2017年02月05日
WWⅡU.S.ウォーキートーキー(U.S. Radio Sets SCR-536-*)
みなさん こんにちは。
新年2回目の投稿です。
前回が100回目の記事になっていたことに数日前に気付きました。←書きかけで保存している記事を含めて100件でした。今回で96回目でした。すみません…。
当初は週刊、途中から隔週刊、でも実際はこの1年は月刊のペースになってしまっている当ブログ、最低でもなんとか月に一度は新規投稿しようと思っているのですが、
自身・家族の体調や仕事の関係でなかなか思い通りにいきませんが、今後もよろしくお願いいたします。
PC版のテンプレートを変えたのに合わせて今回の記事から画像を大きくしてみました。
さて今回採り上げますのはWWⅡ中に米軍が開発した徒歩部隊用の無線送受信器「Radio Sets SCR-536-(*)」です。(*)にはAからFまでの形式記号が入ります。私の所持しているモノは最終型Fの初期モデルです(ホントはCとかD、Eあたりが欲しかったのですが。)
多くの方がこの無線機を「BC-611」という名称ではないか?という誤解をされていますが、「BC-611」はこのSCR-536-(*)の中の送受信ユニットの事を指します。
↓まず全景です。当時としてはそのデザインと構造は特筆すべきモノであり、非常にポータブルな無線機でありました。5本の真空管と乾電池を用いる近距離用振幅変調双方向送受信器です。
↓では目につく順番に見て行きます。本体に直に「BEFORE OPERATING READ・・TM-11-235『扱う前にTM-11-235を読め』」と、まぁ当たり前と言えば当たり前のことが書いてあります。
↓受話口は使用時に耳介に沿うように少し下向きに傾けてあります。
↓受話口の上のオレンジのマーキング。上下逆さまです。四角の中に「SC 5597 A」と表示されていると思いますが、良く分かりません。
↓画像をひっくり返しました。「SC 5597 A」(?)が何を意味してるのか分かりません。SCはSignal Corpsの略でしょうか。
↓送話時に押す送受信切替スイッチです。黒のゴムカバーで覆われています。ゴムの表面が少し劣化してきました。どこかのミリタリーショップでレプリカが売られて
いますね。送話口は受話口よりも大きく傾けてあります。
↓アンテナを伸ばすと電源が入り、受信状態になります。このスイッチは送信する時(話す時)に押すモノですから、受信の時はこのように押さずにそのままです。
↓送信時にこのように押します。離すと元に戻ります。
↓真横から見ました。送話口が使用者の口の方に近くに来るように大きく上へ傾いています。また送受信切り替えスイッチのカバーは6つのネジを外して交換可能です。
↓データ・カード・ホルダーです。ここには周波数やチャンネル、電池の最終交換日時等を記録した紙片を入れます。
本来は透明プラスティック・カバーがあるべきなのですが、入手時にはありませんでした。プラ板で代用できるので問題にはしませんでした。
さらに、この個体は、上から紙片を入れられるようにホルダーが上下逆さまに付け替えられていています。この個体のようににホルダーの開口部が上向きになってると、本体を逆さまにすると紙片・透明カバーが抜け落ちてしまいます。本来は本体の底カバーを開かないと、このホルダーに入ってる紙片・透明カバーを取り出せないよう、紙片を入れる開口部が下向きになるように取り付けられています。でも何故こうなってるかと言えば、やはりこうしておいた方が底カバーを開けずとも、容易にサッサと紙片を入れ替えることができるように、兵士が現場での使い勝手が良いように改造したのだと思います。
↓本来の取付けと上下逆さです。開口部が上を向いています。正しくは開口部は下向きで、カードを入れ替えるには面倒でも底部カバーを開かなければならないようになっていました。
↓銘板です。メーカーである「GALVIN MFG. CORPORATION」は1947年に「MOTOROLA」に社名変更しました。そう、あのモトローラ社です。
↓てっぺんに戻ります。上面からはアンテナが伸びるようになっています。
↓どうしても本体に収めきれなかった伸縮アンテナの露出部分は、これを保護するためのアンテナ・キャップが被せられています。被せて外れないよう固定するためにネジが切ってあります。
↓このようにです。キャップの底部内側が雌、本体側のアンテナ碍子(グリスで少し黄色く染まっている透明樹脂製のモノ)のすぐ下の土台に雄ネジが切ってあります。
↓普段はこの土台のネジにキャップのネジを締めてアンテナを保護します。
↓で、外したキャップは、消音のための黒いゴムカバーで覆われた金属チェーンで本体と繋がっていて紛失する恐れはありませんが、使用中ブラブラ揺れて本体に当たってカンカラカンカラ音を発するのを防止するため、「ちょっとココに居ててね」ネジ(マニュアルでは「Mounting Stud(取り付けネジ)」に留め置いておくようになってます。
