QRコード
QRCODE
< 2015年12>
S M T W T F S
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
オーナーへメッセージ

コレクション ブログランキングへ

スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上記事の更新がないブログに表示されます。
新しい記事を書くことで、こちらの広告の表示を消すことができます。  
Posted by ミリタリーブログ at

2015年12月27日

US 水筒カバーWWII‐VN (US Canteen Cover, WWII~VN)

こんにちは。
歳末の大掃除の合間を縫って何とか上梓します今年最後のネタは、米軍によりWWIIからヴェトナム戦に至るまでに使用された水筒カバーです。

ひと言で申しますと、その基本的形状はほぼ同じままで推移しています。もっとも水筒本体の形状がほぼ同じで推移しているのですから、それを保護するカバーの形状も大きく変化する余地は少ないからなのですが。

↓左がM1956、右がM1910です。


正式には左が「Cover, Water Canteen, M-1956」(『Water』が省略されることもあります。)、右が「Cover, Canteen, Dismounted, M-1910」です。「Dismounted」とは直訳すれば「降ろされた」ですが、これは即ち「乗馬部隊」用でなく、馬から降りた「徒歩部隊」用である、ということを意味します。WWIIより前、まだまだ馬が移動手段として多く用いられていた頃、機械化されてゆく過渡期に馬に乗った部隊「Mounted」と、馬から降りた部隊「Dismounted」のそれぞれに適した装備が考案・供用されました(水筒カバーのみならず弾薬ベルト等も)。

↓そのDismounted部隊用のモノについて。画像は補給部発行の装備品カタログの中の1ページ(当ブログではおなじみ、1943年8月発行の「Quartermaster Supply Catalog 」Section 1 - Enlisted Men's Clothing and Equipment - )です。

右側に縦に水筒カバーが並んでいます。一番上が「Cover, Canteen, Dismounted, M-1910」、次が「Cover, Canteen, Mounted, M-1917」、下がその後継「Cover, Canteen, Mounted, M-1941」です。まぁ後継と言っても上のM-1910に専用ストラップを付けただけのようなモノなのですけれども。この専用ストラップは現在でも単体で売られているのをよく見ます。下2つは馬の鞍嚢(サドル・バッグ)に取り付けるためのスナップ・フックの付いたストラップが備えられています。

↓話がちょっと横に逸れたのでもう一度この画像を。本体はコットン・ダック、縁取りがコットン・テープ。M-1956は1960年後半ごろには縁取りにナイロン・テープが用いられるようになります。

縫製パターンはどちらも同じです。違いはフラップを留める金具が右の旧式の「Lift-the-Dot」から左のスナップ・ボタンへと変わったことくらいです。「US」スタンプは、左のM-1956では「U.S.」だったり「US」だったり、またフォントもゴシック体やCentury体のようなヒゲのあるものであったりとさまざまです。一方のM-1910ではCentury体ようの、省略の「.」付きの「U.S.」がほとんどです。ブリティッシュ・メイドのモノや、US製のごく一部のモノに例外的にゴシック体が用いられていることもあります。

↓裏面です。左のM-1956カバーはM1956 Load-Carrying Equipmentシステムのうちの一つで、2個のスライド・キーパーを用いてピストル・ベルトに装着します。一方右のM-1910カバーはダブル・ワイヤー・フックを用いてピストル・ベルトやカートリッジ・ベルトの下端のアイレット(ハトメ穴)にぶら下げる形で装着します。左のM-1956は「ベルトにくっつける」、右のM-1910は「ベルトにぶらさげる」、という感じで、身体への装着位置で言えば、上下に7~8cmほど違ってきます。

左のM-1956の下部のスタンプ「COVER, WATER CANTEEN, M-1956〈改行〉DSA 1-1148-63-E〈改行〉FSN 8465-577-4926」。(DSA、FSNについては当ブログ内で以前採り上げていますので検索してみて下さい。)
右のM-1910にはスタンプが辛うじて「ここにあったかな」程度にしか残っていません。

↓これがその辛うじて残っている部分。「~Co.」と、製造者の名前の最後部だと思います。


↓M-1956の内部。カップを入れた状態です。断熱材として化繊のフリース(時期によりフェルトの場合も)が内張りされています。


↓M-1910の内部。ウール・フェルトが内張りされています。


今回M-1910はカーキ(o.d.#3)だけしかお見せしていませんが、OD色(o.d.#7)のモノは朝鮮戦争を経てヴェトナム戦初期頃まで使用されました。またM-1956は上の説明にもありましたが、縁取りにナイロンが使われるようになった後、そのナイロン素材による装備品体系の再構築となるM-1967装備シリーズに取って代わられました。M-1967カバーについてはまた改めてご紹介したいと思います。(※2020年4月19日付記事「US M1967ナイロン・キャンティーン・カバー(Cover, Water Canteen, Nylon, M1967)」(←クリックで別ウィンドウが開きます)もご覧下さい。)

↓M-1910だけ、これらの画像を。これを手に入れるのにはずいぶん苦労しました...。


大昔私がWWII・US装備のコレクションを始めた時、このカーキの水筒カバーはなかなか蒐集できずにいました。
出物が少なく、また、出たとしても可処分所得の乏しい身ではなかなか手が出ない価格でした。ある時大阪の某有名ショップの〇〇〇〇さんが良品のカーキ色のカバーを破格(確か4,800円程)で雑誌広告に出された時に飛び付いたのですが、注文が殺到したのか次回入荷待ちとなり、その後結局半年ほど待って、「お待たせして済みませんでした。その代わり新品同様です。」としてやっと送ってきてくれたのが、どう見ても近時製造されたレプリカとしか思えないシロモノで、「こんな有名な店でもこんなことするんだ」と落胆したことを思い出します。今でもまだ持ってます。


今年最後のネタは如何でしたでしょうか?準備不足で若干やっつけ仕事気味になってしまったのは申し訳ありません。
ではまた新年お会いしましょう。さよーならー。


  

Posted by Sgt. Saunders at 15:50Comments(2)米軍(U.S.)Canteens