2017年04月02日
ジャングル・ファーストエイド・パウチ(M-2 Individual Medical Jungle Kit )
こんにちは。
当地大阪は桜の開花が全国各地に比べて遅い部類に入るんですね。やっと2日前?に開花があったようですが、朝晩はまだ冷え込みます。
またまた前回の投稿から1カ月以上も空けての投稿になってしまいました。
仕事絡み、体調絡みで致し方ありません。やる気はあるのですが時間の余裕が少なくて、やっと今日新規投稿です。お許しください。
今回は久しぶりにWWⅡUS装備品モノです。私のメインコレクションはWWⅡUS陸軍歩兵のETO(Europian Theather of Operations:ヨーロッパ作戦戦域)装備品なのですが、PTO(Pacific Theather of Operations:太平洋作戦戦域)装備品にも興味はあり、陸軍、海兵隊のPTO装備品も最低限レベルの蒐集はしたいなぁとの思いの延長線上で、今回のネタモノを入手しました。
↓「Container for M-2 Individual Medical Jungle Kit」です。俗にジャングル・ファースト・エイド・パウチなどと呼ばれます。中身がきっちり完備されて、晴れて「M-2 Individual Medical Jungle Kit」になります。

PTOとCBI(China Burma India Theater:中国ビルマインド作戦戦域)で支給されていたロールアップ式のバンデージ・薬品類入れであるM-1 Individual Medical jungle Kitの後継品として新たに開発されたモノです。ETOでは支給されていません。また色調はODシェード#7のみであり、シェード#3(いわゆるカーキ)のモノはありません。
↓少し上から見ました。背面にはダブル・フック・ワイヤー・ハンガーが備えられているのでピストルベルト、カートリッジベルトにぶら下げることができます。2つのスナップボタンでフラップを留めます。「U.S.」スタンプの書体が、WWⅡ時に製造された装備品にしては珍しくゴシック体(サンセリフ)です。ブリティッシュ・メイドのモノにはゴシック体スタンプが多いのですが、WWⅡ時のUS製のモノにゴシック体の「U.S.」がスタンプされている例は多くありません。WW1以前より大抵のスタンプはフォントで言えば「Georgia」や「Century」のようなセリフ書体でなされるのが一般的です。WW2終戦直前頃からゴシック体でのスタンプが用いられ始め、ヴェトナム戦争中期頃には殆どがゴシック体になります。ただ、兵士が着ける装備品は軍のストックから支給されるのであり、工場製造直送ではありませんから、ゴシック体でないスタンプの装備品をヴェトナムで前線の兵士が着けていても何らおかしくはありません。

本体はコットン・ダック製。フラップとそれに続く本体横側はコットン・ツイル・テープで、下端部はコットン・ウェブ・テープで縁取りされています。
↓下端部にはダブル・フック・ワイヤー・ハンガーを吊るせるアイレット(鳩目穴)が設えられています。

↓背面です。中央、ベルト・ループとして、またダブル・フック・ワイヤー・ハンガーの固定を兼ねてコットン・ウェブ・テープが縦に縫い付けられています。

コットン・ウェブ・テープを本体のコットン・ダックに直接縫い付けると強度が不足するので、コットン・ツイル・テープをまずダックに張り付けて補強し(背面上端部分)、そこにコットン・ウェブ・テープが縫い付けられています。
↓この部分がベルト・ループです。トラウザーズ・ベルトだけでなく、ピストル・ベルトのように幅の広いベルトも十分余裕で通ります。

↓一応参考までに、側面の画です。厚みは6cmほどです。

↓フラップを開けました。製造者名と製造年「AVERY 1945」のスタンプがあります。本体の縦のステッチは中の仕切りを縫い付けるためのものですが、斜めのステッチは仕切りの固定には直接は無関係です。縦に縫って、糸を切らずに隣の縦へ行こうと思えば横に移動すればいいものを、わざわざ斜めに無駄なステッチを残しています。何故なのか分かりません。

