2020年02月02日
TL-29 ポケット・ナイフ(Knife, Type TL-29)
みなさん、こんにちは。
中国発?の新型コロナウィルスによる肺炎への注意も必要ですが、「桜を見る会」についての質疑応答における安倍首相の頓珍漢答弁が埋もれてしまわないよう注意しましょう。
さて、新年が明けてもう1カ月過ぎました。早いですねぇ。一年の8.3%が終わってしまいました。時間は大切にしないといけませんねぇ。
そんな思いを新たにしながらも、定刻を1週間過ぎてお送りする今回のネタは通信隊向けに採用されたTL-29ポケット・ナイフ(Knife, Type TL-29)です。
私、WWIIUS陸軍歩兵科一般歩兵装備品をコレクションのメインにしておりますので、このTL-29ポケット・ナイフはコレクション必須というわけではないのですが、”Tool, Linesman”という「専門職」、「スペシャリスト」の道具!というところの、ある種のカッコよさへの憧れもあり、いつか手に入れられる機会があれば欲しいなとは思っておりました。
ただ、私が入手した個体は紐などを通しておけるシャックルを失っています...。TL-29のモデルとなった民間用モデル(後で出て来ますがSCHRADE CUTLERY COMPANYのモデルNo.2042SDなど)には初めからシャックルの無いモノもありますが。
WW I 時代からあるSignal Corps(通信隊)用のポケットナイフに姿がよく似ていて混同しやすいですが、こちらの方がサイズが少し大きいです。
↓TL-29です。ボルスターはスチール製、ライナーはブラス。ローズウッド(紫檀)製のハンドルに「TL-29」と刻印されています。本来は刻まれた部分は金色に着色されますが、使用・経年によりすっかり消えています。また、刻印ではなく、1942年8月までは「TL-29」と刻まれた小さいシールド型の金属製銘板が埋め込まれていました。その後WWII末期には既に合成樹脂製のハンドルのモノが出現していたそうですが、実は私、まだ未確認です。

↓TL-29の仕様書の青写真です。各部の寸法などが詳細に書かれているほか、左下に1919年5月1日付の「ISSUE A」から1942年8月5日付の「ISSUE D」まで、歴代の仕様変更が記されています。

↓現用のポケット・ナイフを並べてみました。ほぼ同じ大きさです。現用のポケット・ナイフにはキリや缶切りや栓抜き機能も備えられていて、野山でキャンプする時などこれがあればとても便利です。TL-29はナイフとマイナスドライバーと電気コードの被膜剥きだけなので、キャンプするのにはややもの足りません。要求される仕様が違うので当然ですが。

↓反対側。特記無し...です。

↓刃を引っ張り出す側です。手前(画像では下側)がスクリュー・ドライバー&ワイヤー被膜剥き・ブレード(以下「スクリュー・ドライバー・ブレード」とします)、向こう側(上側)がナイフ・ブレードです。

↓「底面」です。ブレードのスチールと、ライナーとサイド・プレートの銀色・金色のツートーンが綺麗です。製造者や製造時期により各部材の材質が異なることがあり、すべてスチール製というモノもあります。

↓ナイフ・ブレードを出しました。写りが悪くギラついていて見にくいですが、ブレード基部にはメーカー名などの刻印(tang stampと言います)があります。あとで見ます。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードも半分起こしました。こちらのブレード基部にも刻印があります。

↓向きが逆になってすみません。両方フルに開きました。上側のスクリュー・ドライバー・ブレードを開いた時、真ん中に見えている真鍮製のロック・ライナーが、もともとブレードの方向にテンションが掛けられているバネになっておりますので、その先端がブレードの根元に嵌まり込み、ブレードを開いた状態でロックします。不意にブレードを閉じる方向に力が加わっても閉じません。閉じる時はロック・ライナー先端を指で手前側に押し戻してロックを解除した上でブレードを戻します。ナイフ・ブレードには刀身を開いた状態にしておく通常のロックが、スクリュー・ドライバー・ブレードと同様にありますが、閉じるために解除しないといけないロックはありません。

↓左の開いているのははナイフ・ブレード。右が閉じた状態のスクリュー・ドライバー・ブレード。真ん中の真鍮製のロック・ライナーは真っ直ぐです。

↓右のスクリュー・ドライバー・ブレードを開くと、右方向へ弾性力のテンションが掛かっている真ん中のロック・ライナーが右へ動いてスクリュー・ドライバー・ブレードの根本の切り欠きにハマっているのが分かります。この状態ではブレードを閉じようとしてもロック・ライナー先端が突っ掛かって邪魔して閉じれません。

