「こうなってたんだろうかなー」との推測に基づく収納状況です。向き・位置は軍制式のマニュアルとは異なるかもしれません。ストックが見えました。


↓内部を上下に隔てる中フラップの上側の区画にストック、下側には…


↓上の画像でちょっと見えちゃってしまいましたが…


↓機関部および銃身廻りを中フラップで包むようにして収められています。


↓何度も申しますが、上下の向きが正しくないかもしれません。そこはお許しください…。


↓中フラップはこのように表側の裏に取り付けられています。表から見たステッチが斜めになっているのは、ストックの形状、機関部および銃身廻りの形状に合わせるためのモノだったと分かります。ストックも機関部および銃身廻りも、大きい目で見ると鋭角三角形ですよね。


↓再び冒頭の画像。余談ですが、こうして見て来ますと写真というのは光線の具合で色調がこれ程も変わるのかという事をあらためて実感します。「カーキ」「OD」という表現は本当に難しいですね。同じモノがOD#3に見えたりOD#9に見えたり、はたまたOD#7か?とも見えたりです。

M1ライフル(ガーランド)はまたの機会に採り上げると思います。

↓途中で出て来ましたClass 13カタログ(Illustrated Catalog - Clothing, Parachutes, Equipment and Supplies)の1943年9月30日版です(リプリントですが...)。パラシュートやQuartermaster Corps(需品部)による供給ではない衣類(フライング・スーツ、シューズ、ゴーグル、酸素マスク、グローブやライフ・ベスト、緊急生存維持キットなど)、その他の個人装備品が掲載されています。なお今回採り上げました「セカンド・モデル」は、このカタログには掲載されていません。1943年9月末の時点ではまだカタログ上に「セカンド・モデル」は出現していませんでした。


↓これがこのカタログに掲載されている「ファースト・モデル」のイラストです。フラップはジッパー・ファスナーではなく、スナップ・ボタンやトグル等を用いた、ちょっと手の込んだ方法で留められます。「2重フラップ」構造です。キャプションの「素材(material)」に曰く、「hair feltで詰め物をされたオリーブ・ドラブのコットン・ダック」。何のhair なのかと上の方で書き記しましたが、何かの毛ではなくて、毛のようなフェルト、つまり素毛フェルトということです。また「注記(NOTE)」にありますように、制式名称がそれより前の「Container - Individual Aerial Delivery Rifle」、ストックナンバー8300-128915から変更されたという事が分かります。新しいパーツ番号は「42G15004」、ストックナンバーは「8300-442600」となっています。冒頭部分で本「セカンド・モデル」の裏面のスタンプが「8300-442650」となっているのを見ましたが、この「ファースト・モデル」のストックナンバーの末尾2ケタは「00」ですが「セカンド・モデル」では「50」になったんだなと理解できます。


↓実物の画像をUS Militaria Forumのmed-deptさんの投稿から引用します 
裏側。


↓表側。ちょっと分かり難いですが、イラストではハーネスがこちら側にあるようになってますが、逆ですね。それともマイナーチェンジしたのでしょうか。


↓フラップの留め具合です。まず下蓋とも言うべき本体上端に設えられたコットン製のトグルループを中蓋のハトメ穴に下から通し(6箇所)、上へ僅かに飛び出したループにワイヤー製の索条をカンヌキのように通して中蓋が開かないようにして、更にその上から上蓋を5つのスナップ・ボタンで留め、索条が不意に抜けることの無いように索条末端のリング(画像の一番手前に見えてます)を本体に付けられたスナップ・ボタン・タブで固定する、というモノ。リング固定タブを外して索条をスーッと抜けばフラップは開くことが出来ます。まあ、こんなに複雑にしなくても、「ジッパー・ファスナーで留めるようにすればイイじゃん。」と、セカンド・モデルの開発へと進んだんだろうと思います。

因みに色々調べて見ましたら、上述のようにセカンド・モデルは1943年の9月のカタログには載っておらず、ノルマンディ作戦時の降下時には、ファースト・モデルのみが用いられ、セカンド・モデルはその後になって使われ始めたとする研究者もあります。

また、ファースト・モデル、セカンド・モデルとを問わず、「銃を分解して収納し、降下が完了してから銃を組み立てて…なんて悠長な事してられるか!」と、銃を分解しないまま収納すれば寸足らずとなる分だけ適当な布地を使って実質的にホルスターの全長を延ばす改修がなされたケースが数多くあります。いわゆる「リガー・メイド」で、本体端っこに「盲腸」のように取って付けた感丸出しの小袋がくっ付けられています。


パラトルーパー装備も最低限揃えて101stや82ndを再現してみようかとした時期がありましたが、頓挫して久しいです。何より原資が足りません。
今回採り上げましたモノ、もうカレコレ10年以上前にeBay(今はebayなんですね。気付きませんでした。)で確かUS$350位で落としたように記憶しています。今もあまり変わっていないようです。OD#7版だと若干安くなるのも変わっていません。
最近は良く出来たレプリカがファースト・モデル、セカンド・モデルとも大体US$100前後位で手に入ります。リエナクトでは、これはあんまり出番が無いように思いますが、やはりなりきるための重要なグッズとして需要があるんでしょうか。これを使ってリエナクトするとすれば、パラシュート一式も必要になるかと。そのパラシュートですらレプリカがちゃんとありまして、極めるとなると奥が深いです。