↓こんな風にです。アンテナにキャップとチェーンが絡まって、アンテナと本体を短絡させることのないようにする目的もあります。
↓画像では少し左寄りに写っていますが、上部カバーの真ん中にあるこのプラスネジは内部の送受信器ユニットを本体筐体に固定するためのもので、周波数やチャンネルの変更には関係していません。「認められた修理要員以外は触っちゃいかん」とマニュアルに書いてあります。
↓ピンボケですみません。アンテナは4段伸縮構造です。一番下の部分を引っ張り上げると電源が入るようになってます。三段目から上は受けようとする電波量の調整をするために伸縮させます。
↓汚い画像ですみません。アンテナを伸ばし切ると103cmほどあります。
↓底部カバーはラッチ・ボルトとナットで固定されます。
↓ナットを緩めて…
↓スロットから外すと…
↓パカッと開きます。左に見える本体側の上の茶色の部分がラジオ・シャーシ、その下の空間がバッテリー収納部です。開いた底部カバーの内側にはバッテリーとラジオ・シャーシの電極をつなぐ接点バネが2つあります。
↓本体内部は3つに分かれています。上半分の茶色い部分がラジオ・シャーシです。左下の四角い部分には四角柱型のBA-38バッテリー(陽極電圧用・103.5V)、右下の丸い部分には円筒型のBA-37バッテリー(フィラメント電源(直熱陰極線条用)・1.5V)が入ります。互いに入れ間違えないようにするためにこのような形状にしたんだそうです。
↓右のBA-37バッテリーは左のBA-38バッテリーの半分くらいの長さです。
↓底部カバーの内側です。縁には防水のための黒いゴム・シーリングが巡らされています。左上、ここにもオレンジ色で「バッテリーを入れる前にTM11-235を参照せよ(BEFORE INSERTING BATTERIES REFER TO TM11-235)」との注意書き。接点バネを留めてある絶縁板には「+(陽極)側を外側にしてバッテリーを収めること。(PLACE BATTERIES IN POSITION WITH +(POS.) END OUT.)」の注意書き。
↓ラジオ・シャーシを拡大。上の丸い銀色の端子のすぐ下の「A+」は「BA-37バッテリーの+とつながる」の意。そのすぐ下にはこのシャーシの名称「RECEIVER AND TRANSMITTER CHASIS BC-611-F」。さらにそのすぐ下にはまた丸い銀色端子。「B+」は「BA-38バッテリーの+とつながる」の意。左に縦の黒い部品は陽極回路(plate circuit)ジャンパー。一番下はマイクとイヤフォンのジャック。
↓ジャンパーとジャックを抜いてみました。ただそれだけです。
↓筐体は金属の鋳造。
↓受話口のキャップはねじ込み式なので容易に外せます。
↓受話口のユニットが見えます。
↓送話口もキャップはネジ式で容易に外せます。
↓こちらのユニットも奇麗です。
↓TM 11-235(のリプリント)です。SCR-536の入手後ほどなく入手しました。オリジナルも探しましたが見つけられませんでした。
↓目次の次のページにはこのように「DESTRUCTION NOTICE(破壊告示)」として、この無線機を敵に使わせたり回収させて敵を利することにならないように、粉砕して、切断して、燃やして、爆裂させて、廃棄してばら撒け!との指示があります。
↓「チェックメイト キング・ツー、チェックメイト キング・ツー、こちらホワイトロック(本当は「ルーク」だけど)、どうぞっ!」のCOMBAT!のサンダース軍曹のセリフが聞こえてきそうです。でも、M1ヘルメットのはずが、ライナーだけっていうのはちょっと残念。
↓他の無線機も含めた周波数スペクトル。下から6つ目に今回採り上げたSCR-536-(*)があります。送受信とも3.5~6.0メガサイクル(今で言うメガヘルツ)を使います。0.05メガサイクル刻みで50チャンネルのうちの一つに予め設定しておいて使用します。
当初は背負い型の大きい野戦無線機SCR-300を「ウォーキー・トーキー(Walkie-Talkie:歩きながら話せる)」と呼んでいたのに対比させて、このSCR-536を「ハンディ・トーキー(Handie-Talkie:持ちながら話せる)」と呼んでいましたが、その後SCR-300を含む、手で持って話せるすべての無線機を「ウォーキー・トーキー」と呼ぶようになっていったそうです。
WWⅡ後は朝鮮戦争中期・後期まで使用されましたが、後継モデルたるAN/PRC-6がその役目を継ぎ、ヴェトナム戦争まで使われました
あともう少しマニュアルの画像を用いて細かく説明しようかなと思いましたが、あまりにもボリュームが大きくなるので、今後またあらためてご紹介したいと思います。