↓主フラップだけでは中への雨水・砂塵等を防ぎ得ないため両サイドにもフラップが備えられています。

↓内部です。薄手のコットン・ウェブで仕切られています。左側の大きい方の区画にファースト・エイド・パケットと虫除け剤、右側の小さい4つの区画にヨードチンキ、水虫薬、アタブリン(抗マラリア薬)、水浄化剤、本体フラップの内側に絆創膏とスルファジアジン剤(サルファ剤の一つ)を収納するようになっていました。残念ながら私は、現物が完全に揃ったのを見たことはありません。

↓内部の収納仕切りは底から1/4インチほど(6mm)浮いています。水濡れしても乾きやすいように、との理由からだと思います。しかしながら底面に水抜き穴はありません。フラップが2重構造になっているので雨水の侵入は無い、との前提からなのでしょうか。

↓左右のフラップは本体と同じコットン・ダックを二重に重ねられたパーツとして、本体に後付けされる形で縫い付けられています。本体の生地裁ち段階では含まれていません。

↓本体フラップの内側の拡大です。製造者名と製造年のスタンプ。「AVERY」社は布製装備品全般にわたって多くの種類の装備品を製造していました。

↓本体フラップの内側に浅いポケットが設えられています。

↓ポケットの入り口にはコットン・ツイル・テープ製のループが備えられています。私の薄い記憶では、ここに絆創膏を通す形で収納していた…ように思うのですが。違っていたらすみません。

以上縷々見て参りましたがいかがでしょうか?
このパウチの外形形状そのものはその後長く受け継がれていきました。ヴェトナム戦争期中にはナイロン製となり、中身を保護するため仕切りを取っ払う代わりにプラスチック製のケースをパウチの中にセットする形となりと、改良が重ねられていきました。
また、「中身」の希少性は年々高まってきており、当然価格相場も高騰してきています。古い薬瓶にウェザリングを施した複製ラベルを貼って「本物」として売られています。「複製」と明示しているのであれば問題はないと思いますが、コレクターは常に留意したい問題です。
それではまた、なるべく早くにお目にかかりましょう。さようなら。
当地大阪は桜の開花が全国各地に比べて遅い部類に入るんですね。やっと2日前?に開花があったようですが、朝晩はまだ冷え込みます。
またまた前回の投稿から1カ月以上も空けての投稿になってしまいました。
仕事絡み、体調絡みで致し方ありません。やる気はあるのですが時間の余裕が少なくて、やっと今日新規投稿です。お許しください。
今回は久しぶりにWWⅡUS装備品モノです。私のメインコレクションはWWⅡUS陸軍歩兵のETO(Europian Theather of Operations:ヨーロッパ作戦戦域)装備品なのですが、PTO(Pacific Theather of Operations:太平洋作戦戦域)装備品にも興味はあり、陸軍、海兵隊のPTO装備品も最低限レベルの蒐集はしたいなぁとの思いの延長線上で、今回のネタモノを入手しました。
↓「Container for M-2 Individual Medical Jungle Kit」です。俗にジャングル・ファースト・エイド・パウチなどと呼ばれます。中身がきっちり完備されて、晴れて「M-2 Individual Medical Jungle Kit」になります。

PTOとCBI(China Burma India Theater:中国ビルマインド作戦戦域)で支給されていたロールアップ式のバンデージ・薬品類入れであるM-1 Individual Medical jungle Kitの後継品として新たに開発されたモノです。ETOでは支給されていません。また色調はODシェード#7のみであり、シェード#3(いわゆるカーキ)のモノはありません。
↓少し上から見ました。背面にはダブル・フック・ワイヤー・ハンガーが備えられているのでピストルベルト、カートリッジベルトにぶら下げることができます。2つのスナップボタンでフラップを留めます。「U.S.」スタンプの書体が、WWⅡ時に製造された装備品にしては珍しくゴシック体(サンセリフ)です。ブリティッシュ・メイドのモノにはゴシック体スタンプが多いのですが、WWⅡ時のUS製のモノにゴシック体の「U.S.」がスタンプされている例は多くありません。WW1以前より大抵のスタンプはフォントで言えば「Georgia」や「Century」のようなセリフ書体でなされるのが一般的です。WW2終戦直前頃からゴシック体でのスタンプが用いられ始め、ヴェトナム戦争中期頃には殆どがゴシック体になります。ただ、兵士が着ける装備品は軍のストックから支給されるのであり、工場製造直送ではありませんから、ゴシック体でないスタンプの装備品をヴェトナムで前線の兵士が着けていても何らおかしくはありません。