それでは今回はこの辺で失礼いたします。またお会いしましょう。良いHolidayをお過ごし下さい。




  

Posted by Sgt. Saunders at 13:38Comments(0)Bags, PacksHolsters

2016年06月26日

M-1938 ディスパッチ・ケース(M-1938 Canvas Dispatch Case)

みなさんお早うございますorこんにちは。お久しぶりです。

梅雨どきなので雨が降り、降り続けるのは当然なのですが、降り方が酷いですね。梅雨は「シトシト」と降るものだと思うのですが、近年は「ドバーッ」「ザバーッ」「ゴォーッ」ですからね。土砂災害・浸水被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。

参議院議員選挙に向け各党が威勢を上げているようですが、国民はどう受け止めているのでしょうか?
与党(公明を除く自民党)は、改憲はひとまず隠しておいて「増税先送り餌」と安部政権政治の中での「良いデータ」だけを総動員して国民を釣り、多数議席を得た後に一気に改憲に持ち込もうと目論んでいるのがまる分かりですね。
野党は「与党による憲法改悪を是が非でも阻止しなければエライことになる!」という目的で緊急的に一致団結して与党に対抗するのは良いとしても、「改憲なんて今のワシ等にはどうでもエエ。それより目先のゼニや!シノギや!」というレベルの人には「憲法改悪阻止のためだけに緊急的に団結しているのだ」という趣旨が全く理解され得ないことが良く分かっていませんね。
すみません。いつもの癖で長々と。

さて今回取り上げますのは、米陸軍がWWIIから使用していた、「マップ・ケース」としての呼び名の方が日本ではメジャーかと思われる「M-1938 ディスパッチ・ケース(Case, Canvas, Dispatch, M-1938)」です。

「ディスパッチ(dispatch)」とは急派、急送、伝令等の意を表すもので、本来は伝令兵が各種の書類を運ぶために用いることを想定して作製されたモノだったのでしょうが、伝令に限らず広く書類や地図等を収納・保持するために用いられました。衛生兵がケースのフラップに丸白地の赤十字を描いて衛生資材入れとして使った例もあります。TV映画「コンバット!(COMBAT!)」の中でもドック(のちにはカーター)が肩から下げていましたよね。

↓縦25cm横22cm厚さ最大8cm程です。JIS規格A4用紙を入れることはできますがフラップが閉りません。上4cm程がはみ出ます。軍発行の3つ穴マニュアルが丁度入る大きさです。

コットン・ダック(ズック)製。フラップはLift-the-dot留め。スリングを連結して肩から下げて携行します。フラップの表下部に「U.S.」スタンプ。因みに海軍版(U.S.N.)・海兵隊版(U.S.M.C.)の場合はフラップの表面にはスタンプは無く、フラップの裏面に「U.S.N.」「U.S.M.C.」のスタンプが施されています。

↓フラップを開けました。フラップの肩口からの雨水・砂塵の侵入を防ぐため、「耳」が両側に付いています。小物入れポケットの上にペンホルダーを挟んで両側に定規等入れが設えられています。ポケットの両下端にLift-the-dotの牡ポストが設けられています。



↓フラップの裏側には特に何もありません。先ほど触れましたように、海軍版(U.S.N.)・海兵隊版(U.S.M.C.)の場合はフラップ裏面に「U.S.N.」「U.S.M.C.」のスタンプが施されています。 フラップ留め具のLift-the-dotの牝部品がある部分は補強のためにダック(ズック)生地が2枚合わせになってます。


↓ペンホルダー部を接写。これを入手した時画像の鉛筆が付いて来ました。ペンホルダーの下(内側)のポケットは両下端部が斜めに切り欠かれています。砂塵なんかをここから出せるようになってます。


↓この部分がポケットです。マチはとられていませんが少々厚みのあるものでも入ります。


↓本体部分はダック生地によって3つの部分に分けられています。


↓背面です。上端部のDリンクにスリングを連結して肩から下げて使用する作りです。ドイツ軍のマップケースのようなベルトループはありません。


↓製造者「DES MOINES GLOVE AND MFG. CO」と製造年「1942」のスタンプ。Dリンクにスリングのフックを連結します。海軍(USN)や海兵隊(USMC)用のモノの場合、本体とスリングの連結具の組み合わせが逆になっています。つまり、本体側にフックが付き、スリング側にDリンクが付いています。何故なんでしょうか?分かりません。スリングが無くてもフックをピストルベルト等のアイレット(ハトメ穴)に通してぶら下げることが出来る点で、海軍版・海兵隊版の方がイイと思います。


