2021年01月11日
U.S. M-Q1 OD・パイル・フィールド・キャップ(Cap, Field, Pile, OD, M-Q1)
みなさま、新年明けましておめでとうございます。
新たな年を迎えられたのはおめでたく嬉しいですが、やはりどうしても触れずにはいられないのが新型コロナウィルス関連の話題です。
感染者数の増加の勢いがもの凄く、7日に関東の1都3県に「非常事態宣言」が出され、大阪・京都・兵庫も政府に対し宣言を出すよう求めるそうです。一般市民レベルで出来る外出自粛・マスク着用・家庭内感染防止を徹底して、感染者数の増加防止に努めたいと思います。コロナ禍の中生活に困窮している方々への経済的支援をしっかりと行うよう国・自治体にお願いします。
さて今年もまたこれまで得て来たまだまだ乏しい知識を交えながら蒐集品をご覧に入れたいと思います。よろしければお付き合いください。引き続き隔週日曜日正午投稿を目標にしております。間違い等のご指摘は大歓迎です。
新年最初のネタは何にしようかと考えましたが、ネタ探しに行き詰った時に時々頼っております故川越のりと先生の「コンバット・マガジン巻末イラスト・ポスター」シリーズを見まして、急激な寒波到来とも相俟って「そうだ、これにしよう!」と決めましたのがアメリカ軍が朝鮮戦争時に使い始めました「M-Q1 ODパイル・フィールド・キャップ(Cap, Field, Pile, OD, M-Q1)」です。新年早々いきなり目標から一日遅れでお送り致します。
↓故川越のりと先生の「コンバット・マガジン巻末イラスト・ポスター」シリーズの「B.A.R. MAN」です。この米陸軍兵士が頭に被っている…

↓この帽子、これが「M-Q1 OD・パイル・フィールド・キャップ(Cap, Field, Pile, OD, M-Q1)(Stock No.73-C-16736-xx)」です。イラストのキャプションには「FieldとOD」の語がありませんが。

↓1943年に開発されWW2末期に採用されていた先輩モデル「Cap, Field, Pile, OD(Stock No.73-C-16350~73-C-16375)」と仕様・形状はよく似ていますが、バイザー内側にもパイルが施されていて着用者の視界の妨げになり不快であるというクレームを受け、Quartermaster(補給部・需品部)がバイザーからパイルを取り去り、後頭部から顎周りの裁断等を若干見直して1948年にこのMQ-1を開発しました。なので「M-1」ではなく「M-Q1」なのだそうです。ただ朝鮮戦争勃発時にはまだ先輩モデルの在庫も沢山ありましたのでそちらも同時に供用されています。さらに本MQ-1も程無く特に改修されることも無く標準化され、名前も新たに「Cap, Field, Pile, OD, M-1951(Stock No.73-C-16240)」となります。よって朝鮮戦争中には「Cap, Field, Pile, OD」、「Cap, Field, Pile, OD, M-Q1」、「Cap, Field, Pile, OD, M-1951」の3種が使用されたことになります。

↓ウェブからの拾い画です。おそらくアメリカのナショナル・アーカイブだと思います。違ってたらスミマセン。右の空軍将校が被っているのがM-Q1若しくはM-1951です。バイザーを上に裏返していますが、パイルがありません。一方左の将校はバイザーにパイルの張られている先輩モデル「Cap, Field, Pile, OD」を被っています。二人ともバイザー裏面に階級章を着けています。軍制式なのかはまだ調べてませんが一般的なスタイルです。

↓フラップ(earlap)を下ろすとパイルが寒さから耳・頬・顎・後頭部を守ってくれます。右フラップにあるコードと表地の間のループ部に左フラップの先端を滑り込ませ、両フラップからのコードを顎下で結んで顔に密着させます。暖かいですよ。冬のサバゲはM1ヘルメットではなく、これを被って朝鮮戦争コスチュームでもいいかも。BB弾からも耳・頬をガードしてくれますし。