↓閉じるにはこの様にロック・ライナー先端を左方向へ押し戻してロックを解除してブレードを閉じます。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードのタン・スタンプ。「SCHRADE CUT. CO. WALDEN N.Y.」はニューヨーク州ウォルデンのSCHRADE CUTLERY COMPANYの意。1904年創業でポケット・ナイフ、ペン・ナイフの分野での老舗です。もちろんTL-29は他にもUlster、PAL、Utica、Camillus等名だたる刃物メーカーによって製造されました。

↓ナイフ・ブレードのタン・スタンプ。スクリュー・ドライバー・ブレードのタン・スタンプと全く同じです。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードを全開にしました。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードにも刃が付いています。

↓ナイフ・ブレードです。少し磨いてあげましょうかね。

eBayや海外のショップでは程度の差により価格はピンキリで、高いモノは何でだか分かりませんがUS$300超えもあればUS$15というのもあり、なかなか品定めが難しいです。WWII後のヴェトナム戦頃以降のモノであれば比較的廉価で出ています。
プラスチック製のハンドルが付いた「レプリカ」は国内で2,000円程も出せば十分質のいいモノが購入できます。
ただ機能面ではナイフとマイナスドライバーと電気コードの被膜剥きだけなので、実用性を考えればわざわざレプリカを買おうとは思わないです。上の画像でTL-29との比較として出ていました全金属製の4ブレードのポケット・ナイフの方が断然実用性が高いからです。
あとWWIIUSモノで同じようなポケット・ナイフと言えばパラトルーパー用のスイッチ・ナイフ「M-2 Parachutist Pocket Knife」を思い浮かべますが、こちらはその希少性からそりゃもう高価でとても財政が許しません。まあパラトルーパー装備のコンプリート計画はとうの昔に断念しましたので食指が動くことは無かろうかと思います。
今回画像の大きさを大きくしてみました。いかがでしょうか。スマホ版だと変わらないようです。変え方が分かりません…。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお会いしましょう。さようなら。
中国発?の新型コロナウィルスによる肺炎への注意も必要ですが、「桜を見る会」についての質疑応答における安倍首相の頓珍漢答弁が埋もれてしまわないよう注意しましょう。
さて、新年が明けてもう1カ月過ぎました。早いですねぇ。一年の8.3%が終わってしまいました。時間は大切にしないといけませんねぇ。
そんな思いを新たにしながらも、定刻を1週間過ぎてお送りする今回のネタは通信隊向けに採用されたTL-29ポケット・ナイフ(Knife, Type TL-29)です。
私、WWIIUS陸軍歩兵科一般歩兵装備品をコレクションのメインにしておりますので、このTL-29ポケット・ナイフはコレクション必須というわけではないのですが、”Tool, Linesman”という「専門職」、「スペシャリスト」の道具!というところの、ある種のカッコよさへの憧れもあり、いつか手に入れられる機会があれば欲しいなとは思っておりました。
ただ、私が入手した個体は紐などを通しておけるシャックルを失っています...。TL-29のモデルとなった民間用モデル(後で出て来ますがSCHRADE CUTLERY COMPANYのモデルNo.2042SDなど)には初めからシャックルの無いモノもありますが。
WW I 時代からあるSignal Corps(通信隊)用のポケットナイフに姿がよく似ていて混同しやすいですが、こちらの方がサイズが少し大きいです。
↓TL-29です。ボルスターはスチール製、ライナーはブラス。ローズウッド(紫檀)製のハンドルに「TL-29」と刻印されています。本来は刻まれた部分は金色に着色されますが、使用・経年によりすっかり消えています。また、刻印ではなく、1942年8月までは「TL-29」と刻まれた小さいシールド型の金属製銘板が埋め込まれていました。その後WWII末期には既に合成樹脂製のハンドルのモノが出現していたそうですが、実は私、まだ未確認です。

↓TL-29の仕様書の青写真です。各部の寸法などが詳細に書かれているほか、左下に1919年5月1日付の「ISSUE A」から1942年8月5日付の「ISSUE D」まで、歴代の仕様変更が記されています。