↓スリングにはショルダーパッドが仕込んであります。スライドさせて位置を調整することが可能です。本体にフルに書類を入れたら結構重くなりますから肩への荷重を少しでも広い範囲に分散させるためのパッドです。紙って結構重いですからね。


↓地図を挟んで保護するインサート。縁が金属で補強され、赤いグリッドが刷られている透明のプラスティック板2枚が、側面で薄いコットンダック生地で繋がれて天地が開いた封筒状になっています。片方のプラ板の短辺部から全体をグルッと覆える長さのコットンダック生地が延びています。プラ板の保護と反射防止のためのモノです。


↓縁はOD色で塗装されたアルミ製。赤いグリッドは2.54mm(1インチ)幅です。この個体、まだ中にプラ板保護の薄いパラフィン紙(硫酸紙かも)が入ったまんまの未使用品です。



↓2枚のプラ板は約15mmのマチ幅があります。



↓こんな風に薄いコットンダック布の一端がプラ板の一端と共に留められて、手前のプラ板と向こうのプラ板をぐるーっとくるんでしまえる長さになってます。


↓ぺちゃんこにするとこの薄さです。


↓こんな風に入れていたのでしょう。(背景の汚さにはどうぞ眼をお瞑り下さい・・・。)


↓背面にはご覧の通り、型崩れ防止のための薄板が入っています。


↓角の部分が擦れてダック生地に穴があいてます。


↓おまけ。この消しゴム付き鉛筆がケースと共に付いて来たのですが、この鉛筆は当時モノでしょうか?当時モノならばとても嬉しいのですが。


いかがでしたでしょうか?
本個体はODシェード#3、いわゆるカーキ色ですが、他の装備品の例と違わず、シェード#7のいわゆるOD色のモノも存在します。
現在オークション等では、「本体+スリング」だと70~80ドルも出せばそこそこのモノが入手できます。中のプラ板インサートは、やや入手難度は高くなります。プラス30ドルは下らないと思います。最近ではかなり質の良いレプリカも出ていますので、サバゲやリエンナクトではそちらを利用しましょうか。
私がこのディスパッチケースを入手したいと思ったきっかけは、大昔コンバットマガジンの巻末にあった、故川越のりとさんが描く兵士イラストにこのディスパッチケースを装備したWWII米陸軍将校のイラストがあって、「いいなぁ、コレ」と思った事でした。でも当時私はまだ高校生で、おいそれと入手出来るほどの財力はありませんでした。実際この個体を入手したのはずっと後のいまからまだホンの10年くらい前だったと思います。eBayで落札しました。

また、この後継モデルである「CASE, MAP AND PHOTOGRAPH(,OD-7)」は、基本的なフォルムはそのままで、縦横のサイズが若干大きくされ(縦33cm横28cm(縦13インチ横11インチ))ペンホルダー下のポケットを無くしてホルダーも少し変わり、フラップ留め具にはスナップボタンが採られました。本体背面の型崩れ防止板は廃されました。FSNは8460-368-4281です。

それでは、またお会いしましょう。さようなら~。



  

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2015年09月06日

M-1961 コンバット・フィールドパック(US M-1961 Combat Field Pack)

こんにちは。
当地大阪は時折強く雨の降るお天気で、残念ながら初秋の行楽日和とは参りません。

今回は前回のM-1956コンバット・フィールドパックに続いて、その後継モデルたる「M-1961コンバット・フィールドパック」を採り上げます。
適宜M-1956と対比させながら見ていきます。予定投稿時刻を約1.5時間過ぎての投稿です。


↑上がM-1961、下↓がM-1956。全体的な形状は似ています。



↑上M-1961。フラップ上部にあるキャリング・ストラップとID入れ用のスロット、背面上部の左右両端のサスペンダー連結用ハトメ・タブも↓M-1956と同じです。



↑上M-1961、下↓M-1956。IDカードの入り口は両方とも同じく右側からです。



↑↓外見上で最も異なるのは上のM-1961ではフラップが立体的になり、マチが付いたところでしょうか。下のM-1956ではフラップが平面で肩口からの雨水の侵入はパック側面から伸びるベロが防ぎますが、上のM-1961ではフラップの肩口部分がパック側面の上部に覆い被さる形状になってます。




↑左がM-1956、右がM-1961。背面で並べてみると、丈が5cmほど長くなっているようです。


↑左がM-1956、右がM-1961。上部開口部はマチ幅はほぼ同じですが、右のM-1961では下方に向かって膨らみ、底部ではM-1956の約1.4倍ほどのマチ幅があります。側面にスライド・キーパー連結用のウェブ・ベルトがある点はどちらのパックにも共通しています。


↑底部の比較。左がM-1956、右がM-1961。容量の違いが良くお解り頂けると思います。


↑左がM-1956、右がM-1961。パックの横幅もやはり約1.3倍ほどに大きくなっています。丈、横幅、マチとも大きくなっており、容量は遥かに大きくなっています。どちらのフラップにも右端にハトメがあり、銃剣などのダブル・ワイヤー・フックを持つ装備品を下げられるようになってます。