それでは今回はこの辺で失礼します。
新年2回目の投稿です。
当初は週刊、途中から隔週刊、でも実際はこの1年は月刊のペースになってしまっている当ブログ、最低でもなんとか月に一度は新規投稿しようと思っているのですが、
自身・家族の体調や仕事の関係でなかなか思い通りにいきませんが、今後もよろしくお願いいたします。
PC版のテンプレートを変えたのに合わせて今回の記事から画像を大きくしてみました。
さて今回採り上げますのはWWⅡ中に米軍が開発した徒歩部隊用の無線送受信器「Radio Sets SCR-536-(*)」です。(*)にはAからFまでの形式記号が入ります。私の所持しているモノは最終型Fの初期モデルです(ホントはCとかD、Eあたりが欲しかったのですが。)
多くの方がこの無線機を「BC-611」という名称ではないか?という誤解をされていますが、「BC-611」はこのSCR-536-(*)の中の送受信ユニットの事を指します。
↓まず全景です。当時としてはそのデザインと構造は特筆すべきモノであり、非常にポータブルな無線機でありました。5本の真空管と乾電池を用いる近距離用振幅変調双方向送受信器です。
↓では目につく順番に見て行きます。本体に直に「BEFORE OPERATING READ・・TM-11-235『扱う前にTM-11-235を読め』」と、まぁ当たり前と言えば当たり前のことが書いてあります。
↓受話口は使用時に耳介に沿うように少し下向きに傾けてあります。
↓受話口の上のオレンジのマーキング。上下逆さまです。四角の中に「SC 5597 A」と表示されていると思いますが、良く分かりません。
↓画像をひっくり返しました。「SC 5597 A」(?)が何を意味してるのか分かりません。SCはSignal Corpsの略でしょうか。
↓送話時に押す送受信切替スイッチです。黒のゴムカバーで覆われています。ゴムの表面が少し劣化してきました。どこかのミリタリーショップでレプリカが売られて
いますね。送話口は受話口よりも大きく傾けてあります。
↓アンテナを伸ばすと電源が入り、受信状態になります。このスイッチは送信する時(話す時)に押すモノですから、受信の時はこのように押さずにそのままです。
↓送信時にこのように押します。離すと元に戻ります。
↓真横から見ました。送話口が使用者の口の方に近くに来るように大きく上へ傾いています。また送受信切り替えスイッチのカバーは6つのネジを外して交換可能です。
↓データ・カード・ホルダーです。ここには周波数やチャンネル、電池の最終交換日時等を記録した紙片を入れます。
本来は透明プラスティック・カバーがあるべきなのですが、入手時にはありませんでした。プラ板で代用できるので問題にはしませんでした。
さらに、この個体は、上から紙片を入れられるようにホルダーが上下逆さまに付け替えられていています。この個体のようににホルダーの開口部が上向きになってると、本体を逆さまにすると紙片・透明カバーが抜け落ちてしまいます。本来は本体の底カバーを開かないと、このホルダーに入ってる紙片・透明カバーを取り出せないよう、紙片を入れる開口部が下向きになるように取り付けられています。でも何故こうなってるかと言えば、やはりこうしておいた方が底カバーを開けずとも、容易にサッサと紙片を入れ替えることができるように、兵士が現場での使い勝手が良いように改造したのだと思います。
↓本来の取付けと上下逆さです。開口部が上を向いています。正しくは開口部は下向きで、カードを入れ替えるには面倒でも底部カバーを開かなければならないようになっていました。
↓銘板です。メーカーである「GALVIN MFG. CORPORATION」は1947年に「MOTOROLA」に社名変更しました。そう、あのモトローラ社です。
↓てっぺんに戻ります。上面からはアンテナが伸びるようになっています。
↓どうしても本体に収めきれなかった伸縮アンテナの露出部分は、これを保護するためのアンテナ・キャップが被せられています。被せて外れないよう固定するためにネジが切ってあります。
↓このようにです。キャップの底部内側が雌、本体側のアンテナ碍子(グリスで少し黄色く染まっている透明樹脂製のモノ)のすぐ下の土台に雄ネジが切ってあります。
↓普段はこの土台のネジにキャップのネジを締めてアンテナを保護します。
↓で、外したキャップは、消音のための黒いゴムカバーで覆われた金属チェーンで本体と繋がっていて紛失する恐れはありませんが、使用中ブラブラ揺れて本体に当たってカンカラカンカラ音を発するのを防止するため、「ちょっとココに居ててね」ネジ(マニュアルでは「Mounting Stud(取り付けネジ)」に留め置いておくようになってます。