本体はコットン・ダック製。フラップとそれに続く本体横側はコットン・ツイル・テープで、下端部はコットン・ウェブ・テープで縁取りされています。
↓下端部にはダブル・フック・ワイヤー・ハンガーを吊るせるアイレット(鳩目穴)が設えられています。

↓背面です。中央、ベルト・ループとして、またダブル・フック・ワイヤー・ハンガーの固定を兼ねてコットン・ウェブ・テープが縦に縫い付けられています。

コットン・ウェブ・テープを本体のコットン・ダックに直接縫い付けると強度が不足するので、コットン・ツイル・テープをまずダックに張り付けて補強し(背面上端部分)、そこにコットン・ウェブ・テープが縫い付けられています。
↓この部分がベルト・ループです。トラウザーズ・ベルトだけでなく、ピストル・ベルトのように幅の広いベルトも十分余裕で通ります。

↓一応参考までに、側面の画です。厚みは6cmほどです。

↓フラップを開けました。製造者名と製造年「AVERY 1945」のスタンプがあります。本体の縦のステッチは中の仕切りを縫い付けるためのものですが、斜めのステッチは仕切りの固定には直接は無関係です。縦に縫って、糸を切らずに隣の縦へ行こうと思えば横に移動すればいいものを、わざわざ斜めに無駄なステッチを残しています。何故なのか分かりません。

↓主フラップだけでは中への雨水・砂塵等を防ぎ得ないため両サイドにもフラップが備えられています。

↓内部です。薄手のコットン・ウェブで仕切られています。左側の大きい方の区画にファースト・エイド・パケットと虫除け剤、右側の小さい4つの区画にヨードチンキ、水虫薬、アタブリン(抗マラリア薬)、水浄化剤、本体フラップの内側に絆創膏とスルファジアジン剤(サルファ剤の一つ)を収納するようになっていました。残念ながら私は、現物が完全に揃ったのを見たことはありません。

↓内部の収納仕切りは底から1/4インチほど(6mm)浮いています。水濡れしても乾きやすいように、との理由からだと思います。しかしながら底面に水抜き穴はありません。フラップが2重構造になっているので雨水の侵入は無い、との前提からなのでしょうか。

↓左右のフラップは本体と同じコットン・ダックを二重に重ねられたパーツとして、本体に後付けされる形で縫い付けられています。本体の生地裁ち段階では含まれていません。

↓本体フラップの内側の拡大です。製造者名と製造年のスタンプ。「AVERY」社は布製装備品全般にわたって多くの種類の装備品を製造していました。

↓本体フラップの内側に浅いポケットが設えられています。

↓ポケットの入り口にはコットン・ツイル・テープ製のループが備えられています。私の薄い記憶では、ここに絆創膏を通す形で収納していた…ように思うのですが。違っていたらすみません。

以上縷々見て参りましたがいかがでしょうか?
このパウチの外形形状そのものはその後長く受け継がれていきました。ヴェトナム戦争期中にはナイロン製となり、中身を保護するため仕切りを取っ払う代わりにプラスチック製のケースをパウチの中にセットする形となりと、改良が重ねられていきました。
また、「中身」の希少性は年々高まってきており、当然価格相場も高騰してきています。古い薬瓶にウェザリングを施した複製ラベルを貼って「本物」として売られています。「複製」と明示しているのであれば問題はないと思いますが、コレクターは常に留意したい問題です。
それではまた、なるべく早くにお目にかかりましょう。さようなら。
タグ :ジャングル・ファースト・エイド・パウチファースト・エイド・パウチファーストエイド・パウチファーストエイド キットメディカルキットM-2 Individual Medical Jungle Kitファーストエイドfirst aid
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