↑フラップ内側のスタンプ。制式名称、DSAナンバー、FSNが記されています。本個体にはメーカー名のスタンプはありません。メーカー名のスタンプがあるモノもあります。
FIELD PACK, COMBAT, M-1961
DSA-1-1336-63-E
8465-823-7622


↑フラップを開けたの図。M-1956のような左右のベロはありません。因みに、詰めていますのはユティリティー・トラウザース。


↑内側にはゴム引きの防水幕があります。


↑内側に縫い張られているのではなく、底面を除いた、筒状の形状になっていまして・・・、


↑こんな風にベロベローンと表へ出すことができます。「底」がありません。


↑M-1961の背面。下は↓M-1956。ピストル・ベルトへの装着用の2つのスライド・キーパー、上部両端に1個ずつあるサスペンダー連結用のハトメ・タブ、下に伸びるポンチョ等携行用の2本のウェブ・ストラップは、両パックに共通した特徴です。



フラップを閉じるために用いるバックル。上↑がM-1961で、亜鉛合金の打ち抜きの変形「日」型。下↓がM-1956で、スティールもしくは真鍮打ち抜きの、WWⅡ時代からある「目」型バックル。ウェブ・ストラップはどちらも同じモノが使われています。



↑M-1961のバックル裏側。「RAU」とあり、老舗「RAU FASTENER CO. 」の製造です。1996年、同じファスナー・メーカー・Scovill社により買収されています。


↑サスペンダー連結用ハトメ・タブに汎用キャリング・ストラップを着けてショルダーバッグとして使えるのもM-1956と同じです。もっと昔の事をいえばM-1936 od Field Canvas Bagがキャリング・ストラップ(Strap, Carrying, od, Bag, Canvas, Field (ストック・ナンバー:74-S-333))を伴ってショルダー・バッグとして使えるのと同様です。

おまけ。↓その汎用キャリング・ストラップ(General Purpose Carrying Strap)。


↓スタンプの拡大。右端部分が不鮮明ですが、

「STRAP, CARRYING, GENERAL PURPOSE」です。
その下の「74-S-333-50」はDSAより前の物品管理用の番号たる「ストック・ナンバー」です。このストック・ナンバーからも分かるように、このストラップは、上で触れましたWWⅡ時代のM-1936 od Field Canvas Bag用のキャリング・ストラップ(Strap, Carrying, od, Bag, Canvas, Field (ストック・ナンバー:74-S-333))の後継モノです。時期的にこのストックナンバーとともにその後継たるDAナンバーも付されているモノもあります。過渡期にはよく見られます。

以上駆け足で見て参りましたM-1961とM-1956の違い、いかがでしたでしょうか?
どちらも現在入手は比較的容易な方ではないかと思いますが、流通量は確かに少なくなってきているようですね。
eBayや海外では良品が大体3,000円前後で出ています。

因みに私は高校生の頃、M-1961にショルダー・ストラップを付けて通学用のカバンとして使っておりました。テキストとノート、四角いアルミの弁当箱がキッチリ収納出来て重宝しました。懐かしい思い出です。

それでは、また......。

  

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2015年08月23日

M-1956 コンバット・フィールドパック(US M-1956 Combat Field Pack)

こんにちは。
24時間TVの是非は置いといて、隔週刊の当ブログにお越し下さった皆さま、ありがとうございます。

さて今回取り上げますのは、USヴェトナム戦装備には欠かせない(事も無い)「M-1956コンバット・フィールドパック」です。

1956年にそれまでの旧式なM1910装備システムに代わり採用されたM1956装備システム(M1956 Load-Carrying Equipment)の構成要素のうちの一つです。
兵士が戦場で使うこまごました物を収納・携帯するのに使われた小間物入れ的パックで、通常はピストル・ベルトの背面部に装着します。


↑M-1956 Load-Carrying Equipment の一つで、レーションやユテンシル、靴下、タオル、下着その他いろいろ収納するのに使われました。
画像は「水筒1個じゃ飲み水が足りないから2個装備する!」となった頃以降の装備レイアウト例。

↓M1956 Load-Carrying Equipmentとはこれです(軍マニュアルから抜粋)。

今回取り上げましたのは「6」です。


↑パック背面の2つのスライド・キーパーでピストル・ベルトに固定し、上部両端のハトメ・タブにサスペンダーの後ろストラップのフックを繋いで支えます。


↑真上から見ています。本体はコットン・ダック製。左上、手で支えているのが上述のサスペンダー後ろストラップのフックに繋いだハトメ・タブ。中央横に一本ある少し暗いトーンのOD色のコットン・ウェブ・テープはキャリング・ストラップ。


↑このように掴めるので便利です。


↑この白っぽい四角はIDカード・スロットになっていて、このパックが誰の持ち物であるか分かるように名前を書いた紙片等を入れられるようになっています。


↑正面から。全体的な形態はWWⅡ時のM-1936 od キャンバス・フィールド・バッグ(通称ミュゼット・バッグ)に似ていますが、大きさはかなり小さくなっています。USスタンプがフラップにあります。