↓こんな風にです。アンテナにキャップとチェーンが絡まって、アンテナと本体を短絡させることのないようにする目的もあります。
↓画像では少し左寄りに写っていますが、上部カバーの真ん中にあるこのプラスネジは内部の送受信器ユニットを本体筐体に固定するためのもので、周波数やチャンネルの変更には関係していません。「認められた修理要員以外は触っちゃいかん」とマニュアルに書いてあります。
↓ピンボケですみません。アンテナは4段伸縮構造です。一番下の部分を引っ張り上げると電源が入るようになってます。三段目から上は受けようとする電波量の調整をするために伸縮させます。
↓汚い画像ですみません。アンテナを伸ばし切ると103cmほどあります。
↓底部カバーはラッチ・ボルトとナットで固定されます。
↓ナットを緩めて…
↓スロットから外すと…
↓パカッと開きます。左に見える本体側の上の茶色の部分がラジオ・シャーシ、その下の空間がバッテリー収納部です。開いた底部カバーの内側にはバッテリーとラジオ・シャーシの電極をつなぐ接点バネが2つあります。
↓本体内部は3つに分かれています。上半分の茶色い部分がラジオ・シャーシです。左下の四角い部分には四角柱型のBA-38バッテリー(陽極電圧用・103.5V)、右下の丸い部分には円筒型のBA-37バッテリー(フィラメント電源(直熱陰極線条用)・1.5V)が入ります。互いに入れ間違えないようにするためにこのような形状にしたんだそうです。
↓右のBA-37バッテリーは左のBA-38バッテリーの半分くらいの長さです。
↓底部カバーの内側です。縁には防水のための黒いゴム・シーリングが巡らされています。左上、ここにもオレンジ色で「バッテリーを入れる前にTM11-235を参照せよ(BEFORE INSERTING BATTERIES REFER TO TM11-235)」との注意書き。接点バネを留めてある絶縁板には「+(陽極)側を外側にしてバッテリーを収めること。(PLACE BATTERIES IN POSITION WITH +(POS.) END OUT.)」の注意書き。
↓ラジオ・シャーシを拡大。上の丸い銀色の端子のすぐ下の「A+」は「BA-37バッテリーの+とつながる」の意。そのすぐ下にはこのシャーシの名称「RECEIVER AND TRANSMITTER CHASIS BC-611-F」。さらにそのすぐ下にはまた丸い銀色端子。「B+」は「BA-38バッテリーの+とつながる」の意。左に縦の黒い部品は陽極回路(plate circuit)ジャンパー。一番下はマイクとイヤフォンのジャック。
↓ジャンパーとジャックを抜いてみました。ただそれだけです。
↓筐体は金属の鋳造。
↓受話口のキャップはねじ込み式なので容易に外せます。
↓受話口のユニットが見えます。
↓送話口もキャップはネジ式で容易に外せます。
↓こちらのユニットも奇麗です。
↓TM 11-235(のリプリント)です。SCR-536の入手後ほどなく入手しました。オリジナルも探しましたが見つけられませんでした。
↓目次の次のページにはこのように「DESTRUCTION NOTICE(破壊告示)」として、この無線機を敵に使わせたり回収させて敵を利することにならないように、粉砕して、切断して、燃やして、爆裂させて、廃棄してばら撒け!との指示があります。
↓「チェックメイト キング・ツー、チェックメイト キング・ツー、こちらホワイトロック(本当は「ルーク」だけど)、どうぞっ!」のCOMBAT!のサンダース軍曹のセリフが聞こえてきそうです。でも、M1ヘルメットのはずが、ライナーだけっていうのはちょっと残念。
↓他の無線機も含めた周波数スペクトル。下から6つ目に今回採り上げたSCR-536-(*)があります。送受信とも3.5~6.0メガサイクル(今で言うメガヘルツ)を使います。0.05メガサイクル刻みで50チャンネルのうちの一つに予め設定しておいて使用します。
当初は背負い型の大きい野戦無線機SCR-300を「ウォーキー・トーキー(Walkie-Talkie:歩きながら話せる)」と呼んでいたのに対比させて、このSCR-536を「ハンディ・トーキー(Handie-Talkie:持ちながら話せる)」と呼んでいましたが、その後SCR-300を含む、手で持って話せるすべての無線機を「ウォーキー・トーキー」と呼ぶようになっていったそうです。
WWⅡ後は朝鮮戦争中期・後期まで使用されましたが、後継モデルたるAN/PRC-6がその役目を継ぎ、ヴェトナム戦争まで使われました
あともう少しマニュアルの画像を用いて細かく説明しようかなと思いましたが、あまりにもボリュームが大きくなるので、今後またあらためてご紹介したいと思います。
それでは今回はこの辺で失礼します。
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。