↓繰り返しになりますが、このM-Q1にはバイザー内側にはパイルは張られていません。また、バイザーの付け根には細い三日月状のスウェットバンドが見えます。帽子本体の内張はコットン混紡のウールです。表地はコットン・ポプリンです。

↓先程の写真の将校のように、フラップを下ろさず頭頂部へ上げてコードを使って固定します。

↓パイルはM1967ナイロン・ウォーター・キャンティーン・カバーの内張りアクリル・フリースと同じような毛足です。但し化学繊維のアクリル・フリースとは違ってもっと暖かいような気がします。

↓バイザーは帽子をちゃんと被るとピン!と上へ反ってくれます。

↓内側の拡大。コットン・ツイルのスウェット・バンド真後ろの箇所にスタンプによるサイズ表記「7 1/4」。帽体内側左右にラベルがあります。

↓右側に名称と使用上の注意書きです。

↓曰く、(1)フラップ上留め-右のフラップのループに左のフラップを通し、紐穴を合わせる。左のコードを両方の紐穴に通して結ぶ。(2)フラップを下ろす-左のフラップの両方の紐穴にコードを通し、左のフラップを(右の)ループに通して結ぶ。(3)ヘルメットと共に着用する時-パイル・フラップは下ろすべし。パイル・キャップにフィットするようにヘルメット・ライナーを調節せよ。(4)このキャップは洗濯してはならない。ドライ・クリーニングだけ。

↓帽体左内側のタグ。名称やサイズ表記、製造者等の情報が書かれてあります。

↓名称は「Cap, Field, Pile, OD, MQ-1」。何故かさっきまで見て来た「M-Q1」ではなくハイフンの位置が違っています。どっちが本当なんでしょうか。ウェブを眺めると「M-Q1」の方が多いようです。サイズは7 1/4インチ、製造者はHAMELCO INC.。ほか契約日・契約番号、調達仕様書日付、ストック・ナンバー(73-C-16376-55(このサイズで))、ニューヨーク補給品部(需品部)調達庁(NYQMPA:New York QuarterMaster Procurement Agency)の表示。あと、ALPACA(パイル)の素材が60%ウール、40%コットンで、帽体ライニングの素材が80%ウール、20%コットンであるとのこと。ライニングはM41フィールド・ジャケットのライニングと似た感じのやや薄手なものです。

はい、新年一回目はいかがでしたでしょうか。実はこのアイテムは極最近入手いたしましたモノです。
WEBではM-1951もM-Q1もゴッチャにされている印象です。レプリカも沢山出ていて、その値段も「一万五千円!」などと驚愕のお値段が付いているモノがあったり、びっくりしました。実物デッドストックがまだまだソコソコebayなどで入手可能です。私もさる海外のショップからUS$30程で買いました。送料を加えても日本で5,000円で売れたらコーヒー2杯分くらいは儲かる?
このパイル・キャップは「M-1951」の後DSA・FNS時代以降も名称や若干の素材変更こそあれ供用が続いています(例えば「CAP, FIELD, COTTON POPLIN, WOOL PILE, OG」等)。価格は程度にもよりますが、朝鮮戦争時から60年代のモノ全部ひっくるめて大体5,000円くらいから8,000円位でしょうか。結構高値だなと感じます。レプリカで一万円越えもあるほどですから、ファッション・アイテムとしての人気があるんでしょうね。
また、老婆心ながらコレクション初心者の方に注意喚起いたしますが、同じ「M-1951」でも帽体に内張の無い、耳当て部分が内側に折り畳める薄手の「M-1951 コットン・フィールド・キャップ」やその派生モノとは全く別モノですので注意が必要です。まあビジュアルが全く違いますので見て間違う事は無いと思いますが、カタログなどの文字ヅラだけで見てると間違いそうです。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお目に掛りたいと思います。ご機嫌宜しゅう。
新たな年を迎えられたのはおめでたく嬉しいですが、やはりどうしても触れずにはいられないのが新型コロナウィルス関連の話題です。
感染者数の増加の勢いがもの凄く、7日に関東の1都3県に「非常事態宣言」が出され、大阪・京都・兵庫も政府に対し宣言を出すよう求めるそうです。一般市民レベルで出来る外出自粛・マスク着用・家庭内感染防止を徹底して、感染者数の増加防止に努めたいと思います。コロナ禍の中生活に困窮している方々への経済的支援をしっかりと行うよう国・自治体にお願いします。
さて今年もまたこれまで得て来たまだまだ乏しい知識を交えながら蒐集品をご覧に入れたいと思います。よろしければお付き合いください。引き続き隔週日曜日正午投稿を目標にしております。間違い等のご指摘は大歓迎です。
新年最初のネタは何にしようかと考えましたが、ネタ探しに行き詰った時に時々頼っております故川越のりと先生の「コンバット・マガジン巻末イラスト・ポスター」シリーズを見まして、急激な寒波到来とも相俟って「そうだ、これにしよう!」と決めましたのがアメリカ軍が朝鮮戦争時に使い始めました「M-Q1 ODパイル・フィールド・キャップ(Cap, Field, Pile, OD, M-Q1)」です。新年早々いきなり目標から一日遅れでお送り致します。
↓故川越のりと先生の「コンバット・マガジン巻末イラスト・ポスター」シリーズの「B.A.R. MAN」です。この米陸軍兵士が頭に被っている…