↑下に2本ストラップがありますが、これはポンチョなどを丸めてこのパックに結わえ付けるのに使います。


↑後ろから前に廻してバックルで留めます。


↑フラップの正面向かって右側にはハトメがあります。銃剣の鞘などダブルフック・ワイヤーを持つ装備品を吊るすことが出来るようになっているのはM-1910/1928ハバーサックを彷彿とさせます。左右が逆ですけど。


↑内側には補強の当て布(ウェブ・テープ)があります。


↑パックの両側面には冒頭の画像のようにスライド・キーパーを持つ装備品を装着できるようにウェブ・ベルトが設えられています。


↑このようにです。水筒をピストル・ベルトに装着すると、ピストル・ベルトのハトメにダブルフック・ワイヤーを持つ装備品(銃剣やグレネード・ポケットなど)をぶら下げる場所が無くなるので、このようにパックの側面に水筒を装着してベルトに空きスペースを作りました。


↑こんな風になります。


↑内側を見ていきましょう。フラップを開けるとパック両側面から伸びたベロがあり、フラップと本体の隙間からの雨水の侵入を防ぐのに役立ちます。


↑ベロを開きました。


↑右のベロの内側にスタンプがありました。製造者によってはスタンプが左のベロにあるケースもあります。


↑曰く、
FIELD PACK, COMBAT, M-1956
8465-577-4921
DA-36-243-QM(CTM)4742-E-60
18 SEPTEMBER 1959
2行目はおなじみFSNと3行目のDAナンバーなど。4行目は契約日。1960年度第1四半期になりますね。


↑内側です。後継のM-1961コンバット・フィールドパックのようなゴム引き内張りはありません。


↑後継のM-1961コンバット・フィールドパックを大きさ比較用に並べました。M-1961はM-1956を改良して容量を大きくするなど、幾つかの改良を施す形で新たに制式名称が与えられて制式化されたパックです。
巷ではM-1956が「初期型」でM-1961のことを「後期型」と紹介しているのを良く見かけますが、モノ的には制式名称の違う、全く別物であることに留意下さい。世に出た順番としては確かに前後の関係にありますが、両者は別モノです。ただ、M-1961の名称スタンプの中には「FIELD PACK, CANVAS」と表記され、「COMBAT」が「CANVAS」に変わり、更にM-〇〇〇〇の部分が省略されているものもあり、その辺が混乱の一因になっているのは事実です。
以上見て参りました。いかがでしたでしょうか?

「前期型・後期型」の話の他にもう一つ。巷では(有名ショップにおいても)このパックの事を「ブット・パック」などと表記していることがあります。恐らく英語表記のスペルを見て間違ったのだと思いますが、どうせ言うなら正しくは「バット・パック」です。バット(butt)とは米俗語でお尻(ケツ)という意味で(元々はbuttocks)、兵士たちはこのパックのことを俗称で「butt pack(ケツ袋)」と言っていました。スペルを見てそのまま「ブット」と、最初にこう表記した人も人ならそれを盲信した人も・・・。でも、今ではかなりブット・パックで通ってしまっているので最早何ともしようが・・・。
そういえばミュゼット・バッグ(musette bag:M-1936 od キャンバス・フィールド・バッグの通称)のことも、「musette」を「マセット」と読んで「マセット・バッグ」などと表記しているお店がありますねぇ。 これもなんだかなぁ・・・。


それでは次回「M-1961コンバット・フィールドパック」につづきます(予定)・・・。




  

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2014年08月10日

M-1936 OD フィールド・キャンバス・バッグ その2(M-1936 od field canvas bag:2) 

みなさんこんにちは。
台風11号がさきほど兵庫県赤穂市に上陸したそうです。当地大阪も風と雨がかなり強くなってきました。みなさんの処はどうでしょうか?災害には十分注意しましょう。

前回に続き「M-1936 OD フィールド・キャンバス・バッグ(M-1936 od field canvas bag)」について、もう少し触れたいと思います。

↓まずこれを。 

前回もご覧いただきましたが、M-1936 OD フィールド・キャンバス・バッグの、左はカーキ(odシェード#03)バージョン、右はOD(odシェード#07)バージョンです。

これらのどちらのバージョンも内部はこのように大小4つの区画に分けられて、収納の便に寄与しています。↓


で、みなさんの中にも私と同じように疑問に思われた方がいらっしゃると思います。
何かと申しますと、これです。↓


内部最上部に設えてあるこのループ状のモノ。これは一体なんのためのモノなのか?