↓現用のポケット・ナイフを並べてみました。ほぼ同じ大きさです。現用のポケット・ナイフにはキリや缶切りや栓抜き機能も備えられていて、野山でキャンプする時などこれがあればとても便利です。TL-29はナイフとマイナスドライバーと電気コードの被膜剥きだけなので、キャンプするのにはややもの足りません。要求される仕様が違うので当然ですが。

↓反対側。特記無し...です。

↓刃を引っ張り出す側です。手前(画像では下側)がスクリュー・ドライバー&ワイヤー被膜剥き・ブレード(以下「スクリュー・ドライバー・ブレード」とします)、向こう側(上側)がナイフ・ブレードです。

↓「底面」です。ブレードのスチールと、ライナーとサイド・プレートの銀色・金色のツートーンが綺麗です。製造者や製造時期により各部材の材質が異なることがあり、すべてスチール製というモノもあります。

↓ナイフ・ブレードを出しました。写りが悪くギラついていて見にくいですが、ブレード基部にはメーカー名などの刻印(tang stampと言います)があります。あとで見ます。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードも半分起こしました。こちらのブレード基部にも刻印があります。

↓向きが逆になってすみません。両方フルに開きました。上側のスクリュー・ドライバー・ブレードを開いた時、真ん中に見えている真鍮製のロック・ライナーが、もともとブレードの方向にテンションが掛けられているバネになっておりますので、その先端がブレードの根元に嵌まり込み、ブレードを開いた状態でロックします。不意にブレードを閉じる方向に力が加わっても閉じません。閉じる時はロック・ライナー先端を指で手前側に押し戻してロックを解除した上でブレードを戻します。ナイフ・ブレードには刀身を開いた状態にしておく通常のロックが、スクリュー・ドライバー・ブレードと同様にありますが、閉じるために解除しないといけないロックはありません。

↓左の開いているのははナイフ・ブレード。右が閉じた状態のスクリュー・ドライバー・ブレード。真ん中の真鍮製のロック・ライナーは真っ直ぐです。

↓右のスクリュー・ドライバー・ブレードを開くと、右方向へ弾性力のテンションが掛かっている真ん中のロック・ライナーが右へ動いてスクリュー・ドライバー・ブレードの根本の切り欠きにハマっているのが分かります。この状態ではブレードを閉じようとしてもロック・ライナー先端が突っ掛かって邪魔して閉じれません。

↓閉じるにはこの様にロック・ライナー先端を左方向へ押し戻してロックを解除してブレードを閉じます。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードのタン・スタンプ。「SCHRADE CUT. CO. WALDEN N.Y.」はニューヨーク州ウォルデンのSCHRADE CUTLERY COMPANYの意。1904年創業でポケット・ナイフ、ペン・ナイフの分野での老舗です。もちろんTL-29は他にもUlster、PAL、Utica、Camillus等名だたる刃物メーカーによって製造されました。

↓ナイフ・ブレードのタン・スタンプ。スクリュー・ドライバー・ブレードのタン・スタンプと全く同じです。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードを全開にしました。

↓スクリュー・ドライバー・ブレードにも刃が付いています。

↓ナイフ・ブレードです。少し磨いてあげましょうかね。

eBayや海外のショップでは程度の差により価格はピンキリで、高いモノは何でだか分かりませんがUS$300超えもあればUS$15というのもあり、なかなか品定めが難しいです。WWII後のヴェトナム戦頃以降のモノであれば比較的廉価で出ています。
プラスチック製のハンドルが付いた「レプリカ」は国内で2,000円程も出せば十分質のいいモノが購入できます。
ただ機能面ではナイフとマイナスドライバーと電気コードの被膜剥きだけなので、実用性を考えればわざわざレプリカを買おうとは思わないです。上の画像でTL-29との比較として出ていました全金属製の4ブレードのポケット・ナイフの方が断然実用性が高いからです。
あとWWIIUSモノで同じようなポケット・ナイフと言えばパラトルーパー用のスイッチ・ナイフ「M-2 Parachutist Pocket Knife」を思い浮かべますが、こちらはその希少性からそりゃもう高価でとても財政が許しません。まあパラトルーパー装備のコンプリート計画はとうの昔に断念しましたので食指が動くことは無かろうかと思います。
今回画像の大きさを大きくしてみました。いかがでしょうか。スマホ版だと変わらないようです。変え方が分かりません…。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお会いしましょう。さようなら。
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