↓この帽子、これが「M-Q1 OD・パイル・フィールド・キャップ(Cap, Field, Pile, OD, M-Q1)(Stock No.73-C-16736-xx)」です。イラストのキャプションには「FieldとOD」の語がありませんが。

↓1943年に開発されWW2末期に採用されていた先輩モデル「Cap, Field, Pile, OD(Stock No.73-C-16350~73-C-16375)」と仕様・形状はよく似ていますが、バイザー内側にもパイルが施されていて着用者の視界の妨げになり不快であるというクレームを受け、Quartermaster(補給部・需品部)がバイザーからパイルを取り去り、後頭部から顎周りの裁断等を若干見直して1948年にこのMQ-1を開発しました。なので「M-1」ではなく「M-Q1」なのだそうです。ただ朝鮮戦争勃発時にはまだ先輩モデルの在庫も沢山ありましたのでそちらも同時に供用されています。さらに本MQ-1も程無く特に改修されることも無く標準化され、名前も新たに「Cap, Field, Pile, OD, M-1951(Stock No.73-C-16240)」となります。よって朝鮮戦争中には「Cap, Field, Pile, OD」、「Cap, Field, Pile, OD, M-Q1」、「Cap, Field, Pile, OD, M-1951」の3種が使用されたことになります。

↓ウェブからの拾い画です。おそらくアメリカのナショナル・アーカイブだと思います。違ってたらスミマセン。右の空軍将校が被っているのがM-Q1若しくはM-1951です。バイザーを上に裏返していますが、パイルがありません。一方左の将校はバイザーにパイルの張られている先輩モデル「Cap, Field, Pile, OD」を被っています。二人ともバイザー裏面に階級章を着けています。軍制式なのかはまだ調べてませんが一般的なスタイルです。

↓フラップ(earlap)を下ろすとパイルが寒さから耳・頬・顎・後頭部を守ってくれます。右フラップにあるコードと表地の間のループ部に左フラップの先端を滑り込ませ、両フラップからのコードを顎下で結んで顔に密着させます。暖かいですよ。冬のサバゲはM1ヘルメットではなく、これを被って朝鮮戦争コスチュームでもいいかも。BB弾からも耳・頬をガードしてくれますし。

↓繰り返しになりますが、このM-Q1にはバイザー内側にはパイルは張られていません。また、バイザーの付け根には細い三日月状のスウェットバンドが見えます。帽子本体の内張はコットン混紡のウールです。表地はコットン・ポプリンです。