実は未だ公式な書類(マニュアル等)で確認していないのですが、以前何処か(何か)で読んだ記憶によれば、「テント・ポールをこれに通して運ぶ」といった記述がありました。
テントやブランケット、スリーピング・バッグ、オーバーコートなども背負って運ぶ、いわゆる「行軍装備」に関する記述が「FM(Field Manual) 21-15」にあります。ここではM-1928ハバーサックに並んでM-1936 OD・フィールド・キャンバス・バッグにホースシュー・ロール(テント、ブランケットなどを筒状にまとめたもの・以下『ロール』と略)をどのようにバッグに固定するかについて説明があり、テント・ペグはこのロールの中に巻き込むよう写真上で示されていますが(本文中には無い)、テント・ポールはそのロールの中に巻き込むようには示されていません。となると、ポールはどうやって運ぶのか?となり、短絡的に推察してテント・ポールはこのループに通して運ぶのだという記述にも妥当性はあるようにも思えます。

↓実際にループにテント・ポールを通してみました。バッグの幅の長さからははみ出してしまいます。


↓拡大です。

テント・ポールが3本、タイトに通ります。本当にこのように使うのでしょうか?

またそれとは別に、このループは革製のシースに個々に収めたナイフ・フォーク・スプーンを3つ纏めて挿しておくためのモノだとする「説」も聞いた(読んだ)こともあります。M1928ハヴァーサックにはメス・パン・パウチが取り付けられ、ナイフ・フォーク・スプーンは革製のシースに収めてその中へ入れられてましたが(のちにはメス・パン・パウチ自体に設えられたポケットにナイフ・フォーク・スプーンを直接入れるようになりましたが)、このM-1936 OD フィールド・キャンバス・バッグにはメス・パン・パウチを取り付けることは出来ませんので、ナイフ・フォーク・スプーンをどのように収納しようかと考えた時に、この「説」にも納得できます。
どなたかご存知の方がいらっしゃいまいたらお教え願いたく存じますし、私も今後もっと調べます。

今回のM-1936 ODフィールド・キャンバス・バッグのループの謎についてネットで調べる中でも再認識しましたが、今日色んなレプリカが出ていますね。
レプリカの存在価値は私は十分認めます。サバゲやリエンナクトに実物を使うのはちょっと…と言う時に精巧なレプリカはとても心強いです。ひと昔前までは再現度の低い「レプリカ然」としたモノが多く、レプリカを買うのには躊躇せざるを得ませんでしたが、今はもう本当に実物と見間違えるほどの再現度の非常に高いレプリカが出ていて、買ってもいいかなと思うようになりました。
しかしながら、メーカースタンプまで当時の実際のメーカースタンプが「再現」されているモノがあります。
もはや「レプリカ」ではなく「偽物」になっています。作る側には「本物そっくりに作ったぞ」という満足感しかないのかもしれませんが、「本物として売ってやろう」という考えの者の手に渡れば、たちまち……。

質の高いレプリカを作ったぞ!として本当の製造者が自身の名前を堂々とスタンプすればいいのになと思います。上野の中田商店さんなんかは製造する精巧な旧軍装備品等には自社のロゴをスタンプしてらっしゃいますよね。
また、実際のメーカーのスタンプを再現するのは気が引けるのか、架空のメーカースタンプを施しているメーカーもありますが、これもちょっと困ります。適度にウェザリングを行うと本物と見まがい、「こんなメーカーもあったのか?」と、当時の実際のメーカーを調べるのに支障が生じます。
「レプリカです」と表示しないと、健全なコレクション文化が壊れてしまうと思います。

また、近時気になっていることがあります。このバッグの異名「ミュゼット・バッグ」は、フランス語の「musette(肩掛けカバン)」に由来するのですが、国内のレプリカ・メーカーがフランス語の「musette」を妙に「英語読み」して「マセット・バッグ」と呼んでいます。「なんでやねん」と思っておりましたが、今やもう巷では「マセット・バッグ」の呼び方がかなり浸透してしまっています。嘆かわしいことです。


今回はこの辺で。それでは、また…。


  

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2014年08月03日

M-1936 OD フィールド・キャンバス・バッグ(M-1936 od field canvas bag) 

こんにちは。
当地大阪はただいま曇り空、気温28度で、今のところ扇風機で風を送ってもらえればそれほど暑くは感じません。

やっぱり今日も正午どころかこんな時間に投稿完了です。すみません。

さて今回はWWⅡ米軍装備としてはメジャーな「M-1936 OD フィールド・キャンバス・バッグ」、通称「ミュゼット・バッグ」についてです。
「空挺隊が装備していた」、「将校用のモノである」、「徒歩部隊(dismounted)以外用のモノである」云々…等々いろいろに説明されているのを目にしますが、これらの説明は大体において間違ってはいません。「将校用限定」とか「空挺隊専用」などと言い切ってしまうと「間違い」ですが、いろんなシチュエーションで用いられましたし、後掲の「QM Supply Catalog」上のキャプションでも分かるように特に「〇〇専用」などとは紹介されてません。

まずはこれを。↓

かなり色が褪せていますがお許しください。制式名称に「od」とありますように色は「オリーブ・ドラブ」なのですが、この「od」には「シェード#03(いわゆるカーキ)」と「シェード#07(いわゆるOD(緑味の強い色))」とがあるのはご存じの通りで、この個体は「od」の「シェード#03」の、いわゆるカーキ色バージョンの色が褪せたモノです。とても粗っぽい言い方をするとWWⅡ中1942年~1943年頃を境にして#03から#07へと順次色味が変更されていきました。(この「ODシェードの変更」については、またあらためて機会を設けて採り上げるつもりです。)

↓上述の「Quartermaster Supply Catalog」から抜粋。

曰く、「『odフィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ』を使って肩掛けでき、あるいは『ベルト・サスペンダー』を使って背負ううこともできる、野戦個人装備を運ぶための小さなキャンバス製バッグ」。「odフィールド・キャンバス・バッグ・キャリング・ストラップ」もこのバッグのすぐ上で紹介されていますね。その記述にもありますが、このストラップは「アムニッション・バッグ」や「ディスパッチ・キャンバス・ケース」にも用いられます。(これらについてもいずれ採り上げるつもりです…。)



↑大きなフラップのついた大きめの雑納といった感じのモノです。フラップを留めるのは2組のベルトと「目」バックル。

↓向かって左側側面にボタン留めの蓋つきポケットがあります。


↓フラップを開けると…

手前側にメインの大きな区画があり、背面側に2枚のキャンバス地で隔てられた大1つ小2つの区画があります。

↓こうすると分かりやすいでしょうか。

大1つ小2つの区画と言えどもマチが無いので、厚みのあるモノを入れると当然幅が縮まることになります。

↓フラップ裏面の製造者・製造年のスタンプ等。「THE LANGDON TENT & AWNING CO.」「Manufactured in 1942」とのスタンプと、その上に手書きで「3757」の兵士の個人番号(規則では認識番号の下4ケタ)と思われるモノ。


↓背面を上から…

ボタン留めの大きな収納部があります。

↓ボタンを外しました。

上で見た「Quartermaster Supply Catalog」のキャプションにもあった「キャリング・ストラップ」や「サスペンダー」に連結するためのストラップが上部左右に設えてあるのが分かります。

そのストラップですが、この画像で上の方を一番短くした状態、下の方を一番長くした状態にしてみました。あんまり変わりません。↓


↓長さの調節はこのバックルで行います。M-1936ベルト・サスペンダーの背面下部ストラップの長さ調節バックルと同じ仕組みです。


パキンと爪のついている方を回転させると固定が解かれバックルをストラップの任意の所へ動かせます。


↓これで爪が良く分かりますか?


↓M-1936ベルト・サスペンダーに連結して背負う場合の連結状態です(正面から)。平面的で見にくいですが、①サスペンダーの両胸部分のDリンクにバッグのストラップ先端のクリップを繋ぎ、②サスペンダーの前側の左右2本づつあるストラップのうち、それぞれ外側のストラップの先端のクリップをバッグの背面左右下部のDリンクに繋ぎます。これでバッグがバタつきません。


↓因みにこれをご覧ください。

連結用ストラップを最長になるようにして、本体背面下部のDリンクに繋いだ状態です。「サスペンダーが無くても、このようにリュックサックのようにして背負える」旨の説明を見聞きしたことがありましたが、このストラップの長さではよっぽど痩せぎすか超小柄のヒトしか窮屈すぎて背負えないことが分かります。私の場合Tシャツ一枚着た状態では何とか背負えましたが、ピッチピチであるため自力で脱ぎ降ろすことができませんでした(他の人にクリップを外して貰わねばなりませんでした)。上述のカタログのキャプションにもそのようにして使えるとは書かれていません。

↓「ODバージョン(od シェード#07)」と並べてみました。

色味のほかの差異としては唯一、フラップ中央下端部に「ハトメ付きタブ」が追加された点だけです。これはM-1928ハバーサックやM-1944/45コンバット・フィールド・パックにエントレンチング・ツール(いわゆる塹壕掘りショベル)装着用の同形状のタブが付いているのに倣って、色目が変更されるのに伴いこのバッグにもタブを付けちゃえ、となったかどうかは分かりませんが、ともかくその意味では機能性はアップしたと言えるでしょう。当初は「背嚢」というよりも「汎用バッグ」で開発・制式化したけれども、背嚢として広く使われたことで、「それならばショベルも装着できた方が良かろう」となったのではないでしょうか?

↓ストラップの長さも…、



↓バックルの基本形状も(少し変化しましたが)…、


↓内部を含め構造も、同じです。


↓製造者・製造年のスタンプ。薄いですが辛うじて「ATLANTIC PRODUCTS CORP」「1945」とあります。


OD色の方の入手は実はほんの2年ほど前です。カーキ色のモノは今回お見せしたモノのほか、1つはもう少し程度が良いながらも表面の「U.S.」スタンプがとても薄くなっているモノ、もう1つはゴム引き布地で作られているモノの2つがあります。
OD色のモノはカーキ色のモノに比べて入手しやすい状況がまだ続いていることと、いわゆる「カーキ病(OD色よりもとにかくカーキ色のモノの方を強く求める一部のUSWWⅡファン特有の偏執狂的症状をしめす疾病)」に囚われがちであったことも関係しています。