↓先程の写真の将校のように、フラップを下ろさず頭頂部へ上げてコードを使って固定します。

↓パイルはM1967ナイロン・ウォーター・キャンティーン・カバーの内張りアクリル・フリースと同じような毛足です。但し化学繊維のアクリル・フリースとは違ってもっと暖かいような気がします。

↓バイザーは帽子をちゃんと被るとピン!と上へ反ってくれます。

↓内側の拡大。コットン・ツイルのスウェット・バンド真後ろの箇所にスタンプによるサイズ表記「7 1/4」。帽体内側左右にラベルがあります。

↓右側に名称と使用上の注意書きです。

↓曰く、(1)フラップ上留め-右のフラップのループに左のフラップを通し、紐穴を合わせる。左のコードを両方の紐穴に通して結ぶ。(2)フラップを下ろす-左のフラップの両方の紐穴にコードを通し、左のフラップを(右の)ループに通して結ぶ。(3)ヘルメットと共に着用する時-パイル・フラップは下ろすべし。パイル・キャップにフィットするようにヘルメット・ライナーを調節せよ。(4)このキャップは洗濯してはならない。ドライ・クリーニングだけ。

↓帽体左内側のタグ。名称やサイズ表記、製造者等の情報が書かれてあります。

↓名称は「Cap, Field, Pile, OD, MQ-1」。何故かさっきまで見て来た「M-Q1」ではなくハイフンの位置が違っています。どっちが本当なんでしょうか。ウェブを眺めると「M-Q1」の方が多いようです。サイズは7 1/4インチ、製造者はHAMELCO INC.。ほか契約日・契約番号、調達仕様書日付、ストック・ナンバー(73-C-16376-55(このサイズで))、ニューヨーク補給品部(需品部)調達庁(NYQMPA:New York QuarterMaster Procurement Agency)の表示。あと、ALPACA(パイル)の素材が60%ウール、40%コットンで、帽体ライニングの素材が80%ウール、20%コットンであるとのこと。ライニングはM41フィールド・ジャケットのライニングと似た感じのやや薄手なものです。

はい、新年一回目はいかがでしたでしょうか。実はこのアイテムは極最近入手いたしましたモノです。
WEBではM-1951もM-Q1もゴッチャにされている印象です。レプリカも沢山出ていて、その値段も「一万五千円!」などと驚愕のお値段が付いているモノがあったり、びっくりしました。実物デッドストックがまだまだソコソコebayなどで入手可能です。私もさる海外のショップからUS$30程で買いました。送料を加えても日本で5,000円で売れたらコーヒー2杯分くらいは儲かる?
このパイル・キャップは「M-1951」の後DSA・FNS時代以降も名称や若干の素材変更こそあれ供用が続いています(例えば「CAP, FIELD, COTTON POPLIN, WOOL PILE, OG」等)。価格は程度にもよりますが、朝鮮戦争時から60年代のモノ全部ひっくるめて大体5,000円くらいから8,000円位でしょうか。結構高値だなと感じます。レプリカで一万円越えもあるほどですから、ファッション・アイテムとしての人気があるんでしょうね。
また、老婆心ながらコレクション初心者の方に注意喚起いたしますが、同じ「M-1951」でも帽体に内張の無い、耳当て部分が内側に折り畳める薄手の「M-1951 コットン・フィールド・キャップ」やその派生モノとは全く別モノですので注意が必要です。まあビジュアルが全く違いますので見て間違う事は無いと思いますが、カタログなどの文字ヅラだけで見てると間違いそうです。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。また2週間後にお目に掛りたいと思います。ご機嫌宜しゅう。
タグ :M-1951パイル・キャップM-Q1 パイル・キャップパイル・フィールド・キャップM-1951 Pile capM-Q1 pile capm1951 pile capAlpaca pile cap川越のりと
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