今回はここで一旦筆を置きます。次回この続きを少しばかり行います。

それでは、また・・・。





  

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2013年10月26日

M1928ハバーサック(ブリティッシュメイド)の続き…

こんにちは
前回に続きM-1928ハバーサック(Haversack, M-1928)のブリティッシュメイドについてです。

US製とブリティッシュメイド(以下BMと略)との差異について見ていきます。

まず蓋フラップの留め具の違い。

上↑がUS製のもの、下↓がBMのもの。

ストラップ自体の厚みが違います。下のBMは薄っぺらく、上のUS製の3分の1位の厚みしかありません。
またストラップ末端処理のための金具が異なります。BMは英軍装備に使われているのと同じ、鋼板で挟みハトメで留める方式。US製は丸い金属ボールキャップを被せ、プレスして平たくする方式。


↓蓋フラップのバックルの違い。上がUS製のもの、下がBMのもの。US製のものは見慣れた「目」型のバックル。


↑下のBMは昔のバイク用のヘルメットに付いているような、環が2つ連なっている方式です。

↓BMのストラップの留め方。まず下からストラップを通し



折り返して下側の環に通して


終了。


↓BMの蓋フラップの裏側。

上述のバックルと、両脇のミートカン・パウチ固定用のストラップ。


↓左にBM、右上にUS製を重ねています。蓋フラップの形状は、BMの方がやや角ばっています。右のUS製の方には「U.S.」スタンプがありません。通常の陸軍用のものには「U.S.」とスタンプされていますが、今回見ていただいているモノは「U.S.」スタンプの無い、一般的に「海兵隊(Marine Corps)用」であるとされているモノです。


↓重ねたまま蓋フラップを右上方向へめくってみます。

ミートカン・パウチ固定用のストラップ末端処理方法が異なります。
BMは縫製でほつれないようにしていますが、US製はさきほどの蓋フラップ留めストラップと同様、丸金属ボールキャップ被せ・プレス方式です。また、蓋フラップ留め具バックルのフラップへの縫い付けが、BMは当て布を介して縫い着けられているのに対し、US製はバックルを保持するストラップが直接フラップに縫い付けられてあります。ここはBMの方に「堅牢さ」で軍配が上がるところです。

↓本体のパッキング用ストラップと留め具の違い。まずこれはUS製。

↑右からストラップがやって来て「目」型のバックルを通ってまた右へ帰ります。

↓一方BMも右からストラップが来ますが、


↓バックルを通って、そのまま左へ抜けます。

バックルの形状上こうなります。操作性ではUS製、BMとも甲乙付けがたいかと思います。
因みにWWⅠ時のM-1910ハバーサックのバックル形状は「目」型ではなく上のBMと同様「日」型でしたが、「日」の左端の部分が本体に固定されているため、ストラップは右から来て、左と真ん中の間を下からくぐって、真ん中と右の間を上から下へくぐってまた右へとUS製M-1928と同様に帰ります。BMでは「日」の真ん中の部分が本体に固定されているため、右から左方向へ抜けます。文字で説明しても分かりにくいですね?別の機会にまたご紹介しましょう。

↓1943年8月回状4号改訂版Quartermaster Supply Catalog(Army Service Forces Catalog QM section 1 "Enlisted men's Clothing and Equipment)に掲載されているM-1928ハバーサック。すぐ下に収納容量アップのために使用するM-1928パック・キャリアがありますが、これもまた改めてご紹介します。【続く…(いつかは未定)】


  

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2013年10月20日

M1928ハバーサック(ブリティッシュメイド)

こんにちは
今回はWWⅡUS陸軍ファンなら知らない人はいないM1928ハバーサック(Haversack, M-1928)の、ブリティッシュメイド版です。

まず、↓ 通常のUS製版です。

ミートカン・パウチを装着しています。

↓背面上部。製造業者・製造年のスタンプは「BOYT -42- 」。


では本題のブリティッシュメイド版M1928ハバーサックです。↓

手書きで「SHARP」と、オーナー名が記されています。兵士が個人名を野戦装備品に記載するのは、本来はレギュレーション違反です。

製造者名・製造年のスタンプは、背面ではなく本体内側に施されています。

「A.N.H. & Co. Ltd. 1944」のスタンプのすぐ下に「BRITISH MADE」と、英国製であると主張しています。

背面にはスタンプはありません↓


蓋のUSスタンプはゴシック体で、省略の「.」付きです(U.S.)。


ベルト等への装着に用いるストラップの、長さ調節用のバックルとストラップ末端の金具。US製のモノとは異なっています。ストラップのベルト等への装着クリップ金具はUS製と同じ。


しかーし、背面にある方のカートリッジ・ベルト等を吊り下げるためのストラップのクリップ(↓画像の左のモノ)は板バネを用いずにワイヤーを曲げただけのシンプルな作りになっています。


拡大。

経済的かなという気はしますが、付け外しが少し大変そうです。

次回へ続きます……